木言葉っていうものがあるのを知って書いてみたくなったのでやりました。
楓の木がある学校ってなんか憧れあるんすよねワハハ。私はね、幼馴染との片思い関係がなぁ!好きなんだよ!片思いが絶対実らないものでもな!!はははは

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第1話

僕の学校には楓の木が生えている。

楓には約束・大切な思い出。という木言葉がある。

代々その木に大事な約束、例えば再会とかを約束した相手と撚り合わせて制服のリボンやネクタイを巻いたり掛けると言う風習があるらしい。だから卒業式の後に首元に何も巻いていない生徒が泣き笑顔で正門から出ていくそうだ。

 

僕には幼馴染がいた。幼稚園から高校までずーっと一緒に育ってきたもはや家族のような存在。

でもその子は最後の夏に交通事故で亡くなってしまった。僕と遊ぶために待ち合わせ場所に向かう途中で。

 

入学した時に一緒にこの日に交わす約束も考えていたのにあの子は制服を着てこの式に参加することすら出来なかった。

入学する時にまだ伸びるからと大きく買って結局最後の春までブカブカのままだったブレザーも、先生に怒られた裾を上げすぎたスカートも履くこともなくただ額に入った写真一枚だけでこの式に参列している。

式は終わりみんなが思い思いの人と撚り合わせてネクタイやリボンを楓に巻いていく。僕はそんな気分ではないから1人だけそそくさと帰ろうとしていた。門を越えようとしたとき彼女の親から呼び止められた。

 

「これあの子のリボンなの。どうかあなたのと一緒に巻いてあげて欲しい。」

 

あの子が流せないから自分も流すまいと決めていた涙が堰を切るように流れ始めて止まらない。

 

ずっと後悔していたんだ。遊びに誘ったこと。昔喧嘩した時のことをちゃんと謝れていなかったこと。ほかにもいろんな後悔がまだたくさんあったんだ。

まだ謝る機会がこの先腐るくらいあるはずだって思っていたから。

 

「あの子ね、貴方と卒業式であの木に一緒に巻くのをずっと楽しみにしていたの。あの木の下で告白したいって。だってあいつ臆病だからって」

 

「お願いね。貴方は絶対に長生きして、素敵な人と会って幸せになるんだよ?あの子なら絶対そう言う。」

 

涙でボロボロになってしまった顔でリボンを受け取って自分のネクタイを円にしてそこにリボンの紐を通していく。涙ですこし目が見にくいけど楓の木に強く縛り付けて決して解けないように縛り付けていく。

もうできない指切りの代わりに固く、固く結んでいく。

 

"絶対君が心の底から爆笑できるような土産話を作って行ってやるからな"

 

泣きながら結びつけた木に拳をぶつける。

いつも約束をした時は指切りよりも拳をぶつけ合っていたから。

 

『楽しみにしてるけど、絶対早くきたらダメだかんね。ゆっくり来てよ。お茶、用意しておくから』

 

後ろから風に乗ってそんな言葉が聞こえてきたような気がする。

 

"わかってるよ。楓"

 

僕はすこし首が風通りが良くなった制服を着て笑顔で門から歩いて行った。楓が紅葉に変わる時にまた来よう。思い出が消えないように。


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