テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編    作:onekou

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どうもonekouでございます。

年末はやはり忙しくなりますね。
御陰でこんな時間に…(目反らし


※2015.12.31 追記
セリフ内アルファベットを半角カタカナへ変更。


『stage26:狂化の行方』

 

 

 

 ああ、駄目だ。

 

 黒く、意識が黒く染まっていく。

 

 

 

『■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■―――――――――!!!!!』

 

 

 自らの喉が激情を現すように咆哮する。

 

 数十年生きて、先日見た先輩の怪我の時でも何とか耐えることが出来ていたのに、結局何も成長できていなかったのかな……。

 でも、あんなものを見てしまったらどうしようもないじゃないか。

 

 諦めた目。

 全てに絶望した目。 

 死ぬこともできず、生きているだけの目。

 

 あの子が時折見せる目と一緒だった。

 可愛いくてカッコいい俺の最初のマスターと同じ、冷めた目だった。

 

 だからそれ(・・)を見てしまった時、俺の中で何かが外れた。

 

 気づけば俺の影が膨れ上がり、身体を包み込む。

 視界が紅く染まり、意識が薄くなっていく。

 霞んでいく視界の中で、腕が大きく太く、そして大振りのナイフと見紛う爪が生える。

 視界そのものも高くなっていく。

 

 ああ、もうダメだ。

 狂うしかない。

 自分で自分が抑えられない。

 感情が次から次へと溢れ出し、ただ一つの目的を達成する為に意識が染まっていく。

 

 コワソウ。

 スベテヲコワソウ。

 ゲンインモロトモ、スベテヲ。

 

 違うんだ。

 助けたいだけなんだ。

 そんなものを俺は願っちゃいけないんだ。

 泥は浄化されているとはいえ、俺が願えばまたナッてしまう。

 だから、だから――――、

 

 

 

 お願いだ、先輩。

 

 

 

『■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■っ――――――!!!!!』

 

 

 

 俺はもう一度、ナいた。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 皇宮中に響く咆哮。

 それはすぐ横に居たはずの後輩が出したものだった。

 部屋に居る者すべてが、その強大な咆哮に耳を抑えながらも原因である後輩を見る。

  

 後輩の影が膨らんで泥の様な厚みを持ち、後輩を包む。

 それは何度か見た、後輩が変身する時に行っていたものと同じだった。

 しかし、今回は何かが違う。

 肌を刺すような後輩の感情、それがこの部屋を満たしている。

 そしてそれを表すように、膨れ上がった後輩の影は身体を包んだうえで大きくなっていく。

 イタリカで見た大獣になるのか……?

 そう思ったが、それも違うようだ。

 次から次へと膨れ上がる影、いや泥は、3メートルほどになると圧縮するように内へと入っていく。

 そして暫くして、ソレが現れた。

 

『■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■っ――――――!!!!!』

 

 再びの咆哮。

 だが今度の咆哮は、どこか悲しげだった。

 

 その姿になった後輩を改めて見る。

 

 フィクションによく出てくるような狼男、それを真っ黒にすれば近いだろうか。

 だが、近いだけで全くの別物と言って良いだろう。

 

 牙を剥き出しにする姿は狼のようだが、耳は狐の様に縦に長い。瞳は、元のルビーの様な赤ではなく、血の様な赫へと変わっている。尾など獣のそれとは違い、いつしか見た竜人のように長い円錐状のものだ。

 そして、何よりも特徴的なのが両の前腕に生えた巨大な刃と黒い翼だろうか。

 人など簡単に両断できそうな刃は、血が滴っているかのように刃先が紅く染まっている。

 両の肩から出る翼は、半透明な黒い何かが噴き出す形で形成されている。それもまた刃の様で、触れた地面は切り裂かれている。

 

 『サーヴァントバーサーカー、寄る辺とか特にないけど参上した。よろしくマスター』と、そう後輩はいつしか言っていた。

 なるほど、それがお前が狂戦士(バーサーカー)たる所以か。

 

 

 

 

 

「ば、ばけも、ぐぁあああああああああああああっ!!!!!!!!!!!?」

 

 皇子が叫ぶと同時に、ドゴンっと岩石が砕けたような音が鳴り響く。

 そちらを見れば、近くに居たはずの後輩が皇子をその腕で壁に叩き付けていた。

 今の一瞬であそこまで!?

