テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編    作:onekou

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どうもonekouでございます。

とりあえずゼスティリアやりたい…(´・ω・`)


『stage29:狙い撃つぜと言ってほしくて?』

 

 

 どもどもコウジュです。

 って言っても話的には全然時間経ってないけどね。

 おっと、メタ発言はこの辺で置いておこうか。

 

 凛から衛宮家の滞在許可(あくまで凛から)をもぎ取った俺は、士郎達と共に衛宮家内にある道場に来た。

 どんだけ金持ちなんだよって感じだな。この敷地の所有者が高校生なんだぜ?

 まぁそんなことは置いといて…と、俺が一緒にここに来たのには理由がある。

 それはこの家に置いてもらうための取引の一つに士郎を強くするというものを入れていたからだ。

 とはいえ、強くする…なんて偉そうなこと言っちゃあいるが俺自身は技量もまともにないのに教えるなんて烏滸がましい。

 そこで出てくるのが俺の所有する剣達だ。

 士郎は剣に関してチートな能力をその身に秘めている。

 俺の剣達はこの世界の物ではないがここでは全部が宝具扱いらしいし、特に俺が良く使うような高レベルの物を士郎に渡すと勝手にレベルが上がってくれるだろう。

 なにせ士郎は剣の解析の後、自分の世界に加える事が出来るんだし。

 まぁ、ただ剣を渡してもほとんど意味が無いだろう。

 切れ味や威力は剣の物だけど、空間転移や音からの振動操作とかは俺の能力があってこそのものだから、概念を込めた奴を士郎に渡さないといけない。

 ……ひょっとして、俺よりうまく使えたりしないよな、士郎。

 俺もチートだけど、士郎も大概チートだよな。剣だけとはいえ……。

 アーチャーレベルに至るまでの人生あってこその能力か、士郎の生き様あってこそかは分からんけど、転生した時に貰う能力としてよく上げられるだけの事はある。

 それをさらにチートにしようってんだから、笑いが止まらない。

 

 

 さてさて―――。

 

 

 

「せいっ! はぁっ!」

 

「……」

 

 現在は士郎がセイバーと打ち合いをしている。

 道場の端では俺とイリヤが見ている。

 

 打ちあい打ちあい…、何合も打ち合い一本取る度に最初の位置に戻りやり直し。

 とはいえ、一回一回は非常に短い。

 セイバーはかなり加減をしてるんだろうが、すぐに1撃が士郎に入る。

 

 それでも、俺からしたらすごいんだけどねぇ。

 まだ力を制御しきれていない俺じゃあ絶対に打ちあいが続かない自信がある!!

 言ってて悲しい…。

 

 それにしても、な~んか違和感が付きまとう。

 なんだろ?

 アニメでは確かセイバーが士郎に対しての心の在り方を変化させていて遠慮してるんだっけ…。 それかな?

 

 そういう建前で見てみる。

 うむ、確かにセイバーが士郎との接触を避けるように避けてるね。素人の俺から見てもこうなんだからよっぽどなんだろうね。

 よくわかんないけど乙女心というやつなんだろう。よくわかんないけど。

 

「やぁっ!!」

 

「っぐぅ!!?」

 

 またひとつ終わった。

 セイバーの横一閃が士郎の腹にスパッと入って士郎ダウン。

 

「痛つ…」

 

 打ちこまれた所を押さえながら士郎が立ち上がろうするが、かなり傷むのかすぐには立てないようだ。

 そこへイリヤが口を開く。

 

「ねぇ、これって本当に鍛錬なの?」

 

 いやいやイリヤさん、単刀直入すぎませんか?

