ボッチの俺が、個人VTuberとして地味に活動していたらいつのまにか人気になっていた~とある変態リスナー(義妹)が推し(俺)と付き合うまでの話~   作:わんた

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コラボ配信前の準備

 父親から家族のことは心配するな、何かあれば弁護士を使ってなんとかする。そういった約束をしてもらえたので心は軽くなった。美紀恵さんや舞依さんに迷惑をかけるかもという懸念は一旦横に置いておいて、炎上しているメーベルさんを助ける一手が打てるよう、専念しよう。

 

 今はコラボ配信の下準備として、メーベルさんとは通話をしながら、送られてきているDMを確認している。

 

「チン凸ってこんなに多いんですね」

「そうなんだよねー。おかげで男より形や色に詳しくなったよ!」

「あはは」

 

 なんと返事すれば良いかわからず笑って受け流すと次のDMを見る。

 

 数十行にわたるお気持ち文章だった。要約すると「心配している。男あさりは止めて俺のこと所に来い」だった。熱い気持ちがこもっているのは伝わってきたけど、どうして見知らぬ男のところに行かなきゃいけないんだろう。

 

 しかも本人が楽しんでやっている活動を止めてまで。

 

 相手を思っているようで自己中心的な考えを押しつけている。

 

 読んだ感想は味方の振りをした敵だった。

 

「このDMはねー。常連リスナーの一人なんだよね。毎月数万のスパチャを送ってくれて都合のいい人なんて思っていたけど、押しつけてくる感じは嫌だよね。ちょっと引いちゃった」

「俺にもたまに、こうしなさいって無神経な押しつけが来るから気持ちはわかるよ」

 

 本人は親切心から言っているんだろうけど、リスナーとライバーの立場には大きな隔たりがるのであまり口出しして欲しくないというのが本音だった。

 

「だよねー。楽しんで配信したいから、提案までは許すけど押しつけまで行くとキツイよね」

「うん。本当にそう。だからこのDMには悪い印象しかないかな」

「配信で紹介しちゃう?」

「それはやめておくよ」

 

 方向性は間違っているけど心配している気持ちがあるなら違うと思った。もっと悪意に満ちたDMは沢山あるので、そっちを晒してメーベルさんの被害を伝えた方がいい。

 

「じゃぁチン凸?」

「それはネタ枠だからメインにはならないかな。モザイクかけて何枚か紹介するだけで終わりだよ」

 

 共有してもらったテキストを読みつつ、悪意に満ちた内容がないか探していく。

 

「あ、あった。襲撃予告」

 

 思っていたよりも少ない三通だけだ。どれも似ていて、家に押し入って犯してやるといった内容ばかり。

 

 どうしてこんな内容を送れるのだろうか。理解に苦しむ。

 

「それは絶対に使うー! あとはさ、胸のサイズ聞いてくるヤツとかも晒したい!」

「……まぁ良いとお思う」

「じゃ、追加で」

 

 スマホ越しかスクショを取る音が聞こえた。このあと配信用に加工をするのだろう。

 

 作業の邪魔をしたら悪いと思って黙っていると、メーベルさんがとんでもないことを言ってくる。

 

「ねー。私の胸のサイズ気になる? 聖夜くんなら特別に教えてもいいよ。それだけじゃなく、言えばエッチな写真も送るよ」

「なななななんてこと言うんですか!」

 

 正直興味はある! 男子高校生だからね!

 

 でもさ! そういのはデジタルに残しちゃいけないって教わるでしょ!

 

 恋人ならまだしも、コラボしただけの相手に送るなんて普通は言わない。きっと炎上で精神的にまいってしまって、正常な判断が出来なくなっただけだ。

 

「そんなことで動揺するなんて、高校生ってかわいいね」

「もしかして、からかったんですか?」

「どー思う? もしかしたら本気かもよ? 試しちゃう?」

 

 ぷぷぷと笑ってしまうのを我慢してそうな感じで言われて少しだけ冷静になった。メーベルさんは最初から俺が断ると思って遊んでいるだけなのだ。追い詰められても普段通りにいられるのであれば、ある意味安心は出来る。神経質になる必要はなさそうだ。適当に受け流そう。

 

「本気だったとしたら考えを改めてほしいね。そういった言動をしたから今回の炎上に繋がったんだよ」

「うぁ~! それ言われると辛い!」

「笑い事じゃないから! コラボ配信では心を入れ替えたメーベルさんを見せたいんだから、過ちがあった部分はちゃんと謝罪してね!」

 

 酷いDMを晒すだけじゃ批判は残る。

 世間が指摘している点は謝ることも大事なんだ。

 

「わかっているって。その気にさせるような言動をしたのは悪かったって言うから」

「誠意を込めて、てだよ?」

「そのつもり~。聖夜くんって細かいなぁ。モテないよ?」

「別にかまいません。付き合うって面倒そうですし」

「うぁ~~。これが草食系男子!? 恋愛は若いうちに楽しんだ方が良いよ」

「面倒を超えるほど魅力的な人と出会えたら、その時に楽しみますよ」

「枯れてるねぇ。お姉さんが潤してあげようか?」

「未成年に手を出すと警察がピンポーンて訪問してくるけど。いいの?」

「黙ってればわからないよ!」

「VTuberは喋るのが仕事。俺たちが黙っていられると思う?」

「無理だね~。絶対捕まる~~。この話は止めよっ!」

 

 表でも裏でも俺たちはおしゃべりだ。じゃなきゃ配信なんてやっていない。

 

 ネタに困れば身を削って隠し事すら話してしまう。黙ってればわからないってのは、俺たちに通じないのであった。

 

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