テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編 作:onekou
連投です。
stage0は神様とのあれこれという食傷気味なやつだとは思いますがどうぞよろしくお願いします。
「なぁ先輩、譲ってくれないか。ここはかっこよく後輩にだな…」
「馬鹿野郎。ここは後輩として先輩に譲るところだろ?」
とある本屋で出会った先輩と、最後の一冊を両端で握り合っている俺。周りからはとても奇異な目で見られている。
まぁそれも仕方ないだろう。
片や30歳ほどの特徴らしいものは特にない男、もう一人は居る世界を間違えているのではないだろうかと思わず言ってしまいそうなほどの容姿をした銀髪紅眼の少女。
そしてその二人が取り合っているのは所謂ラノベである。
「幼女は大人しく朝のアニメでも見てろ!」
「よ、幼女ちゃうわ! ってか祭りに行かなきゃならんのに見てられるか!!」
この大人げない先輩と出会ったのはかれこれ10年ほど前だっただろうか。
この世界に転移して来てしばらく、俺は何をすべきかもわからず適当にフリーターをやっていた。
今回は誰かに召喚されるでもなく、落ちた先が普通なマンションの一室だったのだ。
近しいものに会えだとかは言われたが、調べる限りでもこの世界は至って普通の現代社会だった。俺が生前居た世界とほぼ変わらない程に。
どっかで聞いたような物騒な地名も無ければ秘密結社も無い、普通も普通な世界だ。
だがしかし、ビバ普通。いいじゃないか普通。
前のFate世界が嫌いなわけじゃないが、平平凡凡としたこの空気、最高だね!
ただまぁ残念だったのはこの世界に俺の家族が居なかったことか。いやまぁ幼女になってるんで居ても困るんですがね。
さておき、前の世界で手に入れていたお金があったし何故か用意されている俺の戸籍もあったからニート生活もできた訳だがどうも身体を動かしていないとこの身体は気が済まないらしく、とりあえずフリーターをやりながら日々を過ごしてたんだ。それ以前に何もしないという生活は精神的に悪そうなのもあった。
しかしフリーター生活をしていて気付いた。俺はもともと大学生だったのだ。
元々居たのは2流もいいとこの一般大学だったし、それほどの未練がある訳でも無い。けど、今となって改めて思い出してしまうと何故か無性に懐かしくなってしまった。
体感時間で言えば丁度30歳といったところなんだが、少し変わったホームシックみたいなものだろうか。多分、平和な時間が出来てしまった所為で変に思い出してしまい、さらに言えば自分の家族が居ないことを知ってしまったが少しでも前の環境に戻そうとつい思ってしまったのだろう。
とまぁそんなわけで俺は大学に通うことにした。
戸籍が何故かイリヤが作ってくれたコウジュスフィールで設定されていたので、仕方なくそれで通うことにしたわけだが色々と苦労したものだ。
そもそもの見た目がファンタジー幼女だもの。
ケモミミに関してはキャスターに掛けてもらってラーニングした簡易認識阻害があるからどうにかなったが見た目がもう冗談みたいな存在だ。まず大学生には見えない。ついでに言えば国籍が見た目と違うしな。
次に学力。
確かに大学生ではあったが、だからと言ってそれまでに身に着けた学力全てがそのまま頭の中に残っている訳ではない。当然再受験する訳だから10年のブランクもあるし中々に大変だった。覚える系に関してはこのチートボディの御陰か能力の御陰か割かしましだったんだけどね。あとは高卒認定が用意されていたのはマジ助かったぜぃ…。
さて、次がこの名前。
この世界にFateのゲームあるんだよね。当然大学にもfateを知ってる人が居るわけで、というかこの先輩がその内の一人なわけで…。
見た目のカラーリングも似てるから何度『やっちゃえバーサーカー!』を言わされたことか。ちゃうねん、俺言われるほうやねん。
そして最後がそもそもどこに通うかだ。
確かにこの世界は元居た世界に似通っているが微妙に違った。地名然り、有名人然り、微妙に違ったのだ。
ただまぁそこに関しては目の前の先輩(その時はネット上の知りあい程度だった)にうちの大学に来るかと言われて、ついつい新興の3流大学なのもあって入りやすそうだったから入ってしまった。
長々とした回想だが目の前の先輩と会ったのはそんな成り行きでだった。
卒業後も何かと付き合いがあり、基本的に生活圏が似てることもあって度々こうして街中で会うのだ。
「じゃあ先輩、先に読ませてくれない?」
「あー、まぁそれなら良いけど」
「よっしゃ、それじゃあいつもの喫茶店にでも行こうぜぃ。予定の時間までまだ時間あるっしょ」
本を二人で購入し、少し行った所にある行きつけの喫茶店に行く。
そしていつものごとくマスターに奥の席を使わせてもらい本を読み始める。
「コウジュちゃんご注文は?」
「あ、二人ともいつもので!」
「お前が言うのかよ」
「今日も仲が良いわね」
「そんなことないですよ。こう、腐れ縁?」
「本人を前にして言うことじゃないよな、それ」
「はいはい、とりあえず爆発して待ってなさいな」
「どんな待ち方!?」
いつも注文を取りに来てくれる店員のお姉さん(26歳独身彼氏無し)に注文を行うと何故か爆発しろと言われたが何故だ。
とりあえず注文は終わったし、再び本へと目を落とす。
今読んでいるのはとあるラノベだ。
今日は真夏の祭典がある日なのだが、残念ながらこの人気ラノベの発売日が重なってしまった。
