テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編 作:onekou
お待たせしました。ゲート編10話です。
ただ、長くなったので切ってあります。防衛線まで行けずに申し訳ないです。
「結局その子は何者なんですか?」
「それは俺が聞きたいんだけどな」
栗林ちゃんの問いに投げやりに答える。
後輩の方を見れば未だに頭を抑えながら蹲っている状況だ。
そんな後輩を見て、無言の圧力を俺に放ってくる黒川。
お前さんそんなキャラじゃなかったろ、とツッコミたいがそんな空気ではないのでとりあえず自重。
改めて周りを見ればひどい状況だ。
少し離れた場所では元火龍がスプラッタ状態で地面を赤く染めている。そこから少し離れれば俺達が居る訳だが、そのスプラッタを起こした犯人である後輩を囲んで俺達自衛隊が居て、若干の距離を置いてコダの村人達。村人たちの中には狂喜乱舞している人も居るが、知りあいを失った人も居て悲しんでいる。いや、仇を討ってくれたとかで泣きながら神に祈ってるっぽい人も居る。
何このカオス。
「あ! 怪我人、怪我人さんは居ないかな! 居るならこれ使って!」
蹲っていた後輩が突然立ち上がり、言いながら何も無い所からカードを数枚取り出した。それを俺達へとそれぞれ渡す後輩。
渡されたカードを見るとモノメイトという文字と共に緑色の液体が入ったボトルの様な物が描かれている。
これと怪我人にどういう関係が?
「何ですかこれ。モノメイト?」
「あ」
俺のすぐ横に居た倉田が興味津々といった様子でカードを見る。そして文字を読んだ。
その様子を見て声を上げる後輩。
結構焦っている後輩にどうしたと声を掛けようとするがそれよりも早く倉田が持つカードたちが光り出す。
そしてそれらは描かれていたボトルと寸分違わず同じものに姿を変え、片手で軽く持っていた倉田は突然膨らんだ質量に対応できずボトルは地面に落とした。
ガシャン、そんな音を立てながらそれぞれが地面に転がると若干後輩が涙目になる。
「痛いっす!?」
気づけば栗林ちゃんが倉田を小突いていた。よくやった、お前さんがやらなかったら俺がやってた。
とりあえず俺は落ちたものを拾い上げ、ボトルを改めて見る。
「カードの中に入れてあったんだけど、まぁ出ちゃったから丁度いいか。それを怪我人さんに飲ませてあげて欲しいんだ。俺は俺で回復手伝うからさ。まだカードの人は書いてあるモノメイトってのを読むと出てくるはずだから。そういう風に設定してあるし。あ、あとは一枚で足りない人は治るまで何枚か使ってほしいです。カード足りなかったら俺の所に取りに来てください」
未だにまだ少しションボリ気味だった後輩は、気を取り直して全員を見ながらそう言う。
色々と説明が抜けている気がするが、どうやら後輩は怪我人を治したいらしい。
事態を収拾する為に俺達は最初に後輩の所に来たが、確かに怪我人は数多くいる。
一旦近くに居る村人に怪我人をそれぞれ応急処置してもらうように頼んではある筈だが、後輩の良く分からない能力の中でこれが回復薬に相当するものなら助かる。
俺たちの世界には当然魔法なんてものは存在しないし、怪我を治療すると言っても結局は人間そのものに宿っている治癒力を当てにしなければならないことがほとんどだ。
周りを見れば隊員たちがこちらを見ている。指示待ちのようだ。
俺は一つ頷く。
見るなり、それぞれが重症度の高い怪我人から順に手当を開始した。キャラクターは濃い人間が多いが優秀な部下たちだ。
ボトルの空け方は見慣れない形状に反して分かりやすく、どうやら緊急時にすぐ飲めるような形状になっているようで、隊員たちはそれを素早く飲ませていく。
「後輩、良く分からんがちゃんと説明はしてもらうからな」
「違うから! 逃げる気は無いし最優先だからいっただけだし! 忘れてくれればいいなと思わなくもないけど……」
やっぱりじゃないか。
・
・
・
「おお! おおおお!!! 治った! 儂の足が治った!!!」
葱を振ると人って治るんだね。すごいね。
って、現実逃避してる場合じゃなかったな。
後輩が俺達に渡したモノメイトというもの、それもそうなのだが後輩が葱を振ってその周りに緑色の粒子みたいなものが溢れたらありえない速さで怪我人が治っていく。
さすがに四肢の欠損までは治らないようだが、それでもその千切れた先がある人は近くに置いておくと何故か元に戻った。
何この薬。怖いんだけど。
いやそもそもこれは薬という分類で良いのだろうか? 少なくとも現代科学における薬とは確実に別格のものだ。質量保存の法則とか色んな物にケンカ売ってる気がするし。何人かは負傷する前よりも元気になったと言う人も居るくらいだし。
ほんと何なのこの薬。その魔法チックな粒子も気になるけど…。
「先輩、これで怪我人は全員治ったと思うよ。即死だった人は……、残念だったけど」
嬉しそうにしたり泣きそうになったりと相も変わらず感情が上下するやつだ。
「それは仕方ないさ、割り切るしかない。ま、お前が居たことでかなりの人が救われたんだ。それを誇ればいいさ」
