ボッチの俺が、個人VTuberとして地味に活動していたらいつのまにか人気になっていた~とある変態リスナー(義妹)が推し(俺)と付き合うまでの話~   作:わんた

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未知との遭遇

 一回目のコラボ配信は上手くいったと思う。

 

 コメント欄は一時荒れたけどメーベルさんのトークスキルによって楽しい雰囲気になり、最後は大盛り上がりをした。

 

 リスナーのSNSをチェックしても「良かった」という感想が大半なので、自己満足じゃないのは間違いないけけど、一人で配信したときの同接数は変わりないのでファン総数は増えてないと思う。

 

 少しだけ知名度が上がって終わり。今のところそんな感じだ。

 

 次のコラボ配信は一週間後なので、ネタをどうするか再び通話をすることになった。

 

「この前はお疲れー! 良い感じで終わったね」

「すべてメーベルさんのおかげですよ」

「聖夜くんのリスナーの質が良かったからだよ。前にコラボした男性VTuberのときは、そりゃぁめちゃくちゃ荒れたからね」

「ベッドネタみたいなので?」

「うん。それですごくムカついたから、ちょっとした復讐してスッキリしたよ」

 

 軽い口調で言っているからスルーしそうになってしまったけど、酷いこと言っているよね!?

 

 自分の価値観が間違ってるんじゃないかって少しだけ疑ってしまった。

 

「男性VTuberはどうなったんですか?」

「それ聞いちゃう!? うーん。録音されていたら困るし、直接会ったときに話してあげる」

 

 興味ある話題を用意して俺を釣ろうとしているみたいだけど、今の流れで行きたいと答えるわけないよ。

 

 各所から注意してって警告をもらったこともあって絶対に断らなきゃと思っていた。

 

「誰かと会うのは苦手なので遠慮しておきますね」

「えー。絶対、聖夜くんはイケメンでしょ」

「そんなことありませんって」

「言葉だけじゃ信じられない~。写真見せてよ!」

 

 写真を送ったら都合よく使われてしまう。送ってはいけない。舞依さんにお説教されながらもハニートラップの予行練習をしたから、俺は詳しいんだよ。

 

 公開している以上のプライベート情報は渡しちゃいけない。

 

 気をつけないと。

 

「ごめんなさい。写真は送れないんだ」

「先に私のを送っても?」

「うん」

 

 そんな提案をされたところで俺にメリットはない。メーベルさんは先輩VTuberとしてトークスキルは高くて尊敬するけど、深く知りたいとは思っていない。元も子もないことを言ったら人としての魅力を感じてないのだ。

 

「あっさりすぎない!? 私の写真を欲しがっている人って結構多いんだよ?」

「そうなんですね。身バレには気をつけてください」

「え……うん」

 

 交渉の余地なし。かたくなに拒絶する俺に違和感を覚えたみたいで、スマホ越しからでもメーベルさんの空気が変わったと気づく。

 

「私のこと誰かから聞いたでしょ?」

 

 配信とは違って、低くドスの利いた声だ。

 

 ギリギリ女性だとわかるぐらいで、通話相手が変わったと言われても納得してしまう。

 

 正直、怖かった。

 

 心が震え上がるほどの豹変ぷりに、女性は恐ろしいという印象がさらに強くなる。

 

「黙ってたらわからないんだけど」

「ごめんなさい。少しだけ……」

「やっぱり~」

 

 ふぅと息を吐いたようだ。

 

「孤立しているVTuberなら大丈夫だと思ったんだけど、想像していたより噂は出回っているみたいだね。転生してリセットしようかな? ううん、中が一緒じゃすぐにバレちゃうか。どうしようかな」

 

 まだ通話が繋がっているというのに、メーベルさんは独り言を続けている。

 

 ここまでくると怖いより興味が勝る。少し深く聞いてみようかな。

 

「噂は本当なんですか?」

「うん」

「どうしてそんなことを……」

「理由なんてないよ。遊んで気に入ったらセフレになるし、そうじゃなければ金をせびるか嫌がらせをする。それが私なんだよ」

 

 悪びれることもなく堂々と言った。

 

 気分屋なんだろうけど、すごく変わっている性格をしている。普通は……ってここまで考えて俺の考えが間違えていると気づく。

 

 配信者なんて道を選ぶ人に普通を求めたらダメだ。特に一定の実力を持っている人は変わり者が多い。性格が破綻しているぐらいかわいいものだろう。

 

 メーベルさんみたいなのが一般的で、俺みたいな普通の性格をしている人間のが異端という業界だと思い直すべきなのだ。

 

「これからのことは後で考えるとして、とりあえず二回目のコラボ配信をどうするか話そうか」

「え!?」

 

 本性がばれたのでコラボ配信は中止すると思ったんだけど、俺の考えと真逆だった。

 

 未知の生物に出会った衝撃があって言葉が出ない。

 

 日本ってこんなに広く、色んな人がいるんだなぁ。普通に生活していたら、こういった人たちとは出会わなかっただろうし、何度も話さなかったはずだ。

 

「驚くことじゃないでしょ。リスナーに告知したのであれば中止なんてしない。期待に応える配信をするのはあたりまえでしょ」

「う、うん」

 

 正体がバレてもコラボ配信を続ける理由が、プロそのものだった。

 

 一方で気に入らない相手を貶めることもするし行動が一定しない。

 

 裏側なら何をしてもいいとか思っているのだろうか。

 

 良いコラボ配信をするには相手との関係も重要だと思うんだけど。

 

「同じゲームをしてもネタはすぐに尽きちゃうし別にしたいよね。聖夜くんはFPSできる?」

「やったことないです」

「車を運転するレース系は?」

「それなら何度もやったことあります」

「ならゲームタイトルは――」

 

 ポンポンとアイデアが出てきてすごい。配信内容はすぐに決まってしまう。

 

 ユニコーンを殺す動きをしなければもっと人気VTuberになったんじゃないだろうか。

 

 いや、そうしたら埋もれてしまうので難しいかな。

 

 何にせよ色んな意味で経験豊富なメーベルさんは非常に頼りなる。

 

 すぐに二回目のコラボ内容は決まった。

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