BLUE ARCHIVE THE UNSUNG STUDENTS WAR   作:神宮寺志狼

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#6 9日目 Sandstorm VS cleaning&clearing

補給に寄った街で私達は外泊した。

 

 

問題が起きたのは次の日だ。

 

「おい!テメェら止まれって言ってんだろうが!!」

 

スカジャンを着た生徒に追われていた。

 

「なんなんすかね!!あのメイドみたいな恰好をした生徒!」

「ほんとよっ!!!アリアの知り合い!!?」

 

「んなわけないじゃん!!」

 

 

 

 

 

「チィッ!おい!アスナ!!...は繋がんねぇ!カリン!!あいつらの足を止めろ!!」

 

《....気は進まないけど...了解。リーダー。》

 

〈ドゴゴォン!!〉

 

 

 

 

 

 

重い衝撃と共に足元に弾丸が撃ち込まれる。

 

「そ、狙撃ですっ!!皆さんこちらにっ!!」

 

ハンナが私たちの手を引き裏路地に逃げ込むのと同時に即席でカウンタースナイプした。

 

 

 

 

 

ハンナの撃った弾丸はカリンから反れる。

 

《....!!ごめんリーダー!!なんでかわからないけど位置がバレた。移動する。》

 

 

「は?マジかよ....たかだか一発だろ..?」

 

リーダーと呼ばれた少女はサブマシンガンを構えた。

 

「上等じゃねぇか.....アカネ!!退路を爆破しろ!!」

 

《了解です♪》 

 

 

 

 

 

〈ドゴォォォォォン!!〉

 

 

「爆発!!?」

 

「スカジャン...メイド......狙撃....爆発....あっ!!」

 

アリアが走りながら何かを思い出したように手をポンと叩いた。

 

「なんか知ってるんすか!?」

 

「そう言えば聞いたことあるわ!!

 

ミレニアムサイエンススクールには『メイド部』なんていう部活があって、その実態は──ッ!?」

 

 

 

私達の行く手を遮るように民家の屋根からナニかが飛んできて着地した。

 

 

「追跡目標を補足。先輩、指示をください。」

 

《お!お!でかした!!》

 

 

 

目の前に立つのは無感情に直立する生徒。

 

しかし、隙がない。

 

 

「どう、しますか....?エイ.....『BLAZE』......」

 

 

ハンナがエイリカの事をコールサインで呼ぶ。

 

 

 

「警告します。あなた方に逃げ場はありません。投降をお勧めいたします。」

 

 

メイド服を着た無表情の生徒が忠告してくる。

 

 

少しだけ逡巡したエイリカは私達に命令した。

 

「いや、コイツは私が引き受ける。お前たちは脱出しろ!」

 

 

「BLAZE!!?」

 

「そんな!!やるなら皆で──」

 

 

ハンナの意見をエイリカはかき消した。

 

「『ARCHER』良く考えろ。敵は『部活』単位だ、一人じゃない。

 

ここでこいつを倒したところで増援が来る。

それに退路のない此処で戦ってもジリ貧だ。」

 

 

「だからって、エイ...BLAZE一人で戦う必要はないっすよ。」

 

 

そうして、イチカの意見に賛同する生徒が、もう一人現れた。

 

「あぁ...そうだそうだ。やめとけ。

そこにいる奴はな、あたしが不意打ち喰らったとはいえやられかけたんだ。

お前じゃ勝てねぇよ。」

 

 

体躯は小さいが相当なプレッシャーを放つメイド服の上にスカジャンを羽織った生徒。

 

 

「あ、それにな、お前たちじゃあたし達に勝てねぇよ。

 

 

あたし達C&Cにはな。」

 

 

「いや。そいつはどうだろうな。」

 

 

エイリカは懐から閃光手榴弾(フラッシュバン)を取り出し、投擲した。

 

「全員!!対閃光防御!」

 

 

 

 

「チッ!!いきなりかよ!!」

 

「!!」

 

 

敵が視界を腕で覆う。

 

 

「いまだ!走れ!!ッ!?」

 

〈タタタタタンッ!!!!〉

「遅いです。」

 

 

エイリカの懐に敵の生徒が踏み込みエイリカを蹴り飛ばす。

 

彼女は受け身を取ったエイリカに追撃した。

 

 

「良いから行け!ここは私が。」

 

〈ダダダダダダダダダダダッ!!!!〉

 

 

 

「ッ。ご無事ですか?先輩。」

 

 

「無事だけどなんも見えねぇ、しばらく相手頼むわ。」

 

「了解。04(ゼロフォー) 交戦します。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、『CHOOPER』!!あのメイド部はなんなの?!」

 

 

私の質問にアリアは答えた。

 

 

「ミレニアムサイエンススクールの特殊作戦部隊。名称Cleaning&Clearing(C&C)だと思う!!」

 

 

「と、特殊作戦部隊っっすか!?

