BLUE ARCHIVE THE UNSUNG STUDENTS WAR   作:神宮寺志狼

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#2 5日目 開戦──Open War

 

 

数日が経った頃。

 

 

 

 

「また余計な物買って!!!」

 

 

 

 

「"だって今月限定────"」

 

 

 

「そ・れ・な・ん・ど聞いたと思ってるんですかっ!?」

 

 

私はユウカにキレられていた。

 

 

 

ベルカ戦争の情報を追う宛がなかった私はあえてモモイ達を止めようとしたユウカに当番をお願いした。

 

 

その結果、墓穴を掘っている。

 

 

 

「あのですね!?先生!貴方が使えるお金が月どれくらいなのか、それを説明するのはこれで8回目です!」

 

「"え、わざわざ数えてたの?"」

 

私が茶化すとユウカは私の机を書類の束で思い切り叩いた。

 

 

 

〈バァァァンッ!!ガシャガシャン.....〉

 

机の上から色々な備品が落ちていく。

 

「せ・ん・せ・い....??」

 

ニコニコしながら詰め寄ってくるユウカ。

 

「"ゴメンナサイ。"」

 

 

 

〈プルルルルルル!プルルルルルル!〉

 

 

そして机の上から落ちた端末が鳴り出した。

 

『先生!!』

『先生!!!その電話に早く出てください!!!』

 

プラナとアロナの叫び声が聞こえる。

 

 

「先生!!話は終わってないですよ!!」

 

「"待って、ユウカ、後でしっかり聞くから!"」

 

プラナとアロナの焦りようは相当だ。

 

私は電話に出た。

 

 

 

「"もしもし!"」

 

 

『お疲れ様です。先生。』

 

 

相手は連邦生徒会長代理である七神リンだった。

 

 

「"あれ、リンちゃん?どうしたの?"」

 

『.....ふざけている場合ではありません。

 

テレビ、付けてください。』

 

 

 

私はリンの言う通りにテレビをつける。

 

 

『えー!!!こちらクロノススクール報道部ですッ!!

 

今、私たちはゲヘナとトリニティの境界付近からお送りしております!!

 

ご覧下さい!!

 

先程のトリニティ総合学園からの宣戦布告と共に始まったゲヘナ学園自治区に対する攻撃です!!』

 

 

「"..........え?"」

「...え?」

 

 

私とユウカが驚いたのは同時だった。

 

今、報道している生徒は何と言ったのか。

 

 

 

「先生、今、『トリニティがゲヘナに宣戦布告した』ってテレビから聞こえたんですけど。」

 

「"聞き間違い.....には出来ないよね。"」

 

 

それを物語っているのが、彼女達報道部がカメラに収めている戦闘行為だった。

 

トリニティのティーパーティーの生徒とゲヘナの中枢、万魔殿(パンデモニウムソサエティ)の制服を着た生徒が撃ち合いをしている。

 

 

『ご覧になったようですね。』

 

淡々と電話向こうから話すリン。

 

 

「"リン、何が起こっているの?"」

 

 

『.....やはり先生もご存知ありませんでしたか。

先生、ゲヘナ学園とトリニティ総合学園間の本格的な戦争が始まりました。

 

先程、ティーパーティー代表の署名を持ったティーパーティー役員生徒がこちらに来まして、戦闘行為の宣言をしたのです。』

 

 

「"ナギサとセイアの!?"」

 

 

そんな馬鹿な。

 

 

『......確かにトリニティとゲヘナの友好関係が最悪なのは周知の事実でしたが、まさかこんな簡単に戦争が始まるとは思っても見ませんでした。』

 

 

「".......ごめん、リン。電話をかけなきゃいけない場所がある。"」

 

 

『わかりました。

 

 

先生、こちらでも状況があまり掴めていません。

 

何か分かったら私の方にも連絡をください。

 

 

それと、お気をつけて。』

 

 

そうして私はリンとの電話を切った。

 

 

「"ごめん、ユウカ。説教は後回しでお願い。" 」

 

私の言葉を聞いたユウカは溜息をついた。

 

 

「.....わかってますよ、いくら何でも先生がお説教から逃げるためにフェイク動画をテレビで流すような人だとは思っていませんから。」

 

彼女なりのジョークなのだろうか。

彼女は1呼吸置いて告げる。

 

 

「私の方でも色々と調べて見ます.......え、まって、これ株価が!!」

 

真面目だった彼女は顔を青くして帰りの支度をした。

 

 

「し、失礼しました!!先生、何かあれば連絡くださいね!!!

