テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編    作:onekou

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どうもonekouでございます。

本年もあと残すところわずか。皆様はどうお過ごしでしょうか?
仕事によっては連休に入りウハウハ中ですかね。ぱるぱるものです。

さておき、stage24をどうぞ!!


『stage24:目指すモノ』

 

 

 

 ふむ。アーチャー戦終了っと。

 

 そう一息入れると同時にアーチャーの固有結界が溶けていく。

 そして元のアインツベルン城の景色に戻った。

 アーチャーの身体は何故かまだメメタァッ!!な感じだ。

 いや元ネタは結局潰れなかったからこっちの方がひどいか。

 あえて言うなら、モザイクが必要でR-18Gな状態だな。

 

 俺はというと、蒼猫化の変身時間はゲーム設定通り30秒だったみたいで既に元の姿に戻っている。

 変な所でゲームに準じてるんだよなぁ…。

 修行したら変わるのかな?

 とりあえずは昂ぶっていた心を落ち着けよう。

 速くなっていた息を整えながら、マグマのように巡っていた身体の中の熱を落ち着けていく。

 ふぅー…。もう、大丈夫かな?

 

 あ、そういやイリヤ忘れてた。

 心を落ち着けたことで視野が広くなり、大事なことを思い出す。

 辺りを見ると、イリヤが目を回して倒れていた。

 

 誰がやった!?

 

 ハイ、俺ですよね。

 またお仕置きかな…。

 

「う、うぅん…」

 

「あ、起きた?」

 

 イリヤの身体を優しく揺らすと、すぐに目が覚めたのかうなる様に声を出しつつも目を開ける。

 そのまま目を瞬かせながら、現状を理解するためにか俺の顔を見た。

 

「コウ…ジュ…?」

 

「ごめんなさい!!」

 

 すかさずジャンピング土下座をする。

 何度目かも分からない位にしている気がするよ。

 

「猫臭い…」

 

「ふぇ? 猫…あぁ、さっき獣化してたから…って、イリヤが気絶してた理由聞かないの?」

 

「気絶してた理由……? あれ、そういえば何でだろ? 何でなのコウジュ?」

 

 墓穴ったぁぁーー!!?

 

 どうする!? どうするよ!!?

 と、とりあえず誤魔化すか。

 

「いや、あの、まぁ戦闘が激しかったし…ね? ほら、コラテラルダメージ的な?」

 

「そっか。でも変ね。私はフライパンとお玉の音でやられた気がするんだけど?」

 

 ものすごいジト目でこちらを見てくる。

 

 引っかけてくるとかひどい。

 最近この幼女が容赦ない件について。

 

「覚えてんのかよ…」

 

 ジーっ…。

 まさしくそう現すべき様相でこちらを見るイリヤに、耐えられなくなった俺は再び頭を下げる。

 悪いことしたら謝らないとね! 世界の常識だよね! 決して幼女のジト目に負けた訳ではない。

 

「ごめんなさい…」

 

「ふふ…」

 

 そんな俺にクスクスと、こらえきれないといった風に微笑んでくるイリヤ。

 

「弄ばれた!?」

 

「ホント面白いわねコウジュは。からかい甲斐があるわ」

 

「怒って…ない…?」

 

「ええ。だって言っても意味はないと理解したもの」

 

「それはそれで悲しいっす」

 

「じゃあ、罰が欲しいの?」

 

「そんなことないです!! とりあえずごめんなさい!! ちゃんと気をつけます!!」

 

「うん、許す」

 

 やた、神様イリヤ様ありがとう!

 

「それでアーチャーは? 勝ったの?」

 

 イリヤに言われて思い出した。

 まだ、復活してないのかね?

 イリヤの方に意識を向けていたおかげで思考のどこかに行方不明になっていたアーチャー。

 そういえばと思って彼の方を見ると、丁度その体が光に包まれたところだった。

 

「イリヤ立てる?」

 

「えぇ、無事よ」

 

 見た感じでもイリヤに傷とかはなさそうだな。

 念のためイリヤを回復させて、二人してアーチャーが復活した方に向かう。

 

 って、あ…。

 

「コウジュ…。また…?」

 

「予想通りっちゃ予想通りかな…。いや、そう思ってたからこそ…なのかな?」

 

 まぁね、そんな気はしてなかったって言ったら嘘だけどさ。

 アチャ男さんが、アチャ男さんが……!!

