オティヌス「誰ぇ……」
※インデックスとオティヌスほぼ出てきません
とある読んだの何年も前何で口調違うかも知らんが、あしからず。
冬。寒い事この上なく、暖房を付けるか布団を被るかしないと、夜は安眠が保障されないような死の季節。そんな中で、苦学生・上条当麻は四苦八苦していた……家計の、使い方で。
「うぅ……毛布が欲しい……」
同居人は3名。その内1人は15cmとめっちゃ小さいので食事の量はかなり少なくて良いのだが、残りの1人が大分食い意地が張っている。そしてこのヒロインがベッドで寝ているので、彼は風呂場で寝ている。流石に分厚い毛布が欲しい。
そして、この2人が中々厄介な出自だ。1人目:インデックス、『必要悪の教会』の見習いシスター。完全記憶能力持ちであり、10万強もの魔術書を記憶している。そしてもう1人がオティヌス。元々は世界そのものを捻じ曲げられる『魔神』であったが、紆余曲折あって小人程度にまで小さくなって、ここに住む事になった。
「はぁ……壁の修繕費、高かったなぁ……」
ようやく壁がブルーシートからガラスに変わった事を実感しつつ、自身の運の無さに溜め息をつく。
「うぅ……振り込みまであと4日……残金1793円……1日400円ちょっとしか……」
「飯を食うでごわす!!!」
「誰えぇぇ!!?」
無惨に蹴り破られた玄関から、緑色の着物を着た……力士みたいな大巨漢が、おひつをもってずんずんと部屋の中に入ってくる。
「飯を食うでごわす!!!」
「ちょ、おい待てよ!!」
オティヌスは小屋から顔を覗かせ、心配そうな面持ちで騒ぎを見つめており、インデックスはこの騒ぎでも起きない。寝る子は育つと言うが、寝過ぎである。
そして巨漢は冷蔵庫を開けた。
「あっおい!!」
「飯を……!?」
空っぽである。苦学生の彼には宵越しの食糧は持っていなかった。と言うかこれから夕食の支度で買い物に出る予定だったのだ。
そして、その惨状を見た巨漢はわなわなと震えて……
「飯を作るでごわす!!!」
おひつを置いて、何処かへと走って行った。
「な、何だったんだ……」
おひつを覗く当麻。中には湯気とツヤを見せ付けた、炊き立ての上等な米が。何故そう感じたかは分からないが、魚沼産コシヒカリだろう。何なんだよ頭に枝豆はっつけたずんだの妖精のクセして薩摩弁喋りながら米をかっ喰らうこいつは……各地のご当地情報が芋を洗うかの如く溢れ出てくるぞ。こいつ多分さつまいも食べないけど。
「飯を作るでごわす!!!」
「何だよもおおお!!またかよおおおお!!!」
巨漢が戻ってきた。スーパーの買い物袋を携えて。
「飯を作るでごわす!!!」
そして台所に入っていった。因みに制止する際に右手で巨漢を触ったが、
そして……
「飯を食うでごわす!!!」
「すっげ……」
豪快なちゃんこ鍋が出来上がった。白菜、人参、肉団子にキノコ。鱈まで入っている。
「飯を食うでごわす!!!」
そして米をおひつから人数分よそう巨漢。インデックスは鍋の匂いに釣られて起きた。オティヌスの小さい茶碗にも動揺せずに米をよそうあたり、魔術に関係している、高位の人間だと思うが……*1
「飯を食うでごわす!!!」
ぐつぐつと煮られた、香ばしいつゆの香りを漂わせるそれの誘惑に負け、箸を伸ばす。
「……うまい。」
「飯を食うでごわす!!!」
暖房のない部屋で冷え切った身体が、内側から、芯から温まっていく。白菜と人参はくたくたとまでいかず、歯ごたえが残る程度に。肉団子はしっかりとつゆが染みわたり、優しい旨味が舌の上で広がっていく。ポン酢にはご丁寧に柚子が絞られ、酸味が野菜の甘味を引き立たせる。米も最高だ。噛めば噛むほど出てくる甘味、程よい粘り気。炊かれてから時間がやや経っているというのに、この美味しさだ。そして鍋との相性。どれをとっても良い……
気が付けば、鍋の中身は完全になくなっていた。
「「「ごちそうさまでした!」」」
「もっと飯を食うでごわす!!!」
豪快に笑いながらリビングから出ていく巨漢。おひつの中身はインデックスとあの巨漢が8割方食べていたか。ともかく嵐の様な奴だった……
「本当になんだったんだろ、あれ……ま、夕食代浮いたし、良しと……あっ。」
そう言えばと思い出して立ち上がった。そして、無惨にも蹴り砕かれた玄関を見て、当麻はいつもの如く叫んだ。
「不幸だあああああぁぁぁぁぁ!!!!!!」