星雲からの使者   作:完全にわかのバカ野郎

77 / 78
 いくらなんでもやり過ぎである。(キートン山田)それにアンティリーネちゃんが救われてもいいと思うの、にしてもやり過ぎだけども。


七十六話

「と、言う訳で法国と戦争します」

「何をしてくれたんだトール」

「イヤだって先に喧嘩売ってきたのアッチだし」

「法国の最高戦力で、噂の番外席次か」

「うん。森妖精(エルフ)国との戦争やめろって言ったら神器をくれてやるから関わるなって言外に言われてさ、それで提示してきたヤツがしょっぱい武器で釣り合わないから違うの寄越せって言ったらソイツが来て戦闘になった。

 て事はさ、向こうは初めから僕(私)を帰す気無いんだなって事じゃん? だからとある方法でソイツを味方にして法国に宣戦布告した。だから番外席次が僕(私)らの敵になる事は無いから安心していいよ」

「何をすれば味方にできるんだ」

「んー、まあ色々あるんだよ。色々と」

「はぁ。詳しくは聞かん、だが本当に問題ないんだな?」

「向こうは森妖精(エルフ)国との戦争で疲弊してるからすぐ終わるんじゃないかな」

「そうか……」

「んで、謎の遺跡。ナザリック? てのはどうなったのさ」

「アレは化け物の集団だ、オレ達だけでは敵わない。しかも爺がイカれた」

「なんで」

「爺の目の前で死の騎士(デス・ナイト)を召喚したからだ」

「あー、成る程」

「それからは駄目だ、化け物側についた。それと爺曰くお前と同等かそれ以上との事だ、だからお前には矢面に立ってもらい尚且つ帝国、王国、法国。そして竜王国での四ヶ国同盟を結ぼうと思っていたんだが、お前が法国に戦争を吹っ掛けたから三ヶ国同盟だな。なあトールいつ戦争するんだ?」

「んー、近い内にやる」

「時期は未定か」

「そうだね、まあでも近々だよ。あんな国滅んで当然だ」

 

 意外と怒っているオルトを見て「かなり怒ってるな」と言われ、「だってくだらない理由で森妖精(エルフ)を殺し回ってたんだよ? 流石の僕(私)でもキレるさ」と答える。

 ━

「なるべく早くしてくれ、あの化け物の連中とは関わりたくない」

「じゃあ一週間後にでも攻めようかな」

「クソババアは何も言っていないのか?」

「好きにして良いってさ、まあすぐに終わらせるよ」

 

 

 ━

 

 ━━

 

 ━━━

 

 ━━━━

 

 ━━━━━

 

 

 

 ━━━━

 竜王国………オルトの兵力は凡そ1000。オルトが自領から連れてきた森妖精(エルフ)の戦士達、そして花樹の恵(かじゅのめぐみ)のメンバーのみ。

 それに対して法国はこの戦争の為に森妖精(エルフ)国から火滅聖典と森妖精(エルフ)国に割いている兵士達を除いた兵士達を投入したその数凡そ10万、純粋な兵力差はオルト軍の百倍。

 更に人類の守護者を名乗るに相応しい程の兵士の質。数も質も、法国が上であると誰もが思うだろう。オルトの強さ(レベル)を知らなければ……の話だが。

 

そして遂に、竜王国(オルト)と法国との戦争の火蓋は切られた。

 ━━━━

 

 

 

「さっさと終わらせよう。総員構え」

「トール、どうする」

「んー……そうだね……。取り敢えず、呑むか。

 超位魔法、暫くよろしく」

「了解」

 

 唱えるとオルトの頭上に巨大なエメラルドグリーンの光の魔法陣が三重に展開されオルトを中心に回り始める。そして森妖精(エルフ)の弓兵(アーチャー)が弓に矢を番え(つがえ)、魔法詠唱者(マジック・キャスター)達は各々魔法(魔術)の準備を終える。

 ━

「シェロ殿」

「まだ駆けるな」

「分かってます」

 

 

 

