ボッチの俺が、個人VTuberとして地味に活動していたらいつのまにか人気になっていた~とある変態リスナー(義妹)が推し(俺)と付き合うまでの話~   作:わんた

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部活動

 翌日から、いつもより早く家を出ることにした。

 

 舞依さんは友達の陽葵さんと一緒に歩いて通学しているため、俺は二人の後ろをつけている。朝早いので同じ制服を着ている人は見かけない。集団に紛れることも出来ず目立っているのだ。

 

 離れず、近寄りもせずについていく。

 

 陽葵さんはたまに後ろを向くと、俺を見て笑っていた。

 

 追い払うように手を振ってこっちを見るなとつたえると、陽葵さんは小さく舌を出して前を向く。舞依さんが肩を叩いて抗議していたけど、気にした様子はない。自由気ままに行動するタイプのようだ。

 

 深刻な問題も彼女にしてみれば遊びの一環なのだろうか。何事も楽しめる性格はすばらしいと思うけど、マネをしたいとまでは思わなかった。

 

 しばらくして高校に着いたので、俺は一人でグランドが見える場所に移動する。周囲はジャージに着替えた男女がいて準備体操をしている。着替え終わった舞依さんも合流したので、陸上部の人たちだろう。

 

 顧問の先生が来ると全員がグランドを走り始めた。このタイミングで見学人が増えてくる。みんな舞依さんが目当てなのだろうか。少し観察してみよう。

 

「早く陸上部の練習終わってくれないかな。俺たちが使えねぇ」

「全国区レベルだと優遇されてていいよなぁー」

「嫌みを言っても何もかわらん。どうせ十分ちょっとで別の場所に移動するんだ。大人しくまとうぜ」

 

 グランドが空くのを待っていたようだ。みんな真面目に部活動を――。

 

「まあいいか。舞依ちゃんの胸を合法的に観察できるしさ」

「それな! 尻もいい感じだぜ!」

 

 ダメだこいつら。この男子高校生たちは盗撮男と同レベルじゃないか。近くにいる女子たちは軽蔑した目を向けているのだが、気づいてないところが哀れに思う。

 

 そういった集団から少し離れたところに昨日見かけた盗撮男もいた。スマホは出してないみたいだ。視線は舞依さんだけを追っている。何を思っているのかわからないが、ポエムと歌を送るぐらいの情熱が体内で渦巻いているのは間違いない。

 

 対応は舞依さんに任せると決めているので様子を見るだけに留める。

 

 少しすると盗撮男はどこかに行ってしまった。

 

「何もしてこなかったね」

「!?」

 

 急に話しかけられて心臓が飛び出しそうになった。

 後ろを向くと陽葵さんがいる。彼女も心配してこの場に来たんだろう。

 

「返事を待ってるだけじゃ?」

「そうかもね」

 

 彼女は遠慮なく俺の隣に立つ。

 

「驚いた?」

 

 悪戯が成功したと言わんばかりの笑顔をしている。昨日まで話したことなかったのに、距離感がおかしいんじゃないか? それとも最近の女性はこれが普通? いやいや。それはないか。舞依さんは違うから陽葵さんが特別に距離感がバグってるんだろう。

 

「うん」

「作戦成功~」

 

 バシバシと背中を叩かれた。

 

 やっぱり距離感がおかしい。

 

「近すぎ」

「えー。そんなことないよ? もしかして優希くんは女子慣れしてないとか? あー、でも舞依と友達ならそんなことない?」

 

 なんだか勝手に妄想を膨らまして話を進めている。

 

 リアルの女性に慣れてないのは事実だから否定はしないけどね。

 

「友達じゃない」

 

 ただ舞依さんとは無関係だという立場は崩したくないので、その点だけ否定した。特に陽葵さんに家族だとバレたら一瞬にして校内に広がるだろうから、隠しておきたかったのだ。

 

「え、そなの? 相談に乗ってたんじゃないの?」

「陽葵さんが迷惑をかけたって謝罪したついでに相談されただけ」

「それじゃ友達や彼氏でもないんだ」

「当然だね」

 

 真偽を確かめるためか、じーっと見られている。

 

 家族にはなったけど、友達や彼氏といった存在ではないので嘘は吐いていない。何を言われても自信を持って違うと言える。

 

「ふーん。そっかぁ」

 

 興味を失ったのか陽葵さんは前を向いた。

 

 視線は走っている舞依さんを追いかけているように思える。友達にしては熱心に見ているように感じた。

 

「舞依さんは女性にも人気があるの?」

「ん、そうだね。男女問わず告白されているよ」

「え?」

「今の時代、驚くことじゃないでしょ」

「まぁ、そうだけど……」

「男になびかない姿が素敵! お姉様として呼ばせて! なんて告白されることも多いらしいよ」

「そうなんだ」

 

 まったく知らない世界だ。アニメや漫画だけじゃなく、リアルでもそういったことが起こるのか。

 

「きっと女子校に入っていたらもっと凄かったと思うよ」

「だろうね」

 

 特に下級生からの人気は高そうだ。容易に想像できた。

 

「そのうち女子に捕られるかもよ? どうするの?」

「どうもしない」

 

 だって、友達ですらないからね。

 

「つまんないのー」

 

 俺の反応が気に入らなかったようで、陽葵さんは口を尖らせながら後ろに下がった。

 

 見学は終わりのようだ。

 

「あとは任せたよ~」

 

 自由きままな陽葵さんは軽い足取りでどこかへ行ってしまった。

 

 グランドにいる意味はなくなったので下駄箱の方へ移動する。

 

 登校している生徒はすくない。舞依さんの部活が終わるまで変な物を入れられないか監視しておこう。

 

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