 

「え?」

 

 ほら、士郎も呆けちゃってるじゃん。

 ここは俺のように日本人伝統の奥ゆかしさをだな……って今の俺は日本人じゃないか。むしろ地球人じゃない。

 ともかく優しい言い回しをしてあげようよせめて。

 

「セイバー遠慮してるっていうか、ワザと見逃してるっていうか、本気に見えなかったんだけど…」

 

「そ、そんなことはありませんっ」

 

 イリヤの言葉に焦るセイバー。

 目は口程に物を言うとは言うが、今のセイバーはまさにそれだろう。

 戦闘時のセイバーとは比べ物にならないほど視線が揺らいでいる。

 口も開いては閉じ、開いては閉じ、イリヤに返そうとするも言葉が出てこない様子。

 うむ、これぞまさに正ヒロイン。

 がんばれ凜ちゃん。

 

「でも確かに…。言われてみればいつもより消極的だった様な…」

 

「っ…」

 

 その言葉に言い返せなくなるセイバー。

 頬も徐々に赤みを帯び、ニヤニヤしたくなるレベルです。

 

「もっとこう…ガツンっと正面から打ち合ってくれないとタメにならないってば」

 

「しょ、正面からですか…。で、ですが、そうなると展開によっては…体がぶつかってしまうというか……」

 

「そりゃ打ち合ってるんだ当然だろ?」

 

「む…」

 

 なに当然な事をといった風に言う士郎を、横眼で頬を染めながら睨みつけるセイバー。

 

 ほんと何この可愛い生き物。

 俺を萌え殺す気か?

 

「もうお昼です」

 

 え~とりあえず、セイバーの恥ずかし紛れの一言により、お昼休憩をすることになりました。

 

 

 

 あれ、俺まだ何もしてないんだけど…。

 

 

 

 

 昼食は、朝のハンバーグの残りを照り焼き系のタレで絡めたものを使ったサンドイッチだ。

 

「うわぁ、うんうん美味しい~。士郎はお料理上手よね~」

 

 イリヤがマグマグといった感じにサンドイッチを食べている。

 まぐ、まぐ、にゃん、にゃん♪

 って何だこの電波。

 さておき、俺も一口…。

 

 うーまーいーぞー!!

 

 今の身体になって食べることへの楽しさが何倍にも膨れ上がっているからか、口や目から光が出るんじゃないかというほどに身体へと多幸感が染み渡る。

 具を挟むパンの味を殺してしまわないようにか比較的薄味にしてる照り焼きタレ。

 そのタレが肉の味をうまく引き立て、噛むほどに溢れてくる肉汁は口の中でその芳醇な香りを撒き散らす。

 レタスも良い。シャキッとした食感が、柔らかいパンと肉とは違う舌触りを生み出し、炭水化物のしつこさを和らげている。

 いや待て、それだけじゃない。

 この仄かに香る柑橘系の匂いは……柚子か!?

 タレの中に柚子を混ぜているんだ。

 だから口の中で後を引かずに、もう一口もう一口と食を進ませる。

 やるな士郎……。

 あ、おかわりください。

 

 そんな感じに俺も食事を堪能しているとセイバーがイリヤの方をじっと見ていた。

 

「待ちなさいイリヤスフィール」

 

 そう言ってセイバーがハンカチでイリヤの顔を拭く。ああ、頬に食べカスがついてたのか。

 ふむ、なんとも和む光景だ。

 ってちょっと待てイリヤ

 今ついてたのほぼ目の下だったけどどんな喰い方したらそうなるんだよ。

 いや、良いや。

 偶にはイリヤもおちゃめな食べ方をしたくなる時もあるだろう。

 

「ん…ありがとうセイバー。でも、セイバーは私の事嫌ってたんじゃないの?」

 

「あなたに敵意は無く、士郎は客人として迎えました。ですから私も最低限な礼は尽くさねばなりません。それでバーサーカー、いえ、コウジュは何をしているのですか?」

 

「あ…つい…」

 

 スイマセン、思わずセイバーの頭を撫でていました。

 

「ふふ、そんなに嫌われてるわけじゃなかったんだ。仲良くしたかったんだ、未来の士郎のおよ「イリヤ!」むぅ…なに…あ、そっか…」

 

「俺の未来の…何だ?」

 

「まぁ気にするな! 気にしたら負けだ!」

 

「あ、あぁ、分かった…」

 

 ふぅ…、イリヤさんってば気が早いっての。

 思わずナイスセーブしてしまったが、今はまだ早い。

 セイバーはまだ士郎を意識し始めただけだろう。士郎もまだ自分の気持ちに踏ん切りがついて無い筈。

 だから待つんだイリヤ。

 もっと場を温めてから、最後に背中を押してあげるんだ。

 

 さておき、食事終了したんで閑話休題。

 