 

「うぅん…。私は…、負けた筈……」

 

 どうしたものかと悩んでいると件のアーチャーが目を覚ましたのかゆっくりと起き上がる。

 二人して覗き込んでいた為、訝しみながら俺たちを交互に見るアーチャーに思わず苦笑する。 

 

「バーサーカーに…イリヤ…? 何故私は…」

 

 覚醒してすぐの為か頭が回転していなかったようだが、やっと正常時に戻ってきたようだ。

 元凶である俺をジト目で見ながら、早く先を言えと、言外に訴える。 

 

「アーチャー、それには色々と訳があるんだよ…。えと、その、もちついて聞いてくれ」

 

「いや君が落ち着きたまえ」

 

 失礼、噛みました。

 しかしながら、自ら罪の告白をするというのは緊張するものだ。

 先程までと違う意味で早鐘を打つ心臓。

 これが、不整脈!?

 

 ……なんて冗談はさておき、息を整え話を進める。

 

「お、おう。スーハー…。おっけー。大丈夫」

 

「ふむ、では何を言いたかったのか言ってくれないか? 私が生きている理由もだ」

 

「その、なんだ、まずは…だな。俺が言いたかったのは…」

 

「それなら簡単よ、アーチャー。立って自分をよく見たら良いの」

 

 俺がまごまごしている間にイリヤがアーチャーにニヤニヤしながら言った。

 

「まったく何がどうなって……」

 

 そして、イリヤに言われるままに自身を確認し、当然固まるアーチャー。

 しかしすぐに再起動し…。

 

「なんじゃこりゃぁ!?」

 

 太陽に吼〇ろ!?

 いやいや、そこは伝家の宝刀『なんでさ』だろ!?

 声も子供っぽくなってるからワイルド感はないけど…。

 

 ってか、キャラ壊れてますよアーチャーさん。

 あれ? ほとんど俺の所為な気もするけど、気のせいだよな。うん。

 

「えらく可愛くなったわね。アーチャー君♪ ぷ、くくく……」

 

 そんなアーチャーにイリヤはとどめ…っていうか滅びの呪文? を唱えた。

 

「……馬鹿な」

 

 痛恨の一撃。

 うわ、見てられない。

 どうしよう。俺がミスったからこうなった訳だけど、どうやって誤魔化そう。

 ライダーの時みたいにならないように頑張ってイメージを加えた筈なんだけど……。

 いや、原因究明は後だ。

 それより、どう誤魔化すか―――

 

「あ、ちなみにそんなふうになってる原因は全てコウジュだから」

 

「…何?」

 

 イリヤめ、チクリやがったな!?

 うぅ、鬼! 悪魔!!

 

 思わず俺がイリヤを睨みつけると、またもニヤニヤしながらこちらを見てくる。

 いじめっ子だ! いじめっ子がここに居るよ!!

 

 ひょっとしてさっきのをまだ根に持ってるんじゃないだろうな!?

 

「バーサーカー、どういうことかね? 説明を願いたいのだが?」

 

 うわ、戦闘中とは違う意味で口元がヒクついているアーチャー。

 怖くはないけど、なんか怖い…。

 何が言いたいのか自分でも分からんがとにかくプレッシャーを感じる。

 

「えっと、とりあえず俺のことはコウジュで良いよ。バーサーカーって呼ばれると違和感あるし。

 それから、今の状況なんだけど…あのさ、さっき俺が戦闘中に心臓の所にカード置いたの覚えてる? すぐに消えたやつ」

 

「覚えている。待てよ…。私はあれに似たのをどこかで…」

 

「うん、見たことあるはずだよ。士郎が1回目に死んだ時に。学校の時だね」

 

「っ!? そうか、あれは君が…。しかし何故それを私に使う必要があるのかね?」

 