「うわっぷっ」
少し乱暴に、丁度いいところにある後輩の頭をわしわしと撫でる。
実際、こいつが居なければ被害はもっと広がっていただろう。
銃では全く効かず、パンツァーファウストも直撃しなかったとはいえ効果範囲に居てダメージを受けた気配は無かった。後輩の攻撃がその直後にあったから少しはあったのかもしれないが、見る限りにダメージは無かったのでまぁ直撃でもしなければ意味は無いのだろう。
そして戦闘開始後の負傷者は居ないが、遭遇時に被害を受けた村人達の中でもすぐに緊急手術が必要そうな村人も後輩のおかげで助かっている。
最初の内に殺されてしまった人が数人居るが、村人全体から考えればあんな化け物に襲われた割には被害が軽微だ。
死者を数字として捉えることは心情的にはしたくないが、そう認識し、そのままを記録し、報告しなければならないのもまた俺達の仕事である。とはいえその数字上でしかないものであっても少ないのはこの上なく嬉しいものだ。
「不甲斐無い話だが、俺たちの装備じゃもっと被害が出ていた。ありがとうな」
「いや、あれですよ、俺がやりたいからやっただけで、その、あれです。別にあんたのためにやったわけじゃないんだからね?」
「何でお前が首傾げてるんだよ」
というか何故ツンデレ。
まぁそれはさておき、そんなやり取りを後輩としている間に全員が戻ってきている。
コダ村の人達は互いに抱きしめあったりしながら無事を喜んでいる。後輩がどういう存在かよりも生きていることが何よりも大事といった様子だ。
それもそうか。彼らからすれば村を捨ててでも逃げなければならないほどの存在なのだから。
ということは後輩の事を伝えるのは第3偵察隊の面々だけで良いかな……って、何故かしれっとそこにエルフちゃんと杖を持った少女(魔法少女?)、それから例のゴスロリ美少女が混ざっている。
何をするのか不思議に思って混ざっているのだろうか?
うーん、どうせ言葉は伝わらないだろうし、この微妙な状況で無理矢理遠ざけるのも不思議がられるか。
「さて、一段落したところで改めてこいつを紹介しようか」
俺の横に立つ後輩をチラッと見た後に全員を見ていくと、大体がこの不思議な存在を困惑した目で見ている。ゴスロリ少女だけが興味深そうに微笑みながら見ているといった調子だ。
俺もこの後輩がそこまでの戦力を持っているとは知らなかったから正直に言うと内心では混乱している。
だって見た目は確かにファンタジーな容姿だけど、幼い少女だよ? いやもう幼女と言っても過言ではないレベルだ。ゴスロリ少女と並べばどこの二次元から出てきたと言いたくなる。
そんな後輩が一撃でドラゴンを粉微塵にする力を持つとか誰が予想できると言うのか。しかも一回死んだと思ったのに生きてるし。
確かに後輩がサーヴァントだってことを知ってはいるが、まぁ甘く見ていたということだろう。
俺が知るFate原作基準で考えていたから、サーヴァントの強さは大体戦闘機一機分という予想はしていた。していたが、目の前に広がる惨状を見ると確実に戦闘機一機分とかでは決してない。戦闘機一機でここまでの被害を出せるなら今頃地球は終わってるよ。
ただまぁよくよく考えれば対城宝具だとか言って諸々吹き飛ばす聖剣だとか、対界宝具だとか言って世界を壊すほどの威力があるドリルとかがある訳だから不思議ではないのかもしれない。そう考えれば、この後輩が持つ剣も後輩が持つ
いや、これ以上は後で本人に直接聞いた方が良いだろう。思い込みが一番危険だ。
とりあえずは、目の前の隊員たちへの説明だ。
「この中に、Fate/stay nightって知ってる人居る?」
俺の問いに首を傾げる面々。唯一、すかさず手を上げたのが倉田だ。
まぁそんな気はしていた。
しかしそうなると説明の仕方が難しい。Fateと同じような主従契約をこの幼女と結んだなんてのをそのまま信じられても困るが、どうしたものか。
一先ず契約をしていて、俺が主側だから何かあっても制御できるから問題ないとだけは伝えるか。性格を知っていれば人畜無害なのは分かるんだがな。
「とりあえず、これを見てくれ」
「引っ掻き傷……みたいな刺青?」
「これは令呪といって、この子との契約の証みたいなものだ。この3本の令呪分だけ俺は命令権が合って、こいつが何かしたとしても俺が制御できるから安全だ」
「ロリコン……?」
「どうしてそうなる!?」
ボソリと爆弾を投下した黒川に間髪入れずに抗議する。
今の話からどうしてそう繋がるのか。
しかしそう思ったのは黒川だけではなかったようで、栗林が引き継ぐように話し始めた。
「いやだってこんな幼い子に対して命令権って……しかも3回も。そもそもの話が胡散臭いですが、それにしても設定を付けるならもう少しましなものをですね」
「言っとくけどこいつはもう30代だ!」
「女の子の年齢を暴露するなんて最低です!」
「そこ!?」
「実際は40歳越えてるけどね」
「お前はお前で爆弾投下すんな! ってか俺より年上!?」
ああもうどうしてこうなるんだよ! 胡散臭いのは俺が一番分かってるよこんちくしょう!
