テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編    作:onekou

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どうもonekouでございます。

ちょっと日をまたいでしまった…orz


『stage18:跳べ! コウジュ!』

「あることないこと言うんじゃない!! 僕が何したって言うんだ!」

 

 そう叫びながら、慎二は給水塔の裏から駆けだして来た。

 その顔は怒りからか恥ずかしさからか、真っ赤に染まっている。

 慎二はどこに居るのか分からないコウジュを探しているのか、辺りを見回している。

 

 

「何を? 俺には直接してなくても、色々やってんだろうがお前。インガオホーってやつだ」

 

 そこへ、先程までとは違い何かを通したものではないコウジュの声が響いた。

 

「ああ、でも、お前のおかげで俺は全力を出す気になれた。そのことに関しては感謝しようかね」

 

 声の元へと顔を向ける。

 居た。隣のビルだ。

 しかしどうやって? 

 俺以外の全員もそう思っているのか驚愕を露わにしている。

 隣のビルとはいえ、すぐ近くだ。それなのに、突如湧き出すかのようにコウジュは声と共にそこに現れた。

 

「やぁやぁみなさんご機嫌麗しゅう」

 

 カーテシーだったか、スカートの端を両手で掴みながらちょこんと頭を下げるコウジュ。

 だが、彼女の表情は獲物を見る獣のように、ギラギラとしている。

 そしてその眼は完全に慎二を捉えていた。

 

「さっきのはお前か! よくもあんなことを言ってくれたな!!」

 

「けど嘘は言ってねぇぜ? 実際に目撃情報がある訳だしな。というか自分で“あること”ないことって言ってるじゃん」

 

「ち、違う!! 止めろお前ら! 僕を生暖かい目で見るんじゃない!!」

 

 そうは言われても仕方がないだろう。

 普段傍若無人でも、一つでも良いことをすると途端に憎めなくなるのはよくあることだ。

 目隠しをしているはずのライダーでさえも、どこか優しげな瞳で慎二を見ている気がする。

 ただ、コウジュだけはニヤニヤと見ていた。

 

「ねぇどんな気持ち? 今どんな気持ち? 自分の運命に抗えなくて精一杯悪ぶっていたのに、なり切れなかったことを暴露された今の気持ちはどんな感じ?」

 

「うるさい! お前に何が分かる!?」

 

 そう叫んだ慎二の声は、震えていた。

 今までに聞いたことのないような、心の底から出たような声だった。

 自分に正直に生きているような慎二だと思っていた。でも今は何かが違った。

 

「お前に、お前らなんかに何が分かる! こんな本に頼らなきゃ、あいつに頼らなきゃならない僕の気持なんか!!!!」

 

「多少……、いや、俺には言う資格なんてないな。貰っただけの俺じゃぁさ」

 

 コウジュもまた、慎二に対してふざけずに返す。

 俺には分からないが、二人の間で交わされた言葉には重要な意味があるのだろう。

 

 俺は慎二を友人だと言える。だからこそ止めようとした。

 けど、俺が思っていた慎二とは違うあいつの姿がここにはある。

 今ここに居る慎二が、本当の慎二なのだろう。

 

 それを引きずり出したのはコウジュ。

 あれだけのことで、慎二が作っていた外側をぶち壊した。

 

 

「うん、やっぱ憎み切れないな。殴る役目はあの子に渡すとするかね」

 

 にらみ合いが続いていた中で、急に溜息一つ、コウジュはそう言った。

 

「なんのことだ!?」

 

 そのコウジュに慎二は意味が解らないと返すが、にやりとコウジュは笑うのみ。

 

「まずは、やり直しから行ってみよう! 光翼『ホワイティルウィング』!!」

 

 コウジュがカードを片手にいつかのように宣言した。そして次の瞬間にコウジュはそこから姿を消していた。

 

「なっ!?」

 

 そう声に出したのは誰だったのか、消えたと思った瞬間には慎二の背後に居た。

 しかしコウジュの姿が先ほどと違う。

 光り輝く翼。今まさにライダーが騎乗しているペガサスとは違う神聖さを思わせるそれが、コウジュの背中から吹き出すように翼として生えていた。

 そのコウジュが慎二の真後ろ、その空中に居ながら翼をはためかせる。

 