「それが重要な点だね。アーチャーはさ、エミヤシロウなわけだけど、この聖杯戦争がどういう結末になるか覚えてる?」

 

「結末か…。衛宮士郎、セイバーの主従が勝ち残り、第四次聖杯戦争の業である言峰綺礼とギルガメッシュを下し聖杯を砕いて、セイバーと黄金の決別。これが私が覚えているこの聖杯戦争の終わりだ」

 

「じゃあさ、イリヤの最後は分かるよね。端的に言えば俺はそれを防ぎたい」

 

「……。確かにイリヤは器にされる。君がそれを防ぎたいのも分かる。しかし、それが私にどう関わるのかが分からん」

 

「それは……」

 

 ちょっと言いにくい。

 

「それはねこの子がギルガメッシュに勝てない可能性があるからよ」

 

 またしてもイリヤのフォローが入る。

 

「いや、それはないだろう。あれほどの力や宝具を持っておいて…」

 

「言い方が悪かったわね。この子の場合勝つことは可能よ確かに。負けることも確実にないでしょうね。でも…」

 

「でも…?」

 

「コウジュがギルガメッシュと戦うと、町ごと全部吹っ飛ばす可能性があるのよ」

 

「は…? えっと、つまりどういうことかね…」

 

 うん、まぁ、そんな反応になるのも分かるよ。

 

「アーチャーが俺と戦ってる時にさ、違和感感じなかった?」

 

「ふむ、確かに感じたな。動き方に統一性が無いといった感じでだが…」

 

「そうそう、それそれ。実を言うと、俺に出来るのは力押しだけなんよ。俺も最初は自分の力でちゃちゃっと終わらせようと思ったこともありました。だがしかし、不測の事態に陥った時に俺は冷静に対処できるのかと考えてみた。そして、イリヤにも聞いてみた。結果は御想像にお任せします…」

 

「つまりコウジュは手加減がものすっっっごく、下手なの。だから、とっさの時に力技で全部吹き飛ばしちゃう可能性があるのよ。対人戦ならともかく、ギルガメッシュは絨毯爆撃みたいなことをしてくるんでしょう? そうなるとコウジュの場合、飛んでくるものすべて吹き飛ばそうとすると思うの」

 

「だから、俺がギルガメッシュと戦うのは危険なので代わりに戦ってくれる人が要るわけなんすよ」

 

「そ、そうだな。そんなことになる可能性があるのなら私が戦おう」

 

 なんか視界が霞んできた気がする。おかしいな、目から汗が…。

 でもまぁ、備えあれば嬉しいなってどこぞの大王も言ってたらしいじゃないか。

 もしも、もしもの話だけど、確かに咄嗟の時に色々フルバーストしちゃうとどうなるかわからないからさ。仲間は居るだけ居てくれた方が良い。

 

「で、それが一つ目の理由」

 

「まだあるのか!?」

 

 次は何を言われるのかと身構えるアーチャーに少しむっとしてしまう。

 でもその原因も自分なので何とも言えない。

 

「キャスターの宝具は知ってるかな?」

 

破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)だな。魔術を無効化するのだったか…」

 

「そうそれ。それを手に入れるために“剣”というものを理解したかったんだよ」

 

「待て。剣とは私の固有結界の事だと予想できるが、理解とはどういう意味だ?」

 

「あー、何と説明していいものか…」

 

 ラーニングのことを素直に教えてしまうか? 

 いや、さすがに自分の心象風景をまるっとコピーされるってのは決して気持ちの良いものではないだろうし、ここは一旦濁そう。

 

「コウジュは特定条件をクリアすれば敵の力をコピーできるのよ」

 

「ちょっとなんでばらしちゃったの!?」

 

 濁す方向に考えた瞬間イリヤから横やりが入る。

 もうやだこの幼女。

 

 そんなことを考えていると、顔に出てしまっていたのかどこぞの紅茶みたいにやれやれってな表情で諭すようにイリヤが口を開く。

 

「コウジュ、こういうことは先に言っておくべきよ。協力してもらうなら出来る限り説明しておいた方が良いわ」

 

