テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編    作:onekou

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どうもonekouでございます。

今回もやや日曜日に間に合いませんでしたね。
できれば、日曜の25時くらいという事でどうかお許しください(土下座


『stage21:いやぁ壮絶な戦いでしたね。まさに紙一重』

 

 

 

「いやぁ、今回の戦いは激戦だった……」

 

「だな。すげぇ戦闘だったよ。小さいとはいえさすがは炎龍ってところか」

 

「まさしく紙一重ってやつだったな。嬢ちゃんがあそこで気を引いてくれなければ俺達は落とされていた」

 

「よしてくださいよー。むしろ二人があのタイミングで2匹の前へ出てくれたからこそ俺はあいつらを倒すことが出来ました。もう一度見てみたいものですよあの変態機動! 戦闘機ってあんな飛び方が出来るんですね。ってか嬢ちゃん禁止」

 

「はっはっは! まさか板野サーカスを自分ですることになるとは思わなかったよ」

 

「ほんとあんなもん運が良かっただけだ。むしろ驚いたのはあいつらがあんなことができる存在だったってとこだ。なんだよあれ。嬢ちゃんが倒したやつより二回りは小さいって話だったが、まさかその小ささと2匹であることを利用してあんな攻撃してくるとは思わなかったぜ」

 

「ですねぇ。あれには俺も冷や汗を掻きました。炎龍だという事前知識があったのは確かに要因の一つですが、流石にあれは驚かざるを得ません。隠しておくつもりだった奥の手の一つをつい使ってしまいました」

 

「そういえば嬢ちゃんのアレって何なんだ? まさか嬢ちゃんにあんなことが出来るとは思わなかったよ」

 

「そうだ、あれ何なんだよ。巻き添え喰らわない様に警告されたから避けることが出来たが、あれはひでぇってもんじゃ済まないぜ」

 

「あはー、そいつは企業秘密ってことで。あと嬢ちゃん禁止」

 

 

 

 よく分からないまま狭間陸将に待機を命じられていた俺は、後輩が帰ってきたと同時に訳を聞かされ、一言モノ申すために後輩を出迎えればそんな会話をしながら帰ってきたところだった。

 え、あんたたち何をして来たの?

 あまりにも達成感に満ちた晴れ晴れとした笑顔を浮かべ、見た目はおっさん二人と幼女という組み合わせなのに戦友と言わんばかりに楽しげに話して居るものだから、いつの間にか出撃していつの間にか帰ってきた後輩に言おうとしていたことが全てどこかへ行ってしまった。

 狭間陸将曰く「心配性な先輩には伏せておいてほしい」と言われたそうだが、先ほどやっと教えてくれたその留守の理由というのが炎龍退治のためだったそうなのだ。

 件の炎龍よりは小さいとはいえ炎龍だ。心配するなという方が無理な話だ。いや、後輩が炎龍を倒すために周辺に被害を与えていないかが心配なだけだが。

 

「あ、先輩!」

 

 俺に気付いた後輩がスタタっと駆け寄ってくる。

 俺はその姿を見た後、その後方にいる二人に敬礼をし、その二人が良い笑顔で去っていくのを見送った後後輩に眼を向ける。

 後輩はと言えば俺に近寄った後は二人にバイバイと手を振っていた。

 たまに思うが、テンションが上がるとお前って年齢相応(見た目の)に成る時があるよな。

 

「ただいま!」

 

「おう、おかえり」

 

 しまった。普通に返してしまった。

 一言だけでも言ってやるつもりだったのに、楽しげな様子につい絆されてしまった。

 まぁ、いいか。

 無事には帰ってきたわけだし、水を差すのも野暮って物だ。

 

「勝ったんだな」

 

「超余裕です!」

 

 はいはい、とりあえずドヤ顔ダブルピースやめーや。

 

「でも苦戦がどうとか聞こえたんだが?」

 

「いやいやアレはですね、戦力的に苦戦したのではなく、思った以上に炎龍達が必死にこちらに食いついてくる物だからちょっと苦労しただけって話です。ほら、さっきの二人とかダークエルフさん達の住居諸共吹き飛ばすわけには行かないし」

 

 何かの拍子にやらかしそうだとは思っていたが、どうやら自分なりに気をつけていたらしい。

 らしいが、目を反らしながら言っているので恐らく誤魔化したい何かがあるのだろう。

 

「ダウト」

 

「何故ばれたし」

 

 何故ばれないと思ったし。

 ほんと嘘が付けない後輩だ。

 まぁそれはさておき、先に聞くべきことがある。俺はその為に来たのだ。 

 

