No informatioN

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初投稿です。


嘘です、二作目です。
よろしくお願いします


遺された者達からの 鎮魂歌

 むかしむかし、そう、それは随分とむかしのこと。私達がうまれる前のこと。

 

 あるところに一人の幼子がいました。男か女か、雄か雌かはさておき、ただしくその幼子は人間で、人間として生きていました。ただしく、とは言っても嘘つきで、泣き虫で、卑怯者と罵られても致し方無し、というのは幼子には少々酷でしょうか。他に、その幼子は心が大層弱く、それこそ常人の何倍も何倍も。ついでにいえば思いの外不幸だったのでしょうか、心身ともに、特に心の方に怪我を負いやすかったのでした。ともあれ、その幼子は、確かにあるところには存在していたのです。

 あるときから変化があらわれました。変化といえどそれは微々たるもの。なにしろ親や先生、友人、それどころか本人さえ気がつかない、気がつかなかったほどに。その変化というのは少々好みが多くなったり、主語が俺から私になったり、そういった思春期にありがちに思えるモノでした。 ただ、一つ顕著なものとして、どこか、何故か、人間味が、少しづつ薄れていくような、むしろ人外味などというあやふやなものが濃くなってきたような、そういったモノもありました。加えて、妄想か、あるいは幻想か、己が身体の内にもう(ヒト)リか、もう(フタ)リの誰かがいるように感じられるというモノも起きていました。

 変化がおわるころ、あるいは、己が変化にようやっと気がつくころ、幼子は、死にました。十代前半だったと思いますが如何せん、誰も幼子の死に気がつかなかったもので、正確な享年も、行年も、没年も、誰も知らないのです。あぁいえ、一リの、ただしくは(サン)ニンの人外は、幼子の死を知っておりました。しかし、それに気がついたのも死の数年後。結局いつ、どこで、死んだのかはわかりませんでした。

 三ニンの人外、傍から見ればれっきとした一人の人間は、唯一、幼子の死んだ理由を知っていました。曰く、精神崩壊に伴った魂の崩壊、だそうです。そんなことがありえるのか、ありえてよいのか、それはわかりません。ただ、心が弱まれば身体も弱まる。身体が弱まれば心も弱まる。度合いこそ差があれ、そういうものです。ならば魂にも影響が、なんてのは考えすぎでしょうか。

 そういえば、幼子には一つ、非常にお粗末ではありましたが、奇妙な能力(ちから)を持っていました。持っていたことを気がついたのは、これまた死後なので幼子が意図的に使えた事はないのでしょうが。その能力(ちから)は後に、その特性と幼子が好いていた作品に倣って『畢生(ひっせい)をはかる程度の能力』と名付けられました。特性は名の通り、畢生をはかる、ただそれだけでした。ええまぁ、使用方法は少々癖があるのですが。

 使用するにはまずはかる対象を決め、片方の手はマッチ箱を持っているイメージを、もう片方の手にはマッチを持っているイメージをします。両手にイメージが出来たのならあとはそのまま、マッチ箱の側薬にマッチの頭薬を素早く擦り付けて火を灯すだけ。マッチの火は対象の畢生に応じて、より長く点くのであればその畢生は長く、より短く点くのであればその畢生は短い、といった風にはかることができる、できました。一応、この能力で点けた火に息を吹きかけたりすることで多少畢生に影響をあたえられるそうですが、まぁ使われることはなかったのでしょうね。なにしろ、その能力は気づかれて少ししか使われず、最期その能力と、それに伴う運命を燃やすために使われたのですから。

 噺が少し、それてしまいましたね。ええ、『畢生をはかる程度の能力』なんて幼子には関係のない話なのですから、蛇足になりますかね。それはそうと、ちょうど「運命」という言の葉が出ましたね。

 命を運ぶと書いて運命、この言葉は小悪党が話していましたが、なるほど、小悪党にしては良いことを言います。人一人には一つの運命が、十人には十つの運命が、八百万(やおよろず)数多(あまた)の人々にそれぞれ千差万別かそれ以上の運命があり、それはつまり想像以上の数の命の運ばれ方があることを指します。たとえそれが別の世界の共通の人物であったとしても、です。

 人々は端から決められた、決まった運命を生きていきます。しかしそれは、最初から最期まで決められた道を歩く、というわけではなく、必ず特定の地点を通るということを指し、言い換えれば必ず通る地点以外は好きなように生きることが出来ることを意味します。その結果通るはずだった運命が変わることもしばしば。

 前置きが長くなりましたが、何を伝えたいのかというと、お察しの通り幼子のその奇異な運命についてです。先ほど私は運命を「端から通ることが決められた特定の地点」と表しました。では、幼子の運命とは、必ず通る地点とは何だったのでしょうか。

 幼子が必ず通るべき地点、それは「死」でした。ええ、何を言っているのかと問いただしたいでしょう。なにしろ人間には、ひいては多くの「生」を擁する物には、死とは絶対であり必ず通る地点である、そう考えているからでしょう。ところが実態は違います。死は運命に決められたものではなく、言い得て妙な話ですが、何かしらの「方法」さえあれば、それこそ不老不死の霊薬や不死の禁術のような「方法」さえあれば、大抵の人間には死を回避することが出来るのです。対して幼子はどうでしょうか、死を通ることが決められているのです、少なからず産まれてから25年経つまでに。それは、如何な別の世界であろうと同じでありました。いえむしろ、その運命を持つ者こそ別の世界の幼子といえる証明にすらなりうりました。そしてどの世界であろうと例外無く25になる前に必ず幼子は死にます。

 何故か? なぜ幼子は、幼子達は死ぬのでしょうか? それは25になることで何か、破滅的な何かを起こすからでしょうか? ええ、ご明察、理由も方法も不明ですが、どうやら25になることで自動的に世界的な終焉シナリオが実行されるようなのです。世界的とは地球だとか、国だとか、そんな単位ではなく、文字通りの世界、最も近い表現であれば宇宙単位での話です。なるほど、それでは仕方がない、なんて考えにはなることはありませんが納得はすることができます。なにしろ、生きてるだけで世界が終わるのです、終わりという大きな変化は、変化を嫌う自然からは強烈な反発を受けるでしょう。終わりを望まない様々な存在から反発を受けるでしょう。だって、終わりたくないのですから。

 

 幼子の話は、どうでしたか? 驚きましたか? 納得しましたか? それとも? まぁなんにせよ、幼子のことをあなたに知ってもらえて良かったです。せめて、誰も知らない幼子を覚えてもらえたのですから。

 それでは、また。機会があればまた何かお話いたしましょう。三ニンの人外の一リ、理 þ(イバラ)でした。

 




線を伏せると書いて伏線、伏せてどうするんだろうね?

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