星雲からの使者   作:完全にわかのバカ野郎

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 このままオルトくんの軍隊を鍛えたらどこまでのレベルになるんでしょうね。


七十三話

「いらっしゃい、侵入者諸君。

 ()One Radiance Thing(ワン・ラディアンス・シング)、君達を殺す者だ」

「なんだよ……あれ」

「キリトケン!」

「あ、あぁ……アレは、バケモノだ。難度は俺が見れる限りで60以上だ」

「60以上だと! バケモノめが!」

「試しに切っておいたが60か、低くみられたモノだな。まあ良い。

 どうせ死ぬ事に………イイヤ、楽には死なせない。何故ならナザリックにおいて最大の慈悲は楽に死ねる事だからだ、じっくりとねっとりと嬲り、弄び生かせてあげよう(・・・・・・・・)

 

 

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 ━━━

 

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「いやはや、この『体』だと人間()な対する感情は凪いでるね、ただのゴミの様にしか見えないし情すら湧いてこない」

 

 一人呟くオルトの前では呻き声をあげている者、叫んでいる者、涙を流している者と様々な侵入者がいる。

 ━

「アトラク=ナクア様」

「うん? エントマか、どうした」

「この者らはどうなさいますか?」

「まだ殺さなくていい、暫くは黒棺(ブラック・カプセル)にでも入れておいてくれるかい」

「畏まりました」

「一匹くらいなら食べていいよ」

 

 その言葉に昆虫の顎肢(がくし)が動く様な音を鳴らし「ありがとうございますORT様」と、どこか嬉しそうに返答する。

 ━

「さて、()小世界(エリア)にでも戻ってるよ。また何かあれば伝言(メッセージ)をしてくれるかな」

「ご武運を」

 

 そう言うと丸太のように太い脚と水晶の体を覆う黒檀色(こくたんいろ)の毛、そして人間程の巨大な蜘蛛が妙齢の美しい女性へと変わり、「じゃあね」の言葉と共にRoAOGで自分の部屋(エリア)へと転移する。

 ━

 

 

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 ━━━

 

 

 ━━━━

 

 

「流石に此処まで来ないか」

 

 長い髪の毛をくるくると弄っていると部屋(エリア)にある魔方陣が光る。

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「此処、は」

「綺麗……」

「満点の青空に緑の太陽、そして水晶の樹木。異常な光景なのに何故こうも神聖なモノに見えるんだ」

「本当に、綺礼ね」

 

 四人の請負人(ワーカー)がそれぞれの感想を言っていると「意外と褒められるのは嬉しいね、創った甲斐があると言うモノだ」の声が響く。

 ━

「!?」

「誰だ!!」

「どこだ、どこにいる……」

「!? あそこ!」

 

 請負人(ワーカー)の一人が指を指した先に水晶でできた椅子に座る人影があった。

 ━

「いらっしゃい侵入者諸君、ここは()自慢の小世界(エリア)だ。今は褒められて機嫌が良い、回れ右して出ていけば見逃そう」

「人……間?」

「此処までアンデッドしかいなかったってのにいきなり人間か、本当に人間か?」

「そんな事どうでも良いだろう? で、どうする? 扉を開け出ていくのなら()は無視をしよう。刃を向けるのなら行き着く先は無惨で、酷き死の無限ループを味わう事になる」

「〔どうする?〕」

「〔でも周りにある財宝は相当なモノよ? 持って帰れば一生遊んで暮らせる〕」

「〔アレに勝てるか? ダーデン、何か見えるか?〕」

「〔何も見えない、何も分からない〕」

「〔何も? お前の看破魔法でもか? 〕」

「〔こんな事初めて……イヤ、死者の大魔法使い(エルダーリッチ)以来だ〕」

「〔死者の大魔法使い(エルダーリッチ)、か〕」

「〔つまり何? アイツは死者の大魔法使い(エルダーリッチ)以上って事!?〕」

「〔難度60以上の何者か……か〕」

「内緒話は終わったかな?」

 

 黙って聞いていた美人が凛とした声で聞いてくる。

 ━

「制限時間を設けよう」

「どれぐらいだ?」

「今から三時間。その間に決めなさい、決まらなければ()は君を嬲り、弄ぶ」

 

 唐突な言葉、作られた制限時間。それを聞き請負人(ワーカー)『青き怪鳥』達は財宝に目が眩み武器を抜き放ち構える。

 ━

「そうか、それが君達の答えか。残念だよ」

 

