テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編    作:onekou

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どうもonekouでございます。

久しぶりにギリギリじゃない時間に投稿できて気がします(日曜日なのは気にしちゃいけない

さておき早速どうぞ!


『stage36:[゚д゚]ハコモアイシテ』

 

 

 

「え、誰?」

 

「葛木宗一郎だが」

 

「What's…?」

 

 

 

 

 今は話が終わった後、もう遅いからって一旦寝ることにして、次の日の朝。

 アチャ夫さんにお茶を入れてもらって居間でくつろいでたんだ。

 そしたらさ、看病に行ってた小次郎が目覚めた二人を連れて来た。

 今回は何で復活遅かったんだろーとか、小次郎がお姉さま方が放っておかない『ユーやっちゃいなYO』な人の事務所に所属できそうな少年になったなーとか考えながら後続で入ってくる二人を見てたんだけどさ、そこからが問題なんだよ…。

 

 まず、メディアさん。

 御希望通り、ロリではないが大人でもない微妙なラインというのは成功したみたいだけど、元々神聖な雰囲気をまとった美人さんだったから、小さくなって可愛さプラスしたら『マジカルめでぃあちゃん』みたいな感じになってしまった…。

 美少女エルフ、もしくは美ニュマ娘。

 ファンタジーの鉄板でもあるが、だからこその破壊力。

 怪しい笑みを浮かべているのがマイナスですが…。

 

 さておき次だが、更に大変な事に…。

 メディアさんの次だから勿論、葛木宗一郎氏なんだが…。

 入ってきた瞬間の俺の反応は『どこの七夜のしっきーですか?』とつい問いたくなった。

 キャスターさんの強い(強迫じみた)希望により宗一郎氏もキャスターと同年代、ショタよりは上だが(ry な年齢に現在はなっているわけだが、顔がそこそこ似てる。

そこに拍車をかけるように雰囲気が似てるんよ。

こう、暗殺者的な?

でもまぁこっちは本家に比べて眼がギラギラして無い分、『文化系な七夜さん』といった感じになってしまっている。

 何という予想外な宗一郎氏の幼い頃…。

 とりあえず一言言わせてもらおう、イケメン爆発しろ…。

 

 そういえば、キッチンに居るアチャ夫さんから『何!? ブリュンスタッドの姫君の…いや、違うか…』とか聞こえてきた。

 ってかあんた見たことあんのかよ…ってことはこの世界って月姫の関係者やっぱ居るのかね?

 いや、考えるのはよしておこう。

 なんか変なフラグ立っちまったら目も当てられねぇからな…。

 

 

 あれ、この時点でフラグだったりする?

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 キャスター達が起きて来た後、少し一悶着あったが今はそれは置いておこう。

 まぁあれだ、大体コウジュの所為。

 さておき、桜はまだ寝ているみたいだがキャスターがもうすぐ起きるだろうと言うので、朝ごはんの準備だけ終わらせて待っているところだ。

 とはいってもアーチャーがほとんどやってくれたので、俺は手持無沙汰だったりする。

 だから、朝特有の霞がかった庭をなんとなく歩いている。

 冬独特の身を刺すような寒さが眠気を訴える身体を覚醒させていく。

 この引締めるような空気が考え事をするには丁度いいのだ。

 目指すは中庭。

 しっかりと日が出ていないこの時間、町は未だに寝ているように静かで中庭からは日の出も見ることができ好きな場所の一つだ。

 そこを目指し、歩いていく。

 しかし人の気配があることに気付いた。

 

「士郎…ですか…」

 

「セイバー、こっちに来てたんだ…」

 

 姿が見えないと思っていたがここに居たのか。

 彼女は静かに中庭の中央で佇み、ただ空を見ていた。

 俺はセイバーの横に移動する。

 しばらく沈黙が場を包むが聞きたい事があったのを思い出す。

 考え事をしようと思っていたが、その内容は彼女に関するものだ。

 丁度良いと思い直し、直接聞くことにした。

 

「なあセイバー、少し話があるんだが良いか?」

 

「なんでしょうか?」

 

「親父の…ことだ」

 

「切嗣ですか」

 

「ああ、前回のセイバーのマスターだったんだよな…? どうして言ってくれなかったんだ?」

 

「それは…言いにくかったからです」

 

 俺の問いに悲痛な表情を見せるセイバー。

 言うべきか言うまいか、今でも悩んでいるような表情だ。

 だが一つ溜息をついた後、諦めたように続きを話してくれた。

 

「正直に言うと切嗣がどんなマスターであったかあなたに言いづらかった。私はあなたの過去を見ました。そのあなたの中の切嗣を壊したくはなかった」

 

「それって一体…?」

 

「切嗣は生粋の魔術師でした。良くも悪くも…。10年前、コウジュが昨日言っていたように最後まで私と切嗣は勝ち残りました。

 そして、私があの金色のアーチャーと対峙している間に切嗣は相手のマスターを倒したのでしょう。確かに聖杯は私たちの前に現れました。

 しかし切嗣は最後の令呪を使い、私にその聖杯を破壊させました。次の瞬間にはあの大火事が起こっており、聖杯が無くなったため私は気づけば英霊の座へと還っていました」

 

 何故親父は聖杯を破壊したんだろうか。

 昨日コウジュははっきりとは言わなかったが、今セイバーが言ったように親父は勝利し、正規の手順で聖杯を手に入れたんだろう。

 なのに破壊した。

 

