BLUE ARCHIVE THE UNSUNG STUDENTS WAR   作:神宮寺志狼

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#7 9日目 襲撃──Assault operation

「え!何よ!あのちっこいの!!」

 

陸八魔アルは一部始終を観察していた。

 

何時でも狙撃できるようにビル上に陣取ってその戦いをスコープ越しに覗く。

 

しかしその人差し指は引き金を引く事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

時間は遡る。

 

 

 

先日、便利屋68に依頼が舞い込んできた。

 

差出人不明のその依頼書の内容は「対象に気づかれないように護衛する」事だった。

 

 

護衛対象は5人。

 

同封されていたのはトリニティ、正義実現委員会の生徒の顔写真。

 

 

「ねぇ、アルちゃん。

 

ほんとにこれ受けるの?」

 

「し、仕方ないじゃない!!

だってこうしてお金も入ってるし...依頼主だって、手紙の封からしてもかなり立派な所みたいだし!!」

 

 

そう、同封されていた小切手の金額は下手をすれ彼女達が3年は遊んで暮らせる程の金額だった。

 

「その小切手だって本物なの~?前金にしたって桁が多すぎるし、怪しくない?」

 

「そ、そんな事は分かってるのよ!」

このキヴォトスの裏社会ではまともに報酬が支払われないケースが多い。

 

経験から怪しいと感じているのは、ムツキもアルも変わらない。

 

 

 

〈キィィィ....ガチャ。〉

 

そして、事務所に入ってくる2人の生徒。

 

「...おはよう。何見てるの?」

 

「お、おはようございます...。」

 

カヨコとハルカだ。

 

 

「あ!見てみて!2人とも!久々の怪しい依頼!!」

 

 

カヨコはムツキにそう促され溜息を吐く。

 

しかし、彼女の目に入ったものは依頼書ではない。

 

 

「え?」

 

「??どうしたのよ、カヨコ。」

 

 

 

カヨコがアルの質問を無視して1枚の写真を手に取った。

 

 

「これ....何処からの依頼なの...?」

 

アルはカヨコの雰囲気に気後れしながらも答える。

「そ、それはわからないの。

無記入だったし、それに前金も入ってて。」

 

カヨコは手紙を手に取る。

簡潔に依頼内容だけ書かれた手紙。

 

「あ.....その手紙の素材...」

ハルカには心当たりがあったようだ。

 

「何か知ってるの?ハルカ?」

カヨコはハルカに問いただす。

 

「あ...その手紙....かなり高級で......ト、トリニティの方でしか扱われてないんです....

 

ブラックマーケットだと...この位の値段で取引されてます....。」

 

ハルカが恐る恐る3人にオークションサイトの金額を見せる。

 

「うわ、これ本当にまともな依頼だよ。」

 

ムツキすら唖然とするその部屋の中、カヨコは1枚の写真を見つめている。

 

 

「お知り合い...ですか?」

 

ハルカの質問に「まぁね」とカヨコは返した。

 

カヨコが空中で手放すと、その写真は元あった机の上にひらひらと落ちた。

 

「仕事に私情を挟むつもりは無いから安心して。

 

で?社長(・・)、どうするの?

 

まともな依頼に見えるけど、これトリニティの....おそらくティーパーティーからだと思う。」

 

 

「ティーパーティー ...ですって!?」

 

「多分ね。

 

トリニティの高級な素材で出来た手紙に、尚且つ依頼内容が正義実現委員会生徒の護衛。

 

で、この高額な小切手。

これだけ出来るのはティーパーティーだけだと思う。」

 

 

「って言うことはつまり....」

 

カヨコは頷いた。

「多分失敗したら───」

 

 

しかし、アルが考えていた事と、彼女が考えていたことは一切合致しなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トリニティでも、この私の名前!

 

いえ、『便利屋68』の評判は轟いているってことね!!!」

 

 

 

 

 

 

「え?.....いや─────」

 

 

 

 

 

 

「そうと決まれば早速支度するわよ!!!」

 

「わ、分かりましたアル様!!」

 

 

 

 

カヨコはため息をついた。

 

いつもの流れでもう止まらないと判断したのだ。

 

そんなカヨコを見てムツキが肩を叩く。

「まぁ何かあっても私達がフォローすればいいじゃん!」

 

 

「.....ムツキ、いつも状況を掻き乱してる貴女がそれを言うの」

 

「あはっ!細かいこと気にしてるとまたシワが増えるよ?

