槍の勇者のすり替わり   作:紙吹雪

2 / 22

やり直しばっか読んでた弊害でヴィッチに喋らせると違和感を覚える。



今後の予定

 

 通された部屋は広くて豪華な部屋だった。

 異世界って感じがヒシヒシと感じる、中世っぽい内装だ。

 

 さて、どう話したものか……

 

「なあ、これってゲームみたいだな」

「この世界はコンシューマーゲームの世界ですよ」

「違うだろ。VRMMOだ」

「え? VRMMOってヴァーチャルリアリティMMO? そんなの未来の話じゃないのか?」

「はぁ!? 何言ってんだお前」

 

 ……本当にどうしよう。

 考えはしてたけど全然纏まっていない。

 このままでは変な奴認定させられる!

 

「千秋、お前はどうなんだ?」

 

 っべ、もう聞かれちゃった!

 やばいやばい、なんて答えるか……

 ええい、なるようになれ!

 

「えっと、似たような小説があるよ」

 

 ……ど、どうだろう?

 

「小説?」

「どんなのだよ」

「えっと、異世界に勇者が召喚されて……みたいな王道なやつだよ」

 

 本当の内容は全然そんな事ないんだけど。

 寧ろアンチレベルだった。

 

「ふーん、タイトルは?」

 

 ……馬鹿正直に「盾の勇者の成り上がり」と答えるのは不味そう。

 ここは英語版のタイトルを少々お借りしよう。

 

「『ライジングヒーロー』ってタイトル。アニメは3期まで放映されてたよ」

「知らないな」

「知りませんね」

「ごめん、知らない……」

 

 逆に知ってたら怖えよ。

 

 ……一応納得はしてくれたし、無事にやり過ごせたみたいだ。

 ここで怪しまれると後に響いて来そうだからね……

 しかし、咄嗟に小説と言ってしまったけど、案外悪くないのでは?

 

 色々と頭の中で思案していると、この世界に来た理由の話になっていた。

 これはどう答えるか……

 うん、ありのまま答えるか。

 

「家で漫画を読もうとしたら、急に眠気が襲って来て……気付いたらって感じ」

「なんか理由が薄くないか?」

「えっと、俺は図書館で不意に見覚えの無い本を読んでいて気が付いたらって感じだ」

 

 そして、尚文と私を冷たく見る錬と樹……

 悪かったな、不幸な身の上じゃなくて。

 今私はどちらかと言うと不幸だけどな!

 そして尚文この後不幸な目に遭うのが確定しているんだねこれが。

 

「二人の話を聞いて考えると、尚文の居た図書館に災害かテロでもあったとか?」

「うわ……二人の話を聞いてるとあり得るから怖いな……」

「じゃあ千秋、お前は?」

「実は、目を閉じる前に誰かの声が聞こえた気がするんだ。もしかしたら、強盗殺人に遭ったのかもね」

 

 本当、なんでなんだか。

 あの聞き覚えのある声がアイツなら……

 考えても答えは出ないし、保留にしとこう。

 

「じゃあみんな、この世界のルールっていうかシステムは割と熟知してるのか?」

「ああ」

「ええ、攻略サイトを見なくても良い程度には」

「うん」

 

「な、なあ。これからこの世界で戦うために色々教えてくれないか? 俺の世界には似たゲームは無かったんだよ」

 

 よし、ここなら好き勝手言えるぞ。

 

「私の読んでた小説だと、盾職は守る事に関しては最強だったよ。攻撃力は皆無だけど」

「そうなのか? 俺の知るブレイブスターオンラインだと死に職だが……」

「ゲーム毎……の違いでは無いですか? 僕の知るディメンションウェーブだと弱職でしたけど、盾自体が役に立たない訳ではないです」

「どっちなんだろうな?」

「出来れば防御だけでも最強の一角の方でお願いしたい!」

 

 安心しろ、マジで硬いから。

 その代わり攻撃力は終わってるけど。

 

 ええと、たしかこの後はっと。

 