「それで、俺に黙って行った理由を聞こうか?」

 

「うぐ……」

 

 俺の言葉に、途端にばつの悪そうな表情になる後輩。

 少し罪悪感が湧くが、これだけは聞いておきたいのだ。

 苦言を呈するのは止めたのだから、これくらいは聞かせてほしい。

 まぁ予想は出来ている。

 

「いや、言うと先輩は着いてくるでしょう? 今回は迅速さが必要だったし、先輩を危険だと分かっている場所に連れて行くのは憚れて……。一緒に来てもらったお二人は元々は離れた場所から見ていてもらうつもりだったから本来の予定では危険は無い筈だったんすよ。まぁ予想通りに行かず多少危ない目に遭っちゃいましたけど。そもそも先輩って高所恐怖症じゃないですか」

 

「う、それを言われると辛いが……」

 

 確かに俺は高所恐怖症だが後輩一人に押し付けるつもりは……って、俺がこう思うと分かっていたから言わなかったんだよな。

 はぁ、予想通りに人の事ばかり考えやがって。

 俺はポフリと後輩の頭に帽子越しに手を乗せ、少しだけ撫でる。

 

「ま、お疲れさん」

 

「う、うっす……」

 

 手が乗ると同時に少しだけ手をワタワタとさせるも、すぐに撫でられるままになる後輩。

 暫く互いに無言のままそんな時間が続く。

 

 

 

 

 

「伊丹隊長、やっぱりロリコンだったんですか?」

 

「違うからな!?」

 

 いつの間にか近くに居た黒川に冷たい目と共に言わてしまったが断じて違う!

 失敗した。そういえばここはまだ航空機系の離着陸場近くだった。

 というか後輩もいつの間にか消えてるし、周りの他の連中もなんだか暖かい眼で見てるし、又余計な噂が立ちそうだ。

 はぁ……。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 先輩に撫でられると何というか和むので好きなのだが、流石に他の人に見られると恥ずかしいものがある。

 言っておくがこれでも俺は40歳を過ぎているのだ。

 大人として流石に恥ずかしい。

 

 それはさておき、今回の戦いは中々に大変だった。

 どうやら俺が倒しに行った炎龍というのは、最初は番いかと思ったのだが双子だったようで、しかも例の炎龍から生まれた古龍の系譜である幼龍だったようなのだ。

 つまり、ただの炎龍ではなく知能が高いのだ。

 最初の時点では何やら空腹状態が限界に近かったのか完全に暴走状態(バーサク)していたが、何度か俺が騎乗していた炎龍の一部を食われてからは幾らか腹が満たされたせいで冷静さが戻り、そこからは中々に激戦となってしまった。

 あ、もちろんその時点ではヤオさんを下ろした後だ。

 だが、これからは俺が炎龍を御している状態だということを対外的に示せるように騎乗状態での戦闘が出来るようにと炎龍に乗った状態で戦っていたのが仇になった。

 幼龍2匹は果敢に、炎龍に乗る俺と、少し離れた場所を飛んでいた神子田さんと久里浜さんを狙い始めたのだ。

 俺が乗っていた同族である炎龍が、何やら人間に良い様に使われているとでも思ったのだろうか。

 その所為か幼龍二匹は俺達の攻撃にも怯むことなく攻めてきた。

 御陰で騎乗戦闘なんて余裕がなくなり、俺自身が炎龍になった状態で戦う羽目になった。

 何故か余計に幼龍二匹の攻めが苛烈になったが、まぁ神子田さん達の御陰でどうにかなった。

 ほんと、あの二人の飛行技術は本当にすごいと思う。

 俺が一匹を相手している間にもう一匹が向かったのだが、二機で交互に翻弄して完全に手玉に取っていた。

 聞けばギリギリだったとの話だが、その割には終わってから良い笑顔をしていた。

 まぁでもその御陰で範囲攻撃の準備が整って、最終的には二匹が二機に向かった瞬間を纏めて落とせた。

 とはいえ準備とは言ってもそれ自体は大層なものじゃない。

 問題は被害が出る範囲とか自分自身の心配をしなければならない所だ。

 何せよくよく考えれば即座に出せる範囲攻撃というのを俺は持っていない。

 スターライトブレイカー擬きはアストラルライザーが無いとできないし、リインフォースみたいに地面ごと吹き飛ばそうものなら周囲一帯が塵と化す。PSPo2魔法(テクニック)には杖が要るし、Fate世界で覚えた魔術と言えば士郎のやつだがUBWとか詠唱してる間に二機が落とされてしまうかもしれない。