 ━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「なんだあの新緑の魔方陣は」

「神の御業………」

「そんな事なぞあり得ん。火の神・ミキンヒアー様と似ても似つかん、そしてミキンヒアー様が我々を攻撃する訳がない。

 恐らく森妖精(エルフ)国から逃げ出した森妖精(エルフ)だ、神の御業を使える訳がない。見掛け倒しの魔法だ。イツァ」

「グタニィエスィ元帥、私はいつでも行けます」

「良し。総員、安心せよ。あちらの兵力はたかが1000、しかしこちらは10万。

 全軍で攻めいれば我々の勝利は確実だ、そしてそれだけだはない。そうだ、我々は六色聖典もついている。我々に敗けは無い、総員構え!」

 

 

「「放て!!」」

 

 

 両軍の攻撃の合図が重なり、オルト軍は500の魔法(魔術)が、500の矢が放たれ、エミヤは矢を投影し、『I am the born of my sword(我が骨子は捻じれ狂う)』と唱えるとドリルの様な何か……偽・螺旋剣(カラドボルグⅡ)を投影し、番え(つがえ)る。

 法国軍は総勢2万の矢と魔法が両者共に魔法が飛び交い、そしてエミヤは弓を強く引き絞り10秒、20秒と魔力を込め、そして30秒間引き絞り「偽・螺旋剣(カラドボルグⅡ)」の言葉と共に放ちーー周囲の空間を削り取りながら攻めいる数万の法国軍の歩兵を一撃で薙ぎ払う。更にトドメと言わんばかりにオルトの超位魔法が炸裂する。

 ━

 

 

「太古の大樹の怒り(レイジ・オブ・プライミーバル・シルヴァ)」

 

 

 超位魔法の詠唱時間が終わると同時にオルトの足元から爆音と共に大地が割れ、数百年、数千年の時を生き経たような禍々しくも神聖さを感じられる巨木や蔓が出現し、初めに大地から噴出する巨根が波打ちエミヤが射ち漏らした攻めいる法国軍を呑み込む。

 次に大樹から一斉に放出される超高濃度の『魔力衝撃波』が時間差で法国軍に放たれ数万の大軍を一瞬にして言葉通り薙ぎ払い、戦場は光すら届かないほど鬱蒼とした『太古の原生林』へと変貌し、それを見た牛若丸が「遮那王流離譚が四景、間ノ裏・八層跳(はざまのうら・はっそうとび)」とスキル名を言うと牛若丸が八人に分身しオルトが生み出した樹海を駆け巡り、まだ生き残っている歩兵を次々と斬り伏せていく。

 ━

「これで……大半は片付いたかな?」

「でなければ可笑しいだろう」

 

 オルトの後ろに居る森妖精(エルフ)達が一方的な戦争にざわめき、色めき立つ。

 ━

 

 

 

 ━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 法国軍は高い士気で大軍がオルト軍に進軍していると大量の矢と見知らぬ魔法(・・・・・・)が雨霰と降り注ぎ、防げる者、矢に射ぬかれる者、魔法(魔術)に倒れる者、そして『偽・螺旋剣(カラドボルグⅡ)』に空間ごと抉られる者達と分かれ、それでも尚攻め続けるが轟音と共に禍々しくも神聖な巨木や蔓が出現し兵士達を次々と呑み込み、串刺しそれでも生き残れた者達は巨樹が放つ純粋な魔力の衝撃波を受け次々て倒れていく。そして後詰めの兵士達は変わった鎧を着ている人物に斬り伏せられていく。

 ━

「なん、だ……アレは」

「やはりアレは神の、御業……」

「あり得ない、そんな事はあり得ない! 我々は神に喧嘩を売ったとでも言うのか! 弓兵隊、魔法詠唱者(マジック・キャスター)隊放て! 放て! 