 まったく見えず、音がして初めて気づくほどの速度。そして驚くべき怪力。

 分厚い壁にはどんどんと蜘蛛の巣状の亀裂が走り、そしてついには容易く崩壊した。

 

「ゾルザル様!!!」

 

 皇子の御付だろう騎士達が、果敢にも黒獣となった後輩へ走り行く。

 崩壊した壁が上げる土煙の中から、2メートルはあるであろう皇子を容易くその手で持ち出てきた後輩。

 皇子は気絶しているのか、ぐったりとしている。

 ただ、幸いにも傷だらけで血を流してはいるが致命傷には至っていない様子だ。

 手加減したのか、それとも一度で終わらせない為か、出来れば前者であってほしいが……。

 

 そんな後輩へ騎士たちが剣を手に飛び掛かる。

 しかし―――、

 

「き、効かない!?」

 

「なんだよこれ!!? 届かないぞ!?」

 

 後輩に届く前に、その身体を覆うように透明な壁があるかの如く騎士たちの剣は届かない。

 黒獣は騎士たちの剣など意にも止めず、ノシリノシリとゆっくり歩いてくる。

 その間にも騎士たちはどうにか皇子を助けようと剣を後輩へと叩き込む。

 だが、その全てが見えない壁に阻まれて無駄となっている。

 剣を振るう騎士たちは誰もが鍛えられた身体つきをしており、剣もまた人を斬るために鍛えられた鋭い光を放っている。

 しかしそれを以てしても、黒獣には何一つ届いてはいない。

 

「これでも喰らえ化け物がっ!!!!」

 

 騎士の一人が、岩石程度なら砕けそうな大槌を後輩の背後から叩き込んだ。

 しかしそれも壁に阻まれ精々が軽く後輩の身体を揺らす程度に終わる。

 ただ、全く意味がなかったわけではないようだ。

 今まで騎士なぞ居ないかのように振る舞っていたが、今の衝撃で黒獣が騎士たちを認識してしまった。

 

 顔を向けられた騎士たちが後退りする。

 その表情はまさに怪物を目の前にし、今にも喰われるという自分を予想する絶望そのものだ。

 股の辺りが濡れだしている者も居る。

 そして、一人が駆けだすと同時に全員が逃げ出した。

 

 だがそれよりも早く、後輩は影から泥を生み出し、幾つもに分岐したそれはその先端を鋭く薄く、剣の様に変えていく。

 

「まずいっ!」

 

「た、隊長!?」

 

 俺はすぐに走り出す。

 後ろから栗林が叫ぶが止まっている暇はない。

 

 以前に見た炎龍戦、その時に後輩は泥を剣の様にして戦っていた。

 ただその時に見た剣は炎龍に容易く折られていた。

 あの後に本人に聞いた話では、泥を形にするにはそれなりに集中力が必要で、咄嗟には炎龍の鱗を貫くほどの技物を構成できなかったらしい。

 炎龍には効かない鈍ら。

 だが人が相手なら?

 

 そしてもう一つ思い出すのは、俺が行き違いの結果ピニャ皇女の騎士団に怪我させられた時。

 後輩は暴走しかけて、女性騎士たちを襲っていた。

 あの触手が全て剣となっていたら?

 

 それらから、今から起こりそうな惨劇について予想が容易く出来てしまう。

 

「馬鹿後輩!!」

 

 後輩を呼びながら、走り寄る。

 そのまま俺は懐から短銃を取り出した。

 流石に後輩を直接狙う訳には行かないので、ギリギリ掠らない程度に足元を撃つ。

 

『■■■■■■■■っ!!』

 

 ガンと甲高い音を立て、予想通り後輩の障壁で弾かれる。

 そしてその音に後輩は意識を反らし、騎士達からこちらへとその獣そのものとなった顔を向ける。

 ゾクリと氷柱を背に刺されたような感覚が走る。

 顔を向けられただけだ。

 それなのに、この全身を襲う悪寒はなんだ!?

