並行時空のフロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに初日突貫す〜 作:栗実成
◆
「さて、そろそろ利き蛙の目的を教えてくれたって良いんじゃないか?」
結局、五十回連続正解という今後破られることのないであろう大記録を打ち立てた俺は、改めて俺達を呼び止めた張本人、ライモンドと名乗る
「えぇ、お話いたしましょう。
さてサンラクさん、ここまでの利き蛙で何か気づくことはありませんでしたか?」
えっこれもしかして不正解だったら教えてくれないパターンか!?えぇい頭を振り絞れ!下手したら最初から利き蛙をしないといけないんだぞ!味覚制限のせいで結構難しいんだからな!
「ふむ・・・・・・同じ料理でも、調理者の腕前は勿論、素材の入手方法でも味が大きく変わる。そう言うことか?」
「・・・・・・その通り。良い料理には良い調理人、そして良い素材が必要となります」
成程、話が見えてきたぞ。
「つまり、俺にその素材集めってのを手伝って欲しいわけだ」
「はい、鉄喰いを倒してみせた貴方にならば任せられる。そう信じてお声掛け致しました」
どうやらコイツは俺が鉄喰いの素材を売り払った様子を見て、俺の実力に可能性を見出したようだ。とはいえ・・・・・・
「気持ちは嬉しいが、生憎俺も開拓者だ。今夜にでもこの街を立つつもりだし、手伝うことは無理だと思うぞ」
「勿論私だけならそうなるでしょう。しかし私達、『太陽の麦』からの依頼だとすればどうでしょうか」
『ユニークシナリオ「至高の一皿を求めて」を開始しますか?』
「っ・・・・・・!?」
ライモンドの言葉と共に視界に表示されたユニークシナリオという文言に一瞬大声を出しそうになったが慌てて口を押さえる。周囲に怪しまれているような気がするがバレてなければ別に良い。
どうやらこのシャンフロというゲームにおいて「ユニーク」と名のつくものは値千金の価値があるらしく、今日の学校でも兎の国のユニークがどうとかリュカオーンがユニークだどうとかと話題に絶えることがなかった。
涼羽の言によると、ユニークシナリオであっても多くの人が発生させているものはそこまで価値のないものが多く、珍しいものであればある程大きな恩恵が得られ、独占することによって他のプレイヤーに差をつけられる。
もし楽郎がユニークを自発させたなら私も手伝うからぜひ教えて欲しい・・・・・・とのことだ。
思い返せばウィンプと出会った時に発生したユニークシナリオEXもネットには一切言及がなく、現状発生させているのが俺だけという可能性も捨て切れない。もし涼羽の言う通りならウィンプが大きな恩恵に絡んでいるというわけだが、あのヘタレにそこまで価値があるとは・・・・・・一旦話を目の前のユニークに戻そう。
今回発生したユニークシナリオ・・・・・・自発条件は利き蛙で好成績を収めた後、ライモンド───いや、太陽の麦の構成員からの質問に正解することで間違いないだろう。構成員によって利き蛙が利き魚になったり、利き蛙は鉄喰いのような強力なモンスターを倒さなければ参加できないみたいな細かい条件はありそうだが、概ねはその通りだろう。
さて、重要なのはこれを秘匿するか否かってことだが、それについては受注してから考えてみることにしよう。ってかこのゲーム、大した内容も教えられていないのに受注するかしないかを決めろって不親切過ぎないか?
「・・・・・・わかった、話を聞かせて貰おうじゃないか」
「ありがとうございます。では、場所を変えさせていただきます。付いてきてください」
『ユニークシナリオ「至高の一皿を求めて」を開始します』
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
ライモンドに連れられてやって来た先は、セカンディルの端にあるそれなりの広さを持つ屋敷だった。
応接間に案内された俺達は、ライモンドが持って来た紅茶を飲んでいたのだが・・・・・・
「味がある・・・・・・だと!?」
「かぜでもひいたの?てっきりひかないものだとおもってたわ」
おいゴラ誰が風邪ひかないバカじゃ。
そうではなく、紅茶が紅茶の味をしている───つまり、シャンフロ内での味覚制限が何故かこの紅茶には掛かっていないというわけだ。
「昨日も同じことを言われましたよ。さてサンラクさん、先程の内容、引き受けてくださいますか?」
昨日も同じこと・・・・・・ってことは既に他のプレイヤーがここでこの紅茶を飲んだ、つまり同じユニークシナリオを受注したってことだろう。
そうなってくると情報を公開するかどうかは俺の一存では決められなくなってくるが・・・・・・
今回俺が受注したユニークシナリオは、料理人によって構成されている組織───太陽の麦と契約し、定期的にレアモンスターの食用素材を売り渡すという内容だ。見返りとして俺は、
相場よりも高くモンスターの素材を売ることができ、太陽の麦傘下の店での割引が受けられ、料理人としての技能を教えてもらえるとのことだ。
まぁつまりこのユニークシナリオは「料理人に就職するためのシナリオ」であるというわけだ。
しかし欠点もあり、全ての街で教えてもらえるとはいえ、料理人になるためにはそれなりの時間が必要になるという。
そして当然、それだけの時間攻略が滞るというわけだ。
別に料理人そのものが目標であるなら別にいいのだが、俺の目標は攻略最前線───所謂トップ層に入ることだと言っていい。十中八九生産職である料理人になるために時間を費やしたくはないわけだ。
「とはいえ、教えてもらわないってのもまた勿体ない・・・・・・」
「またぶつぶついってる・・・・・・」
悪いなウィンプ、NPCしかいないのだからとつい独り言が・・・・・・
「そうじゃんお前がいるじゃんウィンプ!!」
「えっなにちょっとつくぶぁ」
「ライモンド!コイツに料理人としての技術を教えてくれないか!?」
「ちょっと!わたしはなにむぐぉっ!」
「えぇ、構いません。それではサンラクさん、この証を」
そう言ってライモンドが差し出した証───「日照麦の刻印証」を受け取り、インベントリに入れる。服に付けることもできるらしいが、上裸の俺には縁のない話だ。
「組合員に会った際にはその証をお見せください。事情はこちらの方で伝えておきますので」
「あぁ、助かるよ」
「わむゃみゅみゃむにゅうう」
ウィンプちゃーん?ちゃんと人の言葉で喋りましょうね?
暴れるウィンプを取り押さえながら屋敷を後にする。鉄喰いの素材を売っていたらすっかり日も落ちてしまったし、そろそろ鍛冶屋に行ってみるとするか。
眠い(投稿時間午前2:40)(多分後で書き直す)