テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編    作:onekou

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どうもonekouでございます。

またギリギリだ…。お待たせして申し訳ないです。

それにしても最近忙しい。
や、休みをください!!

あ、今回は修行編第2です。
また厨二病発症しているだけのツッコミどころ満載な話ですので軽く読み流して頂いて大丈夫です。

では、どうぞ。


『stage32:宝の持ち腐れと言わないで』

 

 

 

「待って。もっかい言って?」

 

「だから、あなたは魔法使いになれるわ」

 

 今明かされる驚愕の真実ぅ!!

 って、俺40歳になってないよ?

 30歳だっけ?

 いやどっちにしろなってないよ!?

 ど、どどどど、どうていちゃうわ!!

 まさか王者の技(サブミッション)か! って使えないよ?

 もしくは虚無とかあの辺ですか!? くぎゅううううううううう!!!

 SLB使ったから魔法使い? でもあれは魔導士だよな…。

 そうかわかったぞ。シャバドゥビタッチヘンシーン!

 違うか。

 ふむ、となると術式解体か? だけど妹は居るとはいえシスコンでは無いしなぁ。うん、違う。

 

「…何を一人で百面相しているのかしら」

 

「はっ、俺は何を…」

 

 よくわからない電波を拾ってしまっていたようだ。

 

 先程キャスターと小次郎の双方から修行つけてやる的なことを言われてすぐ、早速キャスターから教わってるんだけども、その途中で言われたのが冒頭の言葉だった。

 まず初めに、キャスターに俺のスペックを見せた後、テクニックと練習中の技なども披露した。

 そのあと、キャスターに何故か魔術爆撃されたり、この間覚えた投影魔術を見て貰ったり、逆にキャスターに抱えてもらってだけど浮遊や転移の魔術を体験させてもらったりした。若干(まさぐ)られたので電撃流した。

 さておきその途中であなたは魔法使いにどうのってなったわけだが、なぜそうなったのかわけワカメでござる。

 俺の頭ではそこへ至る理屈がわからない。

 

「はぁ、宝の持ち腐れね…。よく聞きなさい?」

 

 何故かすごく残念な子を見る目で溜息をつかれたんだが…。

 解せぬ。

 でもまぁ教えてくれるなら一先ず静かに聞こうじゃないか。

 

「良い? まず初めに言うけど、あなた自身も言った様にあなたはルールがずれているわ」

 

「まぁ異世界の英雄だし…一応…」

 

 そういう設定だからねこの身体は!

 

「違うわ。あなたの能力には色々不可解な点があるの。例えば龍脈への接続だけど、ありえない」

 

 ありえないってナンデデスカ?

 あのあの、真剣(まじ)な顔でディスるの止めてくれませんかねぇ? 死にたくなるので。

 

 俺は霞む視界を気にせずキャスターの話に集中する。

 

「あのねぇ。霊地との契約はその場所だから出来るのよ? 世界中の龍脈が繋がっているとはいえ、霊地と呼ばれる龍穴のある場所、つまりマナが吹き出す場所の上に居るからこそ高純度のマナを利用することが出来る。なのにあなたは龍穴の上ではない場所でも魔力を自身に供給できると言う。不思議ね」

 

「…マジで?」

 

 確かに、俺が繋がった場所はアインツベルンの城でだ。

 でも俺はこっちに来てからもマナを使用していた。

 でもそれは本来の法則とは違っている。

 つまり使っていると思っていた?

 

 そう考えた瞬間、何かが切れた感覚があった。

 

「やっぱりね」

 

「え、あれ?」

 

「たった今、魔力の供給が切れたんじゃない?」

 

 まさしくその通りだ。

 初めからあった魔力が回復する感覚とは別に存在していた、何処からともなく供給される感覚が無くなった。

 

「って何してくれてんのぉぉっ!!!???」

 

 ほんとこの人何しくれてんの!?

 まだラスボスまで行ってないんだよ!?

 それなのにここへきてスペックダウンとかやばいよね!?

 いやヤバいどころじゃないよね!?

