ボッチの俺が、個人VTuberとして地味に活動していたらいつのまにか人気になっていた~とある変態リスナー(義妹)が推し(俺)と付き合うまでの話~   作:わんた

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同志発見

「それは例の男性VTuberは、フィーリングみたいなことは言ってなかったけど本当なの?」

「もちろん。証拠もあるよ」

 

 画面の中央に、やりとりをしていたチャットのスクリーンショットが表示された。個人情報は隠しているけど、全体の流れはわかるようになっている。

 

「本当だ。絶対にヤるとは約束してないみたいだね」

「当然でしょ。顔や体臭、態度が気に入らなかったらお金もらってもヤりたくないから」

 

 チャット欄でリスナーの反応を見ると、新しい情報に驚いているようだった。

 

 特に女性っぽい名前をしているアカウントは同情的なコメントが多く、メーベルさんを支持している。男だって批判は少ない。

 

[まなぶ:ダメになると分かっていながらメシをおごって逃げられたんだろ? ヤバイのは男の方じゃね?]

 

 このコメントで決まったような気がする。

 

 メーベルさんが絶対に悪いという意見は見受けられず、どっちもどっちという空気になった。

 

 流れに乗るしかない。

 

「でも。メーベルさんだって悪いところはあったよね?」

「そうだね~。反省するべき点があるとしたらボディタッチが多かったとか、カッコイイ~なんて褒めたことかな。もし勘違いさせたんだったらごめんなさい」

 

 頭を下げて画面越しから謝罪をした。

 

 表に出てなかった事実を伝え、悪かったところを認めた人を批判するようなリスナーはいない。

 

 そもそもの話、今回は犯罪でも何でもなく、ただの男女トラブルだ。お互い様と思える状況であればあえて攻撃する必要はないのだ。

 

 さらにここで、別の被害がでていると教えれば空気は完全にこっちの流れになる。

 

「ちゃんと謝罪して偉いでね」

「年下にそれ言われるとムカつくんですけどー」

「嫌だったら燃えるような行動をしないことだね」

「それ言われたら言い返せない。ズルいよ」

 

 甘い声を出して負けを認めた。男心をくすぐるというか、庇護したくなるような気持ちをかき立てる。

 

 これが数々の男とオフパコした女性の力か!

 

「でさー。そんなズルい男の子に話があるんだ」

「何があったの?」

「炎上してから酷いDMがたくさん来ているの。どうすればいいか相談させて」

「いいよ」

「それじゃ一つ目の相談をするね!」

 

 ようやく台本通りに話してくれて助かる。

 

 やや赤みを帯びた薄い黄色と黒が混ざったモザイクのかかった写真を数枚表示した。

 

 よく見れば、何を隠しているかはわかるようになっている。しかしここは、あえて説明してもらおう。

 

「これなんですか?」

「男性器! 炎上してから何枚も来てるんだけど!」

 

 見ている人が深刻そうに感じないよう笑っている。リスナーが楽しめているか気になってチャット欄を見た。

 

[キラキラJD:モザイク解除希望!]

[キラキラJD:はやく! はやく!]

[キラキラJD:それかDMでこっそり送って!!]

 

 常連の一人が暴走している。どんだけ見たいんだよ……。

 

「いいの? 汚いおっさんのブツかもよ?」

[キラキラJD:むしろ最高! 汚ければ汚いほど参考資料としての価値が高まる! 男同士のからみのバリエーションが増えるんだよ!]

「参考……へぇ。あなたもイイ趣味をしてそう。後で話そっか」

 

 俺を置いて二人は仲良くなってしまったようだ。直感が深く立ち入るなとささやいてくるので、画像を切り替える。

 

「他にも胸のサイズを聞いてくるDMや襲撃予告も来ているみたいなんだ」

 

 先に下ネタ系を紹介してから、次にやや深刻な内容の画像を表示する。テキストの量は多くない。シンプルに個人情報を特定して襲ってやると書かれている。

 

 読み上げ終わるとチャット欄は、流石にこれはないという反応ばかり。自業自得などと書き込むリスナーすらいない。

 

 他にもいくつか誹謗中傷のDMを晒して同情的なコメントを増やしていく。

 

 話している途中でSNSをチェックしてみると、配信の切り抜きがいくつか出回っていて、世間の矛先が男性VTuberの方に向かっていた。

 

 炎上は収まると思ったら、予想とは違う動きをしている。

 

 せめて誹謗中傷を送った人たちに向けば良かったのに。今から軌道修正できるか……?

 

[キルダ:俺も配信に混ぜろ]

 

 チャット欄に気になる名前があった。メーベルさんを炎上させた相手だ。

 

「コソコソ逃げ回っていると思ったら、表舞台に立つ勇気ぐらいはあったんだ」

 

 メーベルさんは、ぞっとするほど冷たい声で言い放った。見下すような発言だ。フィーリングがあわなかったぐらいじゃ、こうはならない。二人の間には俺にすら言っていない何かがあるんじゃないかと感じた。

 

「聖夜くん。彼を呼んでもいい?」

「ケンカしないなら」

「しないって! キルダも節度は守れるよね?」

[キルダ:当然だ。お前とは違う]

「だってさ」

 

 チャット欄を見ると参加させてほしいという意見が多い。外野からすれば盛り上がってきたって感じなんだろう。俺が断ったらガッカリしそうだ。

 

 それにキルダさんには悪いことをしてしまったという後ろめたさもある。

 

 許可してもいいか。

 

「和解する前提での話し合いならいいよ」

「うん。そうする。それじゃ、早くおいで」

[キルダ:すぐに行く。待ってろ]

 

 数秒してから俺のアカウントにフレンド申請が来た。名前はキルダ。

 

 即座に許可をして繋がると通話の準備を始めた。

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