 これが、あの後輩だっていうのか……?

 十数年の付き合いになるが、こんなのが後輩の本性だとでも言うのか!?

 違うはずだ。

 あの馬鹿みたいに何でも楽し気にする後輩がこんなのを望むとは思えない。

 激戦の中でも、自分が不利になろうとも人を殺そうとしなかった奴が、こんな簡単に人を殺そうとするのはおかしい。

 

 そう思い、自身を奮い立たせて黒獣と対峙する。

 

 黒獣(こうはい)は、手に持っていた皇子をそのままにこちらへと近づいてきた。

 そして皇子を持つのとは反対の手を、こちらへと近づける。

 誰であろうとお構いなしか。

 それなりの知己であると思っていたが、今の後輩はどうやら誰であろうと敵を排除しようとするらしい。

 かといってこのままやられる訳には行かないので、向けたくはないが小銃を先程とは違って直接当たるように構える。

 死にたくないのもある。

 だが、何よりもこいつ自身が誰かを殺すことで自分を許せなくなるのは明白だ。

 うぬぼれる訳じゃないが、俺みたいな知り合いを殺してしまえば自殺でもしてしまいかねない。

 

 いつしか聞いた、後輩が第五次聖杯戦争を生き抜いた方法。その中に、言峰神父をどうしたかというものがあった。

 そこで後輩は言峰神父の性格そのものを改変することで、悪意そのものをどうにかしたと言っていた。

 言峰神父と言えば、ゲームで言う所のラスボスだ。

 それを後輩は生かしたというのだ。

 方法があるとはいえ、普通は生かす方向で対処はしないだろう。

 この世界にも当然、Fateに関する二次小説(SS)がある。俺も1ジャンルとして、たまに読んでいた。

 そしてそれらの多くは言峰神父を排除するか、元々の性格がマイルドだったのだと改変することで成り立たせていた。

 だが後輩は、それをした。

 なのに、後輩は同時に後悔もしていた。

 俺は言峰神父をこの世界での知識としてしか知らない。

 でも、後輩の話を聞く限り外道なのは大して変わらないようだ。

 そんな言峰神父の精神を弄ったことにすら後輩は自分で疑問を持っていた。

 死んではいないだけで根本から変えてしまったらそれはもう別人なのではないか、そういつしか口にしていた。

 甘ちゃんだとか偽善者だとか、そう言われてもおかしくは無い思考だ。

 俺も危険が迫る前に必要なら排除したいと思う方だ。

 なのにあの御人好しは、出来る限り生かすことを是とする。

 馬鹿みたいだ。自分が損をするだけだ。力があるからって自分からそんなことをするのはただのマゾヒストだ。

 だけど、そんな後輩が俺は嫌いじゃない。

 

 だから、こいつの為にも死んでやるわけにはいかない。

 

 

『セ…タス……レイ………』

 

 

 何かが聞こえた。

 それは、脳内に直接語り掛けてくるような声だった。

 せ、たす、れい……?

 そう聞こえた。

 だが何よりも重要なのはそこじゃない。

 この脳内に直接聞こえてくる感覚に覚えがある事だ。

 

 ――念話。

 

 最近とみに体験しているその超常的なモノ。

 そしてそれを行使するのは―――、

 

「後輩……、耐えてるのか……?」

 

 いつしか後輩の歩みは止まっている。

 その瞳は俺を見ているままだ。

 だが、先程までの猛り狂った激情の中に、僅かばかりの理性が感じ取れる。

 そういえば、先程に比べて身体の一部が白くなっている。

 尾の先や耳の端などほんの一部。

 だがひょっとすると、この白こそが後輩が戻ろうとする兆候ではないのだろうか。

 思い違いかもしれない。そう思いたいだけなのかもしれない。

 でも、泥を使っていながら暴走をしているのにまだ誰も殺していない(・・・・・・・・・・)

 幼龍の双子を紹介された時、“暴走でもしない限り泥が暴発することは無い”と言っていた。ついでに言えば悪意を持たなければ、とも。

 じゃあ悪意を持って暴走したのにこの現状はなんだ……?