 

「落ち着きなさい。計算通りよ」

 

「いや、ちょ、おま、落ち着けって、どうすんのさ!?」

 

「だから落ち着きなさいって言ってるでしょうこの獣娘!!」

 

「落ち着ける訳無いでしょうよ!?」

 

「伏せ!!」

 

「ぐふぅっ!?」

 

 なんか重力っぽいものでキャスターに押しつぶされた。

 確かに落ち着いたけど、これは無いと思うんだ。

 あと犬扱いすんなし。人だ人。

 

 身体の上から伸し掛かっていた重力が切れたので、服についた汚れを払いながら立ち上がる。

 立ち上がりながらもキャスターに無言の訴えを送るがしれっとした顔でこちらを見ている。

 理不尽だ。

 そんな俺を見て、再び溜息をつくキャスター。

 もう泣いていいかな?

 あ、視界が霞んでいるのは汗です汗。汗ったら汗。

 

「あのねぇ、正直に言ってその無限の魔力は現状あなたには不要なの。むしろ邪魔でしかない」

 

「どういうこと?」

 

「今のことでわかったと思うけど、あなたは無限の魔力を勘違いによって生成していた。ここまでは良い?」

 

「うん、まぁ…」

 

「つまり、あなたの能力は勘違いではなく使い方によっては自ら無限の魔力を作れるだけでの潜在性があるってことよ」

 

 お、おう…。

 その勘違いでって部分に哀しみしか生まれないが、理論は分かる。

 つまりあれだろ、無限の魔力を作れるとさえ思えればできる訳だ。

 

「けど、勘違いのままだとあなたはその魔力の供給元を外部に依存しているつもりになったままなわけだから、魔力を使う際にも外部の物を使うという余計な過程を挟むことになる。実際には自分の物を使っているのにね」

 

「ほむ…」

 

「魔術を使うならばマナかオドか、それだけじゃなく様々な指定が必要になって来る。なのにあなたは最初の供給の時点から間違っているから課程をすべて間違った状態で結果だけを持って来ているの。その危険性がわかるかしら?」

 

「えっと……、ワカリマセン…」

 

「今にも爆発しそうな火薬庫に大量の爆薬を叩き込むってことよ!! その結果があの神殿でしょうが!!」

 

 すかさず土下座の体勢に入る俺。

 平身低頭覇。

 

「…コホン。最初の話に戻るけど、あなたは魔力を無限に生成するスペックがある。それは所謂魔法の領域よ。それをいつの間にか使っている状態ではなく扱うようにしなければあなたはいつか自身を滅ぼすことになる」

 

「忠告痛み入ります」

 

 頭を低くして礼を言う。

 しかし、なるほどそれが魔法使いに繋がる訳か。

 原作でも確か無限の魔力についての魔法があったな。

 何番目だったっけ?

 

「コウジュ、一つ言っておくけどあなたが使っている魔法はその一つだけではないわよ?」

 

「ほえ?」

 

 思わず気の抜けた声が出る。

 カードをキャプターする小学生が出すと可愛い声だけど、中身が男の俺が出してもキモイだけだな。

 だが、それほどにキャスターの言葉を理解できなかったのだ。

 

「まず無限の魔力については第二魔法に思えるけどその実、無から作り出しているから第一魔法に相当するでしょう」

 

「ど、どういうこと!?」

 

 淡々と語り始めるキャスターについ詰め寄る。

 

「ち、近いわよ。役得だけども…」

 

 その瞬間俺は引いた。二つの意味で。

 

「引かないで欲しいのだけど……。ふう…、話を戻すわ。まず第一魔法『無の否定』これの詳細は既に失われているけど予想は立てられる。

 無の否定つまりは有の肯定、おそらく創生の事を言っているのでしょうね。それもあらゆる代償は無しでよ」

 

 それってもろに『幻想を現実に変える程度の能力』じゃないっすか?

 いや、だからこそ魔力を何も無い所から精製できる?

 あ、でも、神様なら強弱はあるけど持ってるって話しだったし…。

 

「第一魔法が『幻想を現実に変える程度の能力』に値するわけだ」

 

「そうよ、次に第二魔法『並行世界の運営・干渉』…。あのカードを使って場所を移動するやつがそれなのよね、話を聞く限り。」

 

「おおぅ…。というか一回違う世界行っちゃったし…。あれ? 並行世界どころじゃなく多次元世界か?」

 

「それと、ラーニングだったかしら…。それでアサシンの技も覚えたのでしょう?」

 

「あ、第二魔法か」

 

 キャスターが頭を押さえつつ、続きを話す。

 

「続いて第三魔法『魂の物質化』。これはあのスケープドールよね? 第一魔法も組み合わさってるのでしょうけど、すでに無い肉体を魂から再構成…。はい第三魔法」

 

「うわ、投げやりになってきた」

 

