並行時空のフロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに初日突貫す〜   作:栗実成

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急に増加し始めてビビってます、これが評価バーパワーか・・・・・・!

まぁしばらくはグダグダ展開多めになりますが!


第二十三話 蚊取り線香を描くように

 

日付は変わらず、数時間後。

 

「あー、つっかれた」

 

完全燃焼した俺の精神によって動かなくなった身体をスキルで無理矢理動かして太陽の麦へと向かう。

事情聴取やら家の清掃やらで時間をかけてしまい、すっかり夜になってしまった。うーむ月が雲で隠れててよく見えないな、こんな気分の時に空はせめて晴れていて欲しかったのだが・・・・・・

 

「おーいウィンプー、いるかー?」

 

「・・・・・・おかえり」

 

あれからほぼ一日が経ったこともあり、すっかり落ち着いたウィンプが出迎える。

支部にはパンダマを始め、そのお付き数名の生活スペースも完備しており、ウィンプはその中の空室を借りて宿泊している。

(見かけ上)子供ということもあり、タダで泊まってもいいとパンダマから言われているが、一応礼儀ということで少しの金銭を払ってウィンプを引き取る。

 

「それでさんらく、いまからどこへいくの?」

 

「うむ、それはだな!」

 

「そのはなしかたやめてっ!」

 

口調にすらビビるとかどんだけトラウマになってるんだよ・・・・・・

まあそれはさておき、今いる街、サードレマは四つの街へと繋がっている。

一つ目は俺達が通ってきたセカンディルへと続く四駆八駆の沼荒野。

二つ目はフォスフォシエへと続く千紫万紅の樹海窟。

三つ目はファイヴァルへと続く栄古斉衰の死火口湖。

四つ目はシクセンベルトへと続く神代の鐵遺跡。

 

さて、沼荒野を除く三つのルートの中から開拓者は好きなものを選んで進むことができるのだが、この中で一番選んではいけないものはどれか。

それは千紫万紅の樹海窟であり、理由はそこにスポーンするモンスターにある。

 

千紫万紅の樹海窟は巨大な迷宮洞窟の内部に色とりどりの植物が樹海のように生い茂っているエリアだと聞いている。そしてそこにはエンパイアビー───昨日パンダマがウィンプの目の前で頭を捥いだモンスターが生息域にしているという。

確実にトラウマを刺激するであろうエンパイアビーが多数生息するエリアなどウィンプを連れて歩くことはできないというわけだ。

 

そして神代の鐵遺跡だが、宙に浮く鉄板から名付けられたエリアということもあり、これまでのファンタジー世界観とは一転してサイエンス味溢れるエリアとなっているそうだ。そうなってくると攻略法も大きく異なり、もし銃とかが出てきたら厄介なのでこれもパス。

シャンフロ内に銃が存在するかどうかは知らないが、もしものことを考えて避けておきたい。

 

そうなってくると残るは死火口湖になるが、これは逆に今の状況と非常にマッチしている。

前述の二エリアは所謂「ダンジョン型」エリアであり、迷宮のように入り組んだ道を進んでいくため当然だが時間がかかる。

一方で死火口湖は「オープンワールド型」エリアである。いやシャンフロ自体がオープンワールドではあるがそういう意味ではなく、この場合はバカでかくて見通しの良いエリアという意味で用いている。

ダンジョン型エリアは数ある分岐の中で正解の道を選ばなければ進めないが、オープンワールド型エリアにはそれがなく、ただ突き進むだけで次のエリアまで行くことができる。

とはいえ前者でも正解のルートだけを突き進めば時に後者よりも早く次へ進めることがあるのだが、サービス開始初期ということもあり、未だにサードレマまでの道のりしか整備されていない攻略サイトを見る限り現状カンニングすることは不可能に近いだろう。

 

 

 

「というわけで死火口湖にやってきたわけだが、でっけぇなぁこれ」

 

今俺がいるのはエリアの中央にある巨大な死火山の縁、その火口に溜まった湖を一望できる特等席だ。

 

「やっぱり独立した湖ってのもあって、大した魚は釣れないな」

 

サードレマの道具屋で買ってきた釣竿を早速試してみるが、釣れるのは小魚ばかりで言ってしまえば面白味がない。そもそもこんな所で魚が釣れる方がおかしいのだが、きっと鳥が落としてしまった餌達が繁栄したのだろう。

 

「さんらく、あれがくるわよっ!」

 

