ポケモンSVのボタンのちょっとしたお話
#3分で読めるノベル企画
お題「制限(有限、限定を含む)」へ
したお話となっております
ポケモンSVの二次創作ギャグSS。
ボタンちゃんのネタバレありますので一旦クリアしている人向けです。
「いらっしゃいませー、『まいどさんど』へようこそー。
ご注文をお伺いいたします」
営業スマイルを浮かべ今日も労働である。かつてマジボスとして暗躍していた事を
思えば、この程度の演技などなんてことはない。
私はアニメキャラ…アルバイトしているアニメキャラ…
「あれ…ボタン?こんなところでなにしてるの?」
チャンピオンのアオイがあらわれた
アルバイトのボタンはめのまえがまっくらになった
※ ※ ※ ※
「ふーん、ポケモンぬいぐるみ注文券なんてあるんだー」
バイト上がりまで待ち伏せされたあたしは近くのカフェへ連行された。
詫びのつもりなのか渡されたカフェオレを頂くと、ほのかな甘さとほろ苦さが、労働&突然のチャンピオン訪問でささくれだったあたしの心を慰めてくれる。
奢ってもらった以上、黙っているのもアレだし話さなければ連日話すまで、バイト先にチャンピオンが訪問してくるのだ。つらい。悪夢でしかない。
やむなくあたしは労働を始めた理由について語り始めるのであった
「普段は既製品しか扱わない会社なんだけど…限定で自分の【相棒】ポケモンのやつ
作ってくれるみたいなんよね。んでその為のバイト。」
そう、普段はあたしの愛用してるリュックとかの販売しかしていないけれども、今回は創立記念感謝祭とかで自分の【相棒】をぬいぐるみにしてくれるのだ。
まずは注文券の申し込みをし、購入できたチケットを持参し【相棒】と専用工房へ…とそこそこ手間はかかるものの仕上がりについては折り紙付き。同じポケモンでも性格や顔付きはみんな違うしそれを最大手が、今まで培った技術の粋を集めてあなたの【パートナー】を完全再現!なんて宣伝を出したのだ。
これはもう乗るしかない、このビックウェーブに。ってやつだろう
「え、でもお金稼ぎなら…トップの所でなんかお手伝いしてなかった?」
「してるけどあれは罪滅ぼしだから実質ボランティアだし。それに…」
「それに?」
「お金が入用って言ったらさ、あの人正式に
『素晴らしい提案をしましょう、ボタンさん。
貴方もポケモンリーグ委員になりませんか』
とか言ってくるって。マジでムリ…」
本当に無理である。『素晴らしき才能を持つ者が野に埋もれ朽ちていく。
私はつらい。耐えられない』とも言いそうである。人を上限まで働かせてくる。
上限の鬼・惨なのだアレは。
「へー。でも本当に必要だったらボタンて手段選ばないイメージあったけど…」
…これだからアオイは油断ならない。ふとした瞬間に確信を突いてくる
「まぁ…ほら…せっかくお迎えする子ならさ。罪滅ぼしでの仕事じゃなくて、
ちゃんとしたお金でお迎えしてあげたいなって思ったんよ」
そう。ちゃんとしたお金でお迎えしなければならない。
イーブイと同じ色をしたカフェオレを眺めながら、
あたしは誰に言うワケでもなくつぶやいたのであった…
※ ※ ※ ※
「やっほーボタン。どうだった?」
アカデミーの食堂でつっぷしているところにのんきな声が降ってきた
「…最悪。秒で売り切れ…絶対転売ヤーの仕業。ハッキングして転売ヤーをネモに
バトル100回付き合ってくれるメンバーとして情報流してやる」
注文受付をPCの前でスタンバっていたのにも関わらず爆速で受注は終了した。
あたしが表情筋やアニメ見る時間やらなんやらを犠牲にしてキレイな金を稼いだ上、注文用のプログラムを組んだりやハッキング諸々も封印し至極真っ当に、手続きをしていたというのに…
ふざけるなよなぁ…なぁぁぁ、許せねぇなぁぁぁ…
「うわ…マジなやつだ…でもそんなボタンに…はいっ!これプレゼント!」