「誰のせいだと思ってるのよ…。次! 第四魔法…は詳細不明だから置いておいて。……この子なら知らない内に使ってそうだけどね(ボソ)」

 

 もしもーし、俺ビーストなんで聞こえてますよー。

 

「そして第五魔法『青』。これも詳しくは詳細が分からないけど『破壊』や『時間旅行』説が有力よ時間旅行というほどでもないけど、時間…操れるのでしょう?」

 

「た、たぶん…」

 

 うん、ツミキリ・ヒョウリさえあればたぶんできるだろうな…。

 

「『破壊』…は違うけど…でも、さっき聞いた武器の中にそんなのがあったわよね?」

 

「あります、はい」

 

「最後に、これはあなたの『幻想を現実に変える程度の能力』が原因だとは思うのだけど、新しい魔法の概念をあなたは作り出しているわ」

 

「…はい?」

 

「魔法というもの自体については分かる?」

 

「えっと、あらゆる技術を使っても再現できない現象…だっけ?」

 

「ええ、そして今の時点であげられている魔法に該当しないから新しい魔法よ。あえて名前を付けるなら…『矛盾』かしら」

 

「『矛盾』…?」

 

「言い換えるならばルール変更ね。

 さっきも言ったけど、あなたはこの世界の現象を利用するくせにその過程を無視している。でも私たち魔術師は歴としたルール、現象に沿って魔術を行使している。

 あなた、前に言ったわよね。自分は違うルールの下で動いているって。まさしくその通りよ」

 

「つまりどういうことだってばよ?」

 

「あなたが元居た世界の法則…なのかはわからないけど、あなたはこの世界に居るのに一人だけ違うルールを基にして動いているのよ。

 恐らくあなたの『幻想を現実に変える程度の能力』というものが影響しているのだろうけど、単純に第一魔法の様に作り出しているだけではなく、手順から生み出されるはずの結果を捻じ曲げている所を何回か見たわ。例えるなら化学も魔術も火を起こせばその結果何かが燃えるわけだけど、あなたの場合は凍らせることが出来るのよ。

 ひょっとすると、さっきの魔力供給の件も、私が見る限りではコウジュ自らが生成しているように見えたけど、“龍脈からの供給”というあなたの勘違い(ルール)の所為でどこかで実際には繋がっていたのかもしれないわね。」

 

「うっそだー」

 

「あなたはそれくらいの事をしているのよ!! この理不尽娘!!」

 

「……解せぬ」

 

 キャスターさんがしてくれた講義の半分以上が理解できません。

 

「ま、まぁいいわ。今のあなたでは宝の持ち腐れでしかないし」

 

「え? じゃあ今の話いらないじゃん」

 

「だって、さっきの火の話を交えて言うと、凍らせることが目的なら初めから凍らせればいいじゃない。態々余計な手順を踏まなくても。

 はぁ、…どうせこのすごさが分かるのは結果ではなくそこに至る事を目的とした研究者質な人だけですよーだ…」

 

 キャスターさんがついに拗ねてしまいました。

 実際にしてるわけではないけど、地面に『の』の字を書いてるキャスターさんが幻視できる。

 こ、これは俺が悪いのかな?

 とりあえず話を変えよう…。

 

「あ、そ、そうだ。これって何か応用とかできないかな?」

 

「…例えば?」

 

 キャスターさんが不貞腐れた顔のままこちらを見る。

 フードを取っているから、不貞腐れていても綺麗なのがよくわかる。

 でもやっぱり目は残念な子を見る目なので俺の精神が死にそうです。

 

 それはさておき、先程の話を聞きふと思いついたものがあったのだ。

 

「これとかどうかな?」

 

 俺はそう言いながら一本の剣を取り出した。

 それは辺りへと眩い輝きを放ちながら俺に握られている。

 

「嘘、どうしてあなたがそれを持っているの…?」

 

 驚愕に彩られるキャスターの表情。 

 だがそれも仕方ない。

 俺が取り出したのは、黄金の剣。

 騎士王の象徴にして、最強最大の武器でもある長剣。星々によって鍛えられた神造兵装といわれる片手剣(セイバー)

 つまり、エクスカリバーだ。

 

「何故持っているかはさておき、これって本物だけどセイバーが持ってるエクスカリバーみたいに色々出来るわけじゃないんだよね。だから、ルールを変えるっていうのならこれをセイバーが使うエクスカリバーみたいにすることもできるかな?」

 

