並行時空のフロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに初日突貫す〜 作:栗実成
今ならリュカオーンだって倒s......
◆
サードレマという街は言ってしまえばファンタジーの大都市であり、プレイヤーは勿論数多くのNPCが拠点としている街である。
故にそんな街の大通りを幼女に引き摺られながら進む半裸の鳥頭の噂が広まるのも早く、大勢の野次馬に取り囲まれながら俺達は宿屋へと辿り着いたのであった。
「ふぅ・・・・・・酷い目にあった」
「こっちのせりふよっ!」
セーブポイントを更新してすかさずリスポーンした俺は、身体が正常に動くことを確認すると窓から外の様子を垣間見る。
やはりと言うべきか数名のプレイヤーが大通りから張り込みしており、このまま呑気にチェックアウトしてしまえば彼らに捕まることは必至だろう。
「おかしい・・・・・・俺は普通にゲームをプレイしていただけなのに」
まるでプレイヤーに追われる身になるのが運命であるかのような作為的な感覚を振り払いつつ現状の解決策を模索する。
正直時間的にログアウトしてもいい頃合いなのだが、できれば今日中にこの街にあるという太陽の麦の拠点へとウィンプを連れて行きたいところだ。
時間がかかるコンテンツである以上、取り掛かるのは早い方がいい。
一応別ゲーでの知り合いであるペンシルゴンとはフレンド登録をしておいたのでいざという時は呼び出せるのだが、これ以上貸しを与えたくないので最終手段に位置付ける。
「ウィンプも姿を見られてしまっているし、一体どうすれば・・・・・・ん?」
ふと思い立ってウィンプの方を向く。
現状最も避けたいことは俺達二人揃って捕まることであり、最悪俺が捕まってもウィンプが証を持って太陽の麦の拠点に辿り着けさえすれば事情を察した彼らが保護してくれるだろう。
ウィンプを孤立させることは危険である気がしてならないが、これでもAGIは俺よりも上であるため逃げ切れる可能性は俺よりも高い。
そして俺が注意を引きさえすればその可能性は更に高くなる。
「ウィンプ・・・・・・やってくれるか?」
「えっなにどういぶびゃっ!」
思い立ったらすぐ実行だ。
矢継ぎ早に作戦を伝えた俺はチェックアウトを済ませ、ウィンプを扉の影に退避させておいてから堂々と外へ出る。
周囲の目線が変態へと向き、その発する言葉を待つ中・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・コケコッコー!」
「逃げたぞ捕まえろ!!!!」
開口一番予め起動しておいたアクセルによって加速した脚で逃走を図る。
発せられるスキルエフェクトで予想でもしていたか張り込んでいたプレイヤー達もスキルを駆使して追いかけてくる。
「あのアルビノ幼女ちゃんはどこ!?」
「ペンシルゴンの協力者か!?アイツの情報を吐きやがれ!」
「ゲーム新報の者ですがお時間をいただいてもよろしいでしょうか!?」
「コケッ!?コッコッコッコケコー!!」
思い思いの理由で追いかけてくるストーカー達をクソゲーマー奥義迫真鶏真似で牽制。幕末でも何回か刺客を欺いたリアルスキルが炸裂するも姿を見られた状態では効果がないのか一向に追跡の手を止める気配がない。
後方確認にてウィンプを捕捉、どうやら注意を引けたようで周囲にはただの通行人しかいないようだ。一応地図も持たせておいたので無事に辿り着けるはずだ。ありがとうライモンド、ちゃんと地図まで書いてくれる人格の良さには感謝しかない。利き蛙とかいう謎センスはさておき。
さて、一方俺は相手がプレイヤーということもありその差が一向に開かない。何度か裏路地を使用してみるが見失わずに付いてくるあたり、追跡に適したスキルを使用しているのかもしれない。そうなったら逃げ切ることは困難を極めるが・・・・・・てかマズイ!こんな格好で爆走しているのもあってわらわらと追ってくる奴が増えてきてる!おいそこのプレイヤー邪魔だどブフォッ!!!
