並行時空のフロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに初日突貫す〜   作:栗実成

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そろそろ涼羽と妖怪カッツォKの関係を明らかにしていきたいけど登場するのがだいぶ後なんだよなぁ


第三十話 斎賀玲死す

 

「アッハッハー!今の俺ナら○大数学だっテ楽勝だゼー!!!」

 

翌日(四月十日)、寝ぼけた頭で私のエナドリをキメて登校した楽郎(お兄ちゃん)は、脳の過剰活動により一限の数学で無双したようで、私が教室に着いた時には友人を前にそんな大口を力強く叩いていた。

 

「一歩間違えれば私もこうなっていたのだと思うと恐ろしい・・・・・・!」

 

「涼羽!楽郎がおかしいんだけど何やらかした!?」

 

「私が悪いこと前提で話すのやめてくれない!?」

 

いやまぁエナドリをテーブルに放置してた私も悪いんだけども!楽郎が勝手に飲まなければこんなことにはならなかったのであり、総合的に見れば九対一で楽郎が悪いのは自明だ。

 

ちなみに彼が飲んだのはライオットブラッドというシリーズの最新作であり、徹夜明けに一気飲みすればこれがまぁ効くのである。勿論合法だよ?

 

「飲んだ時間的にも二限が始まるまでには正気に戻ると思うけど・・・・・・楽郎はこれが初ライブラだろうし耐性がなぁ」

 

一方私はゲーム友達にしておもちゃである某Kに勧められて飲み始め、今ではアクセルにも耐えられるようになった。()()()その際には前後の記憶が失われるのだが、飲んだという記憶自体は残っているのでセーフだろう。

 

「アレ!?ドウシテ涼羽ガココニイルンダ!?」

 

「・・・・・・次の授業が二クラス合同体育で、女子は楽郎のクラスが更衣室になっている、おーけー?」

 

「ウガー?」

 

言葉が理解できないようで首を傾げる楽郎、もう私の兄は駄目なのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・日はレクリエーションとして社交ダンスをやってもらう」

 

翌日(四月十日)、いや夢の中か?目が覚めるとそこは学校であり、俺はいつの間に着替えたのか体操服姿で体育の授業を受けていた。

 

試しに頬をつねってみるが痛みがある。成程確かにここは夢で・・・・・・え?

 

「何故痛みがある・・・・・・!夢にもシャンフロエンジンが搭載されたか!?」

 

「何寝ぼけたこと言ってんだ陽務楽郎、ここは現実であってゲームではないぞ!」

 

突然の叱咤、体育教師の通称オリーブオイル先生がシャンフロを認知していたことはさておき、どうやらここは現実であるらしい。いやなんで!?

 

 

 

「・・・・・・そして何故涼羽と踊る羽目になった」

 

「踊れる人が私達しかいなかったのが運の尽きだったね、ダンス部は大体が理系だし」

 

「そして選ばれたのが帰宅部二人、と」

 

そもそも涼羽が自分踊れます宣言をしなければこうはならなかったわけで、わざわざ手本なんて面倒くさいことを志願する理由を聞きたかったが、これ以上疑問の渋滞に巻き込まれるわけにはいかないので今は無心でデモプレイを全うすることにしよう。

 

種目はタンゴ、指定されたステップも簡単なものなので俺達にとっては朝飯前だ。

というのも、数週間前に「舞踊武士」という推定神ゲー(クソゲー)を発売直後に二人でプレイしており、その時に大体のダンスは覚えてしまったのである。

 

「ゲームで覚えるお手頃ダンス」をコンセプトにし、普段アクションゲームばかり遊ぶ層を対象にしたのであろうあのゲームの何がやばいかっていうと、戦闘音やら叫び声やら何故か消えないタイトル画面のBGMやらが流れる中、時代背景にそぐわないラジカセから出る小音の音楽を頼りに完璧なダンスを一曲踊り切らなければならないのだ、しかも剣戟もやりながら。

第八ステージ攻略中に涼羽が呟いた「不要武士」という言葉は未だに印象に残っている。

 

当然難易度はかなり高かったのだが、作中のダンスを公式がサイトに投稿していたことが幸いし、結果として現実でダンスを覚えてからゲームに臨むという本末転倒な方法でクリアし、今は自室にある「二度とやらない」と書かれた棚に保管してある。

 

 

 

 

 

 