 召喚されてすぐ、俺は一通りの武器に目を通した訳だがその時にエクスカリバーも見つけていた。

 当然俺はエクスカリバーを実際に手に取り色々試してみたさ。Fateファンなら誰もがする筈だ。

 だが、残念なことに俺が出したエクスカリバーはあくまでもゲームと同じ仕様だった。つまり使用時には風の効果で剣の姿が見えなくなるがそれだけ。風王結界(インビジブル・エア)も、当然真名解放たる約束された勝利の剣(エクスカリバー)も使えやしなかった。

 それが分かった瞬間、俺はあまりにもがっくりときたからすぐにしまい込んで以来記憶の片隅から出さないようにしてきた。

 しかし、だ。

 今の話からすれば俺が持つエクスカリバーはこの世界のエクスカリバーと同じものだって矛盾を生みだせすことが出来れば、俺のエクスカリバーをセイバーが持つエクスカリバーの様にエクスカリバーを放てるかもしれない。

 何だかエクスカリバーという単語がゲシュタルト崩壊してきた…。

 

「恐らく、出来るでしょうね」

 

「うっし来た!!」

 

 ふはは。これはまた一つチート技が増えそうじゃないか。

 それも憧れのエクスカリバーだ。

 これはwktkせざるを得ない。

 

 み な ぎ っ て き た !!

 

「あ、でも、1つ残念なお知らせがあるわ」

 

 突然キャスターさんが素になってそう言ってきた。

 

「エクスカリバーのルール変更をするのは良いけど、セイバーが持つ方を理解できなければ意味が無いんじゃない? つまり、コウジュの場合は一発喰らってくるでもしないといけないんじゃないかしら」

 

 絶望した。

 え、あの対城宝具を受けろと?

 ジュッていって蒸発するじゃん!

 うへぇ、先程まで上がっていたテンションがまた下がった。むしろ先ほどよりもひどい。

 たぶん今の俺の顔は相当ひどいだろうな。

 ぬとねの区別がつかないような、FXで有り金全部溶かした人の顔みたいになっているだろう。

 

「俺…ちょっとどこかで紐なしバンジーしてくるわ」

 

 ふらふら~…と歩き出す俺。

 そんな俺をガシッと。

 

「ま、待ちなさい!! 私が悪かったから!! 他にも出来ることはたくさんあるから!」

 

 

 

 

 

 まぁハプニングはありましたが、キャスターさんの授業?は終了しました。

 ついでに頼んでた物を受け取り、今度は小次郎の方へ~。

 

 

 

 

 

「よろしくお願いします」

 

「そうかしこまらずともよい。私が教えるのは基礎にも入らぬ部分だ。それにこの身は人々の幻想より生れた身よ。内包する武もまたしかり。

 故に道標程度にしかならぬであろうよ」

 

「いやむしろ今の俺にはその道標がものすごくありがたいですぜ」

 

 武術って習ったこともないので。

 精々体育で軽く剣道に触れたくらいだ。

 

「ならば早速始めよう。手合わせを交えて行くぞ」

 

「うい」

 

 小次郎はいつもの物干し竿を、俺はコクイントウをかまえる。そしてほぼ同時、相手に仕掛ける。

 まずは互いに袈裟切り。当然のごとくつばぜり合いになる。だが、基礎ステータスはこっちが上だから俺は小次郎を押し返し、そのまま追撃を掛ける。横一閃、だがそれは軽く避けられる。

 

「やはり筋は良いが、どこかぎこちないな」

 

「そりゃどう…も!!」

 

 横一閃からの斬り上げを再び小次郎に向かって打ちこむが再び避けられる。

 

 互いに殺し合いではなくあくまで稽古である事を理解しての打ちあいをいくらか行う。 

 小次郎はあまり打って来ず、そのおかげもあり俺はガムシャラにではなく、ある程度考えて打ちこむ事をしている。

 これなんか楽しい。

 打ちあい打ちあい…。

 

 それを何度か続ける。

 

「武とは舞。双方の起源は同じであり古くから2つの関係は変わらぬ。流派によっては舞の中に武を隠し継承させることもある」

 

 打ち合いの途中、アサシンが突如そう言ってきた。

 そういや、どっかで聞いたことあるなー。

 舞を制したものが武を制す…だっけ?

