7章前の9月28日現在、本編を知る前に妄想と考察は形にしておかなくちゃ!!というわけで妄想本編小説を書きました。

6.5のネタバレが当たり前のように含まれるのでご注意ください。
5章のときもやったけど多分考察は当たりません!!
5章も6章も公式は遙か高みのクオリティをお出ししてきてくださったのでね!!

それでもよければいち管理人の妄想7章本編の設定やストーリーをさらっとお楽しみください!
(pixivにて投稿していたものです)

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ドンキ=サンチョはギリ正解していた

 ダンテ一行は公爵夫人と呼ばれる者に歓待を受けてラ・マンチャ・ランドへと足を踏み入れる。

 ワイン工場でもあるこの場所は、どうしてか悪い血鬼たちが集まり困っているのだという。彼女は悪い血鬼たちに呪いをかけられており、それで苦しんでいるとも証言した。

 自らドゥルシネーアと名乗った夫人は「時間殺人時間」で新聞に載ったリンバスカンパニーのことをよくよく賞賛し、彼らならきっとこの問題を解決してくれるだろうと希望を持ってこの話を持ってきたのだという。

 直近ではW社からの依頼もしっかりとこなして彼らの冒険はすっかり認知度を上げて遠くの人物までもが知ることになっているらしい。

 

 以前のように通信機で連絡を入れてきた部署により、以前とは違う人物の指示を受けて警戒をしながらやってきたダンテはこの歓迎する様子に拍子抜けしてしまう。

 

 〈案外穏やかに受け入れられたね? 〉

「報酬にはいつものように黄金の枝がありますけど、いつもそういうときほど厄介な目に遭ってきました。油断は禁物ですよ」

 

 静かにイシュメールが言う。

 確かに報酬に黄金の枝が絡んでいるときほど囚人たちと因縁のある人物が現れ、そして事態はかなり拗れて進むことになる。

 

「貴様にわざわざ言われなくとも管理人様は重々承知していらっしゃる! そうでしょう?」

 〈うん? うん、まあ、そうだね……〉

 

 曖昧にウーティスの言葉に頷きながら、ダンテは歓待を受け入れて公爵夫人の説明を聴くことにした。

 

 血鬼たちが好き勝手して困っていることは確かなようだが、どうやら他の団体による血鬼討伐には乗り気ではない。治安維持のツヴァイ協会がやってきているが、それよりも早く片をつけることに期待しているらしい。

 

「ぜひとも皆様のご活躍を見せてくださいな!」

 

 高名なリンバスカンパニーの者であれば協会所属者よりも早く活躍して見せてくれることだろうと公爵夫人は自分勝手に謳う。これは名誉をかけた血鬼狩りの競争なのだ。

 

 悪しき血鬼を思う存分に狩るが良いと高笑いする彼女が去ると、これに気を悪くした囚人が一人、二人……どころではなく一人を除いてほぼ全員。

 

「当人が悪を挫けぬはずがなかろう! 任せてくれたまえ!!」

 

 自身の活躍の機会であることを察し、息巻く彼女に不安を抱きながらも方々で別組織とぶつかりながらも一行の一大冒険がここに始まった! 

 

 >省略<

 

 なんやかんやあって悪魔のようなでかい暴食大罪がいっぱい乗った馬車などが襲撃を繰り返し、4両目の馬車から公爵夫人ドュルシネーアが現れる。

 夫人とともに現れた血鬼はドンキホーテを煽る。ここにいるのは血鬼が化けた女。本物のドゥルシネーアの呪いを解くためにはある場所に向かわなければならないのよ! と。

 

 正義感に駆られたドンキホーテが先行する。

 しかし、その「とある部屋」に近づけば近づくほど彼女は訳がわからない恐怖に襲われた。けれども足は止まらず、制止しても動きその部屋へと突入する。

 

 〈誰もいないね〉

 

 もはやガタガタと震えるドンキホーテは、どうして自分が震えているのかも分からずに、どこからその恐怖が来るのかも分からずに立ち尽くしている。

 

 そしてそのとき、真っ暗だった部屋が明るくなる。

 正面にある大きな鏡には返り血ではない……明らかに致命傷を受けて目を閉じている血まみれのドンキホーテが映し出された。部屋のすみで玩具を手にしたままほとんどうつ伏せになり、死んでいる姿だ。

 そんな姿いくらでも見たことのある囚人達は何とも思わない。しかし、本人であるドンキホーテは、自身が立っているにもかかわらず鏡の中では死んでいる自分を見て悲鳴をあげる。

 

「ああら、ようやく思い出したのね?」

 

 背後からドゥルシネーアが現れる。

 

「サンチョ、貴女はもう死んでいるの。あのかたがお優しいからってその自由を奪うだなんて、ご飯のくせに悪い子ね」

「ま、待て。待て! なにも、なにも言うでない! 当人は……当人は!」

 

 恐慌状態となったドンキホーテに追い討ちをかけるように彼女はあやしく笑った。

 

