槍の勇者のすり替わり   作:紙吹雪

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お義父さん!せめて異世界カルテットの方で俺の出番はないのですかな!?
本編で名前が忘れられている騎士だって出ていたのですから俺もきっと出れますぞー!

……とか思ってたら本当に元康出て来てて草ァ!
多分槍直しを経てないからか、ややマイルド(?)でしたね!
これからの活躍(あるかは知らんけど)に期待ですね!




訪問者

 

 

 メルティ王女と尚文を無事匿った翌朝。

 私は日課のフィロリアルの世話をしていた。

 クロちゃんにフレオンちゃん、ルナちゃんだね。

 たった三匹とは言え結構これが大変だ。

 多分フィーロ程じゃないけど、食費とか色々ね……

 まあ、食べている姿は見てて癒されるから良しとしているけども。

 

「はーい、ご飯だよ〜」

 

 今日の朝ご飯はそこら辺の魔物を狩って入手した肉だ。

 と言うか毎日大体こんな感じである。

 残念ながら私は尚文は勿論元康レベルの料理もできない。

 

 や、尚文が凄過ぎるだけで元康もかなり上手い方なんだろうけどね?

 因みに私は裁縫もできないのでクロちゃん達の服は他人任せである。

 ……デザインは記憶の限り指定したけど。

 

 とにかく、私に料理はできないって事だ。

 日本で暮らしてた頃に作っていたのは精々チャーハンとかパスタくらいだ。

 これでも高校生である錬や樹よりかはきっとマシではある。

 一応私、年齢的には元康と同い年くらいだろうし……

 

「ところでチアキさん、いつになったら私はイツキさんと話が出来るんですか!?」

「あ、あ〜……うん、もう本当に後ちょっとだよ。なるべくすぐ機会を設けるから!」

「う〜、分かりました……」

 

 ……すまん樹。

 私は落ち込んでるフレオンちゃんをこれ以上見たくない。

 よってお前には犠牲になってもらう。

 可哀想かもしれないけどこれはもう決定事項だ。

 

 この後は私自身の朝食だ。

 尚文達も既に起きていたのか、既に席に座っていた。

 メルティ王女も勿論起きていた。

 フィーロだけはまだ眠そうに目を擦っていたけど。

 

「おはよ、尚文」

「ああ。お前はもっと早くから起きてたみたいだが何をしてたんだ?」

「フィロリアル達のご飯をあげに行ってただけだよ」

「……お前も苦労してるんだな」

 

 私が持っていたアホみたいにデカい皿を見て尚文はそう言った。

 たしかに全く苦労してないと言えば嘘になるけど……これでもまだ楽な方じゃないかな。

 少なくとも本編の尚文よりかは。

 

「ええと、私の実力を確かめるんだったよね。朝食の後すぐにやるかい?」

「とっとと済ませたいからな。そうさせて貰えると助かるな」

「じゃ、それで行こう。ついでに勝ったら昼食は君の料理が食べたいな」

「……はぁ」

 

 折角すぐ側に料理の天才がいるんだから味わってみたい。

 しかし、尚文は面倒臭そうな様子で返答を濁してしまった。

 ……そんなに面倒なの?

 原作で色んな人に屋台やれよって言われてた癖に。

 

 そう言えば、メルティ王女の精神面はどうかな?

 と思ったこっそり顔色を窺ってみたけど大丈夫そうだった。

 フィーロの口元を拭いていたりと、普段通りの様子だった。

 ……この光景を見たら元康が嫉妬しそうだ。

 

「そう言えば、会わせたい奴が居るとか言っていたな。そっちを優先させなくていいのか?」

「んー、約一名程急ぎの方はいらっしゃるけど……まあ大丈夫じゃないかな」

 

 フィトリアは四聖勇者が協力しないなら殺すって言うけれど……

 まあ、本編ならともかくこの時間軸の世界だとそうでもない。

 私と尚文が頑張れば二人でも一応何とかはなるだろうし。

 

「そいつは何者なんだ?」

「フィロリアルの女王だよ」

「え、それって本当!?」

 

 あ、メルティ王女が食い付いた。

 

「知ってるのか?」

「ええ、伝説のフィロリアルの女王の事なら……」

「まさにその人の事だよ。そんなに怖い人……人ではないけど、とにかくまあ大丈夫だよ多分」

「妙に不安なんだが……」

 

 ええい、フラグみたいに言うな尚文!

