火薬に酸素が含まれているらしいので発射はできそうですね。
けど、機関部は真空なので部品同士がくっついてしまうのでは?
光学兵装君は熱光線をAFS(自動フォーカスシステム)制御の鏡筒内で収束して発振しています。
なのでバッテリーパックがマガジンになり、エネルギー残量が残弾になります。
ZガンダムあたりのEパック式ビーム兵器みたいな。
バッテリー消耗や発振機と鏡筒のオーバーヒートを考慮するとあまり連射はできません。
なお、鏡筒には使用回数が決まっているため銃身交換みたいに取り替える必要があります。
小型発電機を使う案がありましたが燃料的にも無理そうなのでバッテリーです。
小型太陽光電池も考えましたが背中から太陽光電池生やしてたらダサいのでやめました
格納庫内は与圧されていた。
絶えず非常事態を示す回転灯は光り輝いて、周囲を照らす。
「ここは生きてるな、光学兵装の威力減衰に注意」
「了解」
分隊長の警告に我々は返答しつつ周囲を警戒する。
広い格納庫内には車両は無く、所々に仲間が転がっていた。
奥山が倒れた仲間を調べては首を横に振る。
死んでいるようだ。
「殿の連中、最後まで徹底抗戦したんだな」
我々と同じ白い宇宙服を見に纏い、貨物コンテナで陣地を形成していた。
武装は基地武器庫の標準光学兵装だ。
死してなお、武器を手放さないその姿に内心で敬意を表する。
地に伏す彼らの仇を討つべく周囲へ意識を向ける。
やはり本陣は管理棟なのか人の姿は見えない。
気を抜かず、我々は管制塔と格納庫を繋ぐエアロックにたどり着いた。
「この扉、開けるか?」
「かしこ鞠」
「さっさとしろ」
三班の新入がコントロールパネルにデバイスを接続して電子錠の解除を試みている。
「めんどくせぇ、C6爆薬で吹き飛ばせよ」
三班の班長がめんどくさそうにボヤいた。
そんな彼を諭すように分隊長が語りかける。
「気化した燃料に引火したらみんな御陀仏になるだろ、あと向こう側は低圧の様だし。」
ここは与圧されているため、低圧状態の部屋を開けてしまえば空気の移動で吸い出されてしまう。
それは人だけではない、物も同じだ。
地球より低い重力の為、物が宙を舞えば悲惨な事になる。
誰も貨物コンテナが死因になるような間抜けな死は迎えたくないのだ。
「古代、そこの養生されたコンテナの影に隠れてろ」
奥山が固定した貨物コンテナを指差す。
それを見た古代もそのコンテナを指差し、影へと隠れた。
奥山は貨物コンテナの固定チェーンに命綱を掛けると物陰へ隠れる。
私も遮蔽を取った。
貨物コンテナの影にしゃがみ込み隠れる古代の背中には命綱のフックが見える。
そっと彼女と私の命綱を固定チェーンに引っ掛けた。
そして彼女のヘルメットを叩いた。
「あー、何するんですか!」
不満の声を上げた古代。
「命綱、忘れんなよ」
この言葉に彼女はあっと声を上げて謝罪した。
「それじゃあ、開けますよー?」
三班の新入が周囲を伺う。
皆各々に命綱をつなぎ、親指を上げるサインを向ける。
私も減圧に備えてしゃがむ彼女に覆い被さりコンテナ壁面に押し付ける。
「ぐぇ…く、苦しぃ」
「我慢しろ」
新入にハンドサインを出す、扉が解放された。
案の定、急激な減圧が発生し身体が持っていかれる。
必死にコンテナにしがみつき、下の彼女を守る。
すぐに減圧は終わり、再度無音の空間が帰ってきた。
2人分の命綱を外して収納する。
彼女の命綱は腰のベルトに掛けてあげた。
「状況確認」
「一班、問題なし」
「二班、無事だ」
「三班、大丈夫だ」
いつもの無線点呼が始まる。
「うぅ、もうダメかも」
古代の落ち込んだ声が聞こえる。
「あんだや、小便か?」
「声が大きいです!」
奥山のデリカシーの無い発言に古代は抗議した。
「もうお嫁に行けないよ…」
まぁ、宇宙服のインナーには長時間活動する為に大人用のオムツがある。
特に初陣の戦闘時は自身の意思関係なしに出る事も多い。
皆、通る道であった。
「気にする事ないよ、私だってやらかしたんだから」
懐かしい、初めての任期がそうだった。
「そうだぞ、俺も敷島もそうやって一人前になったんだからな気にすんな」
「私は気にするんです!」
奥山のフォローに更に怒り出した古代。
「痴話喧嘩は終わったか?行くぞ?」