 言葉とは裏腹にその表情は愉悦の笑みに歪んでいた。

 ━

「じゃあ死なない程度に殺し続けようか」

「くるぞ!!」

魔法の矢(マジック・アロー)

 

 魔法を唱えると十個に及ぶ魔法の矢が侵入者に襲い掛かる。

 ━

「クソッ! なんだアレは!!」

魔法の矢(マジック・アロー)です!」

「あんなのが魔法の矢(マジック・アロー)!? 嘘だろ?!」

「壁を作ります! 土の壁(ウォール・オブ・アース)!」

強化魔法(バフ)も掛けるわ、早足(クィック・マーチ)下級・(レッサー・)敏捷力増大(デクスタリティ)。それ、とこれでも喰らいなさい! (マジ)法の矢(ック・アロー)!」

 

 四人の速度が若干上がり、更に三つの魔法の矢(マジック・アロー)を放つ。が、微動だにせず「今、何かしたのかな?」と呟く。

 ━

「分かってたけど何も起こらないってのは腹立たしいわね」

「きゃあ!」

「ネルエネン!」

土の壁(ウォール・オブ・アース)がこんなに早く壊されるなんて」

「そもそも十個の魔法の矢(マジック・アロー)ってなんだよ!!」

「俺が攻める!! はぁあ!! 斬撃! まだまだぁ! 斬刃!」

 

 当たった武技は甲高い音を響かせるだけで意味をなさなかった。

 ━

「先ずは君からだ、多脚の蹂躙(マルチレッグ・アサルト)

 

 たった一言呟くとオルトの腕から蜘蛛の様な脚が複数現れ名も知らない請負人(ワーカー)の体を貫く。

 ━

「おっとしまった忘れてたよ、君達が魔法の矢(マジック・アロー)程度(・・)で死ぬ事を。

 ()は信仰系は修めていない、どうしたモノか………。うんこうしよう。魔法最強化(マキシマイズマジック)粘りつく絹の包帯(スティッキー・シルク・バンデージ )魔法最強化(マキシマイズマジック)幻影残像・活力模倣(ファントム・リジェネレーション) 。これで君は死んでいない(・・・・・・)、では離れなさい。フォース(ヴィ)

 

 言うや否や人差し指を向け衝撃波を放ち吹き飛ばす。

 ━

「さあ侵入者諸君第二ラウンドだ。()は此処に居る、此処から動かない、使うのは………魔法(奇跡)を少しと腕だけにしよう」

「エレェンネン、大丈夫?」

「俺……生きてるのか?」

「ええ生きてるわ」

「安心していい、怪我は治しておいた」

「私が道を開きます! 雷球(サンダーボール)雷撃(ライトニング)!」

「そうだそうだ、その調子だ、フォース(ヴィ)

 

 一言、その一言で放たれた魔法は何かに弾かれ霧散し、「次は()かな?」の言葉と共に『静脈の棘(イルソリー・ソーン)』と唱えると上部が平らで、下に向かって尖る逆三角形の盾……ヒーターシールドを持った一人が叫びながら踞る。

 ━

「テレンテゥ!!」

「グッ、あ……か、体……が。あぁあぁあ!!」

「いったい何が!」

「攻撃を続けます! 魔法の矢(マジック・アロー)酸の投げ槍(アシッド・ジャベリン)衝撃波(ショック・ウェーブ)!!」

 

 放たれた魔法がそのままオルトに当たり強酸の煙が立ち込めるが、煙を払い除けながらオルトが現れる。

 ━

「その程度かい? ()は他の皆より幾分か優しい。泣いて乞えば苦しみながら死なせてあげよう、どうする?」

「そんな事誰がする訳ないでしょ!! 下級・(レッサー・)筋力増大(ストレングス)下級・(レッサー・)敏捷力増大(デクスタリティ)下級・(レッサー・)硬化(ハードニング)、あんたもどうせアンデッドなんでしょ? これでも喰らいなさい! 太陽光(サンライト)、とっておきよ! 聖光弾(ホーリー・レイ)!!」

 

 強い光を投射して相手の目を眩ませアンデッドにダメージを与え、更に聖なる光の弾を放つ。

 ━

「はあはあ……ッ、これで、どうよ」

「残念だが()はアンデッドではないんだ、()属性魔法は意味をなさない。爪剥ぎの幻( ネイル・リッパー )

 

