テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編    作:onekou

49 / 162
どうもonekouでございます。

遂に最終決戦! 
今回で聖杯戦争も終わりです!!


『stage47:劇的○フォー○フター』

 

 

『『unlimited blade works!!』』

 

 

 そう、ギルガメッシュが飛んできた瞬間にアーチャーとイリヤが言うと、辺りはいつしか見た剣と歯車が支配する世界に変わっていた。

 最後の言葉の前の詠唱もやけに容易く俺の中に入ってきたが、この世界こそが俺に入るべきものだったのだと理解する。

 いや、訂正だ。

 理解させてくれた(・・・・・・・・)と、そう言うべきなのだろう。

 先程から、俺が手に持つエクスキャリバーが熱を持っているかのように脈動し、俺に何かを流し込んでくる。

 そして同時に、これこそがコウジュが俺に見出していたものだと理解する。

 剣の世界…。

 アーチャーとイリヤは“unlimited blade works”…、無限の剣製と呼んでいた。

 どういう理屈かは分からないが、この世界は俺の世界でもあるようだ。

 分からない事だらけだ。

 アーチャーの事も、イリヤの事も、そしてこの世界が俺の世界でもあると思ってしまう事も。

 けど、無駄なんだろう。

 ここはそういう(・・・・)ものなんだ。

 理解するのではなく、ただ認めれば良い場所。

 

「どう? コウジュのプレゼントは」

 

 空間そのものから溶け出すように現れたキャスターは、俺の横でそう言った。

 あれ、そういえば途中で居なくなってたな。

 

「聞いてる?」

 

 俺の前に来て、下から覗き込むように聞くキャスター。

 今は身長が小さくなっているから自然とそうなるが、それにしても以前の威厳というか、カリスマ性? が無くなっているな。

 まぁだいたいコウジュの所為だが。

 改めてそう感じながらも、俺は他の思考で埋め尽くされている。

 当然この世界についてだ。

 視線を前方へ戻す。

 そこではアサシン・ランサーと共に、2人の紅い弓兵がその名とは違い、地面に刺さったいくつもの剣を駆使しながらギルガメッシュの宝具に対応していく。

 どうやら弓兵は白兵戦もできなければならないようだ。

 俺自身、弓を担うと同時に剣を握ることに忌避感を覚えてはいない。

 ひとまず、俺はそこから目を離さずに答える。

 

「確かにこれはすごいよ。どこか懐かしさすら感じるほどにこの世界はしっくりと来る」

 

「ならよかったわ。コウジュも報われるわね」

 

 再び俺の横に戻り、俺と同じように遠くに見える闘いを見るキャスター。

 俺は再び、視線はそのままにキャスターに質問する。

 

「そういえば、今までどこに居たんだ? ライダーも居ないし」

 

「ああ、そういえば坊やは知らなかったのよね」

 

 キャスターは指折り数えながら言ってくれた。

 

「まず私だけど、私は今回結界担当なのよ。柳洞寺の結界だって私が弄ってあるし、この固有結界だってホントは現実世界を塗りつぶすように現れるものだけど、それだと分断できないから結界を応用して少し層をずらして世界を構築する様に調整してるわ。普通はできないけど、色々と条件がそろったから何とか出来たのよね。コウジュとあの神父が居ないでしょ?」

 

 層をずらすとかはよくわからなかったけど、コウジュと言峰が居ない事で分断が成功した事は分かった。

 

「次にライダーだけど、ライダーは桜とあのダゼット?とにかくランサーと一緒に来た女性を守っているわ。念の為だけどね」

 

 ……バゼットさんじゃなかったっけ?