 分からない。分からないことだらけだ。

 

「私は今でも信じられません。私の記憶にある切嗣はまさしく生粋の魔術師。己が目的のためには手段を選ばず、阻むものは何であれ排除する。残忍というわけではなかったし殺人鬼というわけではなかった…。けれど彼は、あらゆる感情を殺し、あらゆる敵を殺した。

 そこまでして彼が信じたモノが何であったかは私にはわからない。ただ、その目的であった聖杯を前にして、彼は私に破壊を命じた。あの時ほど、令呪の存在を呪った事はありません。

 しかし私は、再び聖杯戦争に参加する事ができた。

 今度こそ私は、聖杯を手に入れる」

 

 拳を握りしめ、自分に言い聞かせるようにセイバーは宣言した。

 聖杯を手に入れることは俺も賛成だ。あんな危ない奴に渡す事はできない。

 だが、それとは別に聞いておきたいことがある。

 俺は昨日から考えていたそれをセイバーに言うことにした。

 

「聖杯があれば、こちらに居られるんだろ? だったら―――」

 

「私は…、残るつもりはありません。聖杯を手に入れ、元の私に戻るだけです」

 

「そして、王の選定をやり直すのか…」

 

 少し前に俺は、セイバーの望みを聞いた。

 “王の選定をやり直す”こと。

 それを彼女は望んでいる。

 セイバーはアーサー王、騎士王と呼ばれる程にブリテンの伝説として言い伝えられている。

 伝説の内容は諸説あるが、岩に刺さった剣を抜き王となり、円卓の騎士と共にブリテンを統一するというものだ。

 そしてその終わりもまた、言い伝えられている。

 幾多の神秘・伝説に包まれたアーサー王の終わりは、アーサー王の死と共に国が滅びる事で締めくくられる。

 そしてセイバーは、その王国が滅びた原因は自分にあるから、過去に戻り、自分が抜いてしまった剣による選定をもう一度行おうとしているのだ。

 

 俺はセイバーの過去を何度か夢で見た。

 令呪による繋がりのせいで、記憶が夢として流れているのだろうと言っていたが…。

 とにかくその(きおく)の中で見たセイバーは王としての責務をちゃんとこなしていたと思う。

 自身の心を消し、国を治める(システム)であろうとした。

 その結果は伝説に残っているようなものに相違はない。

 ただ、その(システム)を見て民は思ってしまったのだ。アーサー王には心が無いのでは…と。

 (システム)が求めたのは効率、確実な勝利だ。それは確かに勝利をもたらす。

 だが、効率の為には捨てる必要のある物もある。

 それが民に少しずつ、けれど確実に不満を蓄積させていった。

 その結果起こった謀反。

 それは、アーサー王が遠征に出ている際に起こった。

 国に帰ってきたアーサー王はその自身が守らなければならない国に自ら攻め込んだ。

 その戦の中で致命傷をセイバーは負ってしまう。

 謀反を起こした民や騎士が悪いとは一概には言えない。

 けど、アーサー王、セイバーだけが悪いわけでは決してないと思う。

 

 それを全て無かった事にするというのがセイバーの願い。

 俺が偉そうに言うのはおかしいかもしれない。

 けど、これだけは言える。

 そんなのはおかしい。

 王の責務は十分に果たしていたんだ。

 それでも国は滅びたんだ。

 ならそれが、こんな言い方はどうかもしれないが運命だったんだと思う。

 

「セイバーはもうここに居るんだ。後は自分の事をやれば良いじゃないか」

 

 セイバーは何も答えてくれない。

 

「自分を変えるのに、過去を変えるんじゃなくて現在(いま)を変えるんじゃダメなのか? セイバーは今ここに居るじゃないか!」

 

 思わず、大きな声で言ってしまう。

 それに対しセイバーはしばらくの沈黙の後、こちらへと悲しげな顔を向けた。

 

「士郎、もうこの話は終わりにましょう…」

 

「…っ」

 

 それだけ言うとセイバーは歩きはじめ、中へと入っていってしまった。

 

「馬鹿野郎……」

 

 つい、口に出してしまう。

 どうやったら分かってもらえるんだ?

 中に入る気にもならず、俺はただそこに立ちつくしてしまう。

 

 

 

 

 

 

「あんな可愛い子にやろうはねぇんじゃねぇの?」

 

 どこからか突然声が響いた。

 この声はコウジュか?

 

「いよっと…」

 

 スタッという音と共に上から俺の目の前に降ってきて、着地する。

 スカートでそんなことをするものだから、俺は目を反らす。

 それに気づかず、彼女は着地と同時にずれた帽子を押さえながらこちらへと振り返った。

 違う、そこじゃない。

 

「む、のぞき見は良くないぞ…」

 

 聞かれていた気恥かしさもあり、誤魔化すように少し反発した言い方をする。

 

「言っとくけど、俺は最初から居たんだぜ? そこにセイバー、士郎…と来て話し始めたから降りるにも降りれなかったんだよ。俺、基本獣に近いから耳ふさいでも聞こえるし」

 

 コウジュは、俺は屋根に上ると降りれなくなる呪いでもあるのかね…と良くわからない事を言いながら、やれやれといった感じで首を振る。

 