カヨコ課長(・・)

 

 

「はぁ....わかった。

じゃあ1度家に戻るよ。

 

忘れ物(・・・)しちゃったみたい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして現在に至る。

 

 

「....5人を載せたバンは北東に向けて走行中....。」

 

 

カヨコはドローンでC&Cのバンを追跡していた。

 

 

彼女の頭の中にあるのは不安事だ。

 

1つ、この任務が失敗した『便利屋68』どころか生徒としての社会的な立場すら危うい事。

 

 

何せトリニティからの依頼が指名手配されているとはいえゲヘナ学園所属の私達に来たことだ。

 

当然、今は戦時。

 

彼女達の命が危ぶまれれば新たな火種が出来てしまう。

 

それだけでは無い。

 

下手をすれば全ての罪を便利屋68が被ることになる。

これまで好き勝手やってきたカヨコ達をゲヘナ学園が庇ったり弁護してくれるわけも無い。

 

下手をすれば退学だけでは済まないであろうということ。

 

 

そして、2つ目。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

1年程前の出来事。

 

ベルカ戦争に出向いていたせいで予約のできなかった好きなアーティストの限定CDを求めて長蛇の列に並んでいた。

 

 

それはあと数人という所で無くなってしまった。

 

「はぁ .....そりゃそうだよね。」

 

 

気を取り直してCDコーナーを歩いていたカヨコはとある生徒とぶつかってしまった。

 

「......」

 

 

「痛っ~....あ、ごめん大丈.....夫。」

 

カヨコは無言で彼女が落とした袋からこぼれ落ちた商品を見た。

 

それは沢山のCD、その中にはカヨコのお目当てもあった。

 

「貴女は買えたんだ、」

(いいなぁ。)

 

カヨコの発言に彼女は目を見開いた。

 

 

「え!!もしかしてコレの事!?

 

うわぁ....めっちゃ感動なんですけど。

 

沢山の人にヘビメタ勧めてきたけど価値観合う人にあったのは初めてだわぁ~!!!!」

 

 

 

「まぁ...確かにね。

わかってくれる人は少ないと思う。」

 

自分と違って明るい笑顔を浮かべているハイテンションな少女を見て「少し苦手だな」とカヨコは心の中で思った。

 

 

「何処の子!?所属は?!

好きな音楽は?あたしはロックンロール!!」

 

「いや....その。」

 

 

困った、このパターンは初めてだ。

 

いつも「顔つきが怖い」と周囲の人間から距離を置かれてきたカヨコは内心戸惑った。

 

 

ちょっと脳天気な所はこの間イメージチェンジをしたあの子(・・・)とよく似ている。

 

 

「連絡先交換しよ!!」

 

「いや、私は───」

 

「いいからいいから!!」

 

 

 

カヨコはそれから、その生徒と時々連絡をとり最近聞いた曲などをシェアしあった。

 

最初は一方的だったメールも、いつからか自分から送るようになっていた。

 

 

──────────────────────

 

[この間のオススメ聞いたよ。悪くないね。]

 

[またまたぁ~。ハマってるんじゃないの?]

 

[いや、私はお気に入りがあるから。]

[そういえば、この間借りた限定CD]

[いつ返したらいい?]

[......アリア?]

 

 

──────────────────────

 

 

カヨコはドローンのコントローラーを片手に携帯を出し、止まったメッセージを見つめた。

 

 

「こんな所で何やってるんだか......。」

 

 

《課長~、社長が移動するって~ 》

 

 

ムツキからの連絡に携帯をポケットにしまってからドローンを呼び戻しカヨコはビルの階段を降りた。

 

 

1階まで降りれば全員揃っていた。

「バンに予め爆弾を仕掛けたですって!?」

 

「ご。ごめんなさい。乗る寸前で爆破しようと思ったんですが......先に人質が.....。

 

あ!もしかして人質ごと爆破して隠蔽した方が!!」

 

ハルカは起爆スイッチをポケットから出した。

 

 

「ダ、ダメ!」

 

慌てたアルはハルカの肩を掴んだが、なにか思いついたのか咳払いをして仕切り直した。

 

「コホン....いえ、待ちなさい。まだダメよ。

 