 漆黒聖典、漆黒聖典はどうした! 番外席次はどこにいる!」

「グタニィエスィ元帥!」

「なんだ!」

「番外席次が離叛しました!」

「なんだと!」

「それにより第一席次、及び第五席次の御二方が連れ去られました!」

「何が、何が起きたのだ……我々は誰と、何と戦っているのだ」

 

 次々と起こる予想外の出来事に混乱し、そして目に見える倒れゆく兵士達を見て理解が追い付かなかった。

 ━

 

 

 

 ━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「呼んだかと思えばなんのつもりだ番外席次」

「貴方にはそれなりに死んでもらおうかなって」

「何を考えている」

「私は信奉する偉大なる御方からの命令に……至上命令に従うだけ、私は法国に恩は無い、母親に愛情なんて感じていない。

 私を愛してくださったオルタニアン様……アーラ・アラフ様だけを信じ、鍛えてくださった死の恐怖(スケィス)様に恩を抱いている。

 私が従うのはアーラ・アラフ様だけ、法国じゃない」

「!? まさか彼方(あちら)にはアーラ・アラフ様が居るのか!」

「今から死なない程度に死ぬ貴方には関係無い。

 能力向上、能力超向上。疾風走破、疾風超走破」

「本気なのか番外席次!」

「可能性超知覚、斬撃……。じゃあ死なない程度に死んで」

 

 武技を使うと目では捉えきれない速度で漆黒聖典隊長『イツァ・トアト・ウィヨウ』に近づきオルトから新たに渡された魔改造されている刃威音(ハイネ・)・零(ゼロ)を真上に振り上げ、『環伐乱絶閃(ワギリランゼツセン)』と言いながら切っ先を地面に突き刺すと地面から強靭な悪魔の巨爪をイツァ・トアト・ウィヨウ周囲に召喚し握り斬る。

 ━

「アーラ・アラフ様は貴方に興味があるから貴方を殺すなって言われてるの、だからこの程度にする。アーラ・アラフ様の慈悲に感謝しなさい」

「ぅ……クッ。世迷い言を抜かすな番外席次、アーラ・アラフ様が我々を攻撃する訳が無い」

「莫迦ね貴方、アーラ・アラフ様は疾の昔に法国を見限ってる、それはスルシャーナ様がこの世界から去った時に。

 それでも……それでもアーラ・アラフ様は死の恐怖(スケィス)様を法国に隠し、残していてくださった……だから私は今生きている。

 アーラ・アラフ様が愛してくださったからあの人(母親)の虐待を耐えられた、貴方達法国は何もしていない」

「お前を……助けたのは漆黒聖典の一人の筈だ、死の恐怖(スケィス)様も遠き昔にお隠れなさった筈だ」

「そんなの法国の表向きの情報よ、私を……私の母親を助けたのは姿を変えたアーラ・アラフ様、貴方は何も知らないのね。所詮貴方も法国上層部の駒にすぎない。

 えっと……有ったコレだ。確か……地面に落とすんだっけ?」

 

 一人で呟きながら無限の腰提げ(インフィニティ・ベルトポーチ)から種を一つ取り出し地面に落とす。すると種は無数の蔓を生やし第四位階魔法の召喚モンスターの『妖花の踊り手(アルラウネ・ダンサー)』へと生長した。

 ━

「流石アーラ・アラフ様。こんな素晴らしい召喚モンスターをスクロール無しで召喚できるなんて」

「なん、だ……そのモンスターは」

「貴方は知らなくていい事よ」

 

 妖花の踊り手(アルラウネ・ダンサー)が踊ると花粉が舞い、それを吸った漆黒聖典隊長『イツァ・トアト・ウィヨウ』は深い眠りについた。

 ━

「後はお願いしてもよろしいですか」

 

 その問いに妖花の踊り手(アルラウネ・ダンサー)は頷き担ぎ上げ、樹海へと消えていった。

 ━

「次はクアイエッセね」

 

 

 

 ━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「一面樹海だな。占星千里、戦況ははどうなっている」

「推定5万の兵士が先程の魔法で死にました」

「クソッ! 何が起きているんだ!」

 