 

「故に武を形成するは舞と同じく流れ・拍子。おまえのそれはひどく読み易い」

 

 だから全部受け流し、避けられされてたのか。

 

「流れやリズム…ねぇ……」

 

 口に出して言いはするが、よくわからん。

 その言葉の意味は分かる。

 だが、それをどう武術に加えていくのかが分からない。

 

「ふむ…」

 

「?」

 

 突然、何か違和感が生まれる。

 小次郎の動きが変わった? いや、動きそのものは変わってないけど…俺に合わせてくれてる感じ?

 ふむふむ。

 そっかこれが流れか。どう動けばいいか。次はどうか。そしてリズム。

 なるほど、わからん。

 いや、分かるけど分からん?

 そんな感じ。

 結局は感覚的なものだね。最初よりは何かが分かった気がする。

 取っ掛かりは掴めた。

 

 それもこれも、小次郎がえらく手加減とかしてくれてるからなんだろうな。

 

 小次郎って案外教える側向きなのかね?

 

「小次郎って案外教えるの上手いね」

 

「……なんのことだ?」

 

「いや、なんとなくだけど、小次郎が俺の動きを誘導してくれてるのが分かってきた。動作の所々にフェイント入れたりは勿論だけど、俺に打ち込みやすい場所とかわざと作ってくれてるよな? 

 …たぶんだけど」

 

「…気のせいではないか? お前が上手く動けるようになってきているだけであろうよ」

 

 ツンデレだ! ツンデレが居る!!

 

「道場の師範とか案外合うかもよ?」

 

「ふ、この殺人剣で師範はできんよ」

 

「そっかなー。どこかで聞いたことなんだけど、殺人剣も活人剣も使い手の心持ち次第って言ってたよ?」

 

「心持ち次第…か…」

 

 会話をしながら打ち合っていたが、そこで小次郎は黙り込んでしまった。

 何かを考えてるみたいだけど、何だろう。

 とりあえず、合わせて俺も静かにする。

 勿論剣劇は続けたままだ。 

 そこからはただ黙々と打ちあった。

 とは言っても、先ほどより速度等はレベルアップしてきてるけどね。

 小次郎がギリギリ俺が流れを掴めるレベルでの打ちあいをしてくれている。

 俺は物覚えが悪いんでゆっくりなのがチョイ申し訳ないな。

 

 そういえばこれってあれに似てる。

 えっと流々舞…だったか? 某ハンター漫画で出てきたやつで、互いの力が拮抗するように組み手をすることで観察眼やら技の流れやらを修練するって奴だったはず。

 

 俺の場合小次郎が俺に合わせてくれてるんだろうけど、マジで流々舞みたいだ。

 

 武術レベルが上がってきてる気がするぜ!っとかちょっと調子に乗ってみたりしちゃったりしてー。

 

 

 

 

 それからどれ位しただろうか。何千では済まない位には斬り結んだはずだ。今では大分スピードが上がってる。

 そんな中、小次郎が突如動きを止めた。

 俺も慌てて刀を振るうのを止める。

 

「私が教えるのはここまでだ」

 

「え、あ、ありがとうございました!!」

 

 いきなりだったんで一瞬固まってしまったぜ。

 でもすぐに礼を言う。

 うん、これは何かが掴めたね。

 かなり贅沢な修行だったのではないかな?

 

 そんな感じで俺が満足していると、小次郎が俺をじっと見ていることに気付いた。

 

「これはあくまで助言だがお前の動きは獣に近い。門前で最後に見せたあの動きは特に獣そのものと言って良い程に近かった。

 いや、よくは見えなかったが手や足は獣のようになっていたか。

 ただ、そこに無理矢理武術を取り込もうとするからか動きが分かりやすくなる」

 

 あれま、俺ってば無意識に獣化してたのか…。

 でも手や足だけってことは獣化じゃない?

 半分だけ獣化?

 

 首を一人で捻っている俺に小次郎は続ける。

 

「一つ問おう。理想的な一撃とはなんだ?」

 

 理想的…理想的ねぇ……。

 そこでピンっと思いつく。悲しいかなマンガ脳からだけど――、

 

「速くて、重い…?」

 

 俺の言葉に、小次郎は静かに首を振る。

 

「それもある。だが、極論ではあるが最も重要なのは当たる事だ。どれだけ速かろうと重かろうと当たらねば意味はない」

 

 た、確かに…。

 

 チョイ待った。

 速くて重いけど当たらないから意味はない…、それって俺じゃねぇか!?

 

「自分だけの動きを見つけよ。流れを見よ」

 

 そういって小次郎は去っていった。

 やばい、カッコよすぎね?