 

第一ミレニアムがどうして─」

 

イチカの言葉に、ハンナが答えた。

 

「アビドス高校のあの惨状が、もし彼女たちに作られたものだとしたら....?

アビドス高等学校を何らかの理由で襲撃。

 

その惨状を目撃した私たちを──」

 

「!!口封じってことっすね.....」

 

「あれがミレニアムのエージェント部隊!?

それがアビドスに近いこの地域に.....じゃあ!!?」

 

「.....多分。」

 

 

私は居なくなったリーダー、エイリカの代わりに判断する。

 

 

「バラバラに逃げましょう!!」

 

「で、でも──」

 

「誰でもいい!車までたどり着いてこの事をトリニティに伝えられれば。」

 

 

 

「──確かに、私たちがここにいる情報を持ち帰られては、エージェントとしては敗北ですね。

 

ですが、メイドとしてはそれより此処での『お掃除』の方が大事ですけれど。」

 

 

メガネをかけたスタイルの良いメイド服を来た生徒が立ち塞がった。

 

そして、

 

〈ドゴォォォン!!!〉

 

「なっ!!?」

 

足元に打ち込まれる弾丸、その破壊力は地面の舗装を消し飛ばした。

 

「さ、さっきの狙撃手!?」

 

ハンナは動揺している。

「ハ...『ARCHER』!位置は?」

 

「い、1発だけでは方角と大まかな距離しか...」

 

「へぇ、それでもわかるんすね。」

 

 

ハンナが押し黙る。

 

 

「意見を変えます!!先輩!!私は狙撃手を!!先輩はあのメガネのメイドさんをお願いします!」

 

ハンナが銃を構えて私に言った。

その言葉はいつものタジタジしたハンナからは想像ができないものだった。

 

 

「.......そう、わかった。

 

じゃあ、『CHOOPER』と『HEARTBREAK』はこの場を離脱!」

 

 

「んじゃ、任せるわ!アーちゃん!ケー!!」

 

「え、あたしのコールサインそれなんすか!?」

 

イチカは不満そうにアリアに手を引かれその場を離脱した。

 

 

 

《アカネ、追いかけないのか?》

 

「いくら何でも私では4人相手は無理です。

そういうカリン先輩も、あの小さな少女から目を背けていないじゃないですか。」

 

 

《....これは勘なんだけど、勝負は一発で決まる。

 

私が外せば、位置を捉えられてカウンタースナイプされる。

 

そんな気がする。》

 

「あらあら、カリン先輩がまるでアスナ先輩みたいになってしまいました。」

 

 

 

敵の談笑に私はイライラしながら問いかけた。

 

「そろそろ始めましょうよ。」

 

私はアサルトライフルをハンナに渡し、懐からハンドガンを抜く。

 

「あら?ARは使わないのですか?」

 

 

「.....私、遠~中距離射撃が下手でね。」

 

 

そして私たちは拳銃を撃ち合い始めた。

 

 

────────────────────────

 

 

〈ダダダダダダダダダッッ!!!!〉

 

〈タタタタタタタタタァァァァン!!!〉

 

「ッ....被弾5発。ダメージ軽度。まだいけます。」

 

 

 

「何だお前.... 」

 

 

無機質で、なお効率的に攻撃を回避する相手にたいしてエイリカは文句を言いながら対処する。

 

「機械....なのか...?」

 

 

 

「いいえ、私は完璧なメイドですぴょん。」

 

「え?」

 

「むしろ私の攻撃がかすりもしない貴女のほうが異常です。」

 

そう、BLAZEことエイリカはこの撃ちあいの中一度も被弾していないのだ。

 

「どうしてそこまで戦えるのですか?」

 

メイド服姿の生徒に問われエイリカは答えた。

 

「....お前、『戦場』に立ったことがないだろう?」

 

「『戦場』......ですか?」

 

 

 

「ああ、戦場(其処)に立ったことがあるか、ないか。

 