 

 

『レイ…ジュヲ……っ』

 

 今度ははっきり聞こえた。

 令呪を、と言っているのだと思う。

 しかしそれが何を意味するのかが分からない。

 ただ一つ言えることは、後輩はやはり耐えているという事。

 

 後輩と向き合いながら、少しの間静寂が生まれる。

 だがそれもすぐに打ち破られた。

 

「弓隊構え! 殿下には当てるなよ!!」

 

 考えている間に、逃げた騎士たちが増援を呼んできたようだ。

 広間の入り口付近から弓を構えた兵士が何人も後輩を狙っている。

 

『■■■■■■■■―――!!』

 

「うおっ!?」

 

「殿下!!!」

 

「構えろ! 来るぞ!!」

 

 狙われていることに気付いた後輩が咆哮を上げ、持っていた皇子を弓隊へと放り投げた。

 弓隊は驚き後ろへコケるもの、飛んできた皇子を受け止めようと受け止めるもの、投げると同時に走り始めた後輩を警戒するものと、違う動きをする。

 しかしそれは後輩に対してあまりにも遅かった。

 

 後輩は次の瞬間には彼らの目前へと迫っており、身体を回しながら尾を横薙ぎに振り払った。

 

「がああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!?」

 

「腕が、腕があああああああああああああっ!!!!?」

 

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!!?」

 

 三々五々に薙ぎ払われる兵士たち。

 吹き飛ばされ壁に叩き付けられる者も居れば、持っていた弓ごと腕を折られた者も居る。

 運よく尾の襲撃を免れた者も居るが、尻もちをつき、見るからに戦意は喪失している。

 

 ただ、誰も死んではいない。

 

 先程も壁を壊すほどの勢いで皇子を叩き付けたのに皇子自身が無事だった。

 壁を壊すことが出来るのなら人の身体なぞ風船の様な物だろうに、だ。

 今の尻尾を叩き付ける寸前にも、一瞬その凶悪な刃が付いた腕を振り下ろそうとして止めたように見えた。無理矢理腕ごと身体を回すことで、結果尻尾で薙ぎ払ったような感じだ。

 やはり後輩は人を殺さぬように耐えている。 

 問題は、少しずつだが出る被害が大きくなってきていることか。

 

 その後輩は倒れ伏す兵士たちの中から先ほど投げた皇子を掴み取り、再びその手にする。

 

「ぐぅ、な、何が……ひああああああああっ!!!!??」

 

 投げられた衝撃で目が覚めたのか、皇子が自分の状況を理解して悲鳴を上げる。

 その皇子を、後輩は目の前まで持ち上げる。

 

「や、やめろ! 俺はこの国の皇子だぞ!!! 帝国の次期皇帝なんだぞ!!!!!!」

 

 喚く様に、目の前に来た黒獣の顔へと訴えかける皇子。

 だがそれが届いているかは見るからに明らかだろう。

 黒獣は皇子の言葉に何も反応を見せず、ゆっくりとその咢を開いた。

 

「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

 喰う気か!?

 俺は短銃で、当てないようにだとか贅沢を言っていられなくなったので足を狙って撃つ。

 

『セン―、パ――――』

 

 やはりというか全く効いた様子は無い。寸前で打った弾は弾かれている。

 しかし効果はあるのか、再び後輩から念話が響いた。

 ただ、先程の物に比べて一段と消え入りそうな声だった。

 

 まずい、まずいまずいまずい!!!

 このままじゃ本当に後輩が誰か殺してしまう。

 正直に言って殺しても良いような奴らだとは思う。

 だけど、そんなやつらの為に後輩が苦しむところを見たくはない!!

 だが手立てがない。

 あるとすれば後輩がさっき言っていた令呪か?

 しかし令呪を使ってどうやって後輩を止めればいいのか……。

 ただ止まれと命令すればいいのか?