 グタニィエスィが叫んでいると「何か魔法を使いました、アレは……兵士達が植物化(樹木化)していっている…………」と、消え入りそうな声で呟く。

 ━

「なんだと! 総員退避! すぐさま前線から戻れ!」

 

 マジックアイテムで全軍に退避の指示を出すが、変わった、そして際どい装備を着た一人の兵士が現れる。

 ━

「何者だ!」

「叫ぶな下郎。

 私は騎兵(ライダー)のシャナ、軍の頭が誰なのかを確認しに来ただけだ、殺しはしない」

「舐めた真似を! 近衛兵! コイツを殺せ!」

 

 その合図に従い数名の兵士が群がるが「遮那王流離譚が二景、薄緑・天刃縮歩(うすみどり・てんじんしゅくほ)」そう呟くと目の前に居た筈の人物が消え、近衛兵達はいつの間に斬り倒されていた。

 ━

「コレが近衛兵か程度が知れるな。私の役目は済んだ」

 

 その言葉通りに何もせずに樹海へと消えていく。

 ━

「アレが将なのか、化け物め」

 

 牛若丸の脅威的な強さを見せつけられ戦い(おののい)ていると、占星千里が「番外席次を見つけました」と報告する。

 ━

「どこだ」

「敵大将に跪いています。その場にウィヨウとクインティアが捕らえられ倒れています」

「離叛は事実だったのか、その上イツァとクアイエッセも連れていかれた。クソッが!!」

 

 己の最高戦力である番外席次が離叛しそれに次ぐ第一席次のイツァ・トアト・ウィヨウと第五席次のクアイエッセ・ハゼイア・クインティアが連れ去られたことを確認した。

 ━

 

 

 

 ━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「トール様」

「やあいらっしゃい。そっちはどうだった?」

「万事抜かり無く」

「誰だ」

「法国の最高戦力」

「どうやって味方にしたのかね」

「僕(私)に……正確には天使(エンジェル)の僕(私)が助けたんだって」

「色々とやっているな」

「ホントにね、困ったものだよ」

「さて、次の一撃をやりますかね」

「再使用時間(クールタイム)はまだか」

「んー、もう少しかな、だから違う魔法でじゃんじゃかいこう。召喚・(サモン・)四大精霊(エレメンタル・カルテット)」

 

 火・水・風・地を司る高位の四大精霊が四体同時に召喚され、それぞれの属性魔法を乱射させ、戦場を一瞬で属性の嵐へと変えた。

 ━

 

 

 ━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「あ、あぁ。アレは……四大精霊、ミキンヒアー様の魔法……」

「四大精霊、だと……伝説にあるミキンヒアー様の魔法だ。わ、我々は神に喧嘩を売ったのだ……なん、なんという事をしてしまったのだ。

 神はお怒りなのだ、愚かな我々に神罰を下す為に現れたのだ……。我々は、滅ぶしかない」

 

 

 

 ━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「んー……これで大分片付いたかな?」

「やり過ぎな気もするが……あの連中にはこれくらいが丁度いいかもな」

「相変わらず嫌いだよね」

「霊長(アラヤ)の抑止力からくる感情だろうな」

「やっぱり法国って霊長(アラヤ)の敵だよね」

「みたいだな」

「さて、と。どうしようかな」

「戻りました主殿」

「お帰りシャナ、それでどうだった」

「主殿の人相書通りの人物でした」

「やっぱりあの時の奴か、軍事関係を担ってるらしいし当然と言えば当然か」

 

 確認を終えていると腕に着けている時計の様なものから友人の声で再使用時間(クールタイム)が終わった事を告げてくる。

 ━

「お? 再使用時間(クールタイム)もOKと、んじゃあもっかいやりますかね。超位魔法」

「言っておいてなんながレベルは大丈夫なのか?」

「クリスタルが有るから問題なし、じゃあ最後の超位魔法だ」

 

 ━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 オルト達を見ていた占星千里が「またです! また同じ様な魔方陣が展開されています!」と叫ぶ