そう心の中で嘆くも話を続けないといつまでも立往生だ。
しかし、そんな俺へと救いの手が差し伸べられる。
「まぁまぁ先輩、ここは俺から話すよ」
もの凄く不安だが、俺も知らないことがあるからその方が良いのだろうか。
「まずは初めまして。俺の名前はコウジュスフィール=フォン=アインツベルンってことになってるけど、まぁコウジュって呼んで下さいな」
「アインツベルン!?」
倉田が反応したので後ろからすかさず羽交い絞めにする。
「えーっと、続けるよ? 俺は元々この世界でも無く、勿論門の向こうにある地球ではない所から迷い込んだ存在なんだ」
「それは特地とは違う異世界ってこと?」
「そうなるっすね。例えばほら」
言いながら後輩はあの黒い泥を身に纏って子狐の姿になる。
「あ、いつも隊長と一緒に居た子!」
その姿を見て驚く栗林。
普通驚くよな。俺も最初はかなり驚いたものだ。
そんな栗林を見て満足したのか再び元の姿に戻った後輩。
「俺は厳密に言えば純粋な人間じゃないんだよ。ほらケモ耳もある」
「ケモ耳?!」
倉田が反応したのですかさず落としておく。
「俺の種族は故郷ではビーストって言われる種族なんだ。過酷な各惑星の環境に適応するために遺伝子情報を操作して肉体性能を向上させた種族、それがビースト」
何かサラッと重い事実が……。
「俺は前に居た世界でとある戦争を何とか生き抜いて、役目が終わった俺はなんでかこの世界に流れ着いた。だけどこの世界で何をすればいいのか分からなかった。そんな俺に目的をくれたのが先輩なんだ。
知り合ったのはネットなんだけど、そこで大学を紹介してくれたり、色々教えてもらったり、平凡な日常ってやつを一緒に楽しんだ。だから俺は先輩って呼んでるんだ。
けど、あの銀座事件で全てが変わってしまった。
あの日も俺と先輩は祭りに一緒に行こうとしてたんだけど、待ち合わせしてたその近くで門が開いた。そこで契約を先輩と結んだんだ。まぁ結果的に念話とか出来るようになったから良かったんだけどね。
それで、あとはがむしゃらに門の向こうから出てきた奴らを倒したり、先輩が心配だからこっちの世界に付いて来たって感じ」
『一応嘘は言ってないよ』
チラリと俺の方を見て、補足するように念話を送ってくる
色々と抜けている気がするが(あえてだろうけど)、今の話だけでも気になるワードが出てきたな。
例えば各惑星の環境ってとこだけど、つまり聖杯戦争に参加する前の元々の世界が宇宙進出したかなり文明の進んだ世界ってことだろうか。そういえば先ほど渡されたドリンクもちょっと近未来チックなものだったし。
あとは役目。役目って何だろうか。誰かの指示で後輩は動いているってことか?
