お知らせとして今はプロローグからちょっとずつ内容を再編集しています。でもおおすじの内容は変わらず、少しセリフが変わったりアレンジするだけなのでご安心下さい。
あと投稿頻度については月1投稿目安で考えています。
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昔々、その昔、この土地では“空を見つめる神様”と呼ばれるとても大きな力を持つ神様がいました。その神様は自身の境界に繋がる樹木を伐った者を連れ去り、その土地には疫病や飢饉を起こし、夜には死者が徘徊し、大きな鳥の化け物の使いを送った。
それらの祟りに耐えかねた村民は神通力を扱う業者を村に呼んだ。業者は独自の秘法と特殊な素材で2つの鈴を作り、献上した。鈴の音を気に入った神は祟りを止め、村に平穏が訪れた・・・
『ここまでがこの街の図書館に置いてあった古い歴史書の内容。ここから先の話は10年前に離散し、いまは役目を放棄した一族が管理していた神社で見つかった更に古い文献の内容を分かりやすくまとめたものです。』
鈴を作り、仕事を終えて帰路に着こうとした業者を村民が止めた。
「まだ神様が見ているかもしれない、ここに残って村を守護して欲しい」
業者は困った。仕事は終えた、そこから先は自分の仕事ではない。だが優しい業者は村民たちの不安の目の色を無視することが出来なかった。村民の願いにより、数日滞在して考え抜いて業者が出した答えは村に残り、神様を鎮め、献上した鈴を自分含む自身の一族が代々管理していくというものだった。村民はその答えに感謝し、歓喜した。
そして業者が鈴を神様に献上した日を数年に一度、『“空を見つめる神様”に鈴の無事を知らせ、神様に鎮まってくれるように祈りを捧げる』という意味で神様を定期的に鎮めるための行事日とした。
そしてその行事を村民はこう呼んだ———
———“
『コトリ様調査記録第一レポート』
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何時間経ったのか分からない、今何時かも分からない。夜は昼間と違って顔色を変えない。元々外に出た時も時計などはなかった訳で、時間を確認する術がなかった。そして私が正体の分からない、なにもかも可笑しい一直線の道に囚われてから更に何時間も経とうとしていた。
その間歩いた、ずっと歩いた、歩き続けた。たった一人で夜の暗い道を。それでもゴールは見えなかった。お兄ちゃんの姿もユズちゃんの姿も見えない。ただでさえ時間が残されていない私には余りにも絶望的な状況だった、それを理解していく度に焦燥感が私を更に追い詰める。
いくら冷静になろうとしても余裕が無くなってきた私は思わず弱音を溢してしまう。
「もういい、もういいよ、私にはどうしたらいいか分からない...」
前ならこんな弱音を吐けばいつも私を元気づけてくれる優しい人がいた、だから私はなんとか頑張れた。その人がいたからこんな私でも前を向けた。だけどその人がいないいまは、ただ不安を加速させるだけ。
私は力の無い手でポケットのメモを取り出す。この場所に入ってから最初のうちに見つけた、私に残された最後の希望、お兄ちゃんのメモだった。まだ森で出会う前のお兄ちゃんが残したメモだ。
「お兄ちゃん、もう一度助けて欲しいよ...」
もう何度も
メモには『記録を残しておく』と書かれている。そしてお兄ちゃんは無事にこの道から帰って来ていた。だから私は歩いてる途中何度も辺りを見渡してメモを探した。お兄ちゃんが必ず手掛かりを残してくれていると信じて。でも見つからない、隅々まで探したのに最初の一枚以外見つからないのだ。見逃した、にしては余りにもこの道は狭く、なにもない。だからこそメモを隠す場所がない、隠す必要もない。最後の希望もだんだん消えていっていた。
「何かが可笑しい..」
なにか見落とした?なにかしなくちゃいけないことがあるの?私はメモを見つめる。このメモはこの道に入って最初の頃に見つけた。このメモを見つけるまでは二人と一緒にしばらくこの道を歩いてたんだ。つまりループしてる訳じゃない?もしかしたら凄く長い道が続いてるだけ?