 ━

「なんだと!! あんな魔法をこんな短時間で使えるのか!」

「あ……あぁ、嘘あり得ない」

「何が起きている」

「アレは神の御業……六大神の奇跡です」

「まさか、まさかやはら我々が殺そうとしたのは火の神たるミキンヒアー様なのか」

「木が……巨木が世界を呑み込んでいく」

 

 

 

 ━━━━━━━━━━━━

 

 

 

太古の森はすべてを呑み込むプライミーバル・フォレスト・コンシューミズ・オール

 

 またもや超位魔法を行い今度は砂時計を砕き即座に発動し、オルトの足元から数百万本の巨木が瞬時に同時発生する。そして世界を埋め尽くさんとする密度と、巨木の波という純粋な物量の暴力で眼前に広がる全てを押し潰し大地の底へと呑み込む。

 ━

 

 

 ━

 

 ━━

 

 ━━━

 

 ━━━━

 

 

「グタニィエスィ元帥」

 

 沈痛な面持ちで「なんだ」と弱々しく返すと「彼の御方が、ミキンヒアー様がこちらに……近づいて来られます」と伝え「そうか」と答える

 ━

「またお会いしましたね」

「ひ、火の神たるミキンヒアー様に拝謁申し上げます」

 ミキンヒアー? ……ああそう言えばそんな奴が居たな……丁度いいし乗っかるか。

 

「つまりお前達は私(僕)が誰なのかを知った上で私(僕)を殺そうとした。と、受け取って良いんだな?」

「め、滅相もございません!! 我々は貴女様と知らなんだのです!」

「知らねば何をしても良いと?」

「そ、それは」

「(あのモンスターは雷雨を呼ぶ嵐を纏う蒼雷獣(ヴォルテックス・アズール・レド)! ミキンヒアー様が使われていた召喚獣! やはりこの御方はミキンヒアー様なんだ)」

「まあいい、私(僕)に降れ。それはお前達だけではない法国そのものが私(僕)に降るんだ」

「ほ、本国に戻り次第すぐさまーー」

「それでは遅い」

「そ、それではいつ」

「決まっているだろう? 今からだ」

「か、畏まりました。

全軍今すぐ法国へ帰還せよ!!」

 

 火の神ミキンヒアーに刃を向けた事に動揺し、乱れながらもグタニィエスィの鶴の一声で隊列を組み直し法国へと向かう。

 ━

 

 

 ━

 

 ━━

 

 ━━━

 

 ━━━━

 

 ━━━━━

 

 

「おお! グタニィエスィ大元帥、法国に牙を剥いた愚か者どもを討ち果たしーー」

「ば、莫迦者が!!」

「どう……されたのですか?」

「我々が、我々は神に刃を向けたのだ!! オカツカウ最高神官長! 貴様は森妖精(エルフ)であると言う事に目が眩み始めた戦争は火の神たるミキンヒアー様に刃を向ける戦争だ!」

 

 その一言は法国を震撼させるには充分すぎる一言だった。

 ━

「な、何を言っているんだグタニィエスィ元帥。その様な訳がーー」

「わ、私は視ました。四大精霊を召喚する時を。そして偉大なる四大精霊は戦場を凄まじい嵐へと変えました、それだけではありません。ミキンヒアー様の召喚獣たる嵐を纏う蒼雷獣(ヴォルテックス・アズール・レド)を従えておられます」

「四大、精霊……嵐を纏う蒼雷獣(ヴォルテックス・アズール・レド)……。伝説に残るミキンヒアー様の召喚魔法………」

「火の神官長! 何故分からなかった! 何故ーー」

 

 火の神官長『ベレニス・ナグア・サンテイニ』に詰め寄っていると「内輪揉めはどうでもいい、問題は君達がどうするかだ」と言いながらオルトが召喚した嵐を纏う蒼雷獣(ヴォルテックス・アズール・レド)を従えながら現れる。

