並行時空のフロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに初日突貫す〜   作:栗実成

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お待たせしました、オリジナル展開で御座います。


第四話 未知なる世界に半裸で挑む

 

長い待機列の果て、休憩やらプロローグやらを挟んだ後、目覚めた先には・・・・・・

 

「休日のテーマパークかよ」

 

テーマパークというとあの人を思い出すがまあいい。周囲を見渡すと溢れんばかりの人、人、人・・・・・・このゲームでは出身で初期スポーン位置が決まっており、大半のプレイヤーはゲーム開始と同時に最初の街であるここ、「ファステイア」にスポーンする。幾つかある例外の内、俺が選んだ「彷徨う者」は、「ビギナー用エリアの何処かにスポーンする」らしいのだが、運悪く俺は何の面白味もない始まり方をしてしまったらしい。

 

「うわぁ!井戸から人が溢れてきた!!」

 

「なんだあの変態!気持ち悪い!!」

 

「キッッッショ!なんかヌメヌメしてるし!!」

 

前言撤回。出身を「井の中