「はいお母さん」

 

「……あなたみたいな娘が居るとしたら心労で倒れそうだわ」

 

「そこまで!?」

 

 でもイリヤの言うことも分からないではない。

 確かに隠し事ばかりしている奴を信用できるかと言えば否であろう。

 俺をここまで信頼してくれているイリヤが特別なのだ。

 隠し事になれちゃぁいけねぇよな…。

 

「ふむ…、概要は理解した。確かにあの魔女が持つ短剣ならばイリヤを助ける為の一助となろう。コウジュがどこまでチートかはさておき、イリヤを助けたいというのは分かった」

 

「そっか」

 

 話の断片を頭の中で整理してくれていたのか、アーチャーは理解を示してくれた。

 あの士郎君がここまでなるんだからイリヤも鼻高々だろう。

 いやまじで横の幼女が嬉しそうだ。この姉ブラコンだ!

 

 ま、まぁさておき、アーチャーが協力的なのが気になる。

 俺はまだ何をするかしか言ってないし、対価を渡した訳でもない。

 どうしてこの展開で助けてくれるって言ってくれてるのだろう?

 

「なぁアーチャー。なんで――」

 

「疑問か? 私が手伝うことが」

 

「あ、うん…」

 

 俺の疑問を予想できていたのか、アーチャーは全てを言い終わる前に皮肉気に笑いながら言ってきた。

 

「私は救えるものは救う主義でな。君の力があればそれも可能だと思っただけだ。それに――」

 

 そこまで言うとアーチャーはこちらから顔を逸らして言いにくそうにしながらも続きを話す。

 

「その、なんだ。仮にも姉だからな。できれば救いたいと思っていたのだ」

 

「シロー!!」

 

「うわっ、なにをするイリヤ!! 離れろ!!」

 

 ちょっとこのシローさん小さくなったせいで感情が出やすくなってるんですかねぇ?

 でっかいアーチャーの時は絶対言わなさそうなセリフなんですが。

 おかげでイリヤの何かが吹っ切れてアーチャーを押し倒してるじゃないか。

 ま、嫌いじゃないけどな。

 イリヤを助けようとしてくれる人が多いのは純粋にうれしい。

 俺もかなりイリヤに入れ込んじまってるしな。

 

 って、とりあえずそこのショタとロリいちゃつくのやめろ!! コーヒーをブラックで飲みたくなる!!

 

 そんな俺の思いが伝わったのか、アーチャーにダイブして髪をわさわさ撫でていたイリヤがアーチャーから離れた。

 襲われていた(?)アーチャーは身だしなみを整えながら立ちなおした。

 しかしそこで、何故かアーチャーは改めて自分の小さくなった姿を見直す。

 腕やら足やら順番に見ながら何かを確認しているようだ。

 それが終わった後、何故か俺の方をじっと見る。

 なんだろう?

 

「ちょっと待て」

 

「どったの?」

 

「今の説明のどこかに、私がこの姿になる必要性があったか?」

 

 俺は思わず明後日の方向を見る。

 

「何故、目をそらす?」

 

「き、記憶にございません…」

 

「訳がわからないことを言うな。というか、それはどこの政治家だ」

 

「うぅ~、ごめんなさい。失敗したんです。俺が持ってる死の淵から生還させるアイテム、スケープドールっていうんだけど、これをそのまま使っても聖杯との繋がりを切れなかったから弄って…。その結果完全な受肉が出来るようになったけど、何故か身体が小さいままなのは修正できなかったんだよ。まぁ実際に使わないと結果は分からないし、一応今度こそ成功したと思ったんだけどなぁ…」

 

「私は実験体か何かか!?」

 

「That's righ――嘘ですごめんなさい!!」

 

 ギロッと俺を射殺さんばかりに睨んでくる。

 今ではほとんど同じ身長なのに、目が前と同じように鋭くて怖いよ。

 

「はぁ、もう良い。この身体もマイナスばかりではなさそうだ。納得はできないが理解しよう」

 

 アーチャーは、いきなりため息をつきながらそんなことを言った。

 どこぞの幼女と違って、優しい。

 