覚悟、信条、。

 

あえて言う。

お前には圧倒的に足りないものが私にはある。」

 

「......私に足りない物などありません。私は会長に─」

 

「いや足りない。

 

私はツルギ委員長や『本物』を見たからわかる。」

 

メイド服を着た生徒は首をかしげる。

 

「『本物』.....とは何のことですか?」

 

 

 

 

「『円卓の鬼神』.....ベルカ戦争の英雄をわたしはこの目で見た。

 

あの人は強かった。

戦場を駆け抜け、一言も会話せずツルギ先輩と阿吽の呼吸で敵をなぎ倒すその姿。

 

平和が好きな私でさえ、憧れたほどだった。」

 

「嗚呼、アイツか....」

 

エイリカの言葉に反応したのはメイド服の上からスカジャンを着た生徒だ。

 

 

「アイツはな、お前の言う通り確かに強かったぜ。

冷静さ、冷徹さ、そして経験に基づく戦況予測。

トキ、お前にそれがねぇのも事実だ。」

 

「....納得できかねます。」

 

「まぁ今は納得しとけ。

 

んでよ、小娘、テメェにはアイツと同じモン持ってるっていうのか?あ?

あたしはなアイツと片並べて戦ったことがあるからわかるけどよ。

 

テメェも『足りねぇ』んだよ。」

 

 

〈〈ダダダダダダダッ〉〉

 

スカジャンを纏う生徒がダブルサブマシンガンを構えエイリカも向かって引き鉄を引く。

 

 

「ッ!?」

 

 

「その二人の名前を出したのは失敗だったなぁ、

委員長の方も、あたしは面識あってよ。

テメェはその名を出せるほど強くもねぇよ」

 

 

スカジャンを着た生徒のプレッシャーがエイリカを襲う。

 

「アンタ、名前は.....?」

 

スカジャンを着た生徒が不敵な笑みを浮かべて言い放つ。

 

 

「......あたしか?

 

ミレニアムサイエンススクール。セミナー直属、C&C コールサイン00(ダブルオー)

 

美甘ネルだ。

 

冥途の土産に覚えて帰りな。」

 

 

「『メイド』だけに、か?」

 

 

 

三人の間にとんでもなく冷たい風が吹き抜ける。

 

 

 

そして──

 

「その軽口、どこまで叩けるか、試してやるよ。

 

いくぞ。、トキ、二人掛かりだ。」

 

「.....いいでしょう。」

 

トキと呼ばれた生徒が外装をパージする。

 

ネルが先行して駆け始める。エイリカとの距離を一気に詰めた。

 

 

「コイツ早い!!」

 

「テメェが遅せぇんだよ!!!」

 

〈〈ダダダダダダダッ〉〉

 

(回避しきれない!?)

 

 

エイリカは被弾を最小限にするため、体をひねった。

 

「捉えました。」

 

 

回避した先にトキがアサルトライフルを構えていた。

 

 

「ッ?さっきより格段に速い!?」

 

「オラ、さっきまでの威勢はどしたよ!

 

アイツならあたしとコイツくらい軽くさばいたぞ!!?」」

 

「くっそ!!」

 

エイリカは回避することに集中した。

なぜなら二人のコンビネーションは、互いの隙をかばいあうタイミングでのスイッチが多く、反撃に転じる暇自体存在しなかったからだ。

 

 

〈〈ダダダダダダダッ〉〉

〈タタタタタタタタタァァァァン!!!〉

 

「オラオラオラァ!!!」

 

〈〈ダダダダダダダッ〉〉

 

やがてエイリカの動きに慣れてきたネルの弾丸がヒットしていく。

 

 

「うっ!!!」

 

 

「やっぱ、テメェ弱ぇよ。」

 

ネルが近距離で放った蹴りがエイリカの腹部に入った。

 

 

「ごふっ!!」

 

そのまま壁に叩きつけられた。

 

「へっ、あれだけ啖呵切っておいてその程度とはなガッカリだぜ。

トキ、後は任せた。」

 

 

「......了解。」

 

エイリカは抵抗するものの、トキに組み伏せられた。

「ぐっ....