 午後からは俺との練習の時間だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、コウジュは何を教えてくれるんだ?」

 

 ちなみにイリヤとセイバーは道場の壁側で見てる。

 

「う~んとな、俺が教えるというより剣が教えてくれる感じかな?」

 

 そう言って俺はとりあえず剣を一本出す。

 出すのは長剣で、初期の長剣だ。ゲーム設定の使用者レベル制限も1となっている。

 

「来いソード」

 

 名前もそのままソードという。

 長さは1m20cm位はあるが剣先が丸く、宝具という扱いに一応なってはいるみたいだが威圧感なんて全くない。

 だって大量生産品っていう設定だもの。

 

「士郎、これ持ってみ?」

 

 手に現れた剣を士郎に手渡す。

 

「これ結構大きいけど……おぉ、持てた」

 

 そう言って士郎はソードを軽く振る。

 剣の大きさに比べ、その振り様は結構軽く見える。

 

「その剣に特別な効果はないけど、たぶん刃こぼれとか壊れることは無いかな」

 

「十分すごいぞ…それ……」

 

 ゲーム内では武器が壊れるという概念は無いし、大丈夫だろ。

 いや、無いよな? 今まで壊れなかったのはそう俺が思ってからって落ちは無いよな?

 ま、まぁ、大丈夫だとしておこう…。

 

「んじゃ、一旦それ返して? え~っと次は何が良いかね」

 

 剣を受け取り、直して、次を出す。

 レベル制限をとりあえず10位上げてみるかね。

 

「来いブレイカー」

 

 次に出したのはさっきのソードの色違い。

 だけど攻撃力はほぼ倍くらいになる。

 必要レベルは10。

 

「今度はこれ持って?」

 

「あれ、さっきの色違いか? っておぉ!!?」

 

 今度は渡しても持てず、床に落としてしまいガランッと鈍い音を上げる。

 

「な、なんでさ…。見た目はあんまり変わらないのに今度は持てないなんて」

 

「んじゃ、今度はセイバーこれ持ってくんない?」

 

「はぁ、わかりましたが…」

 

 今度はセイバーに、今士郎が持てなかったブレイカ―と、先ほどのソードを改めて出して2本とも渡す。

 

「どう違いある?重さとか」

 

「いえ、まったくと言っていいほど。あえて言うならブレイカ―と言いましたか? そちらの方が少し切れ味がよさそうな感じがする位でしょうか…」

 

「なるほどね~。サンクス。悪いね、実験みたいになって」

 

「それは構いませんが、これが一体?」

 

「俺も知りたい。俺からしたらあんなに差があったのにセイバーだと違いが無いとかどういうことなんだ?」

 

 これで何が分かるかというと…うん、皆さんお気付きかと思うんだけど、士郎君のレベルが低い。

 PSPo2でのレベル換算になるけどかなりの初心者レベルだ。ゲーム内では初期の方は簡単に レベルを上げられるから、10以下は大変だ。マジで。

 やっぱり、魔術使ってブースとしてるからこそのあのスペックなのかね?現時点では。

 

「今のは武器に設定されてる、使い手に求められるレベル制限によるものなんだよ」

 

「「レベル?」」

 

「そ、俺の武器達にはそれぞれ使用者を選ぶって言えばいいのかな、一定の強さに到達していないと使えないって制限がある」

 

「だから俺が使えなくて、セイバーが使えるって状況が出来上がるのか……」

 

「なるほど…しかし、それが一体?」

 

「う~んと、実践した方が早いかな。士郎身体強化出来るだけ全開で頼む。回復はできるから」

 

「身体強化? えっと、分かった。トレース・オン……」

 

 士郎がいつものキーワードと共に魔術を行使する。

 俺の頼み道理にギリギリまで行ってくれているのか、皮膚が裂け、少し血が出たりしている部分がある。

 

 言った俺が言うのもなんだけど、見ていて痛い。

 すかさず、俺は回復(レスタ)を掛ける。

 

「これで…良いか…?」

 

「ごめんな? まだ痛む?」

 

「大丈夫。それで、どうするんだ?」

 

「うん、その状態でこれを持ってほしい」

 

 そう言って渡すのは先ほどのブレイカ―、士郎が持てなかった方だ。

 