 

 

 

⬛︎ ⬛︎ ⬛︎

 

 

 

「……で、何か言いたい事はあるか?」

「いやいや、私が悪いのかこれは!?」

 

 腕試しの為に屋敷の外に出たら、野生のフィロリアル達が並んで待ち受けていた。

 列の奥側からは三本アホ毛のフィロリアルが歩いて来る……

 これは間違いないね、うん。

 

「紹介するね尚文。此方は伝説のフィロリアルことフィロリアルクイーンのフィトリアだよ」

「さっきは後でするって言っただろうが」

「あ、後で何かしらお詫びはするから……!」

「……まあ、いいだろう。わざとではないのは分かったからな」

 

 若干尚文の機嫌が悪くなった気がするけど……取り敢えずセーフかな。

 と言うか来るなら早く連絡寄越せよフィトリア!

 前々からフィロリアル達と接触していたのは知っていたけど、まさかこうなるとは思ってなかったよ!

 

 ……容姿と声が可愛いから許すけど。

 

「貴方が盾の勇者?」

「ああ、そうだ」

「私は槍の勇者だよ。会うのがちょっと遅れちゃってごめんね」

「別に気にしていない」

 

 フィトリアは若干不機嫌と言うか、言いたい事がありそうな顔をしていた。

 ……後でこっちもご機嫌取るか。

 尚文がご飯作れば一発だけどね。

 

 あ、言うまでもないけどメルティ王女は目を輝かせていたよ。

 実は割と適当な性格なのを知らなければ、実際のところ本当に神々しく見えるもんね。

 ……彼女の出自とか追い出すとネタバレがあるけど言わなきゃバレないか。

 別に知らなくてもどうにでもなる話だし。

 

 そんでもって。

 

 尚文とフィトリアの会話が進んだ結果、フィーロ達と手合わせをする事になった。

 どちらかと言うと本編よりも槍直しに似た展開である。

 聖域に招待されてないし……ちょっと行ってみたかったから残念かも。

 まあ、それを除けば別に悪い事じゃないでしょ。

 

 結果は省略。

 勿論フィトリアが勝った……まあ、そこそこ食らい付けたとは思うけどね。

 フィトリアを超えるには大分鍛え方が足りないし、そもそも彼女は一応勇者なんだよね。

 いちいち指摘したりはしないけど。

 

 無事に皆にアホ毛が付いた。

 嫌がってたのはフィーロだけで、他は全員普通に受け入れていた。

 やっぱり、フィーロだけ精神年齢が……いや、よそう。

 

「空を飛ぶフィロリアル……絶滅したと思ってた」

「フィーロもとびたーい」

 

 ……あー、遺伝子操作的なスキルで飛べるようになるんだったかな。

 余裕が出来たらやってあげようかなと思ったけど、尚文に押し付ければいいか。

 特に変な事件が起こったりはしなくて良かった……

 

 

 

 と、私は油断していた。

 

 

 

「しかし、恐ろしく強いなフィトリアは」

「そうでもない。思ってたよりも苦戦した」

 

 私は強くてニューゲーム状態だからね。

 育成の手際に関しては元康に劣るだろうけど、パワーレベリングもしたからなぁ。

 例の台詞を言いながら本気で戦うのは……まだ、私にはちょっと難しいかも。

 でも真似くらいなら今でも出来ると思う。

 

「さてと。フィトリアはこれで用事は済んだかな?」

 

 私がそう聞くと、フィトリアはふるふると首を振った。

 ……ふむ?