 

待て!何処に行くつもりだ!!」

 

ネルは振り返らずに答えた。

 

「決まってんだろ?逃げた奴全員ぶっ潰しに行くんだよ。」

 

 

その発言と、血に濡れたアビドスの廃校対策委員会の部屋が重なる。

「チクショウ....待て、待...」

 

 

ネルの姿は見えなくなりその声には何も帰ってこなかった。

そうしてエイリカの意識は薄れていった。

 

 

───────────────────────

 

「くっ....」

 

「捉えた!!」

 

ケイはアカネを抑え込むことに成功していた。

 

狭い路地裏ではアカネの得意なトラップなどの戦術は自分を巻き込むリスクがある為無闇に使用できないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

カリンはケイが撃てなかった。

 

〈パシュン!!〉

 

「くっ!!」

 

見失ったとか、標的が遮蔽物に隠れたなどという問題では無い。

 

ただ単純に、相手のスナイパーとの一騎討ちとなっていた。

 

1発打っては場所を変え、また再びスコープを覗く。

 

しかし、相手は回数を重ねる毎に索敵速度が早くなっている。

むしろ移動先でライフルを構えれば、先に相手に見つかる始末。

 

 

 

 

「.........」

 

後手に回っている事をカリンは悟った。

 

(次、顔を出せば相打ちになる.....)

 

 

カリンは深呼吸し、決心し、スナイパーライフルを構えようとする。

 

 

しかし────

 

 

〈タァァァァン!!!タァァァァン!!〉

 

「この状態で!?」

 

相手の射手がライフルを連発している。

 

 

カリンはスコープを覗いて標的を発見した。

幸いこちらに向かって撃っているものではなかった。

 

彼女は躊躇いなく引鉄を引く。

 

〈ドォォォン!!〉

 

彼女の放った弾丸は、相手の射手の脳天に直撃し、失神させた。

 

 

「.....一体何が。」

 

これまで冷静に、互いの居場所を探りあっていた相手が、悪手を取った。

 

カリンは戦場を観察する。

 

そして、見つけた。

敵が焦って引き金を何度も引いた原因を。

 

小さな影が駆けている。

 

《ったく、何やってんだお前ら。》

 

〈〈ダダダダダダダダダダッ!!〉〉

 

 

少しの射撃音と共に、敵の生徒が倒れていく。

 

 

 

 

 

「終わった?」

 

アスナが正義実現委員会の生徒2人(・・)を引きずって顔を出した。

 

「あぁ、何だか不完全燃焼だけどよ。」

 

「むしろリーダーとトキさんと相対して15分持ちこたえたのなら十分なのでは?」

 

 

「あ?あたしはフラッシュバンで視界を奪われたから最初の10分はトキとアイツが戦ってた音を聞いてただけだぞ?

 

あたしが相手して5分ともたずに墜ちやがった。」

 

「訂正を求めます。

最後は2人で追い込みました。」

 

「ふーん、でもリーダーとトキちゃん相手に持った方じゃない?」

 

「....あのなぁ、5分じゃ足らねぇんだよ。

あー.....タイマンすりゃまだマシだったかもしれねぇけどよ。

 

アイツよりによってサイファーの名前だしやがったんだわ。」

 

 

その言葉にアスナとアカネが納得した。

 

「....なるほど。それでムキになって2人がかりで....」

 

「あー....リーダーの命の恩人だもんね、サイファー。」

 

 

 

「ば、バッカやろう!そんなんじゃねぇし!!

アイツの事だけじゃねぇ。

 

『戦場』なんて軽々しく言葉にしてた馬鹿野郎を懲らしめただけだ!!」

 

 

 

話についていけないトキがネルに問う。

 

 

「サイファー...とは何のことでしょう?」

 

 

顔を赤らめていたネルがその質問を聞いて咳払いをする。

 

「あー ....なんだ、時間があればお前にも話してやるよ。

1年前の『戦争』であたしと肩を並べた....なんだ....その、『戦友』って奴だよ。」

 

 

「『戦友』....ですか。

ですが、貴女がそこまで言うのであれば、実力はそれなりなのでしょうね。」

 

その言葉を聞いたアカネがトキの言葉を訂正した。

 

「....正直、リーダーと互角だと思います。」

 

「そこまでの腕なのか?」

 

アカネの言葉を聞いたカリンがネルに尋ねる。

 

 

「.....正直、あの2人(・・・・)相手じゃあたしでも分が悪ぃ。

あ、負けるとは言ってねぇからな?」

 

「.....はいはい。で?この子達、どうするんですか?」

 

 

「とりあえず、あたしらの宿まで連れてくぞ。」

 

サンドストーム隊の生徒は全員車に乗せられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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