 一先ず俺への言及は止めてくれたアーチャーはそのまま目を瞑り、トレース・オンとおなじみの言葉を言った。

 

「魔力量、魔術回路共に異常はない。筋力等の基本ステータスも変わってないのか…。ならば身体が縮んで問題となりそうなのはリーチ面くらいか。凛とのパスは…やはり完全に切れているな。だが受肉している分、身体維持に魔力は不要となったか。不思議なのは私の幼少時の姿になるのではなく、アーチャーとしての私をそのまま小さくしたような姿だということか。これも君のスケープドールとやらの力なのかな?」

 

「う、うん。どうも復活と言うよりは転生に近いみたいなんだ。だから肌の色とかはそのままになってるみたい、です」

 

 負い目もあってついどもってしまう。

 そんな俺にアーチャー諦めも混ざってがいるのだろうが優しい表情で笑ってくれた。

 

「君がやはりチートだということはよく分かった。まぁとりあえずは協力しよう。だから、泣きそうな顔は止めてくれんかね? 私がいじめてるような気になる」

 

「し、してねぇよ!」

 

 やっぱり失礼な奴だ。

 さっきから俺の視界を霞ませているのは汗だ。そうじゃないと俺の何かが崩れる。

 

「そういえば、一ついいかね?」

 

「何?」

 

「凛のことなんだが、連絡を取ると今後の作戦に支障をきたすのかな? 元マスターなんでね。構わないのならいくつか言っておきたい」

 

「そうだねぇ…ま、いんじゃない? あ、でもうっかりスキルが…」

 

「ねぇ、こんな所で立ったままというのもなんだしマイルームに行かない?」

 

 イリヤがつまらなそうにそう言ってきた。

 だけど確かにそうだな。

 長い話になりそうだし。

 

「それもそだね。アーチャー、場所変えよっか」

 

「分かった」

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 いつものごとく、その辺のドアから力を使ってマイルームに移動してきた。

 しかし、中に入ると面白い光景があったので入り口で止まってしまった。

 その止まってしまった原因はまだこちらには気づいていないようだ。

 改めて現状を確認する。

 

 

「さーくーら」

 

『さーくーら』

 

「さくら」

 

『さくら』

 

 えっとつまり、ライダーさんが可愛いことをしているわけだ。

 チーズ君人形(マイルームグッズの一つでピザ好きな王の力をくれる魔女さんがたまに抱えてるやつ)をその手に抱えて、モトゥブパパガイ(オウムみたいに言葉を覚える鳥でマイルームグッズの一つ)に向かって自分の主の名前を覚えさせて嬉しそうに笑っている。

 

「何…してんの…?」

 

 見ての通りの状況なのだが、聞かずにはいられなかった。

 その瞬間ライダーがこちらにバッと顔(ちなみに眼鏡)を向け、顔を青くしたと思ったら、すぐに顔を真っ赤に染めるという器用な事をしだした。

 前も見たけど、またやってるとは…。

 しかも今回は普通に入ってきちゃったからなぁ。知らんぷりし辛い。

 

「お、おかえりなさい。いつ…お帰りに…?」

 

「たった今…なんだけど…」

 

「見ましたか? 絶対に見ましたよね? どうなんですか?」

 

「何も見てな――「ばっちり見たわ!」――イリヤさん!?」

 

 見てしまったがライダーの為にも見ていないと言おうとしたのに、イリヤはライダーにも滅びの呪文を唱えた。

 前回は反応が少なかったから今回は思いっきり言うことにしたに違いない。

 この小悪魔幼女め。

 

「~~~!!」

 

 ライダーは耐えられなくなったようで、チーズ君は抱えたままベッドの方に走っていき布団にもぐった。

 

「今のは…、ライダーか? 彼女も私のように捕獲されたわけか」

 

 後ろから最後に入ってきたアーチャーがちょろっと失礼な事を言う。

 捕獲とは失礼な。

 あくまでも協力者ですよ?