ムツキ、GPSは?」

 

 

「まだ結構なスピードで移動してるから多分車から降りてないと思うよ。

 

それにもう夜遅いし、どこかに泊まっていくんじゃないかな?」

 

 

「な、なら車を爆破するのは彼女たちが車をおりてからよ!!」

 

 

「.....!!!足を奪うんですね!アル様!!!」

 

「そ、そうよ!」

 

 

いつもと変わらない雰囲気、そして自分以外気づいていない現状の問題とのギャップに頭を抱えた。

 

 

「相手はC&C。ミレニアムのエージェントが集うメイド部みたい。」

 

 

 

「それがどうしたのよ?」

 

 

「いや、相当強い───」

 

 

「アル様に危害を加える者は.....全て排除します。」

 

ハルカの目つきにカヨコは諦めてなげた。

 

「あ、うん。じゃああのスカジャン着た子はハルカに任せるね。」

 

「はい.....お任せ下さい」

ニヤニヤと暗い笑みを浮かべるハルカ。

 

対照的にスカジャン、と聞いてハッとするアル。

 

思い出す、先程スコープ越しにみた飛んでもなく素早い動き。

 

あれに接近されたら、一溜りもないだろうと。

 

「さ、流石ハルカ。頼りにしてるわよ。」

 

 

───────────────────────

 

 

「よっしゃ、着いたな。

とりあえずユウカからの任務は終わりだな。」

 

「いえ、まだミレニアムに着いていません。

 

リーダー。帰るまでが遠足ですよ?」

 

 

「遠足言うなっ!

ま、でもこいつらもこうして大人しく寝てるし。」

 

「一休みだな。」

カリンやアカネ、アスナが生徒をバンから運び出した。

 

 

「おい、アンダーソンのじいさん、今日もまた────」

 

ネルが宿の主人に挨拶をしようとした、その時だった。

 

 

 

 

〈────────ドォッカァァァァァァァン〉

 

「きゃっ!!!」

 

「な、なんだ!?」

 

 

カリンとアカネが爆発に巻き込まれて倒れ込む。

 

「.....は?」

 

ネルは空いた口が塞がらなかった。

 

 

「あのなぁ....アカネ、いくら何でも移動手段を破壊するのはよ───」

 

「いえ、違います!!私では。」

 

「お前以外誰が所構わず爆弾使うん─────」

 

その時、ネルには向かい側のビルの屋上で何かが光ったのが見えた。

 

すんでのところで回避に成功するが、放たれた弾丸は着弾後に大きな爆風を伴って破裂した。

 

 

「クソっ!!なんだってんだよ....」

 

 

「リーダー、ここは遮蔽物がない、建物の中に。」

 

 

「は?そんなことしたらアンダーソンの爺さんや宿屋『ケストレル』の奴らまで巻き込むだろうが!!」

 

「じゃあ逃げよっか!」

 

 

アスナはそう提案した。

 

「仕方ねぇ.....そいつらは置いていけ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陸八魔アルは驚愕した。

 

「嘘!!外しちゃったの!?」

自信があった1発だけに、現状が信じられない。

 

 

《違う、避けたみたい。》

 

カヨコの返事を聞いて、アルは一層気を引き締めた。

 

「ムツキ!ハルカ!!撹乱よろしく頼むわよ!」

 

 

《おっけ~!》

 

《はい!アル様の為なら!!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

逃走するネル達の元にバックが飛んでくる。

 

アスナはひょいと避けるがその際にトキの頭にクリーンヒットした。

 

「だ、大丈夫トキちゃん!?」

 

 

 

「特に問題ありません、ですが.....これは何でしょう?」

 

 

「あ?何だこの音.....」

 

 

〈カチ....カチ....カチ.....カチ。〉

 

 

「.....まさか!!!」

 

倒れたトキを起こそうとしたネルをトキ本人が突き飛ばす。

 

 

 

「ッ!!テメェ何す───」

 

その瞬間、バックが爆発した。

 

「うっ.....!!」

 

 

「ッッッッ!!!おいトキ!!!」

 

「....無事です....しかし。」

 

彼女は装備の殆どを損傷、そして、足を痛めたようである。

 

 

 

 

〈バァァァァァァン!!!バァァァァァン!!!〉

 

「きゃぁぁっっ!!」

 