「地形とかどう?」

「名前こそ違うが殆ど変わらない。これなら効率の良い魔物の分布も同じである可能性が高いな」

「武器ごとの狩場が多少異なるので同じ場所には行かないようにしましょう」

 

 うんうん、こんな感じだった筈。

 

 あ、尚文が輪の外に居る。

 悲しいなぁ……

 誘おうか迷っていると……

 

「勇者様、お食事の用意が出来ました」

 

 もうそんな時間になったのか。

 時間が経つのは思ったよりも早い。

 

 その後、食堂に通されて夕食を摂る。

 読んでる時はあんまり意識した事なかったけど、不思議な味だった。

 まあ、私の舌は全然肥えてない。

 普段からカップラーメンとかばっかり食べてるからね。

 

 なお、愛の狩人に殺されたくないのでフィロリアルらしき肉には手を付けないでおいた。

 最悪の場合、食べた瞬間背後から貫かれてバーストランスされても不思議ではない。

 槍は私の手元にあるけど、それでも不安だった。

 

 食べ終えた後、すぐに皆就寝する事になった。

 まあ、私がそれとなく言ったんだけどね。

 眠かったし。

 

 しかし……男三人と同室かぁ。

 まあ、この様子だと私の性別に気付いてなさそうだし……いっか。

 私からしても特に気にならないし。

 さて、寝ながらこれからの予定を考えようか。

 

 まず、尚文を助けるか。

 これは……非常に申し訳ないけど助けない方針で行こうと思う。

 申し訳ないけど、ある事を確かめる為には仕方がない。

 

 槍の勇者……愛の狩人こと北村元康が死の淵で願ったのは、フィーロに会いたい。

 その目的でこの世界が存在するのなら、フィーロに会えば私もこの世界から脱出出来るのかもしれない。

 一応、冤罪から助けてもフィーロに会うだけなら可能ではあると思う。

 真槍でやってた気がするし……そもそも、この世界が真槍軸の可能性もあるけど。

 

 でも……正直かなり迂遠な方法だし、手間がかかる。

 不確定要素……私の存在もあるし、なるべく確実な方法を取りたい。

 後、個人的に成長後のラフタリアが好きってのもちょっとある。

 ううん、そんな理由で尚文を見捨てるのはかなり心が痛むが……

 

 ……そう言えば、ラフタリアって今何処に居るんだったっけ。

 ええとたしか、どっかの貴族の屋敷に……あっ!?

 

 そうだ、リファナちゃん!

 彼女は一週間以内に助けないと死んじゃうんだった。

 アニメだと名前出てたね、あのクソ貴族……

 名前はうろ覚えだけど、助けに行きたいね。

 

 あれ、よく考えたらポータルないからすぐに行けなくね?

 ……走って行けば案外間に合ったりしないだろうか。

 仮に行けるとしても……ううむ。

 

 やはりポータルを早めに確保したいね。

 

 なんて考えてる内に私は眠りに付いた。

 フィロリアルに囲まれて寝るのもちょっと興味はあるけど、別の機会で良いだろう。

 いつか一度でいいからやってみたいんだよねアレ。

 

 

 

 そして翌日。

 私達四人集まり、再び謁見の間に通される。

 

「勇者様のご来場」

 

 わぁ、何だかわくわくする光景だなぁ。

 これからの冒険に胸が躍るなぁ。

 ……この後の展開を知らなかったらの話だけどな!

 

「前日の件で勇者の同行者として共に進もうという者を募った。どうやら皆の者も、同行したい勇者が居るようじゃ」

 

 ……この十二人、最後まで生き残ったのって居ないよね。

 ルートによっては錬の仲間はマシな方だけど。

 ええと、この中で知ってるのは……あ、燻製だ。

 ご存知クソヴィッチの赤豚ことマルティ……冒険者としての名前はマインだったね。

 怠け豚ことエレナは〜……ああ、この場には居ないんだっけ。

 

「さあ、未来の英雄達よ。仕えたい勇者と共に旅立つのだ」

 

 尚文達三人は若干驚いた顔をしている。

 まあ、そりゃそうだよね。

 気になる結果だが……

 

 錬、五人。

 私、四人。

 樹、三人。

 尚文、〇人。

 

 うん、これは良い。

 尚文〇人は分かってた事だし。

 それよりも……お前は元康じゃなくてもこっちに来るのか!?

