並行時空のフロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに初日突貫す〜   作:栗実成

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第三話 効率の果てに文明を捧ぐ

 

「『歴史と遺跡の中に息づく過去の遺産から神人達の軌跡を辿る』か」

 

どうやらなんだかんだあって高度な文明を持つ人類が新人類であるプレイヤー達を残して滅亡して数千年経って・・・・・・・と言った感じで中世の文明にスパイスとして未来文明が効いたよくあるファンタジーな世界らしく、第一印象は万人受けしそうな普通のゲームと言ったところだろうか。

 

大半のクソゲーはパッケージ裏の説明文や写真の時点でもう駄目そう感が溢れ出ているのだが、シャンフロに関しては漂う雰囲気は良ゲーのそれである。しかしパケ裏では和気藹々とした様子を写しておいて実際は修羅・・・・・・なんてことはざらにあるのでまだ油断はできない。

 

そう言えばそのゲームでの友人の一人もシャンフロをやるって言ってたっけな・・・・・・彼女も最初は事前情報とのギャップに驚いていたものの、今じゃすっかり初心者狩りに勤しんで・・・・・・・・・・・・おっといけない。

クソゲーの考え過ぎで脳までクソゲーに染まってしまっては折角の神ゲーもクソゲーに見えてしまう。

シャンフロのパッケージを取り敢えず判別不能の棚に置き、ゲームカードをヘッドギアに挿す。

 

・トイレは小も大も済ませた上で水分と栄養補給を済ませる事。

・ガチでやる必要がない場合はベッドに横たわってプレイする事。

・起きてすぐ水分補給できるようにペットボトル飲料水は近くに置いておく事。

 

VRゲーマー基本三箇条を確認した俺は、ヘッドギアを装着してベッドに横たわる。

 

「さて・・・・・・始めるか」

 

こうして俺は、何ヶ月振りか分からないほど久々に神ゲーを始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ・・・・・・凄いな、職業にメインウェポン、出身まで選べるのか」

 

この手のMMORPGではお約束と言っていいキャラメイクで、俺はメイキングの自由度に瞠目する。

 

どうやらこのゲーム、出身と職業はステータスの成長に補正が入るようで、キャラメイクはそれらを決めた後にするつもりなのだが・・・・・・

 

「ダメだ!クソゲーに毒され過ぎて職業選択の自由に感動してしまう!」

 

酷いやつで言うと「Genchi」なんかは最初に豊富な職業欄を見せてから、選択しようとすると画面が割れて強制的に皮剥ぎ職人にさせられるからな。あの時は改めて人権の大切さを思い知らされたものだ・・・・・・もしかしてクソゲーは道徳の教科書だった!?

 

「いやいや、あんなグロゲーを子供達に見せるのは流石に駄目だ。やっぱりクソゲーはクソだな」

 

そんな当たり前の事を再確認しながらキャラメイクを進める。

 

「メインウェポンはあくまでスキルに補正が入るだけか・・・・・・なら二刀流でいいな。」

 

職業はDPSや覚えられるスキルから考えると傭兵が良さそうだ。

 

「これにあった出身は・・・・・・彷徨う者だな。」

 

出身にはどれも上昇補正と下降補正がセットになるようだが、彷徨う者は防御に下降補正が入る代わりに幸運に上昇補正が入る出身だ。このゲームの幸運はクリティカル率やドロップ率に影響するらしく、職業も似たような補正であるため、いい感じに特化型の構築になるだろう。

というわけで大凡のイメージが出来たのでそれに基づいたキャラメイクを行う・・・・・・・・・・・行ったのだが。

 

「これは・・・・・・・・・」

 

完成したのは、半裸に鳥面を被った長身痩躯の男キャラ、奇しくもフェアクソで散々慣れ親しんでしまったあの姿と大して変わらない変質者だった。

 

いや、言い訳をさせて欲しい。誰の為にと言われたらそれまでだが、俺の名誉に関わるような気がしてならないのでそうさせてもらう。

どうやらこのゲーム、初期設定の段階で装備を売り払うことができるらしく、傭兵の初期装備を武器以外全て売り払った場合、初期の所持金がなんと通常の三倍になるのだ。この手のゲームでは金が割とバカにならず、フルダイブであるが故に薬草採取一つにしてもかなりの労力が必要となるため、どうしても金欠に陥りがちなのである。

それに俺のプレイスタイルは紙耐久高機動、防御を捨てて動きやすさを重視することが多いため、防具よりも武器を優先するタイプなのだ。

それ故の装備売却・・・・・・だが、流石に生身のプレイヤーが多くログインするであろうシャンフロにて素顔晒して半裸プレイは周囲の視線が気になるものである。いやまあ鳥面を被ったところで薄らぐどころか寧ろ悪化するだろうが、それでも面一枚隔てるだけで気持ち的には幾分かマシになるので、キャラメイクで選べる面の中で最も安かった「凝視の鳥面」なるやけに目力の強いハシビロコウの覆面を被ることにしたのだ。

 

「いや、流石に一人ぐらいは同じことやってるやつはいる・・・・・・・・・はず!!」

 

葛藤をまだ見ぬ同志への期待で掻き消しつつ、キャラメイクの最後であるプレイヤーネームの設定に移行する。

とはいえここで迷うことはない。

俺はどんなゲームでも名前は統一する派であり、故に数々のクソゲーを制覇してきた名をこの変態・・・・・・否、彷徨える傭兵に授ける。

 

「サンラク、と・・・・・・」

 

(サン)」務「(ラク)」郎、とまぁ安直であるがプレイヤーネームなどこんなものだ。

 

「さぁ、神ゲーの力を見せてもらおうじゃないか!!」

 

最終決定、彷徨える傭兵(はんらのへんたい)が遂にシャングリラ・フロンティアの世界へと・・・・・・・・・・・・・・!!

 

 

 

 

 

『サービス開始まで残り 42 分』

 

そう言えばこれ、まだサービス開始してませんでした。




この世界ではシャンフロの発売が一年遅れています
だからゲーム内仕様が多少変わってもおかしくない・・・・・・はず!(ガバの温床)
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