 途端に女は両手を握り込み涙を流し、叫びのた打ち回り、いきなり着けていたグローブを外し自身の指を見る。

 ━

「ティティル!」

「クソッ! なんだ! 何が起きてるんだ!」

「魔力がもちません、このままだと私達は……」

「はぁはぁ……ッ、はぁはぁ。逃げ、られるか?」

「テレンテゥ、大丈夫なのか?」

「あぁ、なんとかな」

「何が起きた?」

「体がズタズタに引き裂かれた感覚がした」

「でも怪我がありません」

「ぅッ………考え、られるのは幻術系統の魔法ね」

「ティティル!?」

「お前さんは何が起きた」

「爪」

「爪?」

「全部の爪が剥がされた感覚と痛みが一気に襲ってきたわ、でも爪はこの通り剥がれてない。これらを加味して考えられる答えはーー」

「幻術!」

 

 請負人(ワーカー)達が話している声が聞こえていたのか「そう、その通り。()は幻術偏重型の魔法詠唱者(マジック・キャスター)だよ」と答え合わせをした。

 ━

「教えてくれるなんて随分と余裕ね」

「余裕こそ強者の証さ。………まあどこぞの王様は『慢心せずして何が王か』とか言ってるけどね」

「(王様? コイツは誰かに支える魔法詠唱者(マジック・キャスター)? これで配下って莫迦げてる)」

「うん? ……あぁ王様か、彼はこんな事程度に出てこないよ。今頃奥で踏んぞり返ってるんじゃないかな」

「(彼? 配下じゃない? 親しい間柄……公爵? それとも外戚? なんにせよその『王様』ってのは来ない)ねえお貴族様」

「あー、んー、まあ間違っちゃいないね」

「私達を見逃してくれないかしら?」

 

 心底不思議そうな表情で「なんで?」と返すと「私達は一度貴方の財宝に目が眩んだ、それは言い逃れしないわ。でも、命の方が大事なの。だから逃がしてくれないかしら」と問い掛け、その言葉に対し「()は財を奪わんとする君達にチャンスを与えた、だが君達はそのチャンスを自ら逃した。逃がす意味がどこにある」と告げる。

 ━

「悔しいけどその通りね。〔私達じゃあの化物を倒せない、逃げる事も恐らく不可能〕」

「〔でもよ、此処は()じゃねぇのか?〕」

「〔いえ、多分室内です〕」

「〔そうなのか?〕」

「〔うん、入ってきた時から空の景色が変わってない。それに()は曇りだった〕」

「〔確かにな、此処は満点の青空だ雲一つねぇ〕」

「〔それに〕」

「〔太陽よね〕」

「〔はい、緑の太陽(・・・・)なんて見た事はありません。だから〕」

「〔アレも幻術〕」

「〔となると、だ。オレ達は逃げられないって訳か、じゃあ選択肢は一つだな〕」

「〔テレンテゥ?〕」

「〔オレは盾役(タンク)だ、お前達が逃げる時間ぐらい作ってやるよ〕」

「それだとお前が!!」

 

 大声を出してしまいすぐさまオルトを見るが、オルトは手を差し出し「続きをどうぞ」と言ってくる。

 ━

「本当に余裕ね」

「君達を殺す事くらい容易いからね」

「そう。〔エレェンネン、貴方が判断して。貴方は私達のリーダー、私はリーダーの選択に従うわ〕」

「〔巫山戯るなよ、そんなの選べる訳が……〕」

「〔オレ一人の命と、お前達四人の命。どっちを取るかなんて決まってんだろ〕」

「〔テレンテゥさん〕」

「〔兄妹仲良くしろよ、ネルエネン〕」

「〔エレェンネン、いいやリーダー。リーダーらしい判断をしろ〕」

「〔………ッ! 退去する、テレンテゥには殿を頼む。だが殿だ、必ず戻ってこい〕」

 

 その言葉に笑い「りょぉかい!!」と叫び「こいやぁ! 化物がぁあ!」とまた叫ぶ。

 ━

「成る程、小を切り捨て大を取ったか。いい判断だ、だが無意味だ。そして、これは優しさだ、君達の美しい仲間愛に、友情愛に対する優しさだ。受け取るがいい」

 

網状世界・無限地獄 (ワールド・ウィーバー:アゴニィ)

 