元々はもう少し前に発売の筈だったが、最近何やらこの辺りでなぞの失踪事件が起きており、その関係で搬入が遅れたとか。詳しくは知らないけど。
そんなわけで、祭典前に何とか最寄りの本屋で電車待ちの間に駆け込み、そして見つけた最後の一冊であった。何ともまぁ同じ思考をしてやがった人がたくさん居たようで困ったよ。
先に祭典の方に行っても良いのだが、祭典の方は一応保険掛けてあるし、こっちは確実に祭典後には売り切れて手に入れられなかったはずだ。実際に売り切れかけてたし。
そして読んだことを先に祭典へ行ってるリア友に自慢してやるのだ。
「いつも思うけど読むだけで良いのかよ。しかもそんなパラパラと。それに別に見るくらいなら半分払わなくても良いんだぞ?」
「いやいや、そこは少しでも売り上げに貢献してですな。それに
「まったく羨ましいこって」
不貞腐れるように言う先輩に、思わず苦笑する。
「そういう先輩ほどじゃないよ。奥さん居て、色々資格も貰ったとかって聞いたけど?」
「おま、それ何処から聞いたんだよ」
「いや、その奥さんから」
「俺が居ない時に何してる!」
「あははー、腐に目を瞑ればあの家は宝庫だしね」
「お前まで染まってないのが唯一の救いか」
「そんなこと言ってると嫌われちゃうぜ先輩?」
ニヤニヤしながらそう言うと、先輩は突然ずーんと落ち込み始めた。
おいおいどうした先輩。
「……最近、会話が少なくなってきてて」
「なんか、ごめんなさい…」
つい誤魔化すように目を反らす。
そこでふと気づく、何やら店の外が騒がしい。
窓の外に目を向ければ、多くの人が一定の方向へと走るように向かっていた。
俺の視線につられて外を見た先輩も訝しむように目を細める。
「なんだろうな…」
厄介ごとが嫌いな先輩らしく、やはり顔には関わらないでおこうと書いてある。
しかし、俺は逆に興味が湧いていた。
「先輩見に行きませんか! なんか有名人かもしれんじゃん!!」
「ミーハーだなぁ。お前の見た目も大概アレなのに」
「アレ言うなし。というかそれとこれとは別っ! ゆりかもめまだ大丈夫っすよね?」
「あー少しくらいなら大丈夫だな。とりあえず見に行くか?」
頷く俺を見るや否や、伝票を持って立ち上がる先輩。
何この無駄なイケメン。普段はグータラが基本の癖にこういう時だけ男を見せやがる。
まぁでもここはありがたく奢られておこう。
会計を済まし二人で店の前に出ると、やはり皆が一定の方向へと走っている。
その野次馬達に混ざるように俺達も流れに乗って向かう。
暫くして見えてきたのは石造りの巨大な門だった。
それを囲う様にして野次馬達は携帯電話で撮影したり、指さして何事かと見ているようだ。
しかしおかしい。
というのも、その門のある位置が車道のど真ん中なのだ。
ここは銀座で、勿論ここは交通の少ない道路という訳でも無い。だというのにその大通りを大きく塞ぐようにして門はそこにある。
なんぞいな?
「なぁ先輩。あれ、何だと思う?」
「映画の撮影…とか?」
「映画かぁ…。映画だったとして何のジャンルですかね? 俺的にあの中から変なの召喚されて出てきそうだけど」
「召喚ってなんだよ。英霊でも出てくるのか?」
「俺が近くに居るとそっちに持ってくのやめてくださいってば。俺が言ってるのはモンスター的なの」
「はは、じゃあ汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよーってか?」
「まだ言いますか!!」
「いやー、やっぱお前が居るとついな…って痛っ!? なんだこれ!?」
先輩を小突こうと軽く構えると、それを見て少し下がる先輩。
しかし、突然右手を抑えてうずくまった。
え、なに、厨二病?
「なんすか先輩、いくら誤魔化すためって言っても今時その返しは無いでしょ…。なんですかー、右手に封印された悪魔が騒いでるんですかー?」
「違うって! マジで痛いんだってば!」
言いながら右手を見せる先輩。
その表情は割とガチで痛そうだった。
でも突然痛むってなんでだ?
そう思い見ていると、突如その右手の甲に入れ墨のようなものが浮かび上がる。
「なんだこれ?」
先輩はようやく痛みが引いたのか、不思議そうにその入れ墨のようなものを見る。掌側から見たり突いたりと不思議そうだ。
しかしそんな先輩を見て俺は冷や汗をかいていた。正確にはその入れ墨の様なものを見て。
3本の爪痕のようなもの。それ其の物には見覚えがある訳ではないが、それっぽいものを何度も見たことがある。
それは前世界に置いてとても身近だったもの。半身とも言えたあの娘が持っていたもの。
つまり、なんだ。
これ、令呪じゃね?
そう思った瞬間、己の中の何かが目の前の先輩とつながった感覚が産まれる。
「あれ、何だこの感覚。後輩…?」
「こ、ここに、契約は完了した…?」
互いに向き合う俺と先輩。
門が開くまであと少し……。
いかがだったでしょうか。
一応章の部分を???にしていますが、まぁ今回でどこかはほぼお分かりかと思います。
アニメ化決定前から書きたいなとは思っていましたが最後までISと悩んでいました。しかしこちらに決定しました。
相談に乗っていただいたフレンドさんありがとうございます! 見たいと言って頂いたほうも、落ち着けば頑張りたいと思います。
さておき、このSSを見て頂いたことで原作者様の小説やアニメを見る方が増えればいいななんて烏滸がましいことを思いつつ、続きをボチボチとやっていきたいと思います。