「うわぁあああああああああああああああ!!!??」

 

 驚愕を露わにする慎二は恐怖のあまり、給水塔から屋上へと飛び降りる。

 着地をどうするかなど考えていない、ただ落ちるようにして、コウジュから逃げた。

 でも甘かったようだ。

 その慎二を、コウジュは抱えるようにして捕まえた。

 

「離せ放せ離せ!!!! 僕をどうするつもりだ!? こんなことが許されると思ってるのか!? やめろよあっちいけよ!!!」

 

「あ、こら、暴れるな!? ってどこ触ってんだゴラァ!!! ひゃ、やめろ!!?」

 

 やっていることとは裏腹に可愛い声を上げるコウジュだが、やられている側の慎二は堪ったものじゃない。

 何とか振りほどこうと暴れるが、ついにはコウジュに片腕で頭上へ掲げられてしまった。

 その様は自らが獲った獲物を見せつけるかのようだ。

 ただ、自らのマスターを助けるべくライダーはペガサスに乗ったまま慎二救出に向かっている。次々に起こる事態に一歩出遅れたようだがそれえでも英霊の名に偽りはない。殺す気を伴ってコウジュへと差し迫る。

 

「おっと、そうはいかない…ぜ!!!」

 

 全力投球。

 そう言い表すしかない方法で、差し迫るライダーを前にコウジュは慎二を投げつけた。

 その方向は……扉?

 俺が先ほど入ってきた扉へと投げつけたようだ。

 

「助けろライダァアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

 

「ちっ」

 

 舌打ち一つ。ライダーはコウジュから狙いを反らし、慎二へと方向転換。

 しかしその時には、コウジュはご丁寧にも慎二が飛ばされた先の扉に居り、扉にカードを張り付けた後、開いた。

 

「逝ってらっしゃい、ハート○ン式トレーニングはよく効くそうだから」

 

 扉の向こうへと消えていく慎二にそう告げながら、コウジュは扉を閉じた。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「マスターをどうしたのですか?」

 

「死んではいないさ。ただ、叩き直してもらおうと思ってね」

 

 サーヴァントとしての契約が未だ残っていることを不審に思いながらも、警戒を露わに上空でペガサスを駆るライダー。

 対して、俺は背中にホワイティルウィングを装備したまま、給水塔の上でタイミングを計っている。

 

 というのも、空中戦を想定して作った光翼『ホワイティルウィング』だが未だ完成していなかったりするのだ。

 正確には、制御しきれていないというべきか。

 翼を生やしたからといってすぐに鳥のように飛べるわけもなく、本番までに何回も練習したんだが可能となったのは、空中での姿勢制御と、光が背中から吹き出しているような翼の形状からブースターのように加速することのみ。

 それも、複雑な状況下では翼の制御に頭の処理が持っていかれるから、戦闘なんぞには全く使えないという代物。

 

 それでも、派手な演出によってその弱点は未だ露呈していないはずだ。

 

 最初に慎二の後ろへ回るために使ったのも、最初の一歩は足で跳んだだけだし、実際光翼を使ったのは慎二後ろへの軌道修正と急停止のみ。

 でもこれってぶっちゃけ、ネギまの瞬動術もどきをした後に足でブレーキせずに翼で急停止しているだけだから色々中途半端過ぎる。

 完全に、(チート)任せの脳筋戦法なのでその内どうにかしないとだ。

 

 だから、現状不完全でしかないこの翼の土俵で戦うため、タイミングを計っている。

 

「あくまでも言う気は無いと?」

 

「無いね。けど、俺を倒したら取り戻せるかもよ?」

 

「ふざけてますね」

 

「違うね、ふざけてないとやってられないんだ」

 

 主に俺の精神がもちませんもの。

 それに俺は今、頭の中で『あいきゃんふらい! あいきゃんふらい!』って唱えるので忙しいのです。

 頭の中ではそんなことを考えながら、意識してにやりと不敵な笑みを浮かべ続ける。

 

 対してライダーは、俺やセイバー達を見回し少しの間思案した後こう告げた。

 

「…予定は変わりましたが、セイバー含めてあなたも轢いてしまうとしましょう」

 

 来た! それを待っていた!