 だから即興で考えたのだが、自分ながら酷い発想だ。

 覚えてしまったガソリンがあるじゃろう? それを二匹に掛けつつ撒き散らして気化していくところにブレス。

 火に耐性があるらしい炎龍でもちょっと熱かった……。

 いや、思いついたのがそれだったんだよ。

 正確には幼龍二匹が使った技を見て思いついた、だろうか。

 

 今更だが、幼龍二匹は双子なわけだがそれぞれ紅と蒼の体躯だった。

 そしてどうやら母は炎龍だが父は水龍か何かだったようで、炎のブレスもだが水のブレスも吐いてきたのだ。

 やはり古龍の系譜だからか器官としてブレスを吐くのではなく魔法としてブレスを使って(・・・)いるようだった。

 だから単純に紅が炎、蒼が水という訳ではなく、それぞれが両方を使えるのだ。

 しかもあいつら途中で水蒸気爆発を理解したのかブレス同士をぶつけたりなんかもしてきやがった。

 闘えば闘うほどに攻撃が鋭くなっていき多様性も増すとかどんなチートですか。

 御陰で俺はともかく、二機がいつ落とされるかと冷や冷やものだった。

 うんまぁ二人も二人でドンドン変態機動に磨きがかかっていたけどさ。

 

 さておき、そんな二匹を見て思いついたのがガソリン爆破だったのだ。

 元々の防御力に炎龍の鱗があっても熱かったからなぁ、至近で一緒に喰らった2匹なんかズタボロでしたよ。

 ま、それでも生きていたのがさすがは龍種ってことなんだろうか。

 そう、生き残ったんすよねぇあの二匹。

 今はまぁ一条祭りの中だけど。

 いや、なんか思惑があったわけじゃないんだけど、サイズもそこまで大きくなかったし、気絶状態だったからつい捕獲しちゃって……。

 ああ勿論、今までに捕まえた人達とは別の区画にぶっこんである。

 何せいつの間にか変わっていた一条祭りの内装、あれはリゾート型コロニー「クラッド6」における中央ロビーだからだ。

 

 リゾート型コロニー「クラッド6」はPSPo2において所属する民間軍事会社「リトルウィング」が拠点とする巨大コロニーで、その一部にマイルームもあるという設定だった。

 そしてそのマイルームは勿論、居住区画にある一室という設定なわけだから他にも部屋はたくさんある。

 一条祭りの中が何故かクラッド6の内装へと変化していると知ってからは幾度か中へと入ったからその辺りは事前に知っていたのだ。

 だってマイルームってコロニーの一部だよ? ひょっとしてマイルームと一条祭りの中が繋がっているかもと思うじゃないか。まぁ繋がっていた訳だが。

 だからその際に見たことがある巨大な格納庫みたいな場所に二匹をぶち込んでおいたのだ。

 一応怪我したままだと何だか可哀そうだったので死なない程度に回復してあげた後ちょっとだけ食料を置いてきた。

 うーん、今思うと何故助けたのか。

 よくよく考えればダークエルフさん達を食っちまおうとした奴らなわけだし、親である炎龍を殺したのは俺なのだからその危険性は嫌というほど味わった。

 だけどなんか放って置けなかったんだよなぁ。

 ま、今はまだ気絶してるけど起きて暴れたり危ないようだったら今度こそ死んでもらうしかないか。猛獣を危険だと知りながら飼う趣味は無いし。

 一応隔壁とかの強度的には破れない筈だし、マイルームと同じように攻撃そのものが行えないようになっている。

 だから中に住んでいる人達は大丈夫なはずだ。

 

 そういえば、炎龍二匹を倒した後、住処らしき洞窟で白いゴスロリ服を着た竜人でいいのかな? そんな感じの人を見つけた。あ、勿論女性である。ゴスロリを着たマッチョとかいうオチは無い。

 ちなみに、見つけたというのは何やら空腹のあまり気絶していたからだ。

 何故あんな場所に居たのだろうか……、餌にされる寸前だったとか?