 私全然イケメンじゃないだろいい加減にしろ!

 

 私の方に来た四人の中に……マルティ王女が居た。

 よそに行けや疫病神のクソビッチ!

 いや、よそに行っても迷惑かけるんだから駄目か畜生!

 つーか、私に来た奴ら全員女なのは何でだよ。

 歴史の修正力なのか?

 

「つーか錬! お前5人も居るなら分けてくれよ」

 

 錬の仲間になりたい奴等は錬の後ろに隠れた。

 そんなに嫌かね君達……ああ、盾だからか。

 

「俺はつるむのが嫌いなんだ。付いてこれない奴は置いていくぞ」

 

 全然動く気配はない。

 まあ、国教だもんね……下手に逆らったら何されるか分からないんだし。

 

「千秋、どう思うよ! これって酷くないか」

 

 おっと、私に来た。

 

「偏るとは……何とも」

 

 それっぽい態度の演技をして誤魔化しておこう。

 幸い、演技にはそれなりに自信がある。

 高校時代はダンス部と演劇部を掛け持ちしてたからね。

 勿論、本職の女優に比べたら薄っぺらい演技だけど。

 

「無理やり人員を割いても士気に関わりますし……」

「だからって、俺は一人で旅立てってか!?」

 

 と、言った所でマルティが尚文に手を挙げながら近付いた。

 ふぅ、よそに行ってくれた。

 謎の安堵感があるが、この後に起きる事を考えると全く安心出来ない。

 

 ……あ、豚語じゃない。

 何か新鮮な気分だ。

 

「他にナオフミ殿の下に行っても良い者はおらんのか?」

 

 辺りが静かになる。

 まあ、八百長だから当たり前だけど。

 クズは溜息をして尚文に視線を向ける。

 こうして見ると、元康も言っていたけどかなり白々しいな。

 演技臭さもかなり感じるし……

 

「しょうがあるまい。ナオフミ殿はこれから自身で気に入った仲間をスカウトして人員を補充せよ、月々の援助金を配布するが代価として他の勇者よりも今回の援助金を増やすとしよう」

「は、はい!」

 

 兵士から金袋を受け取った……が。

 

 この金で何を買うべきかな。

 ……フィロリアルでいいかなもう。

 実は昨日から色々考え過ぎてあまり眠れてない。

 

 ……取り敢えず、リファナちゃんを助けに行きたい。

 その為にかかる時間をとっととハッキリさせたいところ。

 付いてきている三名の仲間は無視して行動するとしますか。

 パーティーに入れてないからクローキングランスで撒ける筈。

 

 国の付けた監視みたいなものだし、特に罪悪感はない。

 

 城から出て、錬に見習って一言も声をかけずにクールを装う。

 そして曲がり角に入った所で……サッと。

 

 よし、成功した。

 

「ど、何処に行った!?」

「消えた……?」

 

 あ、豚語じゃない……って、これはさっきも言ったね。

 さて、テキパキと行動しよう。

 

 まず、リファナちゃんとラフタリア、ついでにキールの居る街についてだ。

 これに関しては不明だけど……知る人は知っている筈だ。

 たしか、あの元康によくぶち殺されてる貴族の名前は〜……なんだっけ?

 

 優男の貴族は覚えてる。

 ヴァン=ライヒノットだっけか。

 web版とアニメ版の設定の差異が気になってwikiとか読んでたから奇跡的に覚えてた。

 

 たしか、あの人の隣町の貴族がラフタリア達を虐待してた筈だ。

 そいつと繋がりがあるであろう人間……

 一人、心当たりがあるね?

 

 よし、早速向かおう。

 

 いずれ、尚文が訪れる事になる……奴隷商人の元へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……あ、やべ。

 場所分からないや。

 どうしよ、人に聞こうかな?

 ううん、流石に道端で奴隷を扱っている店を聞き回るのは避けたい。

 仕方ない、気合いで探すか……

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。