並行時空のフロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに初日突貫す〜   作:栗実成

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ちょっと無茶な展開だったなと反省してます


第十一話 小夜より露る禍根の化身 其の二 〜不意打ちする運命〜

 

「まずいことになったな・・・・・・」

 

現状を整理しよう、四駆八駆の沼荒野にて迷い込んだ俺は、ドゥーランスという名のPKに遭遇、救援も望めない中、メインウェポンである致命の包丁を奴のスキルによって手放してしまったのだ。

 

「・・・・・・詰んでね?」

 

いや、この程度で匙を投げるのは早計だ。奴は足元にある致命の包丁を二振り・・・・・・恐らく奴自身の分を拾い、再度こちらに向き合う。

対する俺は包丁を失った今、まともに使える武器はゴブリンの両手斧だけだ。ストーンハンマー?あれは忘れてくれ、使い物にならん。

どちらにせよ、プレイヤースキルにもよるが、今ある武器で奴を倒すのは不可能と考えて行動していく。最優先は包丁の回収、できることなら逃げたいとこだが、見覚えの無いスキルを使って来た以上、逃走防止のスキルもしくは魔法を所持している可能を捨てきれない。

PKによるペナルティのことも考えると、この場の最善策は自害することだろうが、そんなしけた真似はしない。売られた喧嘩は倍にして返すのが礼儀ってもんだ。

 

「おいドゥーランス、まさか俺から包丁を奪い取るためだけに来たとは言わねぇよな・・・・・・・・・・・・かかって来やがれ」

 

俺がそう言い終わるのと同時に、奴が駆け出す。一度は切れた四肢強化のスキルを掛け直し、包丁をこちらに向けるが、スキルエフェクトはかかっていない。

 

「どうやらそう連発はできねぇみたいだなぁ!!」

 

ゴブリンの手斧を装備して応戦。武器と言えるかも怪しい粗雑な代物だが、リーチは決して裏切ることはない。相手の隠し球を警戒し、絶妙な距離感を保って攻撃を捌き続ける。

 

「思ったより消耗が早い!」

 

崩壊寸前の手斧を交換、残りは今持っているものも含めて五丁・・・・・・クソ、こうなるならもっと多めに持ってくれば良かった。

 

奴の包丁が手斧の結び目を裂き、唯の木の棒と化す。残り四丁。

 

ドゥーランスが両方の包丁で右側の斧を破壊する。反対側の斧で奴を叩くが防具のせいでまともに入った気がしない。残り三丁。

 

やはり手斧だけでは奴を倒し切ることは不可能だろう。一旦距離を離し、奴から見て左側へジリジリと詰め寄る。

 

・・・・・・勝負に出るのは今しかない。

 

「っしゃあ!!」

 

先程とは一転して奴に踊りかかる。いきなりの攻勢に奴は驚いたのか受けの構えを取り、どちらの斧も防がれるが・・・・・・これでいい。

 

「タップステップ!!」

 

実質移動用スキルと化した回避スキルを起動、素早くステップを踏めるようになった俺は両手の斧を捨てて奴から距離を取る。

斧を捨てて身軽になった俺が目指す先は当然・・・・・・先程落とした致命の包丁だ。

 

当然奴も想定済みなのか、先程の四肢強化スキルを起動して追いかけてくる。

しかし奴のダッシュに対してこっちは高速ステップだ。初速の質が違う。

AGIに多めに振っていたのもあり、みるみるその差は開いていく。

 

これなら無事に包丁の元まで辿り着ける・・・・・・だがおかしい。奴の様子から見ても、これは計画的なものであるはずだ・・・・・・だったらなんで、俺にこうして致命の包丁を取り戻す隙を与えたのか。そもそも、奴の狙いは本当に唯のPKなのだろうか。まさか・・・・・・

 

包丁の下に駆け寄った俺はすぐさまそれを拾い、仮説が正しかったことを確認する。

背後には既にドゥーランスが迫って来ており、奴が両手に握っている致命の包丁を力一杯振り下ろそうとしている。

俺は拾い上げた包丁を両手に持ち、すんでのところで迎撃体勢を取る。

 

そして奴が振り下ろした包丁が迫り来る中・・・・・・俺は両手に持った包丁を落とし、敢えて素手でそれを受け止める。

 

「スクーピアス!!」

 

狙いを見透かされた奴が逃げるよりも先に、俺は先程まで奴が握っていた方の致命の包丁でスキルを発動する。

 

「大方新スキルの習得って言ったところか・・・・・・だが俺を選んだのはミスだったな」

 

ドゥーランスの狙い、それは武器を奪うことによる一方的な局面を作り出すことだったようだ。

 

1.相手と武器を合わせ、刀狩りで両者の武器を落とす。

2.相手の所持していた方の武器を持ち戦闘を始め、相手が落ちた武器を自発的に拾うよう誘導する。

3.相手が武器を持った瞬間にその武器に触れ、インベントリに入れることで相手を無手にする。

 

もし成功していれば相手は突然武器が消えたことによる混乱の中、奴からの一撃をまともに喰らってしまうことだろう。

 

当然欠陥だらけの戦法であり、武器やスキルの数が少ないサービス初期だからこそできるものだと言える。しかしこのような戦法を取ることでしか手に入らないスキルもあるかも知れない。現に先程使用してきた刀狩りなるスキルもその類である可能性が高い。

何れにせよ、それが奴の狙いのはず・・・・・・間違っていたら恥ずかしいが。

 

「どうした!!さっきに比べてキレが落ちてんぞ!!」

 

形勢は一転、逆に包丁を失ったドゥーランスは諦めて逃走しようとスキルを発動するが、そう簡単に逃すわけがない。奴の包丁を投げナイフのように脚に目掛けて投擲、一発目は外すも二発目で左大腿に命中、破壊属性を携えた致命の一撃により奴の身体が大きく崩れる。

 

「もらった!!」

 

タップステップ起動、大きく踏み込んだジャンプにより一気に距離を詰める。スタミナには余裕がある。スクーピアスのリキャストは間に合わないだろうが充分削り切れるだろう。

 

ドゥーランスが足の包丁を引き抜き、薬草を噛みちぎるが、その回復が適用されるよりも俺の攻撃の方が遥かに早い。

 

勝ちを確信して致命の包丁に力を込め、奴の心臓に一閃を入れようとしたその時・・・・・・

 

 

 

 

 

・・・・・・俺の背後で、闇が動いた気がした。

 

 

 

 

 

『ユニークモンスター「夜襲のリュカオーン」に遭遇しました』

『ユニークモンスター遭遇ボーナス:SP+30』

『称号【最強種との邂逅】を獲得しました』

『称号【夜襲との邂逅】を獲得しました』

『サンラクは夜襲のリュカオーンの餌であった』

『称号【初めての死】を獲得しました』

『称号【御早い御帰り】を獲得しました』

『称号【夜襲の餌】を獲得しました』

『デスペナルティにより、一定時間ステータスが半減します』

 

 

 

 

 

・・・・・・は?




突 然 の 死

【御早い御帰り】:戦闘開始直後に即死することで手に入る称号
【夜襲の餌】:夜襲のリュカオーンに食べられて死亡すると手に入る称号(死亡メッセージが今回のサンラクのようになったら手に入る)

後すっごいメタ的な話なんですが、本来ここでドゥーランスに負ける予定だったのを普通にサンラクが勝ちそうになったのでリュカオーンを投入する流れになりました。こうでもしないとアレと出会えなくなりそうなのでね・・・・・・ありがとうリュカオーン。
でもそのせいで背後からの一撃必殺があり得る世界になってしまいました。おのれリュカオーン。
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