 世界が変わった、緑の太陽が中天に輝く青空から地底……洞窟の底深くの深淵へと変貌した。するとーー請負人(ワーカー)達が叫び始めた。

 ━

「うん……良い、音色だ。

 どうだい()の世界は、素晴らしい場所だろう? 最も、聞こえていないだろうけどね」

 

 美しい女性の姿はソコにはなく、丸太の様に太い脚と水晶の体を覆う黒檀色(こくたんいろ)の毛、そして人間程の巨大な蜘蛛がいた。

 ━

()は世界の終焉(終わり)まで巣を張り続ける者、アトラク=ナクアなり。巣を荒らす者は何人たりたも許さぬ。

 見えなき痛みにのた打ち回り、苦しみ続けるといい」

 

 地底の様相をしていた小世界(エリア)は元の緑の太陽が輝く青空へと戻っていた。

 ━

「ウッドワス、後は好きにしていいよ」

「こんなん甚振(いたぶ)ってもなんも愉しかねぇ」

「ならそのまま捨て置けばいい、邪魔なら黒棺(ブラック・カプセル)にでも持っていけばいい」

「誰があんな気色の悪いとこ行くかよ」

「我が儘な事を、じゃあ適当に片付けておいて………あぁでも女は残しておいてくれるかな、後で毒を入れるから」

「へいへい」

 

 

 ━

 

 

 ━━

 

 

「やあアインズ、調子はどうだい?」

「ム、One Radiance Thing(ワン・ラディアンス・シング)か。ああ順調だとも、そっちはどうだ」

「それなりに愉しんだよ。で、あそこで震えてる子は?」

「コイツらの仲間だ」

「コレを?」

「そのつもりだが………どうする? One Radiance Thing(ワン・ラディアンス・シング)?」

「ああでもその前に、まだ試したい事があるし()が引き受けよう」

「ならば私は客席にでも居るとしよう」

 

 言葉通りモモンガは客席へと飛んでいき、オルトが震える女性の前に立つ。

 ━

「初めまして、()One Radiance Thing(ワン・ラディアンス・シング)。君は?」

「あ、あたしはティソーネ・ファス・バルツァーで、です」

「バルツァー? バルツァー…………あぁ、聞いた事があると思えばアレか、うんうん尚更丁度良いね」

「えっ、な、何か……」

「んー。そう、だ、ねぇ……。これはこれで面白そうだね、こうしよう。幻毒の痺れ(ファントム・スパイダー・ベノム)

「うぎッ……あぁあぁあ!! か、体ぁあぁあ。かぁら……い、ぎぃ」

 

 唐突に体を反らし地面に倒れのた打ち回り呻き声をあげ、「め……あめ、て………なん、でもします。から」と囀ずる様に声を絞り出す。

 ━

「フムフムこの魔法はこうなるのか、じゃあ次はこれだ、内臓焼却の欺瞞(バーニング・インサイド)

 

 のた打ち回っていたティソーネの動きがいきなり止まり胃液を吐き出す。

 ━

「ふんふん成る程成る程。えーと次は………」

「(オルトさんの幻術魔法ってゲーム時代だと硬直(スタン)とか嫌がらせみたいなモノだからあんまり強くなかったけど、異世界に来て凶悪さが増したな)」

壊死の錯覚(イルソリー・ネクローシス)

「あ、ぁあぁあ………縺ゅ=縺ゅ=縺ゅ=縺ゅ=縺ゅ=縺ゅ=!!!」

「いやはや、我ながら凶悪な魔法になったな」

 

 未だ呻き声……声なき声を出し続ける女性を見ながら「凄いですね、魔法の変化」の言葉を掛けられ「だねぇ、ここまで凶悪になるとは思ってもいなかったよ」と返し「どんな風にします?」と聞かれると「眷属にでもしてみようかな」と答える。

 ━

「レンの蜘蛛ですか?」

「それプラスあのスキルを使おうかなって」

「あのスキル?」

邪神の孵化胞子(アトラク・インプラント)。フレーバーテキストを見る限り肉体改造ができそうだからね」

 

 金属の音を発しながら女性……ティソーネに近づき人差し指を立てると蜘蛛の糸が集まり、塊になっていき幻影の(呪糸)が生成されそのまま胸を突き刺し幻影の(呪糸)を埋め込む。