 

間違っても1人で動かないでくださいね!」

 

「"うん、ユウカも気をつけてね"」

 

彼女は部屋から出ていった。

 

 

─────────────────────────

 

 

『おかけになった電話は───』

 

 

こんな事態だ。

 

当たり前の様にナギサとヒナに電話が繋がらない。

 

 

ヒフミやハナコ、補習授業部全員も。

 

 

電話はおろかMomotalkに既読すらつかない。

 

 

「"ダメだ。アロナ、プラナ。"」

 

 

『はい!先生!!!』『....何をしますか?』

2人が待ってましたと言わんばかりの返事をする。

 

 

かく言う2人も、たまたまテレビの情報を仕入れただけな為、何も知らないらしい。

 

「"ネットの海からでいいから情報が欲しい。

 

噂でもいい。"」

 

『わかりました!』

 

『....お任せ下さい。』

 

 

 

 

〈プルルルルルル!〉

 

そして、電話が鳴った。

 

 

「"もしもし"」

 

私は相手も見ずに電話に出る。

 

『あ!!先生には繋がりました!!』

 

 

 

電話相手はアヤネだった。

 

 

『先生!!聞こえる!?』

 

聞こえるのはアヤネだけではない。

 

 

 

〈ダダダダダダッ!!〉

 

〈バリバリバリバリッ!!〉

 

銃声だ。

 

 

「"どうしたの?!アヤネ!"」

 

 

私の質問には答えず、聞いてくる。

 

 

『ヒフミさんと、連絡つきますか!?』

 

 

「"ううん、ダメだ。"」

 

 

『やっぱり.....!ティーパーティーのホストの生徒とは?』

 

「"ナギサもダメなんだ、それよりどこにいるの!?"」

 

 

アヤネは私の質問に答えない。

 

 

『やっぱりおかしいです!!!ホシノ先輩!!退きましょう!!!』

 

 

『....そうだね!!みんな逃げるよ!!』

 

 

〈バァァン!!!〉

 

『先生!!後でかけ直します!!!』

 

 

そうして電話は途切れた。

 

 

 

「"皆......"」

 

 

 

『先生!!見つけました!!』

 

アロナが私を呼ぶ。

 

『 ....モニターに出します。』

 

「"これって......"」

 

画面に映し出されたのは私が投稿した掲示板だった。

 

 

 

 

『円卓の鬼神がトリニティで襲撃を受けたんだって!!』

 

 

『え?マジ?』

 

スレッドにはコメントが書かれている。

 

 

 

『嘘だね。

円卓の鬼神はそんな簡単にやられない。』

 

 

『それがよ、どうもベルカ戦争で重症でトリニティに搬送されたらしい。

 

 

しかもエデン条約調停式の時は病院が爆心地の近くだったらしいんだわw』

 

『流石の鬼神様も手も足も出ねぇわなw』

 

 

『んでよ、シスター フッドが保護してたらしいんだが、4人組の生徒に襲撃されて死んだらしいぜ。』

 

 

『誰だよその4人組。』

 

『噂によると調停式襲った奴らと同一犯だと。』

 

 

『あー、「アリウススクワッド」だっけ?酷いことするよね。』

 

 

『今はゲヘナが匿ってるらしいよ~。』

 

 

 

「"サオリが ......?!"」

 

 

『先生、これは単なる噂です。

 

正確な情報ではありません。』

 

 

プラナに指摘され深呼吸をした。

 

 

 

掲示板の書き込みはどんどん増えていく。

 

 

『これさ、この掲示板の主、犯人じゃね?』

 

『マ?』

 

『だってアリウススクワッドのリーダーが何度もシャーレの事務所入っていくの見たし。

 

有り得る有り得る。

 

あ、それとも先生本人が───』

 

 

 

私は掲示板で情報収集をしようとした事を後悔した。

 

 

私がどうこう言われるのは別に構わない。

 

しかし、サオリ達の罪状、いや冤罪が増えてしまった。

 

 

 

 

私は掲示板を消した。

 

逆効果であると分かっていても、これ以上ある事ないこと吹聴される生徒がいる、それが耐えられなかった

 

 

 

 

『先生!!気にしたら負けです!!』

 

アロナが私を元気づけようと慰めの言葉をかけてくれた。

 

 

「"ありがとう。"」

 

 

しかし、現状どうしようもない。

 

 

 

 

連邦生徒会も情報を持っておらず。

 

トリニティとゲヘナには連絡が付かず。

 

対策委員会の子達は何かを知っていそうだったが、立て込んでいてそれどころでは無い。

 

この分では───

 

 

 

『はい....お役に立てず、申し訳ありません。』

 

 

ヴェリタス───ヒマリ達も、情報を持っていなかった。

 

 

「"仕方ないよ、トリニティからの情報は止まってるんでしょ?

 

情報得ようとしても何も手に入らない訳だよ。"」

 

 

『動いてさえすれば.....いえ、たらればのお話はナンセンスですね。』

 

 

 

 

ミレニアムにも、何も情報がなかった。

 

 

その日、私は動く事が、出来なかった。

 

ただひたすら困惑と、何も出来なかった無力さに悩む自分だけがそこにいた。

 

 

 

 

 

 

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