 だが令呪は確か曖昧な命令では効きにくい筈だ。

 ではどうするべきか。

 そう考えると同時、ある事が頭を過ぎった。

 それは、Fate/Zeroにおけるランサーの最後。

 “自害せよ”、その一言で彼のサーヴァントは脱落した。

 

 俺はその恐ろしい考えを振り払うように首を振るう。

 俺は今何を考えた。

 確かに後輩は死んでも本当の意味で死ぬわけではない。

 だけど、それは本当にそうなのか?

 後輩が言うには回数制限がないらしいが、俺を安心させるために嘘を言った可能性は無いか?

 それに自殺の場合発動しないなんてデメリットがある場合はどうする?

 

 俺は改めて後輩を見る。

 

 普段は犬みたいなやつなのに、何だよその凶悪な姿は。

 普段は尻尾が無いくせに嬉しい時には尻尾がぶんぶんと振るわれているように幻視すらできるのに、実際に尻尾があれば一振りで人が吹き飛ぶとは全く以てお前らしくないじゃないか。

 狼とか猫とか狐とか、最近では龍になれるようになったとか言いやがって。

 いつもの犬っぽいお前に戻れよ。

 どうすればお前を戻せるんだよ!!

 

「隊長、拉致されていた女性の救助は終わっています。いつでも行けますよ」

 

 後ろから、富田がそう言うのが聞こえた。

 全く以て俺には勿体ない部下だ。

 

「お前たちは先に行け。各自の判断で撃ってよし。HMVも乗っていけ」

 

「よろしいのですか?」

 

「構わない。俺はこの馬鹿をどうにかしてから行くさ」

 

「……了解」

 

 少し悩んだ感があったが、結局は指示に従うようにしたようだ。

 後ろから二言三言聞こえた後、いくつかの足音が遠ざかるように耳に届いた。

 

 これで味方は俺と後輩だけだ。

 いや実質一人か。

 今にも引き金を引かなければならないかもしれないこの状況を客観的に見た場合味方とは言えない。

 そういえばピニャ皇女は味方と言って良いかもしれないが、根本的に敵国の所属だ。

 

 四面楚歌、そんな言葉が脳裏に走る。

 

 

『■■■■■■■■―――!!』

 

 

 ついに後輩の意識が途絶えたのか、身体の一部にあった白い部分が消え去り、全てを黒く染めた。

 そんな後輩は、皇子を手にしながらもこちらを脅威と取ったのか煩わしく感じたのか、俺へと吠える。

 

 ああくそ、冷や汗が止まらない。

 向けられる殺意だけで心臓が止まりそうだ。

 もう、時間は無いのだろう。

 やはり自害を命じるしか止める方法は無いのか……?

 しかし悲しませないために本人を殺すなんて本末転倒もいいところだ。

 まったく、どうすりゃ良いってんだよ!!

 

 だが悩むも答えは出ず、無情にもタイムリミットが来てしまう。

 

『■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■―――!!』

 

 後輩は床に罅が入るほどに踏み込み、こちらへと迫る。

 これまでか。

 今の後輩ならば数秒と掛からず俺へと至るだろう。

 このまま何もせず居れば、晴れて俺は肉塊となる。

 やはり命じるしか、無いのか……。

 

 俺は右手の甲に意識を向けながら――――――、

 

 

 

 

 

 

「――あっ」

 

 唐突に、本当に唐突に今の後輩を殺すことなく鎮圧することが出来るかもしれない言葉が思い浮かんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おすわり!!!!」

 

 

 某半妖の犬少年と巫女の生まれ変わりとの物語。

 国民的アニメとも言えるその中での言葉だ。




いかがだったでしょうか?

最後のおすわり!がこのシーンでやりたかったことだったんです、はい。
無理矢理感が半端ないとは思いますが、シリアルSSとしてその辺りはお目こぼしを頂けたらと思います。

さておき、今回は途中で終わった感じですので次話にてお座りさせられたコウジュたちがどうなったか、そして皆さんが気になる皇子と兎耳さんの反応について書いていきたいと思います。

ではまた次回もよろしくお願いします!


P.S.
終焉楽しいけど、最後の、日曜朝にやってそうな全員での協力攻撃は笑いを取りに行ってるとしか思えないのは私だけなのでしょうか……。

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