 いや、今は置いておこう。

 とにかく他の皆が無事でよかった。

 

「さて、後ろの2人はいつまで呆けているのかしら?」

 

 そう言って、俺への説明を終えたキャスターは後ろを振り向く。

 後ろに居るのはセイバーと遠坂だった。

 あまりにもあまりな状況のカオス具合に思わず呆けてしまっていたのだろう。

 根が真面目な二人の事だから許容しきれなくなったのだと思う。

 俺? 俺はもう諦めの境地に至ったから、うん…。

 

「キャ、キャスター。出来れば私はこの状況や、いえもう全ての状況解説をお願いしたいのですが?」

 

「私も…さすがにこの状況はコウジュだからで済ませてはいけない様な…。いや今までと変わらないと言えば変わらない?」

 

 やはり、2人はついていけていないようだ。

 そんな2人の質問は無視して、キャスターは続ける。

 

「今から総攻撃するけど、来るかしら?」

 

 そう満面の笑みで言う。

 

「速く終わればそれだけ速く質問タイムが取れるわよ? ついでにストレス発散を――」

 

 その言葉をキャスターが言いきる前にセイバーと遠坂は既にその場に居なかった。

 いやもう過剰戦力だと思うんだけど、それ以上に成さなければならないことがあるだろうな。

 因果応報というやつだろう。

 

「坊や、あなたはどうする?」

 

「当然俺も行く。この状況とはいえ、女の子にばっかり戦闘任せるってのもあれだしな」

 

 俺は手の中にあるエクスキャリバーを強く握り、走り出す。

 走ると同時、もう片方にカリバーンを投影する。

 片手剣と両手剣、本来同時に使用するものではないが、必然とその使い方や身体の動かし方が漏れ出す。

 先程のことで魔力も充実しているのか、ダルさもなく体が前へと進む。

 既にギルガメッシュは満身創痍な気もするが、仕方ないのだ。

 

「このて…ぐふぁ!? …程度で…おぐ!? …やられると…がはぁっッ!?」

 

 金ぴかも、こうなりゃただの、サンドバッグ。字あまり。

 そう思いつつも、俺もその闘い?に突っ込んでいくのだった。

 現実は非情である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったくひどいですよ。死んでしまったらどうするつもりだったんですか?」

 

 俺の近くでキャスター達に文句を言っている金の髪の少年(・・)にギルガメッシュがなってしまったからだ。

 

「ん? どうかしましたか?」

 

 俺が目線をやったのに気付いたのかこちらを見てくるギルガメッシュ(少年)。

 

「もうわけが分からん」

 

「確かにそうですね」

 

「とりあえず何でお前そんなに性格変わってるんだよ」

 

「さあ、何ででしょうね。僕としてもあの性格は意味が分かりませんし」

 

「自分の事だろうに…」

 

 俺の問いに対して朗らかに笑いながら首を傾げる姿に毒気が抜かれてしまう。

 ただ、キャスター達はこうなることを知っていたようで驚いてはいない。

 恐らくとどめを刺す寸前にイリヤが掌底と共に心臓の辺りへと叩き込んでいたカードが原因なのだろう。

 カード、低年齢化、そう来れば大元の原因は分かる。

 性格まで変えてしまうとは改めて恐れ入る。

 でもまさか性格まで変わってしまうとは…。

 しかし、これで一先ずこの戦いも終わりなのだろう。各サーヴァント達が武器を下ろしている。

 一番ギルガメッシュに敵意を燃やしていたイリヤも既に警戒を解いている。

 短剣片手にやや不満顔の遠坂が居るが、さすがに屈託ない笑顔の少年を攻撃しようとは思わないようだ。

 

「じゃあ元の世界に戻すわよ? アーチャー、イリヤ」

 

「心得た」

 

「了解したわ」

 

 そして、キャスターが2人に指示を出した後、指を鳴らすと世界を構成するモノは崩れていき、先程まで居た柳洞寺の境内へと景色が戻っていく。

 外に残された言峰とコウジュはどうなっただろうか。

 心配するだけ無駄か。何せあのコウジュだ。

 苦笑交じりに俺はそう思い直す。

 しかし、出てきて早々に目に入ったのは、ビルのようにバカでかい人型の何かだった。

 

