感情×1.62m/s^2   作:ORC機関

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戦場の霧

我々は前哨基地に近い場所に降り立った。

砂丘の斜面に身を隠し辺りを窺う。

直線距離にして200m、前哨基地には敵影は確認できない。

「柴井、何か見えるか」

奥山が問いかけると柴井は戦闘外殻を上げた。

「瓦礫に、残骸、死体、生きてるものは何もいない」

柴井は否定のハンドサインをする。

「どうします?前進しますか?」

古代が問いかける。

どうしたものか。

確かに前哨基地の跡地に敵がいないなら前進して挟撃を実施すべきだろう。

しかし、何か妙だ。

さすがに退路や前哨基地のクリアリングをせずに全戦力を投入するか?

「奥山、なんか変じゃない?」

「確かに、妙だよな」

奥山も感じているようだ。

罠の可能性がある。

「CP、こちら2班。」

「前哨基地に敵影無し、カミカゼの戦果報告を教えてくれ、オーバー」

私は戦闘指揮所に報告と共に確認を行う。

「こちらCP、状況を共有する。」

前哨基地に襲来した戦力はMBTが5、IFVが4、APCが4。

カミカゼの戦果がMBTが2、IFVが1、APCが1。

合流点にはMBTが1、IFVが2、APCが2。

つまりここにはMBTが2台、IFVが1台、APCが1台潜んでいる。

「以上が現状である、合流点は単独での撃破に成功している為、貴官らは前哨基地周辺の掃討を実施せよ、アウト」

戦闘指揮所との交信は終了し、辺りに緊張が走る。

「柴井、もう一度辺りを探れる?」

「やってみる」

私の問いに柴井は戦闘外殻を下ろし狙撃銃で辺りを探る。

私もガンカメラで捜査を始める。

残念ながら、柴井の銃と違い低倍率でしか見れない。

白銀の砂漠が視界に広がる。

ダメもとでサーマルカメラに切り替えてみる。

画面全体が熱源を示してしまっている。

太陽光が砂丘に反射してしまっているんだ。

月面迷彩を施されたものを見つけるのは骨が折れる。

サーマルカメラの映像に不審な物体が映り込む。

異様に高熱源を示す箇所が微かに映っている。

ディスプレイに地図を開き位置を確認する。

150m先の砂丘の影、待ち伏せにはもってこいだ。

私は柴井へ報告する。

「柴井、ここ確認できる?」

彼は送信された位置情報を確認する。

「あー、居そうだね」

「お、サーマルに反応あったのか?」

柴井の言葉に奥山が反応した。

柴井の狙撃銃が目標地点へ照準を合わせる。

「確かにそれっぽいのが居る、MBTだ」

「たださあ、初撃で撃破できても他が怖いな」

柴井も目標を確認したらしい。

確かに不意打ちなのであのMBTは確実に仕留めることはできるだろう。

問題はほかの車両だ。

バックブラストでこちらの位置が露呈するのは避けられない。

もう少し様子を見てみるか。

「こちら3班、基地格納庫付近に車両を確認」

三班から報告が飛び込んだ。

「どこにいる?」

地図を広げ私は三班に問いかけた。

「二班の右200mの位置、そちらだと倉庫の影になっている位置だ」

ヘッドディスプレイに表示される地図に位置が表示される。

「確認した、こちらが発見した位置も送る。」

共有地図へ情報を送信する。

位置的に我々の見つけた車両が一番突出しているらしい。

脅威度の高いMBTから見つけられたのは幸運だった。

「この感じだと多分敵は施設内?」

「可能性は高いね」

三班の反応に肯定する柴井。

「IFVとAPCの位置、誰かわからない?」

「こちら一班、三叉路にIFVを確認した共有する。」

格納庫と砂丘の間、150m先のMBTに近い位置にいるようだ。

C分隊は我々の100m先にある小規模クレーターに潜んでいる。

敵の位置的に察知されているだろう。

「三班、MBTを叩けるか?」

「砂丘側の奴は角度的に半矢になる、倉庫側は確殺」

「150ならこっちの間合いだな」

私の問いに三班が回答する。

話を聞いていた奥山が自信満々に答える。

「分隊長、どうします?」

一班にいる分隊長へ意見を伺う。

「MBTだけでも叩くか」

分隊長はそう告げるとC分隊と連絡を取り始める。

我々は準備を始める。

背面の砲弾ケースを取り出し蓋を開ける。

551弾薬が顔を出す。

HEAT弾頭の噴進弾で貫徹力は400㎜。

奥山が無反動砲を砂丘に委託しており私は砲後方のノズルを開放し551弾を装填する。

閉鎖機構を閉鎖しバックブラストの加害範囲外の脇に退避する。

「奥山、551しかもらえなかったわ」

「威力十分、けど751がありゃなぁ」

私の報告に奥山がぼやいた。

751弾薬と551弾薬の違いはタンデム化しているかどうかの違いだ。

弾頭先端に付けられた爆薬が爆発装甲を動作させ無力化する。

その後本命の弾頭が装甲に直撃する。

貫徹力は500㎜、優秀な弾頭だ。

しかしコストは高額となってしまい、こんな田舎ではお目にかかれない。

多分優先度の高い火星へと送られているのだろう。

「ホントにね」

彼の言葉に同意して匍匐の態勢に移行する。

私は白銀の砂漠の先に目を凝らした。

 




カールグスタフ君、その内誘導弾撃てるようになりそう(期待感)
誤字あったら教えてください。
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