「分かった、けど…え、持てた? なんで…」

 

 やっぱり、士郎の強化魔術は自分のレベルもブーストしてたってわけか。

 原作知識として憑依経験やらってのがあったはずだし予想はしてたけどすげぇな。

 常に思い浮かべるのは最強の自分。そこまで持っていく士郎の特性。

 本来なら身の丈に合っていない強化をすれば器がもたないんだろうが、士郎はその器ごと強化する。

 当然縛りが無い訳ではないし、先程のように扱いきれている訳ではないから身体にダメージも出る。

 けど、流石は主人公とでも言うべきなのかな。

 これが分かったのはかなり大きい。

 これが士郎の内面世界の現象から零れ落ちたものだってんだから半端ねぇな。

 未来で封印指定を受ける理由が分かる気がするよ。

 だからと言って納得しちゃいないが…。

 っと、また思考がそれた。

 

「士郎、次だ。来い、ブラッディ・フリューゲ」

 

 出したのは必要レベル60、ゲーム内レアランクはAの大剣。赤い羽根を模した幅広の片刃。 俺が良く使っていた武装の一つで攻撃力は別に高くないんだが、剣を振ると辺りに赤い羽根が舞い散るエフェクトが好きでよく使っていた。

 赤〇字は関係ない。

 

「こいつは必要レベル60、いけるかな?」

 

 ホイっと士郎に渡す。士郎は恐る恐るだが受け取り―――。

 

「お、持てた。そういえばなんだけどコウジュ、ちなみにさっきのブレイカ―のレベルは?」

 

「10」

 

「10!? じゃあこれはさっきの6倍!? 魔術を使ったから?」

 

「そういうことだな。ま、それが士郎の可能性ってなわけさね。士郎の魔術はいくらでも天元突破出来ちゃうわけですねぇ。誰得だよ。あ、士郎か」

 

 しかも、まだ士郎達には言わないけど士郎の中にはエクスカリバーの鞘がある。持ち主を不老不死にするというチートなもので、そのおかげで超回復と言って良いほどの回復力が士郎にはあるから魔術によるフィードバックも極端に少ない。何このコンボ。

 

「アーチャーが言ってたろ?外敵などいらない。士郎の敵は士郎自身だって」

 

「あぁ、確かに言ってたな…。何でか妙にしっくりとくる言葉だったから覚えてる」

 

 自分のことだから的確な助言ができるのは当たり前さね。

 本当はアーチャーから直接アドバイスをしてもらうべきなんだけど、まだネタばらしには早い。

 それにその辺はアーチャーに折り合いをつけていってもらって自分で向き合ってもらうべきだろう。

 

「次は投影をしてくれ。対象は…ブレイカ―で」

 

「今度は投影か……。トレース・オン…」

 

 強化をした状態の士郎ならブレイカ―位なら出来る筈。

 

「よ、よし、成功した」

 

 これで士郎の中にブレイカ―が登録された。

 ここからが疑問だったんだ。

 強化での士郎のレベルの底上げは予想ができたけど、投影によってどれだけ世界を越えられる(侵食できる)か……。

 

 そんな風に考え事しているとパキンっとガラスが砕け散るような音が鳴り響く。

 

「ハァ…コウジュ…も、無理だ…グ……」

 

 士郎が膝をついている。

 おう、ジーザス。

 ちょっと無茶させちまったか。

 

「ありがとう士郎。そんでごめん急ぎ過ぎた。今回復するから」

 

 くそ、士郎の魔力量とかを忘れてた。

 

 

 

 

 

 

 カード化していた回復アイテムを使ってほぼ元の士郎に戻ってもらった。

 体力はトリメイト。魔力は俺の魔力を譲渡しました。

 パスも繋がってないからかなり効率悪いけど、俺の中には無駄にあるからそれを使いました。

 

「ごめんな、士郎」

 

「大丈夫だ、問題無い。ほら回復もしてもらったし」

 

 立ちあがり力こぶを出すように無事だと言ってくれる。

 その言い方だと大丈夫じゃなそうに見えるから止めて。

 それにしても、俺もどうかしてる。

 興味と焦りで急ぎ過ぎた。

 よくある言葉だが、ここはアニメの世界じゃないんだ。

 あくまでも現実世界。

 知識としてはともかく、充てにし過ぎると後で痛い目を見てしまうだろう。

 気を付けないとな…。

 