そう長い間この場所について考えていると、突然横から足音がした。
カッカッカッ・・・
「誰!?」
驚いて横を向くと誰かが私の横を颯爽とかけて行った。背は私より少しだけ高い、男の子っぽいその人影は私に気を止めることなく10メートルくらい先の街灯の下まで走って止まった。そして光を受けたその相手の姿を見て初めて気付いた。なんと街灯に照らされたその姿は全身灰色だ。
「この子、昔の時間の記憶?」
この幻を見るのは初めてのことではなかった。あの森で嫌というほど見て来たからだ。
時間というものは色んなことを覚えている。いつどんなことがどのように起きたのか、時間ははっきりと覚えている。普通ならこれは見ることが出来ない、何故なら人は常に未来を歩いてるから。未来を歩いている人に過去を見ることは出来ないのだ。これを見るにはあの森のような
だとするとここも・・・
「時間がおかしくなってる?」
それぐらいのあの神様の力がここに溜まっているのか、それとも別の強い力がここにはあるのかもしれない。そう考えるのが妥当だろう。もちろん
すると前の男の子が急に振り返ったかと思った瞬間いきなりこっちに走ってきて、私を追い抜かして行った・・・
「えっ?」
いきなりだったからあまり男の子の顔を見ることは出来なかった。でもその腕が抱えていた物を見た瞬間私は相手に自分の声が伝わらないことも忘れて無意識のうちに声を出していた。
「その本っ!?」
それは今でも覚えている自分にとってはとても大事なもので、とても大切な人に託された本だった。でも男の子の背中を追いかけて後ろを振り返ったときには既に男の子の姿は消えていた。
「あぁ...」
『この道から出る為の手掛かりになるかも知れない』とか、『なんでこのお兄ちゃんはあの本を持ってるのか』だとか、色んな気持ちが浮かんでは消えてしまった。でもそれ以上になんであの頃のお兄ちゃんがこんなところにいたのかがどうしても気になった。
「なんで?」のつい出た一言の疑問。
「お兄ちゃんは、10年前にもここに?」
もしかすると..いや、確かにお兄ちゃんはここにいた。『今』も『昔』も、確かにここを歩いたんだろう。昔のお兄ちゃんであれば、私も知ってるお兄ちゃんだからよく分かる。だから納得出来る、お兄ちゃんだから。
すると振り返った少し先に兄のメモが落ちているのに気がついた。
「なんで..?さっきまではなかったのに...」
そこはついさっき私が通った道、しかも道の真ん中にメモは落ちていた。普通なら気づくはず。分からない筈がないのに、メモは堂々と道の真ん中に落ちていた。でも今の私にとっては、それは希望の光だった。だから私は考えることを止めてメモに向かっていた。急いでそれを拾うとすぐに内容を見る。
『あれから何時間も歩いた。でも月も雲も動かない、空の様子は変わることはなかった。まるで時間が止まったように。でも歩き続けていたら突然妙なことが起き始めた。周りに人はいない筈なのに視線をずっと感じる。たまに幻聴や幻覚が起こるようになった。急に周りが森になったり、突然道が無くなったりした。幻聴は繰り返し直接頭に同じ言葉を囁かれるようなものだった。不思議なことにその声は僕が知っているような気がする声だった。声はしつこく纏わりついてきていて今このメモを書いてる最中にもずっと聞こえている。本当にうるさい、その言葉は———』
そこまで読んだもののメモはここで終わっていた。急に書くのを辞めたかのように字が中途半端に終わっていた。
「・・・」
メモの内容はまるで私と別の場所にいるのかと思うほど、全く違うことが起きているようだった。私はずっと道が続いているだけだったのに対して、お兄ちゃんの方は最初こそなにもなかったみたいだけど、後から色んなことが起き始めたらしい。お兄ちゃんに起きたことは・・・
「幻覚と幻聴?それにずっと見られてるみたいって...」
そうメモの言葉を口に出したとき、信じられないことが起きた。
「えっ!?」
突然、道が無くなった。
細かく言えば、無くなり始めた。後ろの道がどんどん下に崩れて行っている。パズルの欠片が一つ一つ外れていくように、古い橋がどんどん崩れて下に落ちるように。どんどん道が、暗くて全く下が見えない底に落ちていく。これがお兄ちゃんの言っていた『道が無くなった』っていう・・・
「逃げないと..逃げないと..でも...」
もう少しで私のところも崩れる、でも足が、動かない..頭では分かってるのに、身体は理解が追いついてなかった...