今度は暗闇から飛んできた攻撃を受けてアカネがダウンした。

 

「おい!アカネ!!」

 

カリンとアスナが銃を構える。

 

 

「.....(ニヤッ)」

 

夜の闇から出てきたのは歪な笑い方をしたショットガンを持った生徒。

 

 

 

「ご、ごめんなさい。」

 

悪意を持って弾丸を放ったはずの敵がいきなり謝った。

 

 

「あ?お前何言って──」

 

 

「──────アル様の為に死んでください。」

 

 

「──ッ!!」

 

 

〈カチャ〉

 

〈〈ダダダダダダダダダッッッ!!〉〉

ネルは即座に2丁のサブマシンガンワンマガジンを容赦なく相手に叩き込んだ。

 

直感が叫んでいるのだ。

 

この相手は自分とは別の方向でやばい、と。

 

 

 

〈バァァァァン!!!〉

煙の中から散弾の粒が飛んでくる。

 

 

「!!」

 

ネルは回避しようと思ったが、後ろには動けなくなったトキとアカネがいる。

 

動かない、それがネルの出した結論だった。

 

 

「───!!リーダー!!!」

 

「な、にを?」

 

カリンとアスナが叫び、トキは困惑した。

 

ダメージをものともせず、ネルは不敵な笑みを浮かべてショットガンを持つ生徒に話しかける。

 

「ハッ!テメェ何もんだよ。」

 

 

「丈夫なんですね.....じゃあ、

 

 

もっと撃ち込んでいいですよね......」

 

 

 

「ダメだ、こいつ、話が通じねぇ。」

 

 

 

「ここは撤退するべきです。」

 

自分たちが足でまといだと判断したトキは自分たちを見捨てて離脱を促した。

 

トキの判断をネルは蹴っ飛ばす。

 

「は?何言ってやがる。こんなもやしみたいなやつに負けるわけねぇだろ。

 

この狭い道だ、目の前のこいつはあたしが引き受ける。

カリンは後ろのビルに警戒しろ。」

 

 

そのトキ本人、退路からも生徒が1人現れた。

 

「あ~、アルちゃんの邪魔はさせないよっ♪」

 

 

 

 

ネルは確認せずにアスナに交戦を促した。

 

「アスナ!!」

 

 

「了解!リーダー!!」

 

 

 

こうして裏路地に逃げ込んだC&Cは前門のハルカ、後門のムツキに挟み撃ちされる形で負傷したメンバーを護りながら戦うことになった。

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

一方、カヨコは宿の手前に縛られて放置されている正義実現委員会の生徒5人の元にたどり着いた。

 

 

「社長、こちらカヨコ。目標5人確認。

 

ちゃんと息はしてる。」

 

 

《と、当然よ。死んでたら困るわよ!!》

 

やれやれといった表情で生徒を縛っていた縄を解く。

 

その後アリアの肩を揺すった。

 

 

「アリア、起きて。」

 

「うぅ....起きてるよぉ....何かお腹痛い......」

 

アリアは意識を取り戻して周りを見渡す。

 

「これどういう状況なの?というかなんでカヨちーここにいんの?」

 

「話は後で...とりあえず起こせる人だけ起こして。」

 

 

カヨコはホッとした。

 

「ケーもブービーも起きて!イッチーも!!」

 

アリアに肩を揺すられて3人が目を覚ます。

 

「うぅ......」

 

しかし4人目、カリンと勝負していたハンナだけは起きなかった。

 

 

「相手の15口径弾を頭にもろにくらってたみたいだし、当分意識戻らないかも。」

 

ケー、と呼ばれた生徒がアリアの肩に手を置いた。

 

「で、どういう事っすか?」

 

イチカが警戒している。

 

彼女の視線の先をケイとエイリカも見る。

 

角だ。

 

 

「!ゲヘナ学園の生徒?!」

 

ケイがカヨコに銃を突きつける。

 

「ま、そうなるよね....」

 

「ちょっ!タンマ!!その子は─」

どうしよう、とカヨコがアリアに目を向けた時だ。

 

予想外にもケイの構えた銃を手で地面に向けて押さえ込んだのはエイリカだった。。

 

「待て、少なくとも制服を着ていない。」

 

「おお!流石ブービー!!話がわかるじゃん!!」

 

「BLAZE......」

 

心配しそうなケイをアリアが宥める。

 