 

「とりあえず、あっちに行こうか。どうせならライダーにも聞いてもらわないとだから」

 

 俺は入り口からライダーが潜り込んだベッドのある方に行く。

 ゲーム内では無いが、そこそこ立派な椅子とか机をアインツベルン城から持ってきてあるのでそこに座った。

 同じようにアーチャーも座り、イリヤは慣れた様子でお茶を淹れに行ってくれた。

 

 しばらくするとイリヤが同じようにテーブルに着いたので貰ったお茶にお礼を言ってから話を続けることにした。

 ふむ、今日も緑茶が美味い。

 

「さてさっきの続きなんだけど…」

 

「まず凛のことよね? 別にコウジュから聞いた作戦内容だと影響はないんじゃないかしら」

 

「う~ん、良いっちゃ良いんだけど、でも俺と戦っても生き残ることは可能なんていう心の余裕を持たせたくはないんだよね。だから、セイバー戦の後でってことにしよう。ついでに、その後のことも考えてアーチャーは力がほとんど使えないということにしよう」

 

「ふむ、連絡を取れるなら少しくらい遅れてもかまわんが、今後の事を考えてのくだりは何のためだ?」

 

 うへぇ、もうそっちも言わないといけなのか…。

 やっぱ説明めんどくさいな。

 いや、するけどもさ。

 

「それは、士郎の成長をこの戦争中にしておいてほしいからだよ。

確かに、俺はアカシックレコードに接続できるけど、それは限定的でさ。

正直この戦争以降のことはほとんど知らない。

でも、一つ確実に分かっているのが衛宮士郎の固有結界が異端視される可能性が高いということ」

 

 もちろんこれはアカシックレコードから知ったものではなく、いわゆる原作知識の一部だ。

 確か、脳と魔術回路を引っ張り出されて、そのまま考えることもできずに無理矢理生かされるんだよな?

 するのは…魔術協会だっけ? あんま覚えてないけど…。

 確認すればいいじゃんアカシックレコードがあるんだからって思うだろ?

 でもな、アカシックレコードを何回使っても何故か中途半端にしか使えないんだよ。そして疲れだけ残る。精神的に…。

 クーリングオフが利くのならしたいよ。不良品渡されたんじゃないだろうかと思う最近だ。

 

「確かに固有結界は異端視されやすい、実際私は封印指定候補となっていた」

 

「封印指定ってあれよね? 継承等が不可能と判断されたために保護という名目の元に幽閉されたり、奪われるという」

 

「その通り。私の無限の剣製も私個人の物である以上分かっていた事ではあるがね」

 

「それもあるから俺は士郎が力をつける機会を潰したくない。若干八百長が入るのは仕方なしだ。

記憶やらなんやら全部消して一般人になってもらうことも考えたけど、士郎は絶対厄介事に首を突っ込んでいくから力は必要になる。それに個人的にあまりそんなことしたくない」

 

「私個人としては衛宮士郎を殺したいわけなんだが? そもそも、衛宮士郎という存在が無ければあれこれ考える必要もなくなる」

 

「「・・・」」

 

「なにかね?」

 

「「ひねくれもの」」

 

 イリヤとかぶってしまった。まぁ、ここに凛とかがいても同じことになるとは思うが。

 

「私は士郎がどうなっていくのかまで聞いてないけど、その考え方がひねくれたものなのは分かるわ」

 

「ある程度知っている俺もやっぱりひねくれてると思うよ?

分からないでもないってのも内心あるけどさ。まぁその辺はアーチャー…というか衛宮士郎の命題だから結局は自分で答えを出して欲しいし、そのために受肉してもらったってのもあるわけで……おっと、今はそれは置いといて。

でもそれ以前にアーチャがこの時代の士郎を殺してもアーチャーと言う存在がなかったことにはならないと思うけどね」

 

「それは何故かね?」

 

「俺がいるじゃん」

 

「む…」

 

 今気づいたようだ。

 すでにアーチャーが士郎として過ごした時代とは乖離しているんだ。

 横の繋がり(並行世界としての)はあっても縦の繋がり(時間軸的な)はない。

 

 ひょっとして、あんたもうっかりか…。伝染病なのかな…?