 そんな風に反省しながらちょっと落ち込んでいる俺に士郎が聞いてくる。

 

「そういえば、結局コウジュがやったのは何の確認だったんだ?」

 

「いやね、士郎が俺の武器を使えたら最強だな~って思ってね。レベル無視できるんだったら色々上げるか解析させてあげようと思ったんだよ」

 

「それは確かに心強いですね」

 

「ああ確かに、色々すごかったもんな。……一番インパクトがあったのはネギだけど…」

 

 あぁ~。ま、確かにインパクトはあっただろうな。

 だけど、あえて言おう。あんなのは序の口であると。

 

「もっと凄いのがあるぜ? 例えば、星をも砕くと言われるアックスとか、大気を操作するダガ―」

 

「私が前に見せてもらったものは運命の操作だとか、空間の操作だとか言ってたわね」

 

 イリヤが付け加えてくれる。サイカヒョウリとツミキリヒョウリの事だな。

 

「その辺りを士郎が使えたらな―っって思うっしょ?

中には使用者の力を増幅するタイプの奴があるから士郎には特にそれを使えるようになって欲しかったんだよ」

 

「そんな物まであるのですか!?」

 

「昨日のコウジュって本気じゃなかったんだな…」

 

「いやいや、本気だったぜ?ただ全力では無かっただけでな。俺の全力→最強武器達を使う→冬木ってか地球アボン・・・みたいな?」

 

「「「・・・」」」

 

 あー…止まっちゃった。

 き、キングクリムゾン!!!

 

 

 

 

 

 

「えーまぁ、そんなわけで、士郎君にはとりあえずレベルではなく魔術の方のレベルを上げてもらって、ライトニングエスパーダ…昨日俺が使ってた大剣な? アレの効果が力の増幅だからそれを使えるようになってもらうのが俺との修行での目標です。ワーパチパチ」

 

「あ、あぁ。…分かった」

 

「こ、心強いですね」

 

「少しでも強くなってもらわんとな。もし修行が間に合わなくてピンチになっても俺が代わりに戦う位はするから安心しな」

 

「「それが一番安心できないって(ません)!!!」」

 

 

 

 

 そんなこんなで修業を続け、いつの間にか夜。

 

 いやだってさ、あの後は、セイバーが士郎ぼこって俺が直して、士郎が魔術でアボンして、俺が直しての繰り返ししかしてないんだもんさ。

 エンドレスエイト並みの繰り返しがお望みか…?(震え声

 

 というわけで、一気に本日のメーンイベント!

 ナントカ寺に行こう!!

 名前? 龍…ナントカ寺…。

 やっぱいいや。ナントカ寺で。

 そんなわけでさっそく行くとしますかね。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 あ、ありのまま体験した事を話すぜ!

 『セイバー、コウジュ達と修業をしていたと思ったら、いつの間にか晩御飯の片づけをしてた』。

 な、何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何をされたのかわからなかった…頭がどうにかなりそうだった…催眠術だとか超スピードだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ。

 もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。

 

 ……これで良い?

 あぁ、いや、今のはコウジュが言えって…。

 

 えっと、とりあえず今日の事なんだが…驚く事ばかりだ。

 昨日命を掛けて戦った二人が今日から同居人になる上に、コウジュは俺の師匠?の一人になってくれるっていうんだからさ。

 その修業中(?)にコウジュが見せてくれた武器達がまたすごかった。

 最初に渡された剣は宝具ではあってもあまりすごくは感じなかったんだが、その後に後々俺に使えるようになってもらうっていうので見せてくれたのはすごかった。

 出てきた瞬間の威圧感、神聖さ、逆に邪悪なものもあったし、脈動して、生きているかのようなものまであった。

 

 そういえば少し不思議だったのはコウジュの武器を見た瞬間に何故かその特性の分かるものがいくつかあったけど…あれは何だったんだ?

 コウジュは登録がどうとか丘がどうとか言っていたけど…。

 

 コウジュはたまに変な事を突然言い出すから気にしない方がいいんだろうか?

