ウルトラマンGATE 超人 彼の地にて、斯く戦えり   作:食卓の英雄

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前話にてとうとう国際的な防衛組織の存在が出てきましたね…。
人類はこれからが反撃の時です。それは同時に特地との戦力差が周回遅れにするほど引き離すものでもあり……。


切り拓く力

 

 世界有数の大国が宇宙人によって人知れず滅ぼされようとしていたという暴露と、作中で登場していた宇宙人がこの地球にも来ていたという事実。そして何よりも日中による国際防衛組織の設立案という一大ニュースが公表された。

 

 あれから世界は忙しなく動き出し、この同盟間の協約や対応範囲、戦力の規模など確認しながらも概ねが同調することとなる。

 

 当然である。あの中国が人知れず宇宙人による傀儡政権となっていたということは、どんな大国も無視できるものではない。明日は我が身というやつだ。

 

 加えて、元々の日本に協力関係の下地があったことも抵抗を緩和する効果があったのだろう。

 何より日本がその事態を察知、解決できる能力と技術を保有していることが明らかになり、更にはその技術を広めるつもりがあるとなれば興味も湧くというもの。

 

 またこれは余談だが、かねてより険悪な仲と見られていた日本と中国が共同で対等な条件を結んだというのも、他国から見て余程の緊急事態なのだと認識されることになったのだという。

 

 既に国際連合とも話はついており、その理念が国連のそれと共存可能なものであり、国連としても未知の災害である怪獣への解決能力を示せず負債ばかりが溜まっていた。故に多少のいざこざと政治的思惑はありながらも無事に国際組織であるGGU(地球防衛連合)は発足されたのであった。

 

 さて、そんな世界の動きも早いもので、GGUの設立宣言から2ヶ月近くが経過していた。

 

 

●●●

 

 

 

 東京―埼玉県境。

 

 そこでは突如地面から現れた巨大怪獣と人間との戦いが始まっていた。

 

 山肌を貫いて現れた巨影の存在は直ぐに共有され、現場周辺には避難勧告の迅速な発令。近隣の実働部隊が脅威を排除せんと防衛線を構築していた。

 

 怪獣は体を半分以上地面に埋めながら南下を始め、人間の生活圏へと踏み切ろうとしていた。

 

『アタッカー1、こちらCP、送れ』

『CP、こちらアタッカー1。送れ』

『包囲を維持し一定の距離を保ち監視。別命あるまで距離を維持。指示を待て』

『CP、目標の地底からの浮上を確認した。外見的特徴はグビラに酷似。南下速度低下。この地点での迎撃を進言します』

『こちらCP、予想進行ルート上に青梅市あり。住民の避難は完了していません。繰り返す。住民の避難は完了していません。防衛ラインを青梅市周辺に定めます』

『CP、アタッカー1了解』

『CPからアタッカー1へ。対象をグビラと呼称。人口密集地への侵入を阻止を目的とした誘導弾での攻撃を許可する。発射準備完了次第、全弾射撃。送れ』

『了解。アタッカー1から6、誘導弾全弾発射。目標、正面グビラ。距離500。発射用意……発射!』

 

 瞬間、空を飛ぶAH-64アパッチの編隊が攻撃を開始する。

 グビラが完全に姿を現した今のうちに効果的な攻撃を加えるべきだという判断だろう。

 

 放たれたのは現在特地で使われているTOWの後継たる対戦車ミサイルであるヘルファイア。

 4連装のそれを4箇所のハードポイントに装着したそれは立て続けにグビラの顔面へと吸い込まれていく。

 

 1200mm以上の装甲をも貫通する威力のミサイルが何の遠慮もなく連射される。

 6機のアパッチから都合96発ものヘルファイアミサイルが直撃。その名の通り地獄の業火とも呼ばれる破壊的な爆熱が木霊する。

 

 特地で最大の脅威とされる古代龍に次ぐ強さを持つ新生龍であったとしても、より旧式のTOWを2発3発と受ければ肉塊と化すほどの威力を持つそれは、一生命体へ向けるにはあまりにも圧倒的な暴力であり――

 

『ヘルファイア全弾命中。しかし目視による損傷、確認できません。繰り返す。目視による損傷確認出来ず。送れ』

 

 ――怪獣に対しては頼りない火力であった。

 

『アタッカー1。こちらCP。後続の部隊が任務を引き継ぐ。アパッチ6機は帰投し燃料・弾薬の補給をせよ。送れ』

『アタッカー1から6了解。これより帰投する』

 

 持ち得る最大火力を惜しみなく叩き込んだアパッチの2個小隊は後方から接近するAH-1コブラの隊と入れ替わるように下がっていく。

 

 今の攻撃によって明確なダメージこそ与えることは出来なかったが、グビラにとってはやかましい障害に映った様で上空へと視線を向ける。

 

『各車、射撃開始!』

 