 ほれてまうやろ―(古い

 冗談抜きにしても男として憧れる。

 おい、今は幼女じゃねぇかって言った奴出てこい。直々にみくみくにしてやる。

 

 さておき、小次郎の教えはこれ終わりのようだ。

 また打ちあいしたいな―。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 コウジュ…か…。

 あの娘を見ていると何か面白い。

 虚ろであるこの身がその何かを求める。

 いや何かなどではなく未来(かのうせい)を求めているのだろうな。

 

 現界した際はサーヴァントであるが故に未来はないと諦めていた。

 サーヴァントに成長はない。それも、私のこれは与えられたものだ。

 まだ見ぬ武に立ち会えることは面白いであろう。剣を交わすことは心ふるえるであろう。

 しかし、その次は何に楽しみを見出すというのだ。

 だからこそ自分の存在意義と割り切り、その少ない時間を出来うる限り楽しもうとした。

 あの娘に会うまでは…。

 

 今は思う。

 

 新たな命を得、未来(さき)を見るのもよいかもしれぬ。

 そして私自身の力でこの世を楽しめたらと…な…。

 

 道場か、それも悪くない。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 ホントに何なのかしらあの子。

 

 能力だけで言えば世界征服も片手間で出来そうなものを持ってるくせに全然扱えていないし…。

 と思ったら、魔法に当たる能力を容易く使っている。

 行使できる能力の基準を知った時は思わず笑ってしまったわ。

 あの子の妄想やらなんやらが基準なんですもの。

 コウジュが簡単だと思えば魔法レベルも容易く行えてしまうし、難しいと思えばそこらの魔術師でもできるようなことをできなかったり…。

 

 そういえば、あの子の依頼なんだけど、どうしようかしら。

 使えそうなアイテムももらったし、あくまで作るのは器であって中身ではないから難易度は低い。

 ただ、どうせなら報酬を吹っかけてみるのもありよね。

 色々壊されているし、それくらいの役得があっても良い筈。

 撮影会とかどうかしら?

 可愛い容姿をしているのに、言葉遣いや動作が粗野で勿体ないのよね。

 可愛い服とか着せると恥ずかしがるだろうけど、それはそれでいいと思うの。

 

 そういえば、あの子からの依頼はもう一つ。

 そっちも別に何ら難しくもないし、私たちの新たな人生に比べたらもらい過ぎな気もするのだけれど、この前テレビで見たら主婦とは貰えるものは貰っておくものだとあったから早速実践してみようかしら。

 あ、欲しい報酬は私と宗一郎さまの次の命を生み出すカードの年齢設定よ。

 確かに今の年齢でも構いはしないのだけれど、どうせなら結婚の前の恋人からも体験してみたいと思ったのよ。デートであちこちに…うふふ…。

 っと、いけないいけない。

 とにかく、アーチャーみたいにちびっこになるのは困るけど10代後半位の年齢にしてもらおうと思うわ。

 

 フフ、なんでかしら。

 

 あの子は私の嫌いな神族になろうという子なのに、あの子だけは嫌いになりそうもないわ。

手のかかる子を見ている感じと言えば良いのかしら…。

 いいわね、子ども。

 いずれ私も…ウフフ…。

 

 ハッ!!

 また横道にそれてしまったわ。

 

 まあとにかく、新たな人生というものが楽しみだわ。

 サーヴァントである私がそんな未来を求めるだなんて自分ながら不思議だけど、あの子と関わっていると、不思議と未来を見たくなってしまう。

 異世界法則。

 いえむしろ、コウジュの法則?

 まぁどちらでも一緒ね。

 その法則へと、どうかこの殺伐とした世界を塗り替えて欲しい。

 そう切に願ってしまう。 

 

 コウジュが私にくれるっていうハッピーエンドはどんなものになるのかしら?

 

 

 




いかがだったでしょうか?

今回の話は、実はコウジュは獣娘だっただけでなく魔女っ娘でもあったのだよ!な回でした。

あれこれ長ったらしく書いてますけど、簡潔に言えばコウジュは魔法に該当することが実はできて、それプラスで何やらルールを書き換える能力を持っていたってことですね。
自分で書いていても厨二病甚だしいと思います(´・ω・`)
ただし全部真っ当に使えていませんけどね!!
さておき、この『ルール変更』というのが実は自分で決めたテーマですので書かせていただきました。

まぁ厨二乙といって頂ければ、それで満足ですw

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