並行時空のフロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに初日突貫す〜   作:栗実成

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そろそろ序章も終わりです


第十話 小夜より露る禍根の化身 其の一 〜腑燃やして駆けろや荒野〜

 

「四駆八駆の沼荒野」、セカンディルから次の街、サードレマへと行くために越えないといけないエリアであり、名前通り無数の沼が点在する荒野なのであるが、NPCの話によるとどうやらここで数々の鉱石アイテムを入手できるらしい。

行けばわかるという何とも曖昧な鍛冶屋のオッサンの言葉を信じてやってきたわけなのだが・・・・・・

 

「確かに見ればわかるな・・・・・・これ」

 

広々とした沼のあちこちに岩の塊のようなものが突き出しており、そこからいくつか鉱石らしきものが顔を出している。

 

「他のプレイヤーで溢れる前に、さっさと回収しねぇとな」

 

現在の時刻は午後七時。シャンフロがサービス開始してから、既に七時間も経っている。当然俺以外にも大蛇を倒したプレイヤーが荒野のあちこちで採掘を行っており、その数は増える一方だろう。

 

「ゲゴ・・・・・・ゲゴ・・・・・・」

 

「なんだあれ・・・・・・蛙、なのか?」

 

鳴き声や、大凡の外見からあれが蛙であることは間違いなさそうなのだが、直方体に蛙のパーツをくっつけたような見た目は何とも形容し難い。

大型犬並みのサイズをした蛙・・・・・・隔て刃の装備の素材であるマッドフロッグというモンスターが俺の側に近寄り・・・・・・泥かきをして遊び始めた。

まぁ危害を加える素振りも見えないし放置してもいいだろう。そう思い、俺は道具屋で買ってきたツルハシを握って採掘を始める。

 

「ゲゴ・・・・・・ゲゴゲゴ・・・・・・」

 

「・・・」

 

とはいえ、俺を無視して遊ぶ様はまるで俺を嘲笑うかのようで・・・・・・

 

「・・・・・・ゲゴゲゴゲゴ」

 

「・・・」

 

泥遊びによって跳ねた泥が俺の服にかかって・・・・・・

 

「・・・・・・ゲゴw」

 

「今笑っただろオメェ!!!」

 

前言撤回、無性に腹立つからぶっ倒す!

 

・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

「参ったな・・・・・・完全に迷子になっちまった」

 

ちょっとだけ採掘に行くだけだからと地図を買わなかったのが裏目に出た、すっかり荒野の奥地にまで迷い込んでしまった俺は、変わり映えしない地形の中を彷徨う。

 

「それもこれも全部あの箱蛙のせいだ、マジで許さん」

 

沼地の中ではご丁寧に足が遅くなるせいで、一向に追いつけなかったことに腹を立てながら、俺は採れたてホヤホヤのマッドフロッグの皮を握りしめる。

 

「近くにプレイヤーがいればいいんだが・・・・・・」

 

最悪死に戻りで宿まで帰ってもいいが、一定時間のステータスダウンは可能なら避けたいところだ。

 

「にしても、月まで綺麗だとは、流石神ゲーだなぁ」

 

どうやらシャンフロは時間や季節を現実の日本とリンクさせているらしい、すっかり昇ってしまった月が雲の合間から荒野を照らし、ゲーム的な都合上、周囲は日没直後程度の明るさを保っている。

 

「夜になればモンスターが強くなるもんだが・・・・・・周囲には誰もいないな」

 

一瞬バグかと思ったが、街に近い所では今も大量のプレイヤーが採掘を続けている。そちらに人員もといモンスター員を充てているのだとしたら納得がいく。とはいえ誰もいない荒野を歩くのは中々寂しいものがある。

 

「お、あれは・・・・・・」

 

ふと気配を感じて振り返ると、遠くの方から人影がこちらに近づいてくる。

 

「おーい!そこの方ー!よければ地図を見せてくれませんかー!!」

 

呼びかけるが反応はない・・・・・・いや、若干近づいてくる速度が上がっているような・・・・・・もしかして走って来てるのか?

 

「わざわざすみませーん!」

 

やはり反応はない、普通なら何処かで声を返してくるはずだが・・・・・・

 

「ん?」

 

眼を凝らしてよく見てみると、遠くから走ってくる人影・・・・・・俺より若干年齢が上ぐらいの女性アバターは長く伸びた黒髪の裏で笑っており・・・・・・

 

 

 

 

 

その手には致命の包丁が握られていた。

 

「・・・・・・!」

 

慌ててインベントリを操作、こちらも致命の包丁を握り、臨戦態勢を取る。

 

「・・・・・・」

 

その様子を見るや否や、彼女は走るスピードを更に上げる。彼女の腕と足は何らかのスキルエフェクトを発しており、同様に両手に持つ包丁も光を帯び始める。

頭上に表示されている名前には、京極のものと同じ、真っ赤な髑髏マークが表示されていた。

 

「・・・・・・・・・・・・刀狩り」

 

聞き慣れないスキル名を発した彼女、「ドゥーランス」が振り下ろす刃を両方の刃で受ける。

途端に眩い光が発生し、両手に強い痺れが入る。

 

「・・・・・・成程、確かにこれは刀狩りだな」

 

慌てて距離を取るが、俺の手からは致命の包丁は既に無く、彼女自身の刃と同様、先程のスキル、「刀狩り」によって彼女の足元に弾き落とされていたのであった。




キャラ崩壊の被害者代表
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