「どうしてドゥルシネーア様は餌にもなれずに死んだ子を蘇らせたのかしら。自分の身で命を繋げてまで。理解できないわ。どう? 自分が正義でもなんでもないって知った気持ちは? あっはははは!」

 

 哄笑が響き渡る。

 

「ドンキホーテだなんて幻想を名乗る愚かなサンチョ」

 

 自分が正義でもなんでもなく、悪だと断じた血鬼の上位者に生かされている事実を突きつけられたドンキホーテを馬鹿にしながら。

 

「さあ、呪いを解きなさい! 我らが第二眷属様。ドゥルシネーア様をその身から解放してただの田舎娘の死体に戻るのよ!」

 

 

 ……血鬼の上位者の元へ餌として連れてこられた少女はなんの因果か、悪と言うべき存在を伝説の赤い霧のようだと称賛した。病弱で英雄譚ばかり読んでいた夢見がちな彼女にとって、目の前に立つ女は憧れの存在に等しい。

 

 無教養だが、英雄に憧れてなにも知らず無邪気に慕う無知な存在を血鬼ドゥルシネーアはどうしてか気に入ってしまった。

 

 少しの間ともに過ごし、少女の憧れる存在に成り切って少しだけ夢を見させて最後には食べてやろうとしていた女はすっかりこの女の子を食べる気はなくなってしまい、ただ健やかに愛玩してやろうと日々を過ごしていく。

 

 しかし夢見がちな少女は自身がドンキホーテという英傑となって活躍する妄想をしながらもやがて弱り、そして最後にはドゥルシネーアを慕う他の血鬼によって殺されてしまった。怒りに任せて下手人を殺し、彼女はすでに死んでしまった少女を抱いて血に塗れながら涙を流す。

 

 そうして、夢を叶えられないまま死んだ子を哀れんだ血鬼の女はその骸を抱いたまま歩きだした。

 

 そうして狭い世界を飛び出して出会ったのが、一台のバス。

 

「3番目の囚人、ドンキホーテ。お待ちしておりました。リンバス・カンパニーに入社なされば、あなたのご友人の夢の続きを……この先ずっと見せて差し上げましょう」

「この子を、生きたこの子の未来を見ることができると言うのか?」

「はい、この先時計の頭を持った不思議なかたが乗車なされます。そのかたが、あなたのご友人の夢を叶えてくださるでしょう」

「この子はもう、冷たくなっているのだぞ!?」

「あなたがこの先をずっとそのかたと歩む覚悟があるのでしたら、蘇生は可能です」

「……分かった。約束は果たされるのであろうな?」

「はい」

 

 自らの身体を構成する血を全て、彼女は「ドンキホーテ」に注ぎ込んだ。

 そうして、先にいたイサンという囚人とファウストによって作られた制御装置の靴を履き、目を閉じる。

 

 その先の人生はこの子とともにずっとある。その身をひとつにして。

 ひとつになること。自身の意識を沈めて全てを彼女に受け渡すこと。

 

 それは呪いにかかったようにも見えるが、彼女にとっては確かな愛だった。

 

 

解説

 

・ドンキホーテ=サンチョ

・血鬼ドンキ=ドゥルシネーア

 

E.G.O名が「サンチョの血」だから。サンチョってほぼドンキホーテとともにいるはずなのに、今まで一度も名前が出てないのは強い違和感があります。だから、実は今のドンキこそ、ドンキホーテを名乗っているサンチョなのではないか? という考察です。もしかしたらこの世界線のドゥルシネーアと立場が逆の場合もあるかも。でもあの見た目だったらドゥルシネーアが血鬼人格のほうであってほしいなあ……って。

 

吸血鬼カーミラにおける「吸血鬼」というのは要するに他の吸血鬼によって甦らされた「動く死体」だから、でもあります。

 

あと百合。

百合。

 

というわけで初期E.G.Oの絵をドールハウス(血に塗れた場所の小部屋)で夢を見ながら育ち、その体勢で死んだ子供に解釈。

 

人外が死んだ人間の夢を追うために身勝手に蘇生し、そして自分が死んでいることを忘れたサンチョはドンキホーテとして冒険する夢を叶える。

夢から覚めてドゥルシネーアがいなくなるパターンもあるかもしれないけれど、人のために長い時間のひとときを貸し出す人外って好きで……。

 

・公爵夫人

血鬼側でドゥルシネーアを取り戻したくてひと芝居売った。夫人が活躍を耳にして偶然出会って城に招いたのは原典通り。狩りに行ってるのも原典通り。神曲パロディのひと芝居を売ってドゥルシネーアの呪いを云々のくだりも原典になんとなく沿うように書いている。

 

原典にライオンが出るから臆病な猫の変異体とかが出てくれることを祈ってます。シンクレアにE.G.Oをくれ。




ほんのり当たってるけど決定的に違う……という微妙なところでしたね!!

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