並行時空のフロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに初日突貫す〜   作:栗実成

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第十三話 小夜より露る禍根の化身 其の四 〜復活のハンラトリアタマ〜

 

俺のいた場所は四駆八駆の沼荒野の中でもかなり端の方であり、岩場を乗り越えた先に広がるのは大海である。

 

「何気にシャンフロで海を見るのは初めてだな・・・・・・」

 

こんな夜中でも、ゲーム的な都合で明度に補正の入ったプレイヤーなら海の果てまで見ることが可能だ。とはいえ見渡す限り島の一つもなく、何かが泳いでいる様子もない、言ってしまえば唯の背景となんら変わらない海がそこには広がっていた。

 

「草木の一本一本まで忠実に再現するゲームだ。ここまで何もないと却って怪しく見えるな」

 

「なにひとりでぶつぶついってるのよっ!」

 

「ああ悪い、海を見るのは初めてでな」

 

「もうわたしはうみなんてみたくないわ、いっこうにじめんのみえないきょうふなんて、あなたはわかんないでしょうね」

 

謎の少女・・・・・・俺をこの岩場に呼んだ張本人はそう意味深なことを呟く。発言からして海を渡って来たのだろうか、だとしたらこの海の先に島やら大陸やらがあるはずだが・・・・・・

 

「ともかく、たすけたわたしにかんしゃしなさい!」

 

「それなんだが、俺の見る限り特に危険ではないはずなんだが・・・・・・あの狼、リュカオーンか?」

 

今は大勢のプレイヤーが決死の特攻を仕掛けているはずだが、いつそれが終わるかもわからない。こちらにやって来る可能性は充分にあるだろう。

 

「おおかみ?そんなのしらないわよっ!わたしがいってるのはでっかい・・・・・・きた!しゃべらないで!」

 

そう叫んで俺の口を塞ごうとするが、鳥面のせいで上手く塞げないでいる。てか今のところ俺よりコイツの方が遥かにうるさいような・・・・・・うおっ、急に揺れ始めた。

 

「シギョォォオオオオオ!!!!」

 

「なんだあれ、足の生えた・・・・・・鯨?」

 

鯨頭の土竜と言えばいいのだろうか、俺の二倍ほどの高さを持った怪物が先程俺のいた場所から大地を貫いて現れ、辺りを彷徨う。

 

「あれにおわれてこまってるの!なんとかしなさい!」

 

「なんとかしろって言われてもなぁ・・・・・・」

 

奴、鯨土竜は鉄のような鎧を全身に纏っており、その様子はさながら装甲車と言っても差し支えないだろう。

 

おっと、さっき俺が掘った沼柱の所に来て・・・・・・

 

沼柱を探すけど見つからなくて怒り始めて・・・・・・・・・

 

辺りを見回す最中に俺と目が合って・・・・・・・・・・・・

 

「シギュギュギョォォオオオオオ!!!」

 

「逃げろぉぉおおおお!!」

 

「なにやってんのよぉぉおおおお!!」

 

鯨土竜が全力で岩場に衝突し、轟音と共に周囲に粉塵が舞い散る。

回避に成功した俺は状況を確認、鯨土竜は当然のように無傷であり、自滅を狙うことは不可能だろう。

そしてさっきの少女はというと・・・・・・

 

「ばかぁー!あほぉー!まぬけぇー!」

 

俺の足にしがみついて泣きじゃくっている。

てか力強っ、俺よりステータス高いんじゃないか?

 

「お前、普通に殴ればアイツ倒せるんじゃねーか?」

 

「ばかいわないでよっ!ちかづきたくもないわ!」

 

「シギョギョォォオオオオ!!」

 

再び突進して来る鯨土竜を避け、試しにアイアンダガーで斬りつけてみるが・・・・・・駄目だ、傷一つ付いていない。

砂埃が舞っている内に少女を連れて退避。近くの岩場に身体を潜めつつ、鯨土竜の様子を見る。どうやら見失ったらしく、再び周囲を彷徨き始める。

 

「さて、どうやって倒そうか・・・・・・いや、逃げる方法を考えるべきか?」

 

「どっちでもいいわよっ!」

 

俺としては倒して素材を手に入れたいのだが・・・・・・ん?そう言えば・・・・・・

 

「ところで、俺の名前はサンラクって言うんだが・・・・・・お前、名前は?」

 

「・・・・・・なんでいまそんなこときくのよ」

 