「大丈夫だって。この子私の友人だし。」

 

「え?マジっすかアリアさん......」

 

イチカが懐疑的な目でアリアを見つめた。

 

「嘘はついてないよっ。イッチー。ね、カヨッち。」

 

「.......まぁ、そういう事。

 

話は後にして。

今社長....私の仲間がC&Cを抑えてる。だから──」

 

 

「よし、なら加勢に行きましょ!」

 

カヨコの発言を遮ってアリアが立ち上がった。

 

「───え??ちょっと待って欲しい。助けたのにどうして面倒事に首を突っ込みに行くの.....?」

 

 

「え.....本気っすか?CHOOPERさん。今の立場と時期わかってるんすか?」

 

双方が説得しようとする。

 

カヨコは単純に疑問形。

 

イチカの言葉は今が戦時中で、自分たちが正義実現委員会の生徒で、手を貸そうとしているのはゲヘナの生徒である。

という意味。

 

 

「相手はゲヘナの生徒っすよ?敵に手を貸すんすか?」

過去、ゲヘナ行きの列車に乗り、温泉開発部のせいで多大な被害と迷惑を被った事が、イチカの頭をよぎる。

 

「私も反対よ。これ自体が罠だって可能性も、下手をすれば裏切り行為よ?」

 

ケイもイチカに賛成だった。

 

「えぇ.....?皆目の前に困ってる人が居たら助けないの?」

 

「そ、それとこれとは話が別っす!」

 

「『昨日の敵は今日の友』って言うじゃない?」

 

「まだ戦争は終わってないっす。」

 

 

 

 

「とりあえず、お前たち落ち着け。」

 

その言い争いをエイリカが止めた。

 

「敵はC&Cで間違いないんだな?」

 

 

エイリカはカヨコに聞いた。

 

「間違いないと思う。『先生』から聞いた情報と人数も一致する。」

 

 

 

「......」

 

「BLAZE....?」

 

考え込むエイリカにケイが話しかけた。

 

 

「......C&Cとカヨコ、って言ったか?

お前の仲間の争いを止めに行く。」

 

 

「「え?」」

 

その言葉に全員が唖然とした。

 

「止めに行く....んすか?」

 

 

「そうだ、HEARTBREAK。

 

なんでC&Cは私たちを攻撃した?」

 

 

 

イチカが答える。

 

「それはアビドスの惨状を見た私たちを口封じに....」

 

「違うと思う。

 

そんな事であれば話しかけられずにいきなり襲撃されていて然るべきだ。

 

 

そうじゃなかった。」

 

ケイがハッとする。

 

 

「相手方もその情報を知ってる可能性.....むしろ私達が犯人だと思われてた!?」

 

エイリカは頷いた。

 

「その可能性は高い。

 

カヨコ、味方と敵の人数は?」

 

「......私含めて4人。敵は5人だね。奇襲のかいもあって今2人行動不能になってる。」

 

 

 

「つまり私の憶測が間違いだったとしても、数では圧倒的に有利。

 

情報も聞き出せる。

 

どっちに転んでも問題は無いはずだ。

 

 

ただ、ここで目を背ければ数が少ない彼女たちは敗北濃厚のうえ、私たちは何にも情報が得られない。」

 

 

エイリカは改めて宣言した。

 

 

「ゲヘナであろうとなかろうと私達を襲撃者から助けてくれた人がいる。

 

これは間違いのない事実だ。

 

だから事態が急変する前に止めに行く。」

 

一瞬静寂が訪れた。

 

 

 

「あたしも!!」

 

次に声を上げたのはアリア。

 

イチカとケイは目を見合せる。

 

「まぁ正直言うところ、隊長はBLAZEさんっすから。

 

命令されたらあたしたちに拒否権ないっす。

責任も無い筈っすけど。

 

でも助けられたまま何もしないっていうのもなんだか落ち着かないんで、BLAZEさんにお任せするっすよ。」

 

 

「私も依存は無いわ。」

 

 

 

「じゃ決まりって事で、カヨっち。案内よろしくぅ~!!」

 

 

「....はいはい」

 

「ARCHERは私が運ぶ。」

 

気を失っているハンナをエイリカが担いだ。

 

 

「じゃ、やりますか....」

 

一同は立ち上がり、今も尚戦闘中の路地裏に向かって走り出した

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