 

「あれ、私に何か用事でもあったの?」

「……その槍」

「へ?」

 

 おかしいな、龍刻の槍にはしてないんだけど……

 そう思って手にしている槍に視線を向けると。

 

「……おい、千秋。お前の持っているその卑猥な槍はなんだ!?」

「ちょ、ええぇぇぇぇ!?」

 

 私の手には男のアレに見える穂先の槍が握られていた。

 ハイどう見てもラストエンヴィースピアだこれ!?

 穂先は握ってないからいいとして、こんな物持ちたくないんですけど!?

 と言うかいつの間に!?

 

「ええい、フンっ!」

 

 私は咄嗟に槍を思い切り地面に突き立てる。

 すると、穂先がビクンっとしたと思ったら……普段使っている槍に変わっていた。

 と、取り敢えず何とかなったのかな?

 

「……それはあまり使わないで欲しい」

「誰が使うかこんなもん!」

 

 ああもう、滅茶苦茶だよ。

 尚文は顔を引き攣らせているし、ラフタリアとメルティ王女は顔を赤くしているし……

 フィーロ達フィロリアルは全員普段通りの様子だった。

 フィトリアも平然としているが……いや、これ以上はやめよう。

 

 多分、これはフィーロだけでなくフィトリアも色欲のカースが反応するようだ。

 最早元康の呪いでしょこれ……下手に会話も出来ない。

 もし気付くのに遅れていたら多分フィトリアの貞操が……

 

「……!!?」

「ど、どうした?」

「な、何かとてつもない悪寒がして」

 

 元康は槍に込めた色欲だけでもとてつもない影響力を持つらしい。

 ……なんかもう、この槍を手放したくなって来た。

 試しに槍を突き立てて離れてみるけど、当然槍は私の手元に戻って来る。

 付き合うしかないのか……はぁ。

 

「七つの大罪シリーズの武器は強力だけど、代償が大きいのは知ってる。絶対に使わないよ。尚文もそうだよね?」

「七つの大罪、ね。憤怒以外にもあるのか……まあ、気には留めておく」

 

 ……そう言えば親ガエリオンを生存させてるから憤怒の盾は完全に解放されてないんだっけ。

 まあ尚文のメンタルが安定していれば発露には至らないかな。

 使わざるを得ないような状況にならないように一応注意しよう。

 他に方法が無くてどうしようもなかったら尚文は無茶しかねないし。

 

 フィトリアは帰って行く。

 馬車に入って一瞬で消える感じだね。

 タネを明かせば単にポータルスキルを使ってるだけである。

 

「それじゃ、今度こそ模擬戦をしようか……と言いたかったんだけど」

 

 私はフィーロをチラッと見る。

 また槍のカースが反応しないように本当にチラッとだけ見た。

 フィーロはフィトリアとの戦闘でかなり疲れたように感じられた。

 それは他のフィロリアルも同様だけど。

 

「フィーロが元気になるまでは少し待とうか」

「待て、俺とお前で一騎打ちするんじゃないのか?」

「そんな樹じゃあるまいし……」

 

 確かに尚文達には強化方法を全部伝えているので原作のこの時期よりも遥かに強い。

 でも、それはあくまで促成栽培。

 これでもサディナにみっちり扱かれた私の方が技術面でも上だ。

 

 ……エッチな意味に捉えた阿呆はバーストランスの刑。

 

 今の私は技術面では元康に大きく劣っている。

 だけどステータス面では元康と殆ど同じだ。

 寧ろ違う点があるのか分からないけど。

 

 とにかく、私と尚文達との間にはどうしようもないレベル差があると言う事だ。

 フィーロによるパワーレベリングを持ってしても決して追い付かない程の差が、ね。

 余程油断しなければ負ける事はないんじゃないかな。

 

「あまり私を見くびらないでね、尚文。これでも、能力的には一応槍の勇者なんだよ?」

「……後悔するなよ、その発言」

 

 






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