いやまぁ確かにそうなんだが、こういうのは一度気になったら無性に答えが知りたくなるものなのだ。

改めて少女のことを見ると、一段ごとにカラーの違うダルマ落としのような妙な服装を着ており、その赤色の瞳はまるで爬虫類のそれであり・・・・・・

 

「お前、本当に人間か?」

 

「ほんとうもなにも、わたしはにんげんじゃないわよ」

 

マジか・・・・・・これ下手したらここで俺が協力したことにより将来大魔王に成長するなんてことが・・・・・・いやないな、こんなヘタレでは大魔王どころか道端のスライム役でもちゃんとこなせるか不安だ。

 

「まぁいい、取り敢えずパーティ申請・・・・・・協力関係を結ぶことってできないか?」

 

ちなみにだが、NPCとパーティを組むにはNPCの方からパーティ申請をしてもらう必要がある。これでパーティを組めたらそれでよし、できなかったら・・・・・・その時はその時だ。

 

「べつにいいけど・・・・・・そのまえに、あなたをしんようできるようにするひつようがあるわ」

 

「今の俺だと信頼できないと?」

 

「・・・・・・みため」

 

否定したいがド正論なので何も言い返せない。

少女は俺の右腕を両手で抱え込み、まるでハンバーガーを齧り付く時のように大きく口を開けて・・・・・・妙に発達した二つの犬歯が見えるのも束の間、少女は俺の腕に思いっきり噛み付く。

流石は自慢の紙装甲。今ので半分程削れたHPに半ば呆れつつ、こんなので信頼できるようになるのか不安を覚えながら少女を引き剥がして噛み付かれた跡を見る。じわりじわりと跡からヒビ割れのようなエフェクトが身体を上り、胴全体に大きなヒビが入ったような感覚がして・・・・・・

 

パリィイン

 

『「ゴルドゥニーネの呪い」が付与されました』

『サンラクは八番目のゴルドゥニーネの眷属と化した』

『呪いの効果により装備が破壊されました』

『NPC「八番目のゴルドゥニーネ」がパーティに加入します』

『ユニークシナリオEXの条件を達成しました』

『ユニークシナリオEX「果て亡き我が闘争」を開始します』

『称号【怨蛇の眷属】を獲得しました』

『称号【憎悪を纏いし者】を獲得しました』

 

・・・・・・無言でステータス画面を開く。

 

──────────

PN:サンラク

LV:16(残りSP:35)

JOB:傭兵

SUB:無し

UNJ:ゴルドゥニーネの眷属(八番目)

WEP:二刀流

850マーニ

HP(体力):30

MP(魔力):10

STM (スタミナ):39

STR(筋力):10

DEX(器用):15

AGI(敏捷):49

TEC(技量):20

VIT(耐久力):1(11)

LUC(幸運):75

スキル

・スピンスラッシュ

・スパイラルエッジ

・ナックルラッシュ

・タップステップ

・フラッシュカウンター

 

装備

左右:アイアンダガー

頭:凝視の鳥面(VIT+2)

胴:ゴルドゥニーネの呪い

腰:毛皮のズボン(VIT+5)

足:毛皮の靴(VIT+4)

アクセサリー:無し

 

ステータスポイントボーナス

MP ×0.8

STM ×1.4

AGI ×1.4

VIT ×0.7

LUC ×1.5

 

パーティメンバー

・八番目のゴルドゥニーネ

──────────

 

さて、色々と言いたいことがあるが・・・・・・

 

「余計見た目悪化してんじゃねぇかぁぁぁあああああああ!!!!」

 

「シギュゥウウギョォォオオオ!!!!!」

 

「だからさけばないでよばかぁぁああああ!!!」

 

何が見た目で信頼できないだ!折角上裸鳥頭から卒業したと思ってたのによぉぉおおおお!!!




兎達を差し置いて相棒枠はウィンプちゃんになりました
一体どうして旧大陸にいるのだろうか・・・・・・
(ヒント:インテリジェンスハイパーバズーカ)

本音を言うと早くウィンプちゃんを出したかったので連続投稿したってのは内緒

【憎悪を纏いし者】:何れかの部位に「ゴルドゥニーネの呪い」が付与されることで入手できる称号

Q.この場合発生するのは「汝果て達の呼び声」じゃないの?
A.事前にパーティを結ぶ約束になっていたので「果て亡き・・・」が発生しました。ある意味温情ですね。

追記(2025/01/12 13:14)

Q.今回の除夜ゲロで「果て亡き・・・」発生には実力を示さないといけないって明言されたけど・・・・・・
A.うわぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!!!!!!!



・・・・・・まぁウィンプだしヘタレだしってことで
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