ボッチの俺が、個人VTuberとして地味に活動していたらいつのまにか人気になっていた~とある変態リスナー(義妹)が推し(俺)と付き合うまでの話~   作:わんた

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新しい仲間は役に立たなかった

「それじゃ行きましょうか」

 

 話を勝手に切り上げた陽葵さんは、下駄箱の方へ行ってしまった。

 

 俺が離れている間に嫌がらせをしている人が来るかもしれない。即行動するのは悪くないと思い、後を追いかける。

 

 すぐに陽葵さんの姿は見えた。下駄箱が見える辺りの廊下で壁により掛かっているけど、スマホの画面を見ているから監視している意味はなさそうだ。俺たちがやるべきことを本当に理解しているのだろうか。

 

 小さくため息を吐いてから陽葵さんの隣に立つ。

 

「画面を見てて大丈夫なの?」

「ときどきチェックしているし、優希くんもいるからね」

 

 なんと完全に人任せだった。頼りにしているつもりはなかったので別にいいけど、舞依さんのことをどうでもいい人扱いしているように感じてしまう。あれだけ怒っていたのに、実際に犯人を突き止めようとしたら面倒になったのかな。

 

 もしそうだったら友達といっても上辺だけで、本当の意味で仲が良いとは言いがたい。

 

 利用はさせてもらうけど頼りにはしない方が良さそうだ。

 

「そっか」

 

 喉を酷使するのも、もったいない。これ以上は話しかけることなく黙る。

 

 舞依さんの下駄箱を監視しているけど誰も近づかない。それでも辛抱強く待ち続けて部活の時間が終わり、人が減っても変わらない。誰も近寄ってこなかった。

 

 初日で犯人がわかるなんて思っていない。

 明日、早く学校に行って監視しようと気持ちを切り替える。

 

「あ、舞依だ~」

 

 スマホをいじっていた陽葵さんが顔をあげて、下駄箱のほうに行ってしまった。ジャージ姿の舞依さんと合流する。

 

「放課後は部活しないんじゃなかったの?」

「急に予定がなくなってね。しばらくは部活にフル参加できるかも」

 

 話ながら舞依さんがチラッと俺を見た気がする。

 

 ちゃんと監視していたぞと、こっそり親指を上げて合図を送った。

 

「えー! だったら部活じゃなくて遊びにも行こうよ!」

「うーーん。どうしようっかなぁ」

 

 即答はしないで焦らしながら舞依さんは下駄箱から靴を取り出して履く。

 

「ねー。いいじゃん! 賢治たちも喜ぶよ」

「そこまで言うなら考えておくよ」

 

 陽葵さんも靴を履いて二人とも外へ出て行った。

 

 賢治ってなんだ。あれか、イケメンAか?

 

 あのグループで遊んでいたら目立つだろうな。カラオケで盛り上がっている姿をイメージして頭を軽く振る。

 

 余計な考えは止めよう。

 

 まともに話せず、人前で歌えない俺は、陽キャみたいな高校生活はしないって決めたんだ。

 

 VTuberとして配信するだけで満足なんだよ。

 

 リアルよりバーチャル。それが俺の選んだ道だ。

 

 気分を切り替えて監視業務を再開する。生徒が大幅に減っているので変な目で見られることは少ないけど、今度は立ったまま動かない俺が目立ってしまっている。今日はいいが、何日も続けば嫌がらせをしている犯人も不信に思うだろう。

 

 うーん。どうしようかな。どこか隠れられるような場所を探さなきゃ。

 

 悩みながら窓の方を見る。二階から下駄箱が覗けそうなことに気づいた。

 

「双眼鏡があればいける?」

 

 そうすれば陽葵さんの協力は不要になって気が楽になる。問題があるとすれば、犯人を見つけたときにすぐ確保できないことぐらいか。

 

 目的は正体を突き止めることなので、捕まえるのは後でもいい。むしろ後にして作戦を練る時間が欲しいのだから、遠くから監視するデメリットはないと考えられる。むしろ近くに俺が待機していることで、犯人が別の動きを始める方が怖い。

 

 うん、悪くなさそうなアイデアだ。

 

 ネットで双眼鏡を買うとしても、実行できるのは二日後ぐらいか?

 

 それまでは現状を維持して……あっ。

 

 グランドで舞依さんを盗撮していた男の姿が見えた。俺には気づいてないみたいなので、物陰に隠れて様子をうかがう。

 

 実際に盗撮をしていたので彼が第一容疑者だ。現場を押さえれば言い逃れは出来ない。

 

 スマホを取り出してカメラモードにすると録画ボタンを押す。

 

 盗撮男は左右をキョロキョロとみながら周囲を気にしてる。何か持っているようだけど、体で隠されているので見えない。今は何をするか確認するに留めた方が良さそうだ。

 

「えーっと、ここら辺に……」

 

 下駄箱の前で立ち止まった盗撮男は、誰かの上履きを探している。

 

 端から順に調べていって真ん中らへんで止まる。あそこは舞依さんの所だ。手に持っていた何かを入れると、足早に立ち去っていく。

 

 一連の動作をすべてカメラに収めると録画停止ボタンを押した。

 

 誰もいなくなったので舞依さんの下駄箱の中を見る。

 

 茶色い便箋が入っていた。ピンク色のハート型シールが貼られていて、中は見られないようになっている。

 

 蛍光灯にかざしていると紙か写真が入っているように見えた。ついでに小さいSDカードも入っていて、この場じゃ何が入っているかわからない。中を確認するには持ち帰る必要がありそうだ。

 

 スマホを取り出してチャットアプリを立ち上げ、舞依さんにメッセージを送る。陽葵さんと帰っているから返事は遅くなるかと思っていたけど、即座に通知が来た。

 

『下駄箱に便箋が入ってたんだけど持ち帰って、一緒に中身見ない?』

『二人でなら』

『わかった。便箋を入れた人の顔はバッチリ撮影しておいたから、中身が例の嫌がらせだったらどうするか話し合おう』

『うん』

 

 許可はもらえた。何が入っているのか気になるけど我慢して、スマホをポケットに入れると急いで自転車に乗って帰ることにした。

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