「なによ…これ…」

 

 遠坂が口に出したその言葉は俺も今まさに言いそうになった言葉だ。

 

「うわ、何あれ気持ち悪い」

 

 続いてイリヤがそう言った。

 改めてみると本当にでかい。ウルト〇マンとかが闘うべき大きさだ。

 その怪物が、大きな体をうねらせながら腕を振り回し暴れている。

 

「む…? あれは…誰か戦っていませんか…?」

 

 セイバーが巨人の首の辺りを見てそう言う。

 俺もそこへ目をやると、確かに何かの影が飛び周りながら攻撃して行っているのが見て取れる。

 少し速くて見づらいが、目を凝らし見てみる。

 そして、何とか見れた影の正体はコウジュだった。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

「っるぁあああ!!!!」

 

 轟音と共に振られた腕を宙を蹴ることで辛うじて避け、そのまま身体を回すことで腕へと剣を振るい抉り取る。

 だが浅い。

 傷自体は大きいが、対象の腕そのものが大きいために相対的に言えばかすり傷にしかならない。

 そしてその傷も、すぐに塞がる。

 傷周囲の泥がうねうねと動き、傷ついた場所を埋めていく。

 

「キリがねぇなおい!!」

 

 双剣で斬る。斬ったものを剣が吸収して俺の力となる。

 だけど、何度斬っても終わりが見えてこない。

 レア掘りの為に連日クエストに潜るくらいならやるんだが、これほどにやりがいの無い討伐は心が折れそうになる。

 そんでもってめんどくせぇことに徐々にボッチ神父の速さが少しずつ上がってる。

 

『どうした!! 息が上がっているではないか!!』

 

「っるっさいわ! サイズ考えろサイズを!!」

 

 文句言うなら俺に巨大合体ロボでも渡せやおらぁ!! ただでさえ幼女なのにその大きさは無理だっての!!

 そう叫ぼうとするも、象程度なら容易く飲み干せそうな咢がこちらへと向かってきたので慌てて回避する。

 ついでに一閃。

 しかし、思うほどのダメージを与えられない。

 まったく聖杯とどんな化学反応が起こったらこんな姿になるんだっての。

 そう思考するも答えが出てくるわけもなく、振り下ろされてくる腕を避けながらひたすら斬る。

 

「っと!?」

 

 ボッチ神父の腕を避けたつもりが、少し袖に引っかかってしまい片袖を持っていかれてしまった。

 そのことに一瞬動揺するも、追撃が来ていた為一先ず避ける。

 そして避けた所で今の回避ミスについて考える。

 何がいけなかった?

 速さが上がってきていたとしても、まだ余裕はあった。

 なのに、避けきれなかった。

 チート武器以上に頼りにしている勘の通りに動いたのに、どういうことだ…。

 

『ふはははは、馴染んできたか』

 

「ってきめぇ!?」

 

 思わず吐いてしまった言葉、その原因とも言える光景が先程の疑問の答えになった。

 ボッチ神父から触手がいっぱい生えてきてなんかタタリガミになってるのだ。

 腕の辺りにもいっぱい生えている。

 腕そのものにばかり集中していた俺はその各部から生える触手に服を持っていかれたってわけだ。

 人型ですらなくなってきたそれは、どこまでも嫌悪感を掻き立てる。

 

「……そこまでして、町を、世界を、壊したいのかよ」

 

『当然だろう?』

 

「っ…」

 

 当然と言い切ったその性根に、俺はとてつもない拒否感を感じた。

 俺が元々平穏な日常しか知らないというのもあるのだろう。

 その中で居た時はただただその日常を享受していたに過ぎない。

 でも、今となってはその素晴らしさが分かる。

 それを、こいつは、全否定した!!

