槍の勇者のすり替わり   作:紙吹雪

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あけましておめでとうございます。
新年早々また新しく話書いてるよ……(呆れ


槍直しベースの作品が中々見つからなかったので、自分で書く事にしました。
ゆる〜くやって行こうと思います。
ユキちゃん健気可愛い。



槍の勇者のすり替わり

 

 始めたてのバイトを終え、疲れた身体のままベッドに横になる。

 シャワーも浴びず、夕飯も取る余裕がない。

 忙しかったよりかは精神的な問題からだろうか。

 

「……クレーマー対処、もう二度とやりたくない」

 

 それでも数分程寝そべっていると段々と動かなきゃって気持ちが出て来る。

 夕飯は……今日もカップ麺でいいか。

 面倒臭いけどシャワーも浴びないとだ。

 明日もバイトだもんね。

 

「……」

 

 と、これが最近の私の日常だ。

 死ぬ程つまらないが、これでもまあ満足はしている。

 特にやりたい事とか成し遂げたい事がある訳でもなし。

 だから大学には通わず、バイトだけしている訳だ。

 

 因みに一人暮らしである。

 両親は仕事で海外を飛び回っていて家には全く帰って来ない。

 まあ、そのお陰で私もこうして普通に過ごせてる訳だが。

 部屋は散らかりっぱなしだし、誰にも文句を言われないのは良い。

 

 今の生活に満足しているのかと聞かれたら……何て返せばいいのか迷うけれど。

 少なくとも、私の身の丈にあってはいると思っている。

 好きな物なんてゲームとか漫画くらいの、ライトなオタクだし。

 得意な事もなく、突出した才能なんてない平凡な人間だから。

 

 不満はない、と言うが結論だろうか。

 時折何で自分が生きているのか迷う瞬間はあるけど……

 こうして好きに飲み食い出来る程度には自由があるのだから、文句を言っては罰が当たるだろう。

 

「……ご馳走様でした」

 

 食べ終わったカップ麺をゴミ箱にポイ。

 明日もバイトだしとっととお風呂沸かして入ろっと。

 さて、お風呂を沸かしている間に何をしようか……

 

「……漫画でも読も」

 

 スマホを取り出してアプリを起動する。

 外出して買うのが面倒なので、私は電子書籍を使う派だ。

 まあ、紙の方もたまに読むけどね。

 

「今日は特に更新ない日だったかな」

 

 仕方ない、適当なのを読み直そうかな。

 んーと、どれにするか……

 

 これで良いか。

 

 私はお気に入りの漫画を読もうとする。

 しかし……その瞬間に異様な眠気が私に襲い掛かった。

 

「……あ?」

 

 スマホをベッドの上にポトリと落とし。

 私は碌に抗う事も出来ず、眠りに付いてしまった。

 

 その瞬間、奇妙な事に聞き覚えのあるような声が聞こえた気がした。

 

 

 

『——お前ですぞ!』

 

 

 

 な、なんなんだ一体……!?

 

 

 とまぁ、これが私があの世界に召喚される直前の話だ。

 果てしなくつまらないので多少は端折ったけどね。

 さて、これから私の身に何が起こるのか……

 

 

 

 

 

 

 これを読んでいる君達になら既に分かるだろうか?

 

 

 

 

 

 

 もしそうだとしたらお願いだ。

 変わってくれ、頼む。

 無理?

 

 

 …………………………

 

 

 はぁ。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

「おお……」

 

 ローブを着た男達が何やら私の方を見て唖然としていた。

 ここは何処だろうか。

 寝落ちした筈なのに、ベッドの上に居ない。

 

「なんだ?」

「あれ?」

 

 横を見ると見覚えのある三名が。

 ……いや、まさかね。

 

 しかし、私の予測を決定付けるかのように片手に槍が限られている。

 ……いやいや、まさかまさか。

 

「おお、勇者様方! どうかこの世界をお救いください!」

 

「「「はい?」」」

 

 ( ᐛ )?

 

「……ええと」

 

 マジか?

 マジで言ってるのか?

 ……この三人の名前を聞くまで信じないぞ私は!