 しかし上に気を取られたグビラの隙を突くように地上から雨あられとばかりに戦車砲が放たれる。

 

 地上に展開し、防衛線を張っていた機甲科の戦車中隊だ。

 10式戦車からの砲弾が幅広の側面に余すところなく命中し、轟音を立てる。装填が終わり次第即座にグビラを捉え放たれる轟砲からは油断の影も見えない。

 更にそこへ後方の特科からの榴弾砲やミサイルなどが加わりグビラの姿すら覆い尽くす。

 

 その光景は更に後方から撮影する報道ヘリも捉えており、近隣住民達はその作戦の推移を固唾を飲んで見守っていた。

 

 しかし、自衛隊による決死の攻撃はグビラを一時的に怯ませることには成功したが、それだけだ。

 頭を振るい前足で地面を力強く掻くその仕草は猛り狂った闘牛のようでもあった。しかし、彼らの予想を裏切って、グビラはその身を翻すとドリルのような角で地面を掘り進んでいく。

 

『対象グビラ反転。地面への穿孔を確認』

『CP、了解した。戦闘態勢は維持。指示を待て』

 

 潜っていくグビラを見て尚警戒を維持する彼等だったが、ここで予想外の事態が起こる。

 

「ギョアアアアアアァァァァッッッ!!」

 

 一度退いたかに見えたグビラだったが、突如として地面から放物線を描いて飛び上がる。

 あの穿孔は退避ではなく、地面の中を助走路とする為のものだった。

 矢のように飛び出したグビラはとてつもない速度で飛来し、数kmはあった距離を瞬きの間に詰めてしまった。

 

『ぐあっ!?』

『があぁっ!』

『退避!退避ぃーっ!』

 

 幸いなことに直撃を受けた戦車はいなかったものの、3万5000トンもの重量物がとてつもない速度で飛来したのだ。その衝撃はとてつもないもので、付近の戦車は軒並み吹き飛ばされる。

 

 何両もの戦車が転がり、そのショックに耐えられなかった自衛隊員は中で気絶している。辛うじて意識を保っていてもひっくり返ったままではハッチは開かない。

 

 残りの戦車隊はグビラの着陸地点から距離を取るものの、既に防衛線を突破されてしまっている。

 

 市街地は既に目と鼻の先だ。

 

『防衛ライン突破されました!』

『防御陣地崩壊。市街地への侵入、阻止できません』

『こちらCP了解。青梅市内に最終防衛ラインを構築。市民の避難完了まで遅滞戦術へと移行せよ。行動可能な車両は後方指揮所の指揮下に合流。連携しグビラの侵攻を阻止せよ』

 

 防衛ラインに穴を開けられてしまったために郊外での撃退は失敗。これを受けて防衛ラインの後退が決定される。

 都市への被害は避けられないものとして、市民が逃げる時間を稼ぐための抗戦へと切り替わる。

 

 しかし、何事も速やかに指示通りにことが運ぶとは限らない。

 

「おい!何してる!」

「二曹!転倒した車両にまだ友軍が…!」

「おい、大丈夫か!出れるか!?」

 

 グビラによって吹き飛ばされた車両から逃れようとしている自衛隊員がハッチの隙間から手を伸ばしていたのである。

 それを救助しようと車両を降りた隊員が渾身の力を込めて引っ張り出そうとするが、脅威は去った訳では無い。

 

 一人、また一人と車内から救出され、乗機を失った隊員たちはタンクデサントとして共に後退していく。

 障害物が少なかったことが幸いして、瓦礫や建造物の下敷きになるようなことがなかったため、救助からの撤退も比較的迅速に行われていた。

 

 故に、それが目に留まったのは運が悪かったのだろう。

 

 吹き飛ばされた戦車が直撃した車両二台がもたれ込んでいる状況。中の人間を救助すべく車両を降りた隊員たちだったが、搭乗員は皆気を失い、救助に時間がかかってしまっていた。

 

 それが二台纏まっていれば、時間も2倍になる。

 

 ギョロリ。

 

 市街地へ侵攻しようとしていたグビラの目が直ぐ側で動く小さな自衛隊員(獲物)の姿を捉える。

 

「おい、こっち見てないか…?」

 

 救助に当たっていた一人がそれに気がつく。

 

 何とグビラはそのまま向きを変えると救助中の彼らへ向かって走り出した。

 

「う、うわぁぁぁ!?」

「こっちに来るぞ!」

「おい!さっさと車内に戻れ!退却する!」

「しかしっ…まだ中に味方が!」

「バカ野郎!このままじゃ全員纏めてお陀仏だ!」

 

 尚も渋る自衛隊員に喝を入れるが、グビラは待ってはくれない。

 

「航空部隊、グビラの注意を逸らすことは可能か!」

『無理だ!近過ぎる!』

 

 何とかギリギリまで待とうとし援護要請も出したものの、彼我の距離が近すぎるために巻き込みかねないと拒否されてしまう。

 