「動いて..!動いてっ!」
それでも走れと、逃げろと私の頭はそう言っていた。
だからなんとか足をフラつかせながら走ろうとした、ガタガタの足を動かして反対に走り出そうとした。でも駄目だった、手遅れだった。
ただでさえ何時間も動かしたあとに震えていた足。それを無理矢理動かしても対して走れる筈もなかった。後ろ足の足場が崩れて、身体が見えない底に落ちていく。
「あっ・・・」
その時感じた身体が落ちる感覚が10年前のあの時を思い出させる。あの時の私も学校の屋上から足を踏み外したんだ。
こんなところでまた終わり?まだお兄ちゃんと本当の意味で会えていないのに?嫌だよ..嫌だよ...
私は遠く離れていく空に手を伸ばす。
まだユズちゃんとお兄ちゃんのことで全然話せてないのに..まだお兄ちゃんに“返せてないのに”...
まだ・・・
「まだ..希望は...ある..よね..?」
アノバショデマッテルアノバショデマッテルアノバショデマッテルアノバショデマッテルアノバショデマッテルアノバショデマッテルアノバショデマッテルアノバショデマッテルアノバショデマッテルアノバショデマッテルアノバショデマッテルアノバショデマッテル
「うるさい、うるさいうるさい」
思わず頭を抑えた。もう何時間もずっとこの声を聞いている。しばらくしたら収まるかと思ったが収まる気配はない。もう頭が痛くなってきた。
身に覚えのないはずなのにどこか聞いたことがある声、だけどどこで聞いたかは何故か分からない。その上僕は何故かこの声が苦手だった。今まで色んな霊の蔓延る場所を周った、そのたびにこういう不気味な現象に出会ってきた。だからもうこんな霊現象には耐性があるものだと思っていた。
だがこの声だけは違う。どこか緊張して不安を掻き立たせる、そういうもう『声』とは言い難い別の『ナニカ』だった。
「なんなんだこの道...」
しばらく休んでこの道について考えていたが、この道の正体は分からず仕舞いだった。
いつまでも続く一本道。最初は変化のなかったただの一本道が今は霊現象の続く道になっている。幻覚や幻聴、場所そのものの変化など、僕が見たことあるような現象ばかり起きていた。だが収穫もあり、不思議なことにこの場所は足を止めている時は霊現象がぴたりと止むことがわかった。
そして一つ、気になることがある。時折り走り去る少年の姿を見たのだ。その少年は左腕に本を持ち、こちらを振り向くことなく走っていく。何故ここに幼い少年がいるのか、そんなことで気になった訳じゃない。あまりにも僕に似ていたのだ。偶然とは思えないほど、今の僕の面影があり過ぎている。僕は昔の記憶がないので自分の幼い姿を知らない。何回も目にするこの少年のことが知りたい。もしかしたら僕の知らないことを知っているのかもしれない。
だから思わず口を開いていた。
「君は、誰だ?」
『しりたい?』
「っ!?」
そう聞こえない筈の少年に話しかけると、なんと少年は背を向けたまま止まった。散々今まで話しかけても振り向きもしなかった少年が返事をした。いつの間にか頭に響いていた声が止んでいることに今気づいた。
そして少年の奥から道の両脇に火の玉のようなものがだんだん現れていく。
僕は思わず後退りした。
なんだか嫌な予感がする!僕の勘が目の前の少年は危険だと必死に訴えかけてる!
するといきなり少年が答えた。
『じゃあおしえてあげる』
「まっ、待って!」
まだ理解が追いついてない僕が必死に出した声を無視して、自分そっくりの後ろ姿の少年がゆっくりと振り返る。
その少年は・・・
『おかえり』
だいぶ原作設定から色々私独自の設定を組み込んでいるので受け付けない人いるかも...