 

 クソっ、何やら三人が話してるけど頭に入って来ない。

 だってさぁ……!

 

 心の中で愚痴っていると、私は気が付いた。

 手に握っていた槍の事を。

 これは……まさか!?

 

 私は急いで確認してみる。

 ステータス魔法だったかな、これをこう操作して……ん?

 

 

 

 ◻️◻️◻️の長針 0/300 LR

 能力解放済み……装備ボーナス、能力◻️◻️◻️◻️◻️◻️

 専用効果 ◻️◻️◻️する世界

 

 

 

 視界にあるステータス画面らしき物を弄ってみると、こんな画面が現れた。

 所々読めなくなっている……?

 でも、見た目からして多分これは龍刻の長針で間違いない。

 ステータスは……うん、Lvは1じゃない。

 ええい、考える事が多過ぎるわ!

 

「ま、まずは王様と謁見して頂きたい」

 

 おっと、行かなくちゃだ。

 ここでジッとしてたら不審に思われちゃうから。

 王座に向かうまでの間でも確認は出来る。

 

「……しょうがないな」

「ですね」

 

 クールそうな剣を持った男子と、大人しそうな弓を持った男子が歩いて行く。

 ……まだ、まだ分からないから。

 その後を付いて行く感じで私と盾を持った男子が歩き出した。

 

 石造の廊下を歩き、謁見の間らしき場所へと辿り着いた。

 

 んーと……この後自己紹介タイムがあるんだったかな。

 

「ほう、こやつ等が古の勇者達か」

 

 謁見の間の玉座に腰掛ける爺。

 ……頼む、違うと言ってくれ。

 

「ワシがこの国の王、オルトクレイ=メルロマルク32世だ。勇者共よ顔を上げい」

 

 F◯CK!

 ふざけんなあァァァァァァァァァァァァァァァ!!

 おのれクズめ、人を絶望の底に突き落としやがって……!

 確定してしまったかもしれない……ここがあの小説の世界だって事が。

 

 

 

 盾の勇者の成り上がり。

 私が割と好きだった作品の一つだ。

 直前に私が読もうとしていた漫画でもある。

 夢だと良いんだが、感触が完全に現実のそれなんだ。

 

 web版アニメ版漫画版全て、かなーりシリアスなストーリーなのだが……

 あ、書籍版は私見てないや。

 とにかく、幸いな事に外伝ルートっぽい。

 真かそうじゃないかは不明、と。

 

 それにしても何で愛の狩人じゃなくて私なんだよ……誰だすり替えた馬鹿は。

 私に代わりが務まるとでも?

 くっそ、やりたくねぇ。

 

 詳細は省くが、とにかくこの世界には色々と危険が身近に潜んでいるのだ。

 三勇教とかヒャッハー転生者とかクソ女神とかとか……

 正直、既に吐きそうだよ!

 胃腸あんまり強くないから勘弁して欲しいんだけどなぁ!

 

 ……タクトとかマルティ王女に転生しなかっただけマシだと思おう。

 そうとでも思わなきゃやってられない。

 

 

 

「では勇者達よ。それぞれの名を聞こう」

 

 考え事をしている間に自己紹介タイムか。

 

「俺の名前は天木錬だ。年齢は16歳、高校生だ」

 

 うん、寸分違わず本人だね。

 

 この人は天木錬、厨二病だ。

 後、シングルベルの常習犯でホワイトデーにとんでもないお返しをする男子高校生。

 ……シングルベルはあのルートだけだったかな。

 

「次は僕ですね。僕の名前は川澄樹。年齢は17歳、高校生です」

 

 うん、こっちも一致してる。

 

 この人は川澄樹、正義厨。

 色々と面倒臭いけど、悪い奴ではない……一応。

 あと、音楽が得意だけど自覚はない。

 

 んーと、私も自己紹介しないとか。

 

「私は金森千秋。フリーターの21歳です」

 

 あ、私は一応性別は女性だ。

 容姿が錬以上に中性的だと言う自覚はある。

 胸はまな板だし声も低め。

 恋愛に一切興味のない女子力皆無の喪女。

 

 ……名前も男女で見る名前だし、男に思われてたらどうしようか?