 ━

「あ、アレはまさしく嵐を纏う蒼雷獣(ヴォルテックス・アズール・レド)!! ミキンヒアー様が共にしていた召喚獣! 本当に、本当に我々は神に刃を向けたのか……」

「理解したか? 我々はミキンヒアー様に刃を向けたのだ、我々は滅ぶしかないと言う事を」

「説明ありがとう。で、君達は何を差し出せる」

「み、ミキンヒアー様………。

 ぐ、グタニィエスィ元帥!! 君こそ何故気づかなかった!! 君は直接ミキンヒアー様と会った筈だ、何故その時に気づかなかった!」

「うッ……ぐッ………そ、それは」

 

 召喚モンスター嵐を纏う蒼雷獣(ヴォルテックス・アズール・レド)に凭れ(もたれ)掛かり欠伸をしていると「とんだお花畑ね」の言葉と共に番外席次が現れる。

 ━

「番外席次、お前は気付いていたのか」

「ええそうよ。でもこの御方はミキンヒアー様ではないわ」

「で、では誰なんだ」

「この御方は光の神:アーラ・アラフ様よ」

 

 言い争う最高執行機関達に更なる爆弾を落とす。

 ━

「な、何を言っている、どこからどう見てもミキンヒアー様だ」

「貴方達は忘れたの? アーラ・アラフ様には幾つもの御姿がある事を」

「まさ、か……! 千態万様(せんたいばんよう)の御姿を持つ偉大なる神、生命を司る光の神……。

 ならば貴方様はアーラ・アラフ様、なのですか」

「君達はオルタニアンは知らないの?」

「勿論存じております。ッ! まさか!」

「この姿はオルタニアンの新なる姿、森祭司(ドルイド)を極めた姿、故にお前達が気づかずとも仕方ない。だからと言って赦す事はしない、法国は今日で最期を向かえる。お前達は神に背いたからだ」

「は……い。覚悟はできております」

「ではこの国は樹海に沈む。そしてこの国は森妖精(エルフ)の聖域にする、お前達には今現在私(僕)が治めている領都にて沙汰を下す」

「畏まりました」

「よろしい、では沈めようか。だがその前に街の中心に連れていってくれるかい」

「では私がご案内致します」

「ああ頼むよ」

 

 絶死絶命の案内で法国の中心地に訪れ「此処が?」と聞き、「はい」と答えられると「超位魔法」と言葉を紡ぐ。そしてーー

 

原初の楽園(プライミーバル・エデン)

 

 三度目の超位魔法を使い砂時計を砕き即座に発動させるとオルトを中心に黄金の光を放つ花々と美しい樹木に満ちた「失われた楽園」……かつて九つの世界を支えたユグドラシルの若芽(・・・・・・・・・)が大地から幾百、幾千幾億と生え、次第に黄金に輝く大樹へとの生長し『大枝』がドーム状に迫り上がり大樹で包み込む様に広がり巨大な大樹の聖域へと成り法国を呑み込む。

 ━

「お、おおお。これぞまさしく神の御業」

「なんという神聖なる樹海なのだ」

「そうだ、これこそが森妖精(エルフ)の在り方、これこそが森妖精(エルフ)のあるべき姿」

「我々は盲目になっていたのだ、憎きデケム・ホウガンの存在で我々は森妖精(エルフ)の聖なる御姿を、在るべき姿を忘れていた」

 

 盛り上がる法国の人間を無視して「はー疲れた」とボヤくと、「レベルはどうだ」と聞かれ「六個くらい砕いたね」と返す。すると、「つまり6レベル分は使ったのか」の言葉が返ってきて為「まだ沢山あるし、危なくなったらドレインすればいいし問題ないさ」と答える。

 ━

「これが森妖精(エルフ)の奇跡」

 

 超位魔法のコストはMPではなく経験値(レベル)の場合があり、森妖精(エルフ)のオルトが使う超位魔法はその大半がレベル消費型で今回使った超位魔法のコストは2レベル消費する。