「了解!」

 

ウィンプの指差す先、死火口湖の岩肌にいる時だけ襲ってくる雁型モンスター「ボルテクスグース」が大きく円を描くようにして俺達の上空を飛ぶ。

 

あれは蜂が餌を仲間に伝える時に行う円形ダンスのようなものではなく、むしろその逆───自身の獲物を奪われないよう確実に仕留めるための行動である。

 

ボルテクスグースの周回速度が速くなり、段々とその高度を下げていく。

一方俺達は移動せず、ただひたすらにその時を待つ。

そして奴の高度が俺達と同じになり、じわじわと囲む円が小さくなっていく。

 

こうしてセルフかごめかごめで獲物の逃げ場を奪うってのが奴の基本戦術であり、岩肌の斜面を利用してもご丁寧に角度を調節してくる様から一度囲まれてしまえば脱出は困難だと思ってしまうのが常だろう。

 

しかし俺は聞いた、いや聞いてしまった。

このボルテクスグースの一匹包囲網はとあるスキルを持つプレイヤーにとっては簡単に突破できるのだということを。

正直こういった裏技的なのは自分で見つけるからこそ楽しいのであってと色々物申したいことはあるが、それはそれとして攻略の助けになるのならやらない手はない。

 

「ねぇ、ほんとうにやるの?」

 

「安心しろ、駄目だったら俺が死ぬだけだ」

 

「おいてかないでよっ!」

 

だったらウィンプも道連れに・・・・・・と思ったのだがこのゲームのNPCはやはりリスポーンしないらしく、一度でも死んでしまえば二度と会うことが叶わないのだという。

正直これがデマだった場合のリカバリーは考えていないのだが、この死火口湖においてもウィンプのレベルはかなり高いものであるため、ユニークシナリオの中核を担う疑惑のあるNPCにすぐ死ぬような調整をするクソ運営でない限り多分大丈夫だ。

 

「さて、危ないから屈んどけよ」

 

「だめだったらせきにんとってよね!」

 

「わかった、約束だ」

 

本当に駄目だった場合は責任の取りようがない気もするが、こういうのは約束すること自体に価値がある。少し落ち着きを取り戻したウィンプからボルテクスグースに視線を移し、両手に握るのは鉄裂の爪刃。

 

奴の回転が収束し、俺の身体を粉砕しようと迫るその瞬間。

 

「スピンスラッシュ!!」

 

スキルの発動と共に俺の身体がガイドに導かれるままに回転し、奴の回転と正反対に剣を振るう。

逆回転の歯車のようにお互いがその()をぶつけ合い、相反する渦に敗れたボルテクスグースの身体が裂け、ポリゴンとなって消え失せる。

 

「・・・・・・ずいぶんあっさりたおせたわね」

 

「裏技ってのはどれもそんなもんさ、たまーに偽物が混ざってはいるが」

 

いつの時代も人を騙そうとする厄介者がいることは変わらないが、裏技サイトなんてものが流行った数十年前なんかはそれはもう酷かったらしく、レアキャラを入手できると謳った裏技の正体がデータ削除の方法なんてこともあったそうだ。流石にそこまで露骨だとバレそうだが、そのゲームが子供向けってのもあって大勢の犠牲者が出てしまったらしい。

 

「一方俺はゲーム内の指示に従ったらデータ強制削除・・・・・・うぅ、思い出したら頭が」

 

「またはじまった・・・・・・!」

 

いやホント、ヘルプのテキストとヒロインのセリフ間違えるとかどんなミスやらかしてんだよ全く。ゲームの序盤だったから軽傷で済んだものの、グラトーニエ討伐直前とかだったらマジで発狂する自信がある。

おのれフェアクソ!お前みたいなゲームに!ヘルプをフェアカスのメモにするみたいな変な世界観重視のこだわりは要らないんだよ!もっと改善すべきところが沢山あるはずだろ!

 

「あー思い出したらまた腹が立ってきた・・・・・・!」

 

「だからなんできゅうにおこりぶびゃぁ!」

 

よしウィンプ!!エリアボスにフェアカスへの恨みをぶつけに行くぞ!!!




フ「ふふん、教えて欲しいですか?この状況を打破する私のとっておきの呪文を!」
フ「天に向かってオールリセットと叫ぶんですって!」

サ「(えっこれ俺が叫ぶパターンなの?)オールリセット!!」

ぼうけんのしょがきえました!


これはサンラクが悪い
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