うーむ、判断が付かない。この辺りも改めて後で聞くか。
とりあえず後輩の話を噛み砕けた俺は他の面々へと目を向ける。
「そうなの、そんな過去があったのね……」
なんか黒川が涙ぐみながら後輩を見ていた。というか他の面々も優しい目をしながら後輩を見ていた。
何この状況。
ひょっとして後輩はこうなることが分かっていて今の説明を? 何て恐ろしい奴だ。
そう思い後輩の方を見てみる。
しかし何故か後輩の方がキョトンとしていた。
思惑と違ったのかよ。
『何で俺は優しい目で見られてるの先輩』
実際に念話まで送られてきた。
しかし今の穴だらけの説明で何故こんなことに? 何せ一番肝心な後輩の戦力に対する言及がない。話の内容的には精々が後輩の背景でしかない。
いや待てよ。
遺伝子操作されて産まれた種族で、この幼い形で戦争にも参加させられたけど何とか生き残った。しかしそれだけでは終わらず次の戦争に放り込まれそうだったが何らかの事情で地球に到達。そして俺と出会い、知ることの無かった日常に溶け込んでいた……なんて風に取れなくもないか。
実際には俺が出会った時点で良いマンションでジャージ生活してるようなやつだったわけだが、でもそれほど間違ってないという話だったし、実際に聖杯戦争にも参加していたとも言っていたから結構な苦労を後輩はしてきたのだろうか。苦労なんて言葉で片付けて良いかは別として。
『何で先輩まで優しい目で見てんだよおい』
っと、しまった。気づけば俺も後輩を優しい目で見ていたらしい。
うーん、やはりこれも後で詳しいことは本人に聞こう。
「あの、隊長さっき言ってたいくつかのワードから考え付いたんですけど、その子が参加してた戦争って……聖杯戦争?」
気づけば復活していた倉田がご丁寧にも手を上げながら質問してくる。
しまった。折角みんなが納得してくれそうだったのにここで二次元の話を混ぜっ返されたら意味が無い。
「いや、あのな倉田。それは―――」
「マジなんですね!? すげぇ!! ってことはこの子は英雄!? ああでも確かに英雄ならあの力も不思議じゃないっすね! 異世界とケモ耳は本当にあったんだ!!」
まだすべてを言ってないのに何故か一人納得してしまった倉田。
「えっと、何で今までの話を信じられるんだ?」
「そんなのあの力を見たら信じざるを得ないじゃないですか」
「あー…、それもそうか」
実際に今も異世界に居る訳だし、エルフだってドラゴンだって居た。そんな中で後輩みたいなのが居てもおかしくは無い……のか?
まぁでも信じてくれるならそれで良いか。実際にそうなわけだからな。
「あの、聖杯戦争って何ですか? それに英雄?」
今度は栗林が質問してきた。
「聖杯戦争ってのは万能の願望器“聖杯”を掛けて殺し合う戦争のことっす。7人のマスターと、それに従う7人のサーヴァント。そしてそのサーヴァントというのが過去現在未来において活躍した英雄を従者として呼び出した存在のことを言うんです。その内の一人が俺だったってことですね」
「それが、さっき言っていた戦争……」
栗林の質問に後輩自らが答えた。
しかし今度は悲しげな表情で後輩を見る面々。
「まぁあれですよ。聖杯戦争自体には負けましたが、こうやって生きてるので大丈夫ですって」
そんな面々を見てやっと自分がどういう風に見られているのかに気付いたらしい後輩は場を温めるためにか力こぶを作る様なポーズをしながら笑みを浮かべ大丈夫だとアピールする。
すると今度は隊員たちの目が無理に虚勢を張る後輩へと痛々しいものを見る目を向ける。ぶっちゃけ逆効果だったようだ。
苦笑する後輩。
仕方ない。とりあえずここらで話を切ってしまおう。いつまでもここで立ち往生しているわけにもいかない。
「まぁそんなわけで、俺はこいつの存在を隠しておきたかったんだ。こいつの力は見てもらった通りにこちらの世界でも異常だ。けどこいつは普通の生活をしてたんだ。だから、一先ずはこいつを現地協力者ってことにしてほしい。場合によっては俺から上に掛け合ってみる」
「先輩……」
俺は言いながら頭を下げる。
勝手を言っているのは承知している。これだけのことをやってしまったのだからその内上層部にもバレてしまうだろう。だが、少しの間だけでも後輩を逃亡生活から遠ざけてやりたいのだ。
こいつはあの銀座もいま戦ったのも周囲の人間を助ける為だったのだ。なのになんで救った張本人が追われなければならないのだ。
後輩自身はそれらを振り切るほどの力を有しているのかもしれない。
でも、そうじゃないはずだ。
賞賛しろとまでは言わない。でも、平穏な生活を送らせてやるくらいの事はしてやりたい。