 

「せっかく受肉したんだからさ、後ろ向きな方法じゃなくて前向きな方法を探してくれよ?」

 

「それもあなたの思い描くハッピーエンドってなわけ?」

 

「直接的なものじゃないけどさ、余計なお世話かもしんないけど選択肢くらいはあっても良いじゃん? 仲間で事に当たるとかさ。

あとは今の内から士郎を魔改造するとか」

 

 俺は他の二次小説オリ主みたいに器用なことはできないし、知識も微妙なんでこんな程度しか思いつかなかった。

 良い案があったら誰かに教えてもらいたい位だね。

 

「ふん、たしかに余計なお節介だな」

 

 そう言いつつもどこか嬉しそうなアーチャー。

 

「まぁ、グダグダになったけど、そんなわけで俺には(目指してるハッピーエンドの為には)アーチャーが必要なんだよ」

 

「ふふ」

 

「くくく…」

 

「…くす」

 

「な、なんだよ?何でみんな笑ってんだよ。ライダーも布団の中でちゃっかり笑ってるしよ」

 

「いや、何。今の君のセリフだとプロポーズのようだったものでね」

 

「んな!?」

 

「えっと…『俺にはアーチャーが必要なんだ』だっけ?」

 

 イリヤが俺のマネをして茶化す。

 

「う、うるしゃい!! 言葉のあやに決まってんだろ!!」

 

 くそ、噛んじまったじゃねぇか…。

 相変わらずイリヤは俺をすぐに苛めようとする。

 ちくせう…。いつかはこっちからしかけちゃる!!

 

「今のは忘れろ!! とにかく、手伝ってもらえるんだよな?!」

 

「レディーに誘われて断るのは野暮というものだ。手伝わせてもらおう」

 

「このキザ野郎っ!!」

 

 やっぱりやな奴だ。

 でもまぁ、これでまた仲間が一人増えた。

 あれこれあったが一先ずは順調かねぇ。

 

「それで、これからどう動くのかを教えてくれないか?」

 

「とりあえずは、士郎には勝ち進んでもらって、裏で俺たちがイレギュラーに備える感じかな。そして最後に全面戦争をする」

 

「他のサーヴァントはどうするんだ?」

 

「もちろん仲間にする。アサシンは微妙だけど…」

 

「アサシン…佐々木小次郎か。何故微妙と?」

 

「確かアサ…もう小次郎でいいや。小次郎は強い奴と戦えたらそれだけで満足みたいなこと言ってたんだよ、確か…。

だから、アサシンは保留。キャスター、ランサーはとりあえず接触して交渉かな」

 

「交渉材料はあるの?」

 

「キャスターは受肉さえできたら良いし、すぐにでも交渉成立するはず。ランサーは……」

 

 あれ、ランサーも強い奴と戦うのが目的だったっけ…。

 じゃあ交渉は難しい?

 でも、アニメでランサーの兄貴は槍一本で剣軍を弾いてたし、いてくれると心強いんだよね。

 

 あ、それ以前にマスターが綺礼じゃん。

 交渉できるわ…け…。

 

 ああ!! マスター居るじゃんホントのマスター若干忘れてた。

 ランサーのホントのマスターであるダメットさん…じゃないや、ダゼットさん?

 でもどこに居んの?

 いや、それはランサーから聞けばいいか。

 

「ランサーは何か問題があるの?」

 

「いや、何でもない。いけると思う」

 

「…? なら良いけど」

 

 

 

 

 その後もいくつか話した。大半はセイバー戦の流れについてだが他愛もない話もあって、それなりに充実したものになった。

 

 さて大体は話したかな。

 次はお待ちかねのセイバー戦だ。

 がんばろうじゃないか。

 

 全てはハッピーエンドの為に!

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?

アーチャー戦のその後である今回。
ところどころに重要なワードがあるような無いような内容でしたが、どこかでクスリとしていただけることが出来ましたでしょうか?

あ、駄洒落じゃないです。内容が無いようとか絶対に言わないでくださいね! ね!

それではまた次回、セイバー戦開始のお話でお会いしましょう(`・ω・´)ノシ

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