 本人もよく気にしたら負けだとか言ってるし…。

 

 気にしない事にしよう。

 

 その後は、コウジュが魔力込みで回復ができるから限界までやっても大丈夫だってことで、セイバーとコウジュからバシバシしごかれた。

 剣術はセイバーとたまにコウジュ、目を慣らすためにってセイバーとコウジュの試合を見せてもらったりもした。魔術に関しても、コウジュの言う実験(現在の俺のギリギリを探す)というのもやった。

 そうこうしたらいつの間にか夜で、セイバーのお腹の音でお開きになった。

中々に充実した時間だったな。ただ、かなりぼこぼこにされたけど…。

 

 ま、そんなわけで汗だくだ。

 セイバーの事もあるし、先にご飯を先に済ませてしまったから、遅いお風呂になるがそろそろ入りに行こうかな。

 

 風呂場の方に向かうとコウジュを見つける。

 玄関に向かうみたいだが出かけるのだろうか?

 

「出かけるのか?」

 

「おう。ちょいとイケメンと美女と仏頂面見てくる」

 

 靴を履きながらそう言うコウジュ。

 何でもないように言う彼女に、俺は思わず苦笑する。

 

「ものすごい組み合わせだな…。というかスゴイ言い草だな」

 

「事実その通りだからな。仕方ない。そう言う士郎は風呂?」

 

 靴を履き終えたコウジュがトトンと軽い身のこなしで立ち上がりこちらへと振り向く。

 そして俺が持つ着替え等に気付いたのかそう聞いてきた。

 

「ああ。大分汗かいたからな」

 

「……ふぅ~ん」

 

 突然口元を押さえながらニヤニヤするコウジュ。

 

「…なんでニヤついてるんだ?」

 

「いえいえ、何でもございませんですの事よ~?」

 

 ……怪しすぎる。

 といっても分からないから仕方ないか。

 

「じゃあ、入るよ。コウジュも気をつけてな」

 

「おう」

 

 結局ニヤニヤしたまま玄関を出ていくコウジュを見送り、当初の目標である風呂場に入る。

 服を脱いで浴室への扉を開く。

 家の中とはいえ季節は冬だからそこそこに冷えている。

 一旦考えるのを止め、風邪をひく前に温もろうと、少し急いで中へと入った。

 

「一体コウジュは何でニヤニヤしてたん…だ…ろ……」

 

 扉を越えて中に入ると先客が居た。

 セイバーだ。

 目が合い、互いに固まる。

 

 まさかまさかまさか、コウジュの奴知ってたな!?

 だからニヤニヤと!?

 

「あ、あの…」

 

「わ、悪いセイバー入ってるなんて思わなくて…」

 

「申し訳ありません。今は遠慮していただけないでしょうか?」

 

 そう身体を手で隠すようにしながら顔を背けるセイバー。

 頬を染め、湯船に浸かっているのもあり身体を上気させてうっすらと肌を桃色に染め上げている。

 そこまで見てしまって、もう限界だった。

 

 俺は慌てて脱衣場へと戻る。

 

 そして急いで着替えて風呂場を出た。

 

「び、びっくりしたぁ…」

 

 まさかセイバーが入ってるなんて。

 

 それにしてもコウジュだ。

 これがわざとならば一言言わないと気が済まない。

 イリヤもそうだが、あの主従は今日一日だけでも俺を弄ろうとしてきた。

 見た目は二人ともお嬢様然とした少女なのに、子どもらしさを見せたかと思うと大人の様な、まるでお姉さんのように振る舞う。

 コウジュに至っては遠坂やセイバーにもそんな扱いをする時があるし、扱いに困ったものだ。

 真剣な話をしている時は頼もしいんだがなぁ……。

 

 

 

 

「くっふっふ…このラッキースケベ」

 

 

 

 バッと後ろを振り向くとコウジュがさっきのようなニヤニヤ顔で玄関に居た。

 

「まだ出かけてなかったのか!? って、コウジュ!! お前分かってて言わなかっただろ!!」

 

「なはは、はてさてなんのことかにゃー?」

 

「この!!」

 

 思わずとっちめてやろうと手を伸ばすがスルリと俺の腕を避け、戸を開けてコウジュは身を乗り出した。

 