 10式戦車の後退速度は決して遅いものではない。だがしかし、この巨体に加えて先ほどの跳躍を見れば安心できる距離ではない。

 

「くそっ…!恨むなよ…!」

 

 悪態をつきながらも操縦手は全速力で離れる。この距離では進路に巻き込まないようにと避ける余裕もない。

 まだ戦車内に動けない仲間がいると理解して尚、それを轢き潰すルートしか選ぶことが出来なかった。

 

 彼等が悪いのではない。むしろ、戦車長ともどもギリギリまで粘ったものだ。だがこれ以上遅れれば自分たちや先に救助出来た一部の隊員全てを失うこととなる。

 

 人道的観点においても最善の行動だ。それは決して間違いではない。

 

 だが、迫るグビラの迫力に気圧され、同時に何が起こったか分からないといった様子の隊員が這い出してきてしまうのを見て善良な価値観を持つ彼は思わず目を背けてしまう。

 

 しかし、彼の想像した凄惨な光景がやって来ることはなかった。

 

 グビラが顔を上に向けたかと思うと、視線を右へ左へと彷徨わせたのである。直後、全体に向けて指揮所からの通信だ。

 

『各機、友軍が到着した。戦線の立て直しを図る』

「何だ…?」

 

 直後、彼らの頭上を1機のオスプレイが通過する。

 それはグビラと戦車の間を遮る様にして通過し、市街地から離れていく。

 

 一見ただ通過したように見えたそれだったが、グビラは去っていくオスプレイ目掛けて反転するや猛足で後を追い始める。

 

 成功するかどうかも分からない囮かと口を開きかけたものの、そのオスプレイの側面に刻まれたマークを見て喜色を浮かべる。

 

 そのマークは一見して国際連合のそれにも似ているが、範囲が違う。翼の生えた盾の中に地球が描かれ、その中央にはGGUの文字。

 

「お前等喜べ!地球防衛連合のご到着だ!」

『CP、こちらGGU日本支部特遣隊。グビラの誘導成功。市街地から引き離します』

『こちらCP了解。グビラと一定の距離を保ちつつ包囲を実行し防衛ラインを再度構築用意』

『了解』

『了解』

 

 通信が成されると同時、周囲の車両も再び前線に戻ってきており、見れば後方からは1t半救急車までもが迅速に駆けつけてきており、意識不明の隊員たちを乗せていく。

 同時に軽傷者や車両を失った隊員たちは後方の輸送車へ移り下がっていくのであった。

 

 これによって崩壊した防衛線での負傷者は後方へ運ばれることとなり、彼らの車両も定員外の救助者を乗り換えさせる。

 

 それと入れ替わるようにして現れたのは彼らの駆る10式戦車の前身足る74式戦車の群れ。

 

 否、その構造は殆どが74式戦車と同様だが塗装は白一色となり、肝心の砲塔はまるで別物だ。

 

『CP、ファイアボルト小隊並びにスパーク小隊射撃位置に到着。指示を待つ』

 

 この車両の名は74式電磁特車改(RC)。

 車体部分をそのままに、砲塔部を丸っと電磁砲へと換装した対怪獣用特殊戦闘車両だ。

 

 度重なるブレイクスルーと天才たちの絶え間ない努力により実用化に至った戦車に搭載可能なレールガン砲塔に、既に広く普及している74式の車体への換装によってコストダウンと生産性を高めた戦車である。

 

「すげぇ…。あれ全部レールキャノンかよ」

 

 思わずといった様子で声が漏れる。

 

 戦闘配置についた2個小隊はグビラへと狙いを定め、オスプレイが高度を上げると同時に司令が下る。

 

『各車、射撃開始!』

()てぇー!』

 

 計8つの砲門から電磁加速を経た専用弾が無防備なグビラの体を痛烈に叩きつけた。






因みにグビラと呼称していますがこいつはオカグビラです。

あと現れたオスプレイからは分析班の特定作業により判明した周波数を垂れ流して誘導してました。


『74式電磁特車改(RC)』
特災課時代から進められていた電磁砲の技術を用いた世界初のレールキャノン搭載戦車。
砲塔部分はできたが、流石に車両丸々一つ生産するのはコスト、時間面共に難があるため車体部分は74式と共用、換装可能な砲塔のみの生産となった。
既に広く配備されている74式の有効活用であり、また怪獣相手に真正面から殴り合う目的でもないので車体部分を専用に作る必要性が薄かったことが理由として挙げられる。
砲塔部は完全に電磁砲に特化させており、専用の弾を使用。
砲身を限界まで伸ばしており、専用弾の自動装填装置も完備。
これによってスペースは圧迫されており、乗員は2名。
単体では効果は薄いが、小隊規模での一斉掃射は怪獣にも通じる威力となる。
またRC型はRailCanonの略。
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