 ━

「はてさて、これでどうなるのやら」

「縺ゅ=縺ゅ=縺ゅ=縺ゅ=…………ご、主人様」

「うわぁ」

「ははは、こうなるのか。ドン引きモノだね」

「生き残りとして戻すんですよね、そんな事して大丈夫ですかね」

()達に都合が良い様に記憶を弄ってからだね」

「例えばどんな?」

「んー…………何がいいかな」

「俺に殺されそうになった時に……みたいな感じにするとか」

 

 逡巡し「イヤ、蜘蛛の怪物に殺されそうになった時、天使(エンジェル)が現れて助けられた……てな感じにしよう」と答える。

 ━

天使(エンジェル)………惑星統括細胞(スターセル)のオルトさんが現れる……。そうすれば来なかった法国も来そうですね」

「法国の連中にとって天使(エンジェル)()はアーラ・アラフだからね、それを知れば来る可能性は高まる。ソレに期待しようか」

「問題は……」

「生きて返させた時の反応。だね」

「どうなるのか想像ができません」

「しかもこの子はつい最近皇帝に粛清され没落した貴族の娘だし、どうなるかなー」

「え"っ」

()が侯爵になる時に粛清された貴族の娘だよ」

「余計に心配になってきましたよオルトさん」

「ま、なんとかなるでしょ」

「でも今の言葉でコイツの弱さに納得がいきました」

「そんなに弱かった?」

「それこそ一般人に毛が生えた程度です」

「アレらは…………雇った傭兵、請負人(ワーカー)か。大方『莫大な財宝が有るのでは?』に釣られて来た……ってところかな」

「ですね。嫌ですけど上級(ハイレア)のマジックアイテムを一つ持たせて返せば………」

「折角だし遺産級(レガシー)にしよっか、絶対にフールーダが食い付く。そしてそれと同時にナザリックの恐ろしさを知る、どれ程の相手に喧嘩を売ったのかをね」

「この人間はそれの為に生きて返すと?」

「後は帝国で暴れてもらう」

「暴れる?」

人間()から異形種(レンの蜘蛛)に変わったら更なる恐怖を抱く。そうすればジルの行動は決まる」

「友好関係を築く為にやって来る。ですね」

 

 人差し指を立て「その通り」と答え続け様に「そこを()が倒すんだ」の言葉で締める。

 ━

「でも何を持って返すんですか?」

()のヤツを渡す。ナザリックのアイテムは誰にも渡したくない」

「そうですね、皆が集めたアイテムわ渡すなんて絶対に嫌です。それはオルトさんのアイテムも同じです」

「ははは、()が言い出したんだ、()のアイテムを渡すのは当たり前の事だよ」

「…………分かりました。どんなアイテムを渡すんですか?」

「そう、だね。…………敏捷力増大(デクスタリティ)はガゼフ某に渡したし、HP上昇、硬化(ハードニング)強化? ………そうだ、速攻の光ノ鳴子(ヒカリノナルコ)にしよう」

「ソレってどんなアイテムなんですか?」

「全てのスキルの再使用時間(クールタイム)が15%軽減される」

「えぇ……。いつの間にそんなの造ってたんですか」

「手が空いた時に手慰み(てなぐさみ)で造った」

「そんな片手間で造るアイテムじゃないですってソレ」

「ほら、その、なんと言うかさ。レシピが有ると試したくなっちゃうんだよね、職人魂的な感じで」

「オルトさんって本当になんでもアリですよね」

「ははは」

 

 マッチポンプであるナザリック侵攻わ終わらせ友人同士話し笑い、そしてこれからの事を話している中、恍惚とした表情をする帝国元侯爵令嬢ティソーネはアトラク=ナクアであるオルトの丸太の様な脚に抱き付き頬擦りしていた。

 ━

 

 

 ━

 

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 ━━━━

 

 ━━━━━

 

 ━━━━━━

 

 

「生き残り?」

「ああ、オレが粛清した元貴族の令嬢だけが帰ってきた」

「ふーん」

「興味なさそうだな」

「実際ないからね」

「ならその令嬢がフールーダが震え上がったアーティファクトを持ち帰ってきた。と、聞いてもか?」

 

 その言葉に森妖精(エルフ)特有の長い耳をピクリと動かし「どんなアイテム?」の問い掛けに「分からん」とだけ返された。

 ━

「分からない……ねぇ。だから()のとこに持ってきたと?」

「お前なら何か分かると思ってな」

()ってその当たり修めてないんだよね、イヤまあ一応できるけどさ」

「じゃあやってくれ」

「はいはい。道具中位鑑定(ミドル・アプレイザル・マジックアイテム)

