BLUE ARCHIVE THE UNSUNG STUDENTS WAR   作:神宮寺志狼

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#5 8日目 歪な解釈──Distorted History

私達はトリニティ郊外を南下してアビドス自治区の境界線上を車で走っている。

 

状況偵察のために向かうその地方。

吹き付ける砂が服の下に入り、体にまとわりつく。

 

だがここはまだマシだと隊長のエイリカ(BLAZE)は言う....。

 

ここより更に東には、とある理由で閉ざされた元ベルカ自治区の跡地があるらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1年前、戦争があった。

 

 

 

いや、戦争ならばはるかな昔から何度となくあっただろう。

 

 

 

 

 

 

ベルカ軍事学園。

 

 

彼女達はそびえ立つ山々に囲まれた土地を出て、自らの自治区と生徒を増やすため侵攻を繰り返した。

 

 

 

自治区の狭い彼女達ではあったが、強者と荒くれ者の多い彼女達の学園は、他校の自治区を占領し、次第にはキヴォトスの学園を束ねる連邦生徒会があるD.U地区へと手を伸ばす。

 

 

 

 

しかし、不幸な事に(・・・・・)、彼女達は時代が変わったことに気づけなかった(・・・・・・・)

 

 

手を取り合い、助け合う(・・・・)ことが出来る事を彼女達は知らなかった(・・・・・・)

 

 

トリニティ総合学園。

 

ゲヘナ学園。

 

ミレニアムサイエンススクール。

 

レッドウィンター連邦学園。

 

ウスティオ傭兵育成学校。

 

そして、アビドス高等学校と連邦生徒会。

 

 

連邦生徒会長の要請により7地区が手を取り合い、

対ベルカ学園連合軍を結成。

 

 

 

そうして、起こったのが、1年前の『ベルカ戦争』。

 

 

連合軍の奮戦の結果、彼女達は猛々しく戦い、惨敗した。

 

 

終戦際に、自分の自治区を取り囲むように自治区内で大型爆弾を使った彼女達

 

 

時代錯誤の戦略と凝り固まった思想によって、何人もの罪なき人命が失われた。

 

 

 

その無惨さを目にしても、キヴォトスは変わらなかった。

 

それでも世界は平和な方だった。

 

今日までは.....

 

 

 

 

 

ココ最近、顔を見ない生徒が増えていた。

 

主に、正義実現委員会と、ティーパーティーの生徒だ。

 

先輩達は傷を負い、ミネ団長が急に居なくなった救護騎士団は悲鳴をあげている。

 

 

 

 

 

 

 

確かに、これまで幾度となく、銃の引鉄を引いてきた。

 

私が手に持つ、アサルトライフルと、胸元に忍ばせているハンドガンはもはや生涯の相棒であり、自分の写し身に思えるくらい大切な物だ。

 

しかし、今のこの状況が、「戦争」は普通ではないと私は思っている。

 

それに、私達は、まだ自分が死ぬ恐怖に直面したことが無い。

 

 

私たちがいるこの地点から東に行けば、そこにはまだ未確認の物質で汚染されている爆心地

 

そこから砂と共に流れてくる未だに土地にこびり付く、焼け焦げたナニカの匂いが私達全員にそれを自覚させた。

 

 

 

 

偵察の補給で街に寄った。

 

此処はかつてのベルカ自治区。

 

今はアビドスによって統治されている、信託統治領。

 

東部アビドス自治区(イーストアビドス州)

 

 

この土地をアリアがその名で呼ぶと、

 

「いや、此処は西ベルカだ」と言わんばかりの雰囲気と共に、土地の人から内心腹を立てているかのように睨まれた。

 

当然、景気がいいわけはなく、物価も高かった。

 

 

 

こうして、私達はアビドス高等学校にたどり着いた。

 

 

しかし─────

 

 

 

「....どうももぬけの殻ですね....」

 

 

校舎の前のグラウンドにはありったけの砂と破壊されたヘリコプター。

 

私たちが砂を踏めば、足跡から薬莢が出てくる。

 

 

校舎は弾痕だらけ。

 

 

 

「失礼するっすよー............」

 

 

 

そうして踏み入れた学校には誰もいなかった。

 

 

 

生徒会室は荷物に埋もれている。

 

 

私達は散開して調べることにした。

 

 

 

 

しかし、校舎には誰もいない。

 

 

 

《え.....ちょ!!?ナニコレ!!皆集まって!!!》

 

 

通信から聞こえてくるアリアの悲鳴。

 

 

 

私たちがそこに駆けつける。

 

 

ドアは吹き飛び、手書きだったであろうその部屋のプレートは撃ち抜かれていた。

 

 

部屋の中に踏み込めば、そこには乾いた血溜まりと血に濡れた足跡が窓へと6人分(・・・)続いていた。

 

 

 

「........酷いっすね....」

 

血溜まりの量はイチカの言う通り酷いものだった。

 

人が、死んでいてもおかしくない、そんな量だ。

 

厳密に言えば、私たちは人の死に立ち会ったことがないからそう思えてしまったのだ。

 

堪らず私は吐き気のした口元をハンカチで抑えた。

 

「大丈夫?ケイ?」

 

アリアが背中を優しく撫でてくれる。

 

「ありがとう、アリア。」

 

 

 

 

「.......強襲されたんだと思います。」

 

 

数分経ってから、ハンナが言った。

 

「どういう事っすか?」

 

 

理解出来ていない私たちに、状況整理が終わったのか、ハンナが淡々と説明し始める。

 

 

「まず1つ、彼女達は逃げる方法を失ったんでしょう。

 

ここに来るまでに、グラウンドにヘリコプターが3機ほどスクラップになっていました。

 

次に、部屋の入口から制圧射撃をされて、1人が被弾。

そして、窓から逃げざるを得なかった。」

 

 

 

「......血を流していたその人は寝ていたのかしら....?」

 

「いや、でもいくら何でも寝ていたからってこんな.....こんな.....。」

 

 

 

アビドス高等学校、廃校対策委員会。

 

 

彼女達は消息を絶ったまま、アビドス地区から姿を消した。

 




後書き

先にネタバラシします。


タイトルの「歪な解釈」というのはベルカ学園に対しての誤解と、
ハンナのズレた推察の事です。

この世界線ではホシノが破壊した雨雲号は3機とも修復されていません。



描写的に分かりにくいですし、ナガセ視点なのであえて書いてないんですが。

そもそも壊された、ではないんですよね。


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