 それなら間に合ってよかった。きっと空腹で倒れた所を頂かれそうになっていたのだろう。

 あの二匹はダークエルフの隠れ家に着いてすぐに襲撃してきたところをそのまま広い上空に誘き出して戦ったから、その後に喰う予定だったのかもしれない。

 ほんと、ファンタジーな世界ってのは怖いわ。

 ちなみにダークエルフさん達は何人か食われた後だったが、二匹が空腹状態であったのと、生まれてそんなに経っていないのか狩りというものを上手くできずに居たようで、炎龍に襲われたにしては少ない被害で済んだそうだ。

 でもそろそろダークエルフさん達も蓄えや体力、精神的に追い詰められてそろそろ危なかったそうで、救出に訪れた俺を大層ありがたがってくれた。

 とりあえずお腹を空かしているようだったので食料を分けたのだが、そこへ2匹がやってきた。

 そこから戦闘が始まったわけだが、展開が早すぎて結構疲れた。

 まぁでも、お礼になんかでっかいダイアモンドみたいなの貰ったし、竜人さんを助けられたし万々歳かな。

 それに何かあれば種族一同で助けてくれるって言ってくれたから、俺は多分助けを求めることは無いので(マスター)である先輩に何かあれば助けてほしいとだけ伝えた。

 

 そしてその後は蜻蛉帰りだ。

 

 神子田さん達の燃料がギリだったのと、先輩をあまり待機状態にさせ続けるのもできないので急いで帰った。

 途中悪ふざけで戦闘機(F-4EJ)の上に仁王立ちしたりした。

 神子田さんの方に乗ってたんだが、神子田さんもノリノリで曲芸飛行をしてくれたもんだから中々に楽しかった。

 一応泥を巻き付けて身体も固定していたんだが、気分は第4次バーサーカーだよ。いやまぁ操縦は神子田さんだけどさ。

 思わず「小林ぃぃぃぃぃっ!!」って叫んだ俺は悪くない。曲芸したのは中の人だけどさ(大事なことなのでry

 

 そう、この世界って第4次聖杯戦争を語ったFate/zeroってやつが存在するんだよね。

 

 いやぁ、初めて見た時はびっくりしたね。そんでもって泣いた。何あの救われない物語。

 ハッピーエンドが好きな俺としてはほんと見てられなかった。いや見たけどさ。

 物語としては確かに楽しめるけど、登場する何人かを知っている身としては、どうにもねぇ……。

 まぁこの世界のFate/zeroが前の世界の10年前となってるかって言われると違う可能性もある訳だけど、俺が知る断片とは一致していたからモヤモヤっとしたものが晴れない。

 今ではネタとして扱う程度は出来るようになってきたが、読み直したらまた憂鬱になる自信がある。

 

 っと止め止め、このまま考えてたら本当にテンションが下がる一方だ。

 

 気を取り直し、俺は与えられている一室へと向かう。

 一応相部屋ではなく、それなりに豪華な佐官級クラス用の個人部屋だ。

 俺ってば腐っても名目上は特別顧問だからね! 何故か未だに食堂で働いているけど。

 いや、俺も嫌ではないんですけどね。

 何せ特別顧問って何か起こった時に相談に乗るのが仕事だからそれ以外は待機だし、それだけで給料を、しかも結構な額を貰うのは気が引けるのだ。

 だから未だに食堂の手伝いをしている。

 手伝いというのは、俺は既に主戦力からは外れているからだ。

 PX(売店)一本にしないのは常連さん達が辞めるのは止めてくれって泣いて頼むから。

 個人的には絶対辞めたいわけでは無かったから別に良いんだけどさ。

 まぁそんな訳で、今では食堂の給仕長はデリラさんというウサミミさんだったりする。正確にはヴォーリアバニーとかいう種族だ。

 色々聞いてきて、分からないこととか、日本の事にも興味がある様で色々教えている内に仲良くなった。一緒にお酒も飲んだりする。

 帰ったらまた色々教えて上げなければ。

 次は何だっけか、日本の地理とか教える約束だったかな。

 

「っと、通り過ぎる所だった……」

 

 気づけば部屋まで辿り着いていた俺は、鍵を開けて中へと入る。

 中には持ち込んだ本類が本棚と共に立ち並んでおり、他には炬燵とベッド位。

 一応佐官用の部屋ではあるが、ここ(アルヌス駐屯地)はあくまでも橋頭保でしかない。

 今でこそそこそこに時間も資材もあるが、建物はほぼほぼプレハブだ。

 そんな中に個人部屋というだけでも結構な贅沢というもの。

 中でもこの部屋は狭い方らしい。

 ちなみにこれは自分から申し出たことだったりする。

 何せ俺にはマイルームもあるし、常に駐屯地内に居る訳でも無い。

 勿体ないのもあるが、自衛隊内では部外者に近いので気が咎めたのだ。

 

 まぁそんな駐屯地内の俺の部屋、そこへと帰ってきた俺は炬燵を畳んでアイテムボックスに放り込み場所を開けた。

 そしてそこへと段ボール箱を置く。

 言わずと知れた『一条祭り』だ。

 