「くふふっ、あぁ良いもん見れた。あばよーぅとっつぁん!!」

 

 問いただすだけでもと思うも、そのままコウジュは走って出ていってしまう。

 絶対アレ確信犯だろ…。

 

 はぁ…。

 

 風呂は後でいいか。

 時間つぶしに、遠坂の所に行ってまた魔術についてでも教えてもらうかな。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 さぁさぁやってきましたよっと。

 なんとか寺。

 名前忘れたんだから仕方ない。

 

 とりあえず階段を登っていく俺。

 

 いやー、それにしてもさっきの士郎は面白かったな。

 くっふっふ、また弄ってやろう(ゲス顔

 そういや、原作では風呂の中ではセイバーがやたらとかわいい事になってたなぁ。

 正直言うと見たかったが、少女の身とはいえ中身男の俺がやっちゃうと犯罪だかんな。

 しゃーない。

 

 ってか長いなおい、この階段。

 

 この身体になってからは疲れというものを感じなくなっているとは言え、流石にこの距離は精神的にちょっと疲れる

 トントンと何段か飛ばしながら登ること数分、漸く山門が見えた。

 辺りに人気は無い。

 時間も遅く、一般人はそろそろ寝る時間だ。

 

 一般人は、な。

 

 

 

「この様な時間に何用か?」

 

 上方から声を掛けられる。

 その方向を見ると、かなり長い日本刀を持った青い着物姿のイケメンが居た。

 女性が嫉妬するのではという程の艶を見せる長髪をポニテにしているのがまたイケメン度を上げている。

 

 会いたかったぞガンダ…じゃなかった、佐々木小次郎(アサシン)!!

 

 普通ならイケメン爆発しろと言いたいとこだがあんたは許す。

 ってか握手、いや、狙い撃つぜって言ってほしい。

 あー、でも持ってるの刀だし無理があるか。

 

 ケフン…すまん。思考がそれた。

 

「ちょいと所用で…ね」

 

「ほう。夜も遅くに大量の魔力を纏ったものがこの寺にとは。如何用かお聞かせ願いたいものだ」

 

 そう言って佐々木小次郎、アサシンは長刀を構える。

 物干し竿…佐々木小次郎の代名詞とも言っていい、五尺余り(えーと大体2M位?)もある刀。

 俺のコクイントウと同じ位あるかね?

 それを正眼に構え、いつでも斬り掛かる準備は万端と言ったところか。

 

 用件を聞くと言いながらこの対応、どこぞの庭師かあんたは。

 でもまぁそれも仕方ない。

 この山門の守護を任されていて、本人も強者との戦いを求めている。

 そこへ飛び込んだのが怪しげな俺だ。

 

「あんただって言ったらどうする?」

 

「ふむ…私に用か」

 

「そ、俺と一勝負やらねぇかい? 来い、コクイントウ・ホオズキ」

 

 こちらも長刀を出す。

 俺の背丈よりも大きく、ライトニングエスパーダよりもなお長い刀。

 ソード系Sランク☆11。

 『死者の国に渡る際の渡航証になるという、封印されし長剣。使用者が死の淵に立つと、覚醒し真の力を発揮するという』なんてテキストが書かれている物騒な代物だ。

 そして、よく見れば刀身に霊魂のような物がうっすらまとわりついているのが見える。

 ちなみに特殊効果としてダメージを与えた際のHP吸収なんてのもある。

 

 まぁ概念は使いませんけどもね。

 

「娘よ。お前はサーヴァント…いや、何だ?」

 

「サーヴァントはこの間やめたよ。今はただのヒトだ。人間ではないのがミソだね」

 

 種族的にはヒト属ビースト種ってところかな。

 

「まぁどうでもよい。そのような事は所詮は些事にすぎん。構えよ」

 

「くく、いいねぇ。痛いのは嫌いだけど、そういいうのは大好きだ」

 

 小次郎と向かい合い、俺もコクイントウを同じように構える。

 

 

 それじゃぁまぁ――、

 

 

 

 

 

 

 いただきます♪

 

 




いかがだったでしょうか?

さてさて次回は柳洞寺戦。
可愛いものが好きなキャスターの元へと自ら足を運ぶウサギは一体どんな目に合うのか…(え

それではまたお会いしましょう!

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