通行人からの突然のラリアットで身体が吹き飛び地面に倒れ伏す。
一桁となった体力を見て即座に回復し剣を構える。流石にこんな街中でPKとは思えないが念のため警戒して顔を上げる・・・が・・・・・・
「りょ・・・・・・ハルナク、どうしてここに?」
「どうしてってこっちの台詞なんだけど!?何その格好!?」
謎の既視感を覚えながらラリアットした張本人であるハルナクを見る。
斎賀さんと一緒にクエストをやると言っていたがもう終わったのだろうか。そうだとしたら・・・・・・
「りゃ・・・・・・サンラク、君」
「サイガ-0」───「
「い、いやぁ・・・・・・本日はお日柄も良く・・・・・・」
「確かに今は友引の夜ですが・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あっあそこにリュカオーン!!!」
移動系スキル全起動、一瞬の内に壁をよじ登って屋根を走る。
面倒事は明日の自分に丸投げし、気まずい空気を振り切って俺はウィンプの下へ向かうのであった。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「なにそのぬの」
「半裸よりかはマシだろ?」
「へんたいがへんじんになっただけ」
人が付いたあたりマトモになったことは間違い無いだろう。
現在の俺は露天商から買った
「んで、アンタが太陽の麦の組合員とやらか?」
「うむ!我こそが太陽の麦No.2の料理研究家、人呼んで『
何やら癖の強い名乗りを上げた少女───話を聞く限り太陽の麦サードレマ支部の支部長であるというパンダマは早速支部を案内し始める。
俺のような契約した開拓者が売った素材は一度各街の拠点へと預けられ、そこから其々の店へ卸す仕組みのようだ。
ただ素材を売る以外にも、店からの依頼も拠点を通して受注することができるようで、試しに泥掘りの素材の依頼をこなそうとしたのだが、状態が良くないとのことで却下されてしまった。
確かに倒し方が云々とライモンドも言っていたが、まさかフレーバーではなくしっかりとその判定もあるとは流石シャンフロだ。
「そしてここが我がサードレマ支部の目玉!父上が築き上げた楽園!我が愛しの研究室じゃあ!!」
そう言ってパンダマが扉を開けた先には隅々まで清潔に保たれたキッチンと所狭しと並ぶ調理道具、そしてボードに掛けられた様々なレシピに慌しく行き交う料理人達。
料理研究においてこれ以上ない環境が整備されており、その様はパンダマの言う通り楽園と形容できるだろう。
「ウィンプと言ったかの?ライモンドから話は聞いておるぞ、天才料理研究家であるこのパンダマに教えを請いたいそうだな!」
「いやっちが「そうなんですよ!ウィンプがどうしても一流の料理人になりたいって言うんで!」
「だかりゃ「案ずるでないぞウィンプ!我の手に掛かれば料理人どころかその上、料理研究家にだってなれるであろうぞ!」
「う、うぅ・・・・・・」
「ん?ウィンプ、大丈夫か?」
「そうかそうか!泣くほど嬉しいか!これは我も本気で教えてやらんとな!!」
「えぐぅ・・・・・・、ゔぅ・・・・・・」
「あのーパンダマさーん?」
「こうしちゃおられん!早速修行に入るぞウィンプ!まずはこのエンパイアビーの頭をこうやって・・・・・・」
「ゔあ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"あ"あ"あ"ん"」
「なんだウィンプ、泣いてば「ちょっとパンダマさんストップストップ!!!」
泣きが、美少女としてのアドバンテージを完全にかなぐり捨てたガチの泣きが入ってしまったので慌ててパンダマを黙らせる。
周囲にいた料理人達も事情を察したのか即座に駆けつけてウィンプの保護を行う。俺も近づこうとしたが料理人の一人に断られてしまった。うん、俺も悪かった。そんな目で見ないでくれ、ウィンプが多少押しに弱いことは知っていたのにここまで放置したのは悪かった!
「もういや・・・・・・はちのあたまがねじきれてめがでてなかからのうみそが・・・・・・」
「何を言って「パンダマさんは静かにして下さい!!」
別室へと連れて行かれるパンダマ、こんなんがトップで大丈夫なのか・・・・・・?
一応ウィンプには他の人が担当についてパンダマとは極力会わせないようにしてくれるらしいが、泣き疲れて寝てしまったウィンプを見てさっさと次の街へ行くべきだと確信したのであった。
シャンフロの女性キャラは大半が変人ってそれ一番言われてるから
パンダマは自らを料理研究家だと言っていますが、実際のメインジョブは■■■■です。