 本来であれば連発する様なモノではないがオルトはレベルダウンを踏み倒す方法がある、それは黄昏の腕輪(ブレスレット・オブ・ザ・トワイライト)で経験値(0.5Lv分)を奪い、薄明の腕輪(ブレスレット・オブ・ザ・トワイライト)でデータ(経験値(最大1Lv分))をクリスタル化し保管していたEXPクリスタルという特殊アイテムで一応はWI(ワールドアイテム)に分類されている。

 そしてコレを砕く事で経験値を得る事ができる為、オルトはレベル消費型の超位魔法を使う際にはEXPクリスタルを砕きコストにしている。

 ━

「それで? この者らはどうするつもりかね」

「んー、どーしよーかなー」

「生かしておくのか?」

「それはない」

「ならばどうする」

 

 目を閉じて逡巡し「森妖精(エルフ)の国との取り引き材料にする」と答えた。

 ━

「差し出して戦争を終わらせると?」

「それで済めばね」

「トール様」

「うん? 何」

「森妖精(エルフ)王の事をお話ししていなかったのでお伝えいたします。

 先ずはーー」

 

 

 ━

 

 ━━

 

 ━━━

 

 ━━━━

 

 ━━━━━

 

 ━━━━━━

 

 

「法国以上のド下道だな」

「民が死のうが興味はないか」

「斬りますか?」

「斬るのは最後だ、慈悲なぞ与えん。死の恐(スケィ)怖(ス)」

 

 召喚の言葉を紡ぐ。すると影から人の形をした三つ目の巨神が現れる。

 ━

「あ、アレは死の恐怖(スケィス)神!!」

「アーラ・アラフ様の従属神の死の恐怖(スケィス)様だ……。番外席次が言っていた事は事実だったのか」

「生なりし神、光の神たるアーラ・アラフ様が遣わす死の影にして死の恐怖の体現者」

 

 死の恐怖(スケィス)を召喚した事で色めき立つ神官長達だが、オルトは鳥の囀ずりかの様に無視し死の(スケ)恐怖(ィス)に命を下す。

 ━

「死の恐怖(スケィス)。影に潜み疾駆せよ、森妖精(エルフ)の国の実情を見てこい」

 

 三つ目を鈍く赤く光らせると大樹の影へと消えていく。

 ━

「森妖精(エルフ)の国は森妖精(エルフ)の理想郷(ユートピア)ではなく反理想(ディスト)郷(ピア)とはな」

「行く理由がまた一つ増えたね、早々に潰そう。そして僕(私)の領地か此処に住まわそう」

「ではこの者らはどうする、取り引き材料にすらならんぞ」

 

 その言葉にまたもや悩み「ニューロニストの所にでもブチ込んで情報収集でもしようか」と返す。

 ━

「絶死絶命……ここはアンティリーネと呼ぼうか」

「はい」

「君には神の居城に来てもらう」

 

 目を見開き跪き「ありがたき幸せ」と涙を溢し返事をする。

 ━

「連れていくのか?」

「その為に引き入れた訳だし」

「あの二人はどうなさいますか?」

「えーと、名前なんだっけ」

「漆黒聖典隊長のイツァ・トアト・ウィヨウ。第五席次のクアイエッセ・ハゼイア・クインティアにございます」

「ああそうそうそうだった。イツァとか言う奴は……記憶を弄って………面倒だな、黒棺(ブラック・カプセル)にブチ込んで壊すか」

「クアイエッセとやらはどうする」

「そこはほら、涙ぐましい感動的な兄妹との再会だよ。ま、どうなるかは分からないけどね」

「そうか」

「トール様、他の漆黒聖典の者らはどうなさいますか?」

「あー十二人居るんだっけ」

「はい」

「あー、んー………。ソイツらも連れてくか、んで教育(・・)して駒にしようか」

 

 この日、人類最強のスレイン法国はオルトの手でたった一日で滅んだ。この事は数日で各国に知れ渡る。

 ━




 地の文がワンパターン過ぎて困る、どうにかして変えたいけど思い付かない。

━━
 戦闘描写って大嫌い。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。