そう言って目の前に差し出されたのは…
「……?…え!!!!…うそ…これ…なんで!!!?」
テーブルの上には燦然と輝くぬいぐるみ注文券。
先程まで悔やみに悔やみ人の人生をちょっとどうにかしちゃおうかとまで考えた例の限定チケットである。普通に入手しようとして手に入るもんじゃない
「へへへ、まぁあたしもちょっとした労働をしてさ。その報酬でもらったの!」
「報…酬…?あ…!!もしかしてこの間のナンジャモンジャTVでや」
「その先はやめて」
かなり強めに止められた。無理も無い。ちょっとした労働と言うのは先日配信していた
【チャンピオンと一緒に『ひでんスパイス』全部食べてみた!】
とかのタイトルでバズったあのライブ配信の事だろう。
一つでさえヤバいのに全部一気にキメたものだからもう…あの…端的に言えば『放送事故』だった。あまりにもキマりすぎてて実食から10分で配信停止
切り抜きも大拡散してエライ祭りになっていたのでこれは慰謝料的なアレだろう
「え、でも…こんなのウチもらえん…」
入手するのが大変なのはあたしが一番わかっている。
ポケモントレーナーというか人間としての尊厳を大分ひんしにさせられて、得た報酬なのだ。安易にもらって良いものじゃないと思う。
「いいの!そもそもそれを見ていると忘れたいのに記憶がフラッシュバックするからサ。本当に引き取ってくれるとありがたいかな…」
あ、駄目だ。瞳がミミッキュみたいな闇色になってる。これマジなやつだ
凄く申し訳ない気持ちがあるがこの顔を見ると逆にもらってあげる方が、彼女にとっては救いなのかもしれない…。悪い話ではない。win-winというやつだ。
「んじゃ…まぁ…ありがたくもらっておく。でもさアオイ…実はさ…」
「ううん。平気。あたし全部わかってるよ。」
「え?」
「わかってる」
マジボスとして戦いを終えた後の時のような、強さと、そして優しさを秘めた真っ直ぐな目でアオイはあたしを見つめている
「だからさ…後はうまくやってね?」
そういって手を振りながら…颯爽とチャンピオン様は去っていった。
「はぁ…なんでもかんでもお見通し…か」
また借りが増えた。いろいろ返したい所なのに借りばっかり溜まっていく。
まとめて返す為にはどうするか…ネモが接近していたら通知するアプリでも組もうかな…
そんな事を考えながらも、時折落ち込んだ顔をするアイツを思い、とりあえず連絡をしてみる事にした。時間が経てば何かと言い訳して…きっとあたしは動けなってしまう。
いろんな考えを振り切ってスマホロトムを操作しあたしは通話画面をタップする。
心臓の鼓動がうるさい。繋がらないで欲しい苦い気持ちと繋がって欲しい甘い気持ち。
それぞれがイーブイ色のカフェオレみたいに混ざってあたしの中をぐちゃぐちゃにする
数回のコールの後、陽だまりのようにあたたかい声がスピーカーから聞こえてきた。
『もしもーし。どうしたボタン。なんか困ったちゃんか?』
「あ…ペパー?…あのさ…ちょっと…いいかな」
~fin~
お読み頂きありがとうございました。
旧TwitterくんにUPしたのは大分端折っていたのですが、
そこそこに書きたい事加筆してこの仕上がりです。
えぇ、主人公とペパーをくっつけたい貴方。すみません。
私はペパーとボタンをくっけたい派閥の人間なのです。
主人公はニヨニヨしながらその二人をそっと見守って欲しい。
ボタンちゃんの色々抱えていた悩みや孤独とかがですね、
ペパーが家族を失った苦しみを目の当たりにしたボタンって、
きっと穏やかではいられないと思うんですよね。
マジボスとして行き場のなくなったみんなの核となっていたボタン。
きっとほっとけないだろうな。という感情からエリアゼロのお話が終わり、
少しだけでも気分が変わればいいな…という願望を込めて描いたお話でございます。
ここまでお読み頂きありがとうございました。