分隊長の呆れた声が響いた。
三班は既に隊列を組んで前進を始めている。
私達も隊列を編成、後に続き突入した。
隔壁を抜けると渡り廊下が出迎える。
銃口を正面に構えたままちらりと伺う。
窓の緊急閉鎖隔壁は閉じられており、外部を確認する為の強化テクタイト製窓の穴が異様に目についた。
「光学兵装で融解したのか、道理で減圧するわけだ」
先頭の奥山が銃を構えたままそう呟いて脇を通り過ぎる。
古代は融解して空いた穴を眺めていた。
銃の照準はそのままに左手で彼女のケツを引っ叩き、前方を指差す。
思い出したのか銃を構えて奥山の後に続いた。
「こちら三班、エアロックに到達」
「了解、その場で待機せよ」
先陣の三班はエアロック前に着いたようだ。
後方を伺えば一班のヘッドライトが見える。
前方に視線を戻せば三班のヘッドライト、こちらを振り返っているのだろう。
歩みを進め、三班と合流する。
新入が扉のパネルにデバイスを接続して解放した。
二重構造のエアロックに一班が前進する。
そうして扉が一度閉まり、二枚目の扉から管理棟へ侵入。
この流れを繰り返してついに我々は管理棟へ到達した。
管理棟の内部は嵐の後かと見間違える程の荒れ具合だった。
書類は散らばり、強化テクタイトの窓は黒く焦げている。
そこらに職員の遺体が転がり、血が至る所に飛び散っていた。
「生存者無し、ここも悲惨だな」
「気を抜くな、奴らはまだ近くにいるぞ」
分隊長の言葉に一同警戒を強める。
与圧の保てない部屋は緊急閉鎖隔壁で閉じられていた。
職員事務所を制圧し、中央通路に到達した。
貨物コンテナが所々に点在し、遺体が転がっている。
死体の中にオレンジ色の宇宙服を発見した。
「コイツ、連邦軍だ」
私の言葉に奥山が足を止めて遺体を確認する。
部隊章は国旗の真ん中を跨ぐ様に上向きの尾を引く流れ星。
連邦戦略宇宙軍だ。
ヘルメット側面には連邦宇宙軍海兵隊を示すVマークが付いている。
「海兵隊か、厄介な相手が出てきたな」
「こっちにも死体がある、青色ラインの入ったヤツだ」
「青色ラインって事は人民宇宙軍じゃねぇか」
「類友ってヤツだな」
皆、死体を覗いて口々に話し始めた。
連邦に人民共和国の海兵隊、奴等の本気度が見て取れる。
月面での連邦軍哨戒部隊は基本連邦宇宙軍歩兵隊や機甲部隊が役割をになっていた。
しかし、今転がっている死体は連邦宇宙軍海兵隊だ。
強襲制圧や破壊工作に特化した特別任務部隊。
本来は速やかに本拠点を制圧して橋頭堡として確保する予定だったのだろう。
分析班に提出するため、カメラを取り出し記録写真を収める。
部隊章、宇宙服のデザイン、近くに転がっている武器も記録した。
「古代、離れるなよ」
奥山は古代のヘルメットを叩くと銃口を正面に向けた。
「はい」
彼女は怯えた声で返事をひとつ返して銃を握りしめる。
宇宙服越しでもその緊張が伝わってきた。
私は彼女の後に続いて前進を開始。
後方警戒は一班がしてくれているため、我々は先陣を切る三班の確認した箇所をもう一度確認し安全を確保する。
「こちらC分隊!敵部隊と接敵したオーバー!」
静寂を破るようにC分隊からの報告が飛び込んだ。
「こちらD分隊、位置を送れオーバー?」
「栽培プラントと管理棟を繋ぐ連絡通路入り口にて交戦中!」
「こちら2号車!太陽光発電所の格納庫からAPCが移動中!里見そっちに行くぞ!」
敵は管理棟から移動を開始していた。
栽培プラントにも搬入用エアロックが付いていたはず。
ここまでは敵に逃げられる。
「分隊長!近くにエアロックがあります!」
「どこだ?」
「次の角を左に100m」
「そこなら敵の裏手に回れるな、C分隊持ち堪えろ」
「了解」
分隊長が無線のやり取りを終えると前進のハンドサインを出す。
三班がスピードを上げクリアリングを行い、我々も後に続く。
通路を抜け私達は大きなエアロックへ到着する。
「今回は全員でゲートを潜る、減圧後素早く展開しろ狙い撃ちにされるぞ」
分隊長の指示に緊張が走る、本当なら何回かに分けてエアロックから展開するのが最適だ。
狭い場所から移動をするため爆発物等で一網打尽にされやすい。
しかし、事態は緊急を要する。
一か八かの展開だ、やるしかない。
光学兵装を握る私の手に力が入った。