 いや、訂正する必要は感じないし別に良いか。

 愛の狩人が居たらどうせ私も豚に見られるのだろうし。

 

「最後は俺だな、俺の名前は岩谷尚文。年齢は20歳、大学生だ」

 

 出たわね。

 

 小説の本編での主人公、岩谷尚文。

 料理がめっちゃ上手いし、他の家事も一通り出来る。

 鍋の勇者とか飯の勇者とか呼ばれている。

 まだまだ方針は決めてないが、なるべく助けてあげたいな……

 

 後、槍の勇者に北村元康と言う後にとんでもないサイコパスに覚醒する奴も居るんだけど……

 何の因果か彼のポジションに私が収まっている。

 助けて。

 

「ふむ……レンにチアキにイツキか」

「王様、俺を忘れてる」

「おおすまんな。ナオフミ殿」

 

 ここで怒って騒ぐのは勿論却下だ。

 たしかに真相を知っていれば不快になる気持ちも分からなくないけどね。

 この王様を説得するにはあの兄妹を連れて来ないと。

 

 ……ふと思ったけど、ポータルはどうなってるんだろう?

 試しに確認すると空白だった。

 おおう、結構厳しい。

 まあステータスだけは強くてニューゲーム状態だから文句は言えないけど。

 

「では皆の者、己がステータスを確認し、自らを客観視して貰いたい」

 

 とっくにしとるわクズ(本名)。

 頼むから早く覚醒してくれ、フレオンちゃん始動でもいいから!

 いや、そのルートだと何人か胃が悲痛な事になるけど。

 

 この後ステータス魔法とかの話が出たが、私は黙り込んで今後の事について考えていた。

 

 まずお義父さん……間違えた、尚文を庇うかどうかだ。

 下手に庇うと目の敵にされるからね。

 ステータス自体はあるけれど、私には戦いの経験なんてない。

 ましてや殺し合いなんてしたくもない……これは最早覚悟を決めるしかないけど。

 

 錬と樹に赤豚……もといビッチことマインの泥棒現場を見せるのもちょい難しいかもしれない。

 二人が味方になれば心強いけど、今の私じゃ守り切れるかどうか……

 せめてポータルさえ使えれば何とかなるかもしれないけど、生憎無いからね。

 女王を連れて来るのも不可能だ。

 

 ポータルを取る為にこの周回を捨てるか?

 流石にそれはちょっと心が痛む……ぐぬぬ。

 魔法も文字を覚えなきゃ使えないし、私の細かいスペック不足が問題になって来る。

 それでも初期値から放り出されるより百倍マシではあるんだけど。

 

 とにかく、素早く行動してかないと色々と手遅れになるかも。

 後で予定表でも作ろうかな……

 スケジュールを組んでないと回収しないといけないフラグを忘れそうだ。

 

「おい、さっきから黙りこんでるが……ステータスの見方が分からないのか?」

 

 私が考えていると、錬に話しかけられた。

 一原作ファンとしてはちょっと嬉しい気持ちもあるけど……

 

「うん。項目が結構多いから全部目を通そうと集中しちゃって、つい」

 

 ここは適当にそれっぽい事を言って誤魔化そう。

 

「そうか……」

「いや、私ってあんまりこう言ったゲームはやらないからさ。色々と気になっちゃって」

「たしかに、初めてやる時は分からない事もありますが……話は聞いていましたか?」

「勿論だよ」

 

 既に知ってるからね。

 樹はやや怪訝そうにしているけど、特に追求はして来なかった。

 出来れば道化にはしたくないが……

 

「おほん。ワシが仲間を用意しておくとしよう。なにぶん、今日は日も傾いておる。勇者殿、今日はゆっくりと休み、明日旅立つのが良いであろう。明日までに仲間になりそうな逸材を集めておく」

 

 さて、この後勇者同士の話し合いが出来る筈だけど。

 どうしたものか……

 鉄は熱いうちに打てないと面倒な事になるからなぁ。

 まあ、最後の手段を用いればどうにでもなるかな。

 





お年玉的なノリで後数話程投稿します。
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