何とか出来ればいいのだが、俺の地位は中間管理職も良い所だ。実質的には何の力も無い。
何か手は無いものか……。
最悪の場合はこちらの世界に紛れ込むというのも考えないといけないかもしれないな。
「了解しました隊長殿!」
考え込んでしまった俺に威勢の良い声で敬礼と共にそう言ったのはおやっさんだった。
見れば周りの面々も敬礼をしながら微笑んでいる。
「良いのか?」
「我々の任務は民間人を守ることであります。聞けば彼女は普通に生活をする一般市民であるとのこと。守ることはあれ非難する理由なぞありますまい。それに隊長曰く国民に愛される自衛隊だそうですからね。こんな…まぁ見た目だけらしいですが可愛い子に我々が何かしたとなると全国民が敵にまわってしまいます」
そう良い笑顔で言うおやっさん。
「おやっさんさん……」
そんなおやっさんを涙を流しながら笑みを浮かべて見る後輩。感動のあまり変な日本語になっているが、まぁ仕方ないだろう。
何はともあれ、受け入れられてよかった。
「それじゃあ皆撤収作業に入ろうか。いい加減コダ村の人達を送ってやんないとな」
「「「「「了解!!」」」」」
そうして隊員たちがそれぞれ撤収作業に入った。
俺は俺で、エルフ少女たちを車へと押し込んでいく。
一先ず乗せ終わったので次は何をするかと辺りを確認していると、後輩が近寄ってきた。
「あ、先輩。ちょっと待って」
「どうした?」
「これ、どうしよう」
後輩が言いながら目を向けた方へと俺も目を向ける。そこには紅く染まった上に地割れでも起こったかのようにめくれ上がった大地。
「一応このスプラッタだけでもどうにかした方が良いよね?」
「出来るのか? 出来るならその方が良いだろうな。変な感染症でも発生してしまうと事だし」
「了解っす。ちょっとやってみる」
言うなり、紅く染まった大地へと近づいていく後輩。
そして徐に大地へと手を付ける。
「薄く、薄く、広げて……」
ボソリボソリと呟くと同時、後輩の影がどんどんと広がりながら紅い大地を覆っていく。
これって変身する時に使ってたりドラゴンと戦う時に使ってたやつかな。強度的に足りないようだが剣の形にしたりとかもしていたし色々と便利なものだな。
そしてそうこうする内にゆっくりとだが広がっていっていた影の様なものはついに紅くなっていた部分の全てを覆い尽くした。
「回収、回収、包み込むように……」
広がっていた影が、今度は徐々に後輩へと戻っていくように小さくなっていく。
だが驚くことに、その覆っていた部分から影が除けられると散らばっていた血肉が無くなっていた。
どんどんと狭まっていく影の範囲。勿論その通り過ぎた下にも紅い大地は残されていない。
気づけば影は後輩の元まですべて戻ってきていた。
「そんなこともできるのか」
「いやぁ、これは初挑戦だったりします。やればなんとかなるもんですね」
「出来てたまるか」
「まぁ冗談はさておき、実はまだ集めただけなのでどうにかしないと」
後輩は地に付けていた手を離し、そのまま立ち上がった。
その手には先程の黒い影が凝縮したような丸い球体。
「ひょっとしてそれの中にさっきのやつが?」
「そうっすね。後はこれを飲み込むだけ」
「飲み込むって……、食うのか?」
「違うよ?! いつから俺はそんな何でも食べるような食いしん坊キャラになったんですか!!」
「いやだって実際によく食うし」
「あー、いやまぁ確かに食いますけど……」
目を反らしながら言う後輩。
「これはちょっとした思い付きの実験でもあるんですけどね。この泥を使って影のゲート的なこと出来ないかなぁって。そしてそのままアイテムボックスに放り込めたら便利だと思ったんですよ。現状だと手に持てる物しか入れられませんから」
「なるほどな」
確かに、アイテムボックスの話は聞いていたが手に持てる物という制限があるよりは大きな物も入れられる方が便利だろう。
しかし、そこでふと思う。
俺もそれなりに
「なんというか、影のゲートのイメージって影に沈んでいくものだけど、後輩のそれって圧縮した後に取り込みそうな勢いだな」
「何言ってんすか。というか変な想像させないで下さいよ。これでも集中してるんですから―――」
―――ケプ。
どこからともなく、というか、割と近くから可愛いゲップの様な物が聞こえた。というか後輩からだった。
「え?」
「え?」
ほんとに食べたの…?
いかがだったでしょうか?
感想でも頂いていたのですが、説明会をしていたらイタリカまで全然たどり着けませんでした。楽しみにして頂いていた方、申し訳ないです。
じ、次回こそ! イタリカへと辿り着きたいと思います!!