・・・・・・とか楽郎が考えているであろう間にデモンストレーションは終了し、卒なく踊り切った私達は拍手を浴びながら取り囲む列の中へ入ってオイル先生の言葉を待つ。

 

「それじゃあ各自、男女でペアを作って間を確保しなさい、陽務兄妹は別の奴と組むように。そして余った奴は俺が組む。では散開!」

 

途端にざわめく生徒達、人数的には男子が一人余るのでそいつがオリーブオイル先生と一緒に踊ることになる。男子達が相手を探そうと必死になる様はかなり悪戯心がくすぐられるが今回の目的はそれではない。

隣にいる楽郎が動き出す前にその奥の彼女に耳打ちする。

 

「・・・・・・玲ちゃん、わかってるよね?モタモタしてるとどうなるか」

 

「ヒャ・・・・・・ヒャイ」

 

わかっているかどうか怪しい返事をした玲ちゃんを尻目に位置を調整、絶妙に楽郎が他の女子と話しづらい距離を作る。

 

「そういや楽郎、さっき途中でステップミスして私の靴踏んだでしょ、そんなことしてると背中からバッサリ斬っちゃうよ?」

 

「あーすまんすまん、それと幸千代(舞踊武士のヒロイン)思い出させるのやめろ」

 

そして楽郎と会話することで他の女子が話しかけづらい状態にして玲ちゃんの覚悟が決まるまでの時間稼ぎをする。敢えてステップミスに触れるのは「楽郎君ダンス上手かったね」から一緒に踊る流れを作らせないためだ。

え?玲ちゃんにも不利にはたらかないかって?アッハッハ、玲ちゃんが楽郎とまともに話せるわけないじゃん。

 

そうこうしている内に大体の人が組み終わり、残すは私達含めて数名となった。一瞬の隙をついて玲ちゃんに話しかけようとする不届き者がいたが協力者によって阻止される。頼花ちゃんマジナイス。

 

そして懸命な妨害工作によってこのデスゲームの参加者は残り五名となり、私達以外に残ったのは楽郎のクラスの・・・・・・確か山本と・・・・・・もう一人だれだっけ?楽郎の友達でピアスの穴に雑菌が入った・・・・・・めんどいから雑菌でいいや、そいつの二人だ。

 

二人の位置は私達と離れており、こちらに来るまでにはまだ時間がある。そしてこのタイミングで楽郎との会話を終了!これで楽郎は玲ちゃんと組む以外の選択肢がなくなり、後はどっちかが話しかけるまで残った二人を食い止めるだけだ!

 

「・・・・・・斎賀さん、俺と組む?」

 

「アブヒョッ・・・・・・アッアッアッ・・・・・・・・・・・・ハイ」

 

「なんて?」

 

よく言ったぞ玲ちゃん!そして私が雑菌と組むことによって試合終了(ゲームセット)、最後まで生き残ってしまった山本はオリーブオイルの刑に処されて各々が踊り始める。てか雑菌意外と踊れるんだな・・・・・・ん?今の声楽郎達の方から・・・・・・

 

 

 

「・・・・・・斎賀さんが死にました!!」

 

死!?

 

 

 

 

 

 

・・・・・・残念だったな涼羽よ、俺を最後まで孤立させてオリーブオイルさせようとしたのだろうがそうはいかないのが現実だ。()()()()近くに斎賀さんがいたおかげで事なきを得た俺は、オイってる山本を一瞥して改めて彼女に向き合う。一瞬言葉にならないような声が聞こえてかなりの振動が腕から伝わってくるのだが大丈夫だろうか。

 

「斎賀さん大丈夫?体調悪いんじゃ・・・・・・」

 

「・・・・・・ぇ、ぇ・・・・・・s」

 

既に曲がかかっており、他が踊り始めている中俺達はまだ最初の姿勢から動いておらず、一目で異常な状態だと判断できるだろう。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・死ですね(大丈夫です)」

 

「死!?」

 

そう言い残して倒れる斎賀さん、慌てて抱き支えるが突然のしかかったGによってこのままだと共倒れしかねない。

 

「先生!!」

 

「どうした陽務楽郎!!」

 

「斎賀さんが死にました!!」

 

「死!?」




オイる(動詞):オリーブオイルする もしくは オイカッツォする の略

オリーブオイル×魚臣慧:何にでもオリーブオイルをかける癖のついた慧きゅんがうっかりお茶にもかけてしまって苦しみながら飲み干す
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