 この状況でライダーが獲れる選択肢はそれのみ。

 さらに言えば、この状況では必然的に狙われる対象は限られてくる。

 

 つまり、

 

「士郎!?」

 

 現状一番戦闘能力が低く、そして一番効率の良い方法はセイバーのマスターである士郎を消すこと。

 だがそれを、俺は待っていた。否、そうなるように誘導した。

 セイバーが士郎を庇う為に前に立つが、俺はその更に前へと躍り出る。

 

「かかったなあほがぁってね。来いカザミノコテ」

 

「何を!?」

 

 一秒にも満たぬ間に、ライダーは流星にも似た勢いでこちらへと差し迫る。

 そんな中、俺の耳がライダーの驚いた声を拾った。

 ただ驚きはしてもその勢いを留めはしない。

 何をしようと鎧袖一触に薙ぎ払わんとしているのが分かる。 

 

 しかし俺も、やられるつもりで前に出た訳ではない。

 

 シールド系武器『カザミノコテ』は、見た目は文字通りの籠手だ。実際に腕へと装着し使用する片手装備。

 しかし、これはあくまでも武器なのだ。

 

「ジャスガァっ!!」

 

「ッな、ガっァァァア!!?」

 

 ライダーが俺へと接触する瞬間に、籠手を通して力を爆発させる。

 すると瞬間的に表れた障壁がライダーを防いだ。

 そしてただ防ぐだけではなく、騎乗するペガサスと共に発生した衝撃波で吹き飛ばす。

 

 ジャストガード。

 それこそがシールドによる唯一の攻撃法。俗に言うシールドバッシュ。

 どこぞの後の先へと因果を逆転させるではなく、純粋なカウンターとしての技。

 ただし、ゲーム内ではシールドであるのに何故か持つ攻撃力が乗るジャスガ時の衝撃波、成功による被ダメージの無効、そして条件さえ整えればBOSSにも普通に通用する盾。

 

 防御は最大の攻撃なんだよ。

 どこぞのダメットさんみたいにね!

 

 そしてもう一つ、シールドには特徴がある。

 それがジャストカウンター。

 ジャストガード成功後の追撃は、確実にクリティカルとなる!!

 

「まだ俺のターン!!」 

 

 ライダーの手を離れたからか送喚されて溶けるように消えてゆくペガサスは放置し、空中でもなんとか体勢を整え始めているライダーへと肉薄する。

 そして取り出すのはいつかのネギ。その中でも片手杖に当たるネギウォンド。

 

「しばらくお休みだ、ライダー。ギ・バータ!!」

 

 ライダーも、すこしでも抵抗しようと釘剣を手に持ち俺へと攻撃しようとしていたようだが、有無を言わせず氷系統のテクニックでライダーを氷漬けにした。

 気分はエヴァちゃんの凍てつく氷棺。

 氷結効果はレベルに合わせた確率発生だが、クリティカル確定だし焦ることなく実行に移せて良かった…。

 

 一先ず凍った状態のライダーを掴んで、翼を使って屋上まで戻る。

 

 凍結効果は一時的なので、折角凍らせて捕獲したのに解除されては元も子もない。

 だから慎二の時のように扉を使って、ライダーはマイルームへと放り込んでおく。

 

「ふぅ…」

 

 思わず息が漏れた。

 この数分の間に一年くらい寿命が縮んだ気がする。

 

 なにせ自信満々にシールドを使ってはいたが、シールドは前面からしか防げないという弱点がある。

 当然と言えば当然なんだが、宝具を防御する際に少しのズレが命取りになるかもしれないと思うと中々手を出しづらいのだ。

 だからこそ予想しやすい位置にライダーが来てくれるように誘導したわけだ。

 

「よーし、これで一件落着っと…」

 

 

 

 

 

 

 

「いいえバーサーカー、まだ終わっていません」

 

 心の中で一段落ついていると、俺へとセイバーが声を掛けてきた。

 

「あ……」

 

 




いかがだったでしょうか?

今回は短めでした。続きは水曜辺りに出せたらと思ってます。



P.S.
セイバーは魔力(出番)を温存している…。

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