 そうだったのか。

 でも、やはり聞かれていた事実は恥ずかしさを消してはくれない。

 

「そんでさ、少年は何を悩んでるん?」

 

「少年って…どう見てもコウジュの方が―――」

 

「俺の方が年上だっての!! それにサーヴァントに見た目関係ないし」

 

 そういえばそうか。

 でも、見た目が…な。

 今怒ってるのもぷんぷんって擬音語があまりにも当てはまるので年上には“まったく”見えない。

 

「おい、てめぇ。今俺にぼこぼこにされても文句言えない事考えなかったか?」

 

「い、いやいや、考えてない考えてない」

 

 見た目はあれだが、軽く殺気を感じたので慌てて否定する。

 

「ま、いいや。で結局なんなのさ?」

 

「えっと…」

 

 そんな俺には構わず、直球で聞いてくるコウジュ。

 いや言いにくいって…。

 これって一応恋愛相談みたいなもんだろ?

 見た目だけとはいえ、俺より小さい女の子に言うのは憚かれる。

 

「ま、居たから大体分かるけどな」

 

「って、そうじゃないか!! だったら空気読んでくれよ! 言いにくいに決まってるだろ!!」

 

「あえて読まなかったに決まってるじゃないか」

 

 こいつ何当たり前の事言ってんの?みたいな顔をされた…。

 俺か? 俺が悪いのか?

 しかし俺もここ数日で学習した。

 変に問い詰めようとも負けるのはいつも俺で、そしてただ疲れるだけだ。

 それに、コウジュの御陰で少し心が楽になった。

 だからまぁ聞いてたんならと、少しずつ俺は話し始める。

 

「あのさ、聞いてたと思うけどセイバーの願いの事なんだ」

 

「過去の改ざん…ね…」

 

「ああ。でも俺はそんなことよりセイバーには前を向いてほしいんだ」

 

 過去を変えたいという気持ちはわからないでもない。

 でもいま彼女が居るのはこの現代だ。

 それなのに過去を変えるなんてのは違うと思うんだ。

 過去を変えるために今を否定するなんてのは何かがおかしい。

 

 しかしコウジュの意見は違うらしい。

 

「難しい問題だなー」

 

「なんでだ?」

 

「だってさ、人間誰しもやり直したい過去の一つや二つあるだろうよ。それがセイバーの場合はちょっとばかし規模が大きいだけさね」

 

「ちょっとばかしって…。コウジュは過去の改ざんをセイバーがするべきだって言うのか?」

 

「うんや、だから難しい事って言ったんだよ。客観的に見れば、どちらも間違っているし、どちらも合っていると言えると思うね。

 王の責務、セイバー自身、そして士郎、歴史の重さ。どれも視点もベクトルも違うんだ。答えなんてそうそうないよ。

 ただ…、俺的にはセイバーはこちらに残ってほしいけどね」

 

「コウジュ的にはってのは何でなんだ?」

 

「いやだってさ、本人はどう思ってるかは知らないけど、アーサー王の伝説は決して悪い意味で残ってるわけじゃないじゃないか。それってつまり、当時の民は気に入らないから謀反起こしたかもしれないけどさ、歴史はアーサー王を騎士王と言うほどに認めてるわけだ。童話や、劇なんかになっちゃう位にさ。

 確かに王としてまだやりようはあったかもしれない。

 けど、何をどうやったら正解なんてないと思うんだよね。

 もし、歴史の改竄に成功して選定からやり直したとして、その後の国は本当にセイバーが思ってるようなちゃんとした歴史を歩むのか?

 アーサー王が守って、生きて、子孫を残した人々が同じように生を全うできるのか?」

 

 俺はいつの間にかコウジュの話に入りこんでいた。

 ただただ聞き入ってしまう。

 そんな俺を知ってか知らずか、コウジュは続けていく。

 

「だからと言って、生きていた人は生きているべきで、生き返る可能性があるのに歴史では死んでるから死ねというのもおかしな話ではあるけどなー。

 ま、ここまでは客観的な話だね」

 

 最後の部分に俺はハッとする。

 そうか、そういう見方もあるのか…。

 誰しも生き返れるなら生き返りたいだろう。

 

「ほんで、こっから俺の感情的な話になるけどさ。

 俺はセイバーに、王として自身が辿った道を、救ってきた命に後悔はしてほしくない。

 良かれと思って救ってきた命なんだ。最後に国は滅びたかもしれないけど、その中で皆が感じる事が出来た幸せまで否定してほしくない。

 そんなのって悲しいじゃん?

 それにセイバー自身にも幸せになってほしい。

 俺はセイバー自身の幸せを見つけて欲しい。

 俺は傲慢だからな中の良い人が幸せじゃないのは嫌なんだ」

 

「……」

 

「っと俺の話は置いとこうか。そんで士郎的にはセイバーに残ってほしいんだよな?」

 

「ああ、もちろんだ」

 

「セイバーが過去を変えるのには否定的?」

 

「そう…だな」

 

「それは士郎が個人的に今この場所に居て欲しいからかな? それとも過去の改竄ということそのもに疑問があるから?」

 

「それは…」

 

 言い淀む。

 いや、でも言い淀んでいる時点で答えは出ているような物だろう。

 それに気づいたのか、ふとコウジュを見るとニマニマと笑いながらこちらを見ていた。

 

「いやー、青春してるねぇ」

 

「茶化さないでくれ!」

 

「ゴメンゴメン。よし、じゃぁおいちゃんからちょっとしたヒントを上げよう」

 

 おいちゃんって…、また年が上になった。

 何歳のつもりなんだ。

 いや、サーヴァントに歳は関係ないんだったっけか。

 それでも、そうふざけて言う言葉とは裏腹に、コウジュがこちらを見る瞳は真剣そのものになっていた。

 

「セイバーは多分今迷ってると思う。王の責務か、自身の感情か…。

それは士郎にも言えることだね。士郎も居てほしいという気持ちとセイバーの事を思う気持ちで揺れてる」

 

「気持ち…」

 

 改めて思い返す。

 多分俺は、あの土蔵で、初めてセイバーに会った時点で惚れていたんだ。

 けど俺はセイバーの心に触れていく中で、セイバー自身の事とか色々と考えて、結局よくわからない事になって…。

 

「まだ時間はあるんだ。そう急ぎなさんな。といって、時間が有り余ってるわけではないから気を付けないといけないのはいけないんだけどな。

 ただ問題は、セイバーはそんな心の揺れも王としての使命を全うするために封じ込めてきた過去を持つ。

 そんな彼女に届く何かを士郎は見つけられるかな?」

 

 そこまで言ったところで、コウジュの耳がピクリと少し動いた。

 そのままぴくぴくとさせながらコウジュは屋敷の方を見る。

 

「士郎、朝飯行こうぜ。どうやら桜が起きたみたいだ」

 

 そう言ってコウジュは家の方に歩き始めた。

 そこまでわかるのか、すごいんだな獣人ってのは。

 

 ともかく考えてみよう。

 俺は結局どうしたいのか。どうしてほしいのか。

 最初から…。

 

 

 

「あ」

 

「どうした?」

 

 コウジュが途中で立ち止まり、振り向く。

 

「さっき俺が言った事、あくまで参考程度で自分がどうしたいかを考えてくれよ? あれが正解ってわけでもないし。

 何よりさ…えっと…恥ずい…から」

 

 帽子を下げながらも上目遣いでこちらを見るコウジュ。

 そんな彼女の表情に少しドキッとする。

 かなり恥ずかしいのか、白い肌に紅みが増してそのコントラストが…ってダメだ! 俺は一体何を!?

 

 振り切るように首を振り、コウジュに返す。

 

「わ、分かった、了解した、無問題だ!」

 

「…? まいっか、んじゃ行こうぜぃ」

 

 俺の反応に首をかしげるもすぐに気にしないことにしたのか、コウジュはそれだけ言ってタタタっと居間へ向かった。

 

 何だか知れないが、いろんな方向に罪悪感が浮かび、少し立ち止まる。

 ご飯終わったら、ひとまず座禅から始めるべきかな……。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 ご飯を食べ終わったんで、今日は用事があるから外に行こうと玄関まで行ったんだが、そういや話を桜達にしないといけないんだった。

 

 居間に入ろうとしたらすれ違いで士郎が出てきた。

 なんか、逃げちゃだめだ逃げちゃだめだって、どこぞのサードチルドレンばりの事をぼそぼそ言ってたけど、一体何と戦うんだよ…。

 しかしまぁ今から話す内容は士郎には話さないつもりだったし丁度いいか。

 どこに行くのか尋ねると道場に行くとのことなので、そのまま見送る。

 仲間はずれじゃないよ!

 ただ桜ちゃんのことについて話すから、士郎に話すとそのまま飛び出しちゃいそうだし今は置いておくってだけ。

 時が来れば桜ちゃん自身から話すか、終わってから言えば良いだろう。

 

 

 

「はい皆集合~」

 

 手をパンパン鳴らして言う。

 その声に集まって来る。

 

 元々居間に座っていた凛、セイバー、キャスター、イリヤに桜、洗物をしていたアーチャーが集まる。

 宗一郎氏は学校だ。

 ついでに言うと、虎の姉さんも一緒にご飯食べたけど同じく仕事で学校へ。

 休校中でも先生の仕事があるそうだ。

 

「さて、今回集まってもらったのは……、でも何から話そう?」

 

「私に聞かないでよ」

 

 イリヤが冷たい…。

 出番が少ないからだろうか…?(メメタァ

 

「あの…」

 

 手を上げながらそう言ったのは桜だ。

 

「はいはい桜っちなんですかい?」

 

「聞きたい事があるんです、間桐家の事で…」

 

「それだ! それを言おうとしてたんだった」

 

 ―――バシンっ!!―――

 

「ごめんなさい…」

 

 イリヤに叩かれた…痛い…。

 

「えっとですね、間桐家なんですが実質潰しました」

 

「「「え?」」」

 

 凛、セイバー、桜が驚く。

 イリヤ、アーチャー、キャスターにはとっくに伝えてあるので、反応なしでお茶を飲んでる。

 それも仕方ないよな。

 でも本当の事なのだ。

 

「それってどういうことですか?」

 

「桜っちが不幸になった原因である間桐臓硯を排除したんだ。あいつが間桐の支配者だからな。だからあいつが居なくなった間桐家は実質潰れたという事さ。

 キャスターが士郎達を相手している間に、俺は間桐家の方へ行っていたというわけさね」

 

「殺した…んですか?」

 

 そう不安気に聞いてくる桜ちゃん。

 その表情は困惑やら何やら、色々と入り混じって表現のし辛いものとなっている。

 それを見て、俺もまた悲しくなる。

 どうやったらこんな表情になるんだよ。

 十数年にも及び絶望の淵へと立たされ続けたと知識で知ってはいても、直接的にそれを知っている訳ではない。

 俺がコウジュになるまでに生きた人生なんてのは20年そこそこでしかない。

 そういう意味では少しだけ人生の先輩ではあるが、所詮はその程度だ。

 あっちには魔術も何もない。知らないだけかもしれないけど少なくとも俺の周りには他愛無い日常があふれていた。

 だから、こんな今の桜ちゃんみたいな表情をする奴はいなかった。

 それだけあっちが幸せだったということなのだろう。

 でも、今俺はここに居て、桜ちゃんの目の前に居る。

 

 うん、やっぱりこういうのは苦手だ。

 他愛無い日常を知っているからこそ、こんな表情をする子が居るってのは我慢ならない。

 貰い物の力だけど、今は桜ちゃんに幸せってやつを届けようか。

 

「死んではいないと思う。医学的な死亡ってのに照らし合わせれば…的な」

 

「何で顔を逸らすのよ」

 

「ヤマシイコトナンテナニモアリマセンヨ?」

 

 俺はお道化るようにそう言った。

 桜ちゃん以外の皆はまたか…みたいに呆れ顔だ。

 

「コホン、まぁ正確にはこれを使ったから結界?別空間?的なところに居るよ」

 

「何で疑問形なのよ…」

 

「それが俺にもよくわからなくて…」

 

 ジト目で見てくるイリヤに苦笑いしながら、俺はカードを出して皆に見せる。

 カードの表面には、禁忌『一条祭り』の文字と、黒い背景にポツンと一条祭りとマジックで書かれた有〇みかんの段ボール箱が描かれている。

 

「牢屋みたいな空間を作るためにとあるものをモチーフに作ったんだけど、何故か元祖そっくりのよくわからないものになっちゃってな…」

 

 元ネタはぱにぽにの一条さんが使ってたアレだ。

 蟲爺を捕えておくための何かを考えた時に思い付いたのがそれだった。

 ルームグッズの段ボールに“一条祭り”と書いて、カードにして、アニメで見たようなよくわからない何かを想像しながらスペル化させたらできたものだ。

 

「正直、よくわからないままよくわからないものを作った所為でほんとよくわからないものになってしまったんだ。うん、自分でも何を言ってるかよくわからない」

 

「そ、そうですか」

 

 桜が若干引き気味になる。

 作った俺でも何かこれ怖いもん。当然だよな…。

 とりあえずカードを仕舞う。

 

 ちなみにどんなふうに使ったかというと、はいダイジェストドン!

 

 

 

 

 

 

『ちわー宅配便です』

 

『あ奴らおらんのか…仕方ない。ハンコはどこに押せばいいんじゃ?』

 

『あ、ここにお願いします……禁忌『一条祭り』発動(ボソ』

 

 SYGYAAAAA!!!!

 

『な、なんじゃこれは!? ぐあぁぁぁぁっぁ……』

 

 パクッ…

 

『何これ怖い…』

 

 

 

 大体こんな感じ。餌がどうとかって俺を見ながら言ってたからひょっとすると蟲の餌食にするつもりだったのかもしれないけどなったのは爺さんの方でした。プギャー。

 ってかまじで何なのコレ。

 爺×触手とか誰得よ? 触手×爺? すいませんそっちの世界は知りたくありません。

 さておき、真っ黒い闇が凝縮したようなとでもいうべき何かが触手となって爺さんを箱の中に引きずり込むのを間近で見た俺はしばらく動けなかった。

 しばらくして再起動した俺は家の中に入り、地下へと行ってうじゃうじゃ居た蟲達を取り込もうと再びスペルを唱えたんだけど、再び触手が現れパクパク食べ始めたのだ。

 部屋の中に貯まっていた臭いとその光景にほんとドン引きしました。

 アニメでも確かに人を取り込んだりしてたし、中から出てきた人が性格変わったりしてたけど、ほんと何なのコレ。誰か入って中見てきてくれないかな。俺は行きたくないので。

 

「そ、そういえば兄さんはどうなったんですか?」

 

 俺がガクブルしだしたので、桜が話題を変えてくれたようだ。

 気遣いのできる良い子ですな。

 そこの幼女も見習ってほしい。一人アイス食べてないでさ。

 

「あ、それ私も気になる」

 

 凛が続けて声を上げた。

 俺の視線にもどこ吹く風と美味しそうにマグマグとアイスを食べる幼女から視線をそらし、桜ちゃんと凜に目を向ける。

 ただ、二人の言う人物に心当たりがない。

 桜ちゃんにお兄ちゃん居たっけ?

 お姉ちゃんは凛ちゃんでしょ?

 えっと―――

 

「―――あ! ああ!! あのワカメね」

 

「あんた今忘れてたでしょ…」

 

 ジトーっとした目で凛がこちらを見てくる。

 最近ジト目をされるのにも慣れてきた。

 いやでもこの間見に行った時にあまりにも変貌していたものだから思考が繋がらなかったのだ。 

 

「とある軍隊に所属するオホモダチのまん前に鍛えてやってくれって張り紙と共に放りだしただけだよ?」

 

 カキンっていう擬音が聞こえそうな位に場が一瞬で凍る。

 

「なんでか筋肉ムキムキになって、良い笑顔してたもんだから思考の端に放棄してたわ」

 

 肌も焼けて、髪も肩を越えるほど長いワカメになって何故か色素が薄くなってて、斧を片手に走り回ってたんだよなぁ…。

 イリヤ経由で用意してもらった訓練場所だったんだけど、何なんだろうねあの場所。

 防具着てもうちょっとガタイがよくなったらブルァァァ言いそうだった。

 もう2度と行きたくない。

 

「…そろそろ戻そうか?」

 

『戻さなくて良い(です)(わ)!!』

 

 デスヨネー。

 

 

「ごほん…。さて、最後に桜っちの今の状態を教えとこうかな。何してんだかわからんけど、丁度士郎も居ないしな」

 

 若い男の子が一人で何してるんだか(意味深

 まぁ元々この話をする時は士郎に席をはずしてもらおうと思ってたしほんと丁度いい。

 もし戻ってきても俺の耳が音を拾ってくれるだろうし、このまま続けよう。

 

「私の状態、ですか…」

 

「うい。桜っちの身体の弄られちまってた部分の事なんだが、キャスターにも手伝ってもらってなんとか戻せたよ」

 

 今回のひと騒動の前から色々準備してたわけだが、キャスターの手伝いもあり大体正常な状態へ戻せた。

 桜っちの身体の弄られ方は正直許せなかったね。

 弄られるなんて言葉だけじゃ言い表わして良い事じゃないだろうな…。

 桜っちの元々受け継いでいる属性を間桐家の属性に無理矢理変えて、その状態を無理矢理固定し続けてたんだ。

 そのために桜っちの中には何匹もの魔術媒体である蟲がかなり居た。

 キャスターも同じ女性としてかなり許せなかったのだろう、蟲を桜っちの中から排除する時の悲痛な顔は忘れられない。

 原作知識からだが、蟲に犯され続けた結果がこれだった筈だ、文字通りの意味で…。

 

「安心しなさい。私とコウジュが責任を持ってすべて排除しておいたわ」

 

「私の身体が……う、うぁ………」

 

 俺の言葉に続けるようにキャスターが言うと、桜ちゃんは暫く呆然としていたが静かに涙を流し始めた。

 そのままダムが決壊するように感情を掃き出しながら泣きはじめる。

 そんな彼女を凜ちゃんが静かに抱きしめる。

 あ、やばい。俺も泣きそう。

 

 そのまま少しの間、桜ちゃんが泣き止むまで待った。

 あ、泣いてませんよ俺は。あれ汗だから。

 さておき、落ち着いた場を見計らって話を続ける。

 

「もう安心していいよ。君の中に居た本体(・・)も取り除いた」

 

「本体っていうのはどういう事?」

 

 凛ちゃんはその部分が引っ掛かった様で聞いてくる。

 そういやそこまでは言ってなかったから仕方ないか。

 

「桜っちの中にはな、身体をいじるためのとは別に特殊な蟲が居たんだよ。そいつが居た場所は心臓(ここ)だ」

 

 自身の心臓がある位置を指差し言う。

 ふにょんと余計な肉がぶつかってちょっともやっとする。

 おいそこの赤いのこっちを親の仇でも見る目で見るんじゃない。

 でも怖いので何も言わずに話を続ける。

 

「その蟲ってのはな、桜っちにこんな事をした張本人の本体だってわけさ。奴は本来なら寿命を迎えて居てもおかしくはない年齢なんだ。じゃあなんで生きてるのか。その答えが自身を魔術の蟲と化し、生き永らえる事。そしてその本体を桜っちの中に隠していたってわけだ」

 

 臓硯も昔は良い奴だったらしい。

 世界の悪を無くすため、聖杯戦争というものまで創って第三魔法を求めた。

 だが長い時の中で魂が劣化し外道になったとか…。

 なんだっけか、世界を救うには人間程度の寿命では足りないから永遠の命を求めたけど、いつしか永遠の命を得ることに固執し過ぎて、手段と目的がおかしくなっちまったんだっけか。

 だからといって、桜っちにした事は許せるわけがないので一条祭りの刑にしたわけだが…。

 

「で、その本体の蟲を宝具の一つ使って斬り取ってしまったわけだ」

 

 軽く言ったがこれがいつしか自分の身を粉にして(物理的に)頑張ったから出来たことだ。自分のことながらよくやったよ。

 方法というのが、『サイカ・ヒョウリ』と第二魔法(キシュア・ゼルレッチ)の例のコンボだね。

 サイカ・ヒョウリは『過去と未来の過ちを支配し、表裏一体の運命をくつがえす程の力を持つ』というテキストを持つ。

 つまりは歴史の書き換え、運命の操作、因果律の操作だ。大変なチートである。

 ただ、問題はやはり剣を通して概念を使ってるってイメージを俺が持ってる所為で実際に対象へと斬りつける必要があることだ。

 一応スケープドールを桜ちゃんに持たせた状態でやったけど、一定確率で即死するし、助けようとして殺っちゃったでは済まないからマジで頑張った。

 第二魔法で成功の確率を呼び寄せ、その状態で桜ちゃんの一部の運命を切り取るためにかなりの精神を摩耗したね。

 切り取った運命は本体の虫が桜ちゃんの中に入ったって部分。

 本来なら蟲全部に対してやるべきだったんだろうがそれだと士郎との出会いやら想いやら他の部分も一緒に消えてしまいそうだったので止めた。蟲全部ということは入れられたこと全てが無かったことになり、その後に起こったことも全て変化してしまう可能性があるのだ。

 それにその改変によってどこまでの影響がこの世界に現れるのかが分からなかったのも大きい。

 ともかく切り取ったことで取り出せた本体の蟲は一条祭の中に放り込み、その他の部分はキャスターに取り出してもらったり、母体として弄られていた部分も治してもらった。

 流石はキャスターさん。心霊医術もお手の物です。

 

「あとはキャスターが身体の弄られていた部分とかを正常に戻したりと色々してくれたから、今の桜ちゃんは精神的にも記憶的にもまだしこりはあるかもしれないけど、きれいな身体にしてくれて在る筈だよ」

 

 男の俺としては、女性としての機能を弄られていたことがどこまで不幸なことかはわからない。

 でも、その弄られたという過去の所為で折角解放されても好きなように生きることが出来ないというのはきっと悲しいことだ。

 だからキャスターにお願いしてみた。

 キャスターなら同じ女性だし、その辺のことは全て理解したうえで上手くやってくれるだろう。

 

 俺? 俺はほら、身体は幼女になったけど中身男だし。

 

「ありがとう…ございます……」

 

「ははっ。喜んでくれてなによりだぜ。俺も頑張ったかいがあったってもんだ」

 

 うん。やっぱり嬉しいもんだね、感謝されるってのは。

 でもおかげでまた桜ちゃんの涙が流れ始めた。

 あー、あー、美人さんが台無しだ。ほらハンカチ上げるから。

 まぁそこまで喜んでくれてるってことなのかな。

 

 そこでまた一つ、告げないといけないことがあるのを思い出す。

 

「あ、そうだ。も一つ言っとかないと…。桜っちが凛ちゃんと姉妹喧嘩?してる時に使ってた黒い影みたいなのあるじゃん? あれ、実はまだ多分使えるんだよねー」

 

 そう、例の触手だ。

 アレの正体は聖杯からの魔力供給により生来の持つ魔術素養『架空元素・虚数』と、間桐の『吸収』をかけ合わせた『影』。

 とは言っても劣化版で、俗に言う黒桜(ヤンデレモード)程のエグさはない。

 本来ならありとあらゆる生物を溶解し、吸収するほどの力があるが、あの時の擬似聖杯はリミッター付けたりと所詮は御芝居用まがいものだし、あの時点で桜っちの身体は戻っていた。

 元々は、属性が異なる間桐の魔術に無理矢理慣れさせられた体だから生来の素養を引き出すことは本来不可能である上に、魔術師としての教育を受けていない所を聖杯によって無理矢理に負の感情を『影』として表出していたのだ。

 それを、桜っちの身体を戻した際に属性も戻ったためにキャスターがこれ幸いと新たな擬似魔術回路みたいのを作り、蟲から間桐の素養『吸収』を抽出してパクッて再現したのだ。

 

 あの時のキャスターはマジで恐かったな。魔術特性を奪われた上に、家系を断絶されて良い気味って、ウフフフフっと笑いながら言ってたからね。

 思わずドン引きしてその場を離れた俺は悪くない筈。

 

「えっと…そこにいるキャスターからのサービスみたいなもんらしいよ? まぁ間桐を思い出す『吸収』が嫌なら取り除くらしいけど」

 

 そう言うと、照れたのか無言でフードを深くかぶり直すキャスター。

 だけど、頬が赤くなったのは見えてるとです。

 小さいとただの萌えキャラだなー…。

 

 っと続き続き。

 

「桜っちの魔術の才能って実はものすごいらしい。魔術の名門である遠坂の後ろ盾がないと封印指定されて、ホルマリン漬けの標本にされる位にさ。だから、これからは自衛手段があった方が良いってわけで『影』の出番なわけだ。

 あ、でも最初から敵なしなわけじゃないからちゃんと練習やら修業は必要だとさ。

 まぁ幸いにも教師は事欠かんわな。

 優しいお姉ちゃんに士郎と一緒に教えてもらうとかいいかもね。キャスターも教えてくれるだろうさ」

 

「姉さん…と…先輩と……」

 

 たくましいな、おい。

 今の今まで涙流してたのに今はもう妄想の世界に飛び立ってるぜ。

 女の子って強かデスネ…。

 とはいえ喜んでるのを邪魔するほど無粋な真似はしたくないし、おいておこう。

 凜ちゃんも何か桜ちゃんに話したそうだし、他の面々も御開きの雰囲気に気付き各々が席を立ち始めた。

 

 それじゃ、俺もそろそろ行くかね。

 したかった話もとりあえずは終わってるしね。

 

「さて、話も終わりだしちょっと出てくるぜ」

 

「ひょっとして釣り(・・)に行くの?」

 

 イリヤが扉を出ようとする俺に話しかけてきた。

 事前にイリヤにも言ってあったから気づいたのだろう。

 

「うい。青くてピッチピチの釣ってくるぜぃ」

 

「そう…。じゃぁ私もそろそろ(・・・・)な訳ね」

 

「あぁ、よろしくな」

 

「ええ。キャスターお願いできるかしら?」

 

「分かったわ」

 

 今度こそ俺は居間を出て玄関へ向かう。

 ではでは、まずは商店街辺りに行くとするかね。

 

 

 

 

 

「おっちゃん。それ各種10個ずつちょうだいなー」

 

「あいよ。いつもありがとよ。それにしても毎度思うが良く食べるなぁ嬢ちゃん」

 

「おっちゃんのが美味しいのがイケないんだよ。ついつい食べちまう」

 

「そいつは悪い事をしたな。お詫びにサービスしといてやるよ。ほい」

 

「いつもありがと、はい代金」

 

「おう。またよろしくなー」

 

 

 何してるのかって?

 たい焼き買ってんだよ。前食べてはまっちゃって、常連さんになっちまったんだぜ。

 はぐはぐ…。んまー!

 

 釣りはどうしたって?

 準備は万端、仕掛けは上々、後は結果を御覧じろってね。

 ま、その内わかるさ。

 

 

 

 

 

 俺は歩く。ひたすらぶらぶらと。たい焼きを食べながらぶらぶらと。

 冬木市の大体は見れただろうか。

 時間もだいぶ経ったのか、日が落ちるのが早いとはいえ太陽はもう沈み始めている。

 

 そろそろ…かな…? 

 

 俺は最後に士郎達と戦った、あのアインツベルンの森の中の広場に来た。

 はぐっと…。

 最後のたい焼きを口に放り込む。

 ついつい数十あったやつ全部食べちまったよ。

 イリヤ達の分残すの忘れてたけどしかたないよね!

 

「さてっと、貴様見ているな!!!」

 

 あ、イタイとか言って引かないでねー?

 厨二的なあれでもないし、『皆近づくな!俺の中に封印されてる奴が(ry』的なものでもない。

 皆なら気づいてると思うが、これこそが釣りだ。

 ただし釣るのは、英霊だけどね。

 

 

 

 

「よう、嬢ちゃん」

 

「やぁやぁこんばんはです」

 

 はは、釣れた。

 まぁ居るのは分かってた。

 だからこそ人気の無いこの場に来たわけだしね。

 でもまさかここまでスムーズに一日目で引っかけられるとは思わなかったけど。

 

「どうやら気づいてたみてぇだな。いつからだ?」

 

「最初から…かな? 来ると分かってるんだから警戒しないわけないっしょ」

 

「ごもっともだ」

 

 最近さらに獣化しているのか五感がかなり鋭くなっている。

 普通にしてるだけならちょっと敏感位だけど、今回みたいに警戒してたら分かる事が出来た。ついでに気配みたいなのも。

 英霊の尾行に気づけるとかマジちーとぼでぃ……と言いたいところだけど。

 

「それほど気配殺してなかったでしょ? 隠れもせずにあんなことしてたら気づいてくださいって言ってるようなもんじゃん」

 

「はははっ確かにその通りだ」

 

「まぁ俺としても、ここまでついてきてくれたのは助かったよ。周りを巻き込まずに済む」

 

「そうか。でもな嬢ちゃん、悪いんだが死んでくれ。何の恨みもないんだがマスターの命令なんでな」

 

「おろ? 俺を殺しに来た割には不満気だね」

 

「ったりめぇだっての。何でこんな無関係そうな、いや、今まさに殺されそうってのに平常で居られる時点で普通じゃねぇか…。何もんだ?」

 

「ふーん。あの麻婆、ランサーに何も言ってないんだ。そいつは好都合。

 では自己紹介といこうか。俺の名はコウジュ。少し前までバーサーカーを拝命していた異世界の英雄だ。ちなみに今無職」

 

 俺は手に武器を呼び出した。

 呼ぶのはスピア、『トライデントクラッシャー』。

 見た目はあまり槍っぽくない。

 幅広の長方形の刃が持ち手側が少し広がるように付いており、白く輝いている。先端が無いためにあまり突く為ではなく斬る事に適しているように見える。

 白く輝いているのは白き輝石とかいう珍しい鉱石を使っているかららしい。

 概念は無し。

 ただし、HP吸収効果と特殊エフェクトで粒子が舞ったりする。

 

「どうやったかは知らねぇが受肉している英霊か。なら、全力で行くぜ」

 

「んじゃ、槍比べといこう」

 

 手に持つトラクラさんをヒュンっと軽く振る。

 振った軌跡を光る粒子が舞いとてもきれいだ。

 そして、持ち手の真ん中辺りを片手で持って後ろに引き、半身で構える。

 

「槍だと? はっ! ランサーのクラスに槍でケンカ売ったことを後悔させてやるよ!!」

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?

今回は前回コウジュが暗躍して何をしていたのかと青い兄貴をホイホイしちゃう話でした。
勿論性別上は男同士でもないし、精神的にもアーッな展開にはなりません。
槍比べ(意味深 をするだけです。

冗談はさておき、そろそろ終盤も近づいてまいりました。
今後もハッピーエンドを目指して頑張りたいと思います。


P.S.
チャレンジ楽しいですね!
共通シップに行くと元の鯖と連絡できないからあまり行けてませんが、『Kouju』の名前にピンときたら、フレンドなど頂けると嬉しいです。未だチャレ友居ないもので(笑)
あ、見た目は大体白い幼女です。チムメンいわくあざとい格好しているらしいですが、私的には凛々しい格好を基本的にしているはずです。大体は…。

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