 

 ジルクニフが持ってきたアイテムに鑑定魔法を使い小さく声を漏らすと「何が分かった」と聞かれ、「全ての武技(スキル)エネルギー(精神力とスタミナ)が15%軽減されるアイテム」と教える。

 ━

「なんだと!!」

「五月蝿いなぁ、声のボリューム下げてよ。

 ()は普通の森妖精(エルフ)の五倍以上に耳が良いんだ。近くで叫ばれると五月蝿くて仕方ない」

「あ、ああスマン。しかし全ての武技(スキル)エネルギー(精神力とスタミナ)が15%軽減されるアイテム、か。これは王国の国宝以上のアイテムだな」

「こんなのが国宝?」

「ならお前から見てこれはどれくらいのアイテムだ」

 

 フォーサイトを指差して「彼らに渡したアイテム以下のアイテム」と答える。

 ━

「…………何を渡した」

神恩(ギフト)が籠められた武器と防具だったね」

神恩(ギフト)? なんだそれは」

「武具に宿ってる特別な力だよ、このアイテムで言う魔法効果だね」

「どんな事ができる武具を渡したのか教えてくれ」

「百聞は一見に如かず。直接見ようか」

 

 そう言い書類を束ね引き出しに仕舞い訓練場へと向かう。

 ━

「さて皆、皇帝様に見せてあげて」

「お、おう。ふぅー……猟犬の歩方!」

 

 その瞬間ヘッケランの姿が目の前から消え訓練対象のドス・ランポスに接近し何回か斬りつけ、更に『猟犬の歩方』を使い後ろに瞬間的に回り込み『ローレッタの斬撃』の叫び声と共にドス・ランポスを両断する。

 ━

「ふぅー。やっぱりまだ慣れねぇな」

「なんだ……今のは、なんだトール」

「だから神恩(ギフト)だって、なんなら君のとこのフールーダや四騎士……ああイヤ三騎士だね。彼らにも貸してあげようか? 貸し出しなら賃料貰うし、買うならそれ相応のお金払ってもらうよ」

「こんなモノが宿った武具なぞ買えるか戯けが」

「安くしてあげるよ」

「幾らだ」

「交易共通白金貨五十枚」

「全部でか?」

「まさか、武具一つにつき五十枚だよ」

「(正直に言えばあのレベル武具を交易共通白金貨五十枚で買えるのなら安い買い物だ、だが問題はその金をどこから捻出するかだが……。

 どうする……。フールーダが居るとは言え三騎士になって戦力が減ったのは事実、せめてフールーダと三騎士の武器は欲しい。纏めて二百枚か…………)いいだろう四つ買わせてもらう」

「意外……でもないか、現実的な判断だ。で? 何を買うのかな」

「先ずはフールーダの杖、そして三騎士の武器だ」

()が見繕ってもいいけど……本人が選んだ方が良いね」

「ああそうしよう、すぐに連れてくる」

「はーい」

「良いのかねリーダー」

「国力が増すのは喜ばしい事だからね」

「すっかり帝国貴族に成ったな」

「ほら、領地運営……国家運営ゲームって面白いじゃん」

「そうか」

 

 暫くするとギットゼン領とシュタインベルク城に置いてある転移門の鏡(ミラー・オブ・ゲート)を通りフールーダと三騎士『重騎士』バジウッド・ペシュメル、『激風』ニンブル・アーク・イル・アンダダル、『雷光』ナザミ・エネックを連れてギットゼン領に戻ってきた。

 ━

「嫌に早いね」

「戦力が上がるんだ、すぐに対処するのは王として当然の事だ」

「あっそ。じゃあ武器庫に行こうか」

 

 返事を聞く前に歩きだし武器庫へと向かい、後を追うようについていく。

 ━




 何かしらの看破系スキルを使える盗賊(シーフ)系統のキリトケン。

━━
 請負人(ワーカー)『青き怪鳥』
戦士(ファイター)でリーダーのエレェンネン。
ヒーターシールドを使う戦士(ファイター)のテレンテゥ。
看破系統スキルが使える盗賊(シーフ)軽戦士(ローグ)系統のダーデン。
魔力系魔法詠唱者(マジック・キャスター)のネルエネン。
信仰系魔法詠唱者(マジック・キャスター)のティティル。
 多分エレェンネンとネルエネンは兄妹。名前はその時に適当に浮かんだ名前、意味はない。
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