「さてさて、様子はどうかな」

 

 以前に、一条祭りの中を覗くと中にミニチュアサイズのロビーが見えた。

 そこから俺は、ロビーだけじゃなく他の場所も覗けないか試したことがあった。

 結果はビンゴ。俺のマイルームまで覗けたのだからびっくりだ。

 流石に他の人がそれぞれ個室にして割り振っているらしい部屋まで覗かないけど、たまに諍いを起こそうとする面々も居るから割と便利なのだ。

 諍いを起こしたメンバーは何処からともなく現れた触手にどこかへと運ばれるのだが、俺は怖くてその先を見ていない。

 さておき、その一条祭りからマイルームを見れるというのを利用しようと思ったわけだ。

 今はあの竜人さんが寝ている筈だ。

 マイルームから出るには俺の許可が無いとできないし、多分移動しようにも文明レベル的に何が何やらでどこかへ行くことは出来ていないと思う。

 女性が寝ている所を直接覗くというのはどうかとも思うが、いきなり部屋へと入るよりは良いと思うのだ。

 自分の部屋ではあるが、もしも着替え中とかだったら申し訳ないし。着替えを持っているようには見えなかったから本当に着替えているとは思えないが。

 だからまぁ軽く様子を窺う分には仕方ないだろう。

 

「ありゃ、まだ寝ているのか。あ、食事は取ってくれているし、食べて眠くなったのかな?」

 

 どうやら一度起きた後の様だ。

 竜人さんってことでお肉多めに置いておいたのだが、どうやら綺麗に食べてくれたらしい。骨すら無い。

 かなりお腹が空いていたようなので、アイテムボックスからストックしてあった常温でも大丈夫な肉料理をいくつか一条祭りの中へと落とす。

 すると不思議なことに竜人さんが寝ているベッド横にある机上へと今落としたものが現れる。

 いつ見ても不思議な光景だ。所有者は俺なのに、未だにこの理屈がわからん。

 まぁでも便利だし良いか。

 テレビとかだって構造を理解して使ってるわけじゃないし。

 

「そいじゃぁ次だ」

 

 次に見るのは幼龍2匹だ。

 あの爆発攻撃の衝撃で気絶状態だった2匹だが、もう起きて暴れているかもしれない。

 あの巨体だし、食料的にも色々問題が出そうだし、飼い殺しにするのも趣味が悪いから対応を考えないと。

 一応先輩に相談した方が良いのだろうか? それとも狭間さんかな?

 

 まぁ見てから決めるとしよう。

 

 俺は一度蓋を閉めて、今度は2匹が居るであろう格納庫を想像しながら再び開ける。

 だが―――、

 

「え、何で!? 居ない!?」

 

 嘘だ。いくらなんでもこの場所から逃げるなんてできない筈だ。

 それに倒した炎龍よりは小さいとはいえ、それでもそこそこの大きさがある身体では隠れることもできない筈。

 では一体どこに?

 

 俺は念のため格納庫内を端から見て行く。

 ひょっとするとどこかに死角があるかもしれない。中を歩いたことはあるが、俯瞰的に見るのは初めてだし。

 それに、あの2匹はそれなりに知性もあるようだったから、隠れて人が来た瞬間に襲うとかもできるかもしれない。

 そしてもし、もしここに居ないとなれば他の居住区画に―――、

 

 そこまで考えて俺は首を振る。

 余計な想像は俺には致命傷となる。

 まずは現状の再確認から。

 緊急事態こそ焦ってはならない筈だ。

 

 そして端から見ていき、とある場所へと目を向けた時、思わず自身の目を疑った。

 念のため、眼の間を揉み、もう一度見る。

 見間違いでは無かった。

 

 えっと―――、

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――何で幼龍の代わりに全裸の幼女が二人転がってるの?」

 

 

 




いかがだったでしょうか?

いやぁ、炎龍二匹討伐は大変でした…(目反らし
さておき、刀語4話だけでよくお分かりになられましたね皆さんw
感想で後書きにちょろっと書いたことに関するコメントがたくさんで驚きました。
まぁそんなわけで、それを書いてくれた皆さんの読み通り残りの炎龍二匹もキングクリムゾンされちゃいました。
でも捕捉として色々書いたし、原作と違って生きてるし戦闘端折っても良いですよね!?
他にも今話では仕込みをさせていただきましたが、いろんな意味でツッコミどころ満載でしょうか?

ではでは、次回もよろしくお願いします!

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