 

「あーもう!! ブチ切れた!! ちまちまやんのはヤメだ!」

 

『ならばどうするかね。この身体を滅ぼしつくすこと自体は君には可能であろう。だが、それをすればこの町が跡形も無くなると思うが? それに私も只々やられている訳でもない』

 

 嘲笑。

 お前に何が出来るのかとそう言外に言う言峰。

 ああその通り。チマチマと斬っていてもキリが無いのは確かだ。

 高火力で一気に殲滅しても町ごと吹っ飛ぶのは最初から分かっている。

 だからこそお前は泥に塗れてそんな姿になったんだろう。

 俺を殺してその上で全ての破滅を望んだ姿がソレなわけだ。

 その発想は確かに正解だろうよ。事実、俺は徐々にお前に押されている。

 このままやれば俺の脆弱な中身はその泥にいつしかこそぎ落されるだろうさ。

 だけどお前は一つ忘れている。

 俺のクラスはバーサーカーだ。

 俺はまだその本領を発揮しちゃぁいない。

 

「だったら、速くだ。再生するよりも速く、お前が何かするよりも速く、その全てを切り刻めば良い」

 

『この泥に触れずにかね?』

 

「ちょいと後が面倒だが出来ないことは無いのさ」

 

『世迷言を!!!』

 

 じゃ、試してみるがいいさ。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

『■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■―――――――――!!!!!』

 

 

 

 巨大な何かとコウジュの戦いを見ていた俺たちの所へ、爆音が轟いた。

 声ではなく意味も無い、ただひたすらに感情を表すだけの獣の遠吠え。いや、咆哮だ。

 初めは巨大な怪物の方が原因だと思った。

 身体には触手のようなものが増え、コウジュを押し始めたからだ。

 でも違った。

 その轟音の正体はコウジュだ。

 コウジュの姿もまた先程までとは明らかに違っている。

 大きさは2m以上にまで膨れ上がり、全身は黒い毛に覆われ、背中では黒い奔流を翼のように撒き散らし、両の腕には刃の紅い斧のような刀身をつけ、そして何よりもその顔は狐とも狼ともつかぬ獣の顔になっている。

 

『■■■■■■■■――――!!!!!』

 

 もう一度吠えた。

 その黒い獣となったコウジュは同時に、先程まで握っていたツミキリオモテ・サイカオモテをハンドガードごと無理矢理持つようにして構える。

 いや、構えるなんて上等なものじゃない。

 ただ握って、斬りやすい様にぶら下げているだけだ。

 実際に、今まで見てきたような流派なんて関係ない最短距離を行く動きではなく、只管に振り回し始めた。

 でも、ただそれだけなのに先程までとは違って巨大な何かは苦しんでいるように見える。

 そして段々、段々と俺にもコウジュの動きが追えなくなってくる。

 速い。まだ速くなる。

 遂には軌跡すら捉えられなくなってきた。

 

「あちゃぁ、やっぱりこうなったか…」

 

 戦いに見入っていた俺はその声にハッとする。

 すぐ横を見ればイリヤ。どうやら彼女が言ったのだろう。

 その彼女は手で頭を抱えるようにしている。

 それにしても何がやっぱりなのだろうか?

 そう考えていると、見ている俺に気付いたのかイリヤがこちらを見た。

 

「あー、そう言えば士郎…とセイバーと凜にもまだ言ってなかったわね」

 

 苦笑しながら言う彼女は目の前の戦いそのものはさておき、説明を始める。

 

「順番に話すから最後まで聞いてね。あの外道神父が操っていた聖杯の中身、あれが汚染されているのは前にも言ったわよね? あれはこの世全ての悪という呪いに汚染された泥。だから触れるだけでもただでは済まない代物なのよ」

 

「そんな!? じゃあコウジュが危ないんじゃ!!」

 

 慌てて駆けだそうとする俺をイリヤが手を引き、止めた。

 

「待ちなさい士郎。言っておくけどこの戦いはコウジュがああなった時点でこちらの勝ちは確定したようなものよ。だからこそ私たちはこうして休憩しているの」

 

 確かに、目の前で未だ響き続けている戦闘の激しさに比べてこちらはゆったりとしたものだ。

 精々キャスターの様子が疲れているように見える程度。

 でも勝ちが確定しているというのはどういうことだろうか…?

 

「士郎、コウジュの能力はね、思ったことを現実にする力なの」

 

「…え?」

 

「ふふ、確かにそういう反応しちゃうわよね。私も最初はしたわ。でも、事実よ。それくらいに規格外の能力。けどそれも良いことばかりじゃないの。思ったことを現実にしちゃうってことは悪い想像も現実にしてしまうのよ。だからコウジュは強いのに弱い」

 

 強いのに弱い。

 その言葉を聞き、確かにと納得してしまう。

 コウジュは何処が釣り合いが取れていないのだ。

 力は強い、宝具も強い、でも、最強という訳ではない。

 何と言えば良いのだろうか、彼女は他のサーヴァントに比べて“上手く”ないのだ。

 

「だからコウジュは、一番最初に自分で思い込むことにした。ギャグ補正というものを」

 

 …はい?

 

「それからは―――」

 

「待ってくれイリヤ」

 

「何よもう、話してる途中に」

 

「それは悪い。でも、聞き違いじゃなければギャグ補正って言ったか?」

 

「ええ言ったわよ?」

 

「いやなんでギャグ補正?」

 

「それを今から言おうとしたんじゃない」

 

 そう拗ねるように言うイリヤ。

 俺が悪かったのか!?

 しかし不思議と言い返せない雰囲気だったので黙ることにした。

 

「コウジュはね。バーサーカーというクラスで召喚されたし、不死身と言って良い能力を持っているけど痛いのが嫌いなの。だからギャグ補正というものが自分に適用されると思い込むようにし、そしてそういう風に振る舞うようになった。」

 

 そうだったのか。

 だからコウジュはあんなにも戦いの中でもふざけるようにして色々と…。

 

「まぁその所為か途中からは素でしている部分もあったみたいだけどね」

 

 コウジュに会ったら謝ろうと思ったけど、置いておこう。

 それにしてもギャグ補正か。

 かなり予想外の単語が出てきたな。

 けど、漫画とかに疎い俺でも何となくだがわかる言葉だ。

 いつだったか誰かが慎二はギャグ補正が効いてるとか言ってたっけ。

 でも確かに、もしそれを自在に扱えるのなら勝機もありそうだ。

 

「つまりそれがあるからコウジュは勝つってことなんだな」

 

「違うわよ?」

 

 …あれ?

 

「そのギャグ補正はコウジュの思い込みによって成り立っているのだもの。コウジュの思考が泥の悪意に曝されればその思い込みはむしろマイナス方向に働くでしょうね。当然世界其の物に対しても」

 

「じゃ、じゃあやっぱりコウジュが危ないんじゃ! 少しは援護した方が良いんじゃないか!?」

 

「だから待ちなさいってば。さっきも言ったけど、コウジュは確実にあの外道神父に勝つ。それだけは確かなの」

 

 どこか誇らしげにそう言うイリヤ。

 笑みすら浮かべて言うその姿を見て、逸る俺の気持ちも少し落ち着く。

 

「コウジュは“ラスボスにギャグ補正は効かない。ガチでやらないとダメだ”と自分で言っていたわ。それもあって彼女はサーヴァント達を自陣に組み込んだ。そして、彼女曰くのラスボスの片方、ギルガメッシュの対応を私たちに任せた」

 

 なるほど、確かにコウジュでもあの泥とギルガメッシュの宝具を同時にやるにはふざけている場合では無いのだろう。

 そして、真正面から闘った場合の勝率はあまり高くないと考えたが故のサーヴァント達。

 けどそれでも、教えてもらったコウジュの能力に対してあの泥はあまりにも相性が悪い筈。

 

 そう思ったことに気付いたのか、イリヤがこちらを見る。

 そして、笑みを浮かべながらもどこか怒気を纏いながら説明を続けた。 

 

「確かにそれでもあの泥は脅威よ。それもコウジュに対しては私たち以上の脅威となる。それはあの双剣があっても尚の事よ。あの剣は結局は斬ることでしか力を発現できないらしいから。だからあのバカはこう考えたのよ。“触ってしまうと自我がこそぎ落されてしまうのなら最初から自我を失った状態で動けばいいんじゃないか”ってね」

 

「つまり、今のコウジュは…」

 

「そう、自我が無い。ただただ目の前の敵に対して攻撃しているだけ。いや、多少はあるらしいけど、そこまで深く考えられる状態じゃないらしいわ。そしてその状態になれる能力こそがバーサーカーというクラスに当て嵌まっている要因なのよ。獣化(ナノブラスト)、それも暴走状態」

 

 待て、待ってくれイリヤ。

 今の説明で新しい単語がたくさん出てきて理解しきれてない部分は多々あるが、それでも今のコウジュがあの泥に対して有効であることは理解できた。

 でも、暴走状態?

 それはものすごく厄介な状態じゃないのか…?

 いやな予感がする。

 

「さて、士郎。もうすぐあの戦闘も終わるわ。だから準備しなさい」

 

 そう言われてハッとする。

 確かにいつの間にかあの巨大だった怪物はその体をあと少しにまで縮め、もう死に体だ。

 その上で、コウジュの勢いは未だ衰えることを知らず、剣を握った手で言峰だったものを殴っている。

 

『■■■■■■■■――――!!!!!』

 

 そして、言っている間にコウジュは全身から魔力を迸らせながら小さくなった泥の塊諸共近くにあるものを咆哮と共に吹き飛ばした。

 しかし、準備とは何だろうか。

 先程感じた嫌な予感がそれに類するものだと自分の中では何故か納得できているが、それでも否定したい。

 

「さぁて、最後の仕事と行くか!」

 

「其れ故の我らだからな」

 

「まったく、仕方あるまい」

 

 ランサー、アサシン、アーチャーが言いながら前へと出てくる。

 その手には各々の武器がある。

 それを見ながら、イリヤが言った。

 

「士郎、言い忘れていたけど、この作戦には最大の難点があるのよ」

 

 ああ、言わなくても分かった。

 何故準備が要るのかも。

 

「ギルガメッシュを私たちが完封。泥をコウジュが完封。だけどね、一度暴走状態に入ったコウジュは戦うことしか頭にないから敵味方の区別がつかなくなるのよ」

 

 言いながらイリヤもまたその手に剣を構えていた。

 

 

 

 

 

 

「あの黒い獣状態のコウジュはフレンドリーファイアお構いなしなのよ」

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?

ラスボスは実はコウジュだったんだよ!! ΩΩΩ<ナ、ナンダッテー‼?
そんなわけでAUOと麻婆神父は哀れとどめを刺される瞬間もカット、となりました。慈悲は無い。

どうしてこうなっただとか、やっぱりかだとか、色々ツッコミはあると思いますが、これが一番コウジュらしいと思うのでこういう落ちにしました。
リメイク前も、今回でも、予想してくださってた方がいらっしゃいたのがある意味嬉しかったです。
暴走落ちなんて最低!なんて言葉が聞こえてくる気がします(笑)

それでは次回、最終戦後どうなったかを入れて一旦のFate編終了としたいと思います。
ではまた!





P.S.
最初の方の話で◆◆◆の使い方などが変わってしまってきてるのでちょっとずつ修正していきます。
また、右端を揃えたりしていなかったり改行に関しては携帯で見た際の画面での見やすさや携帯小説独特の表現をしたくてやっている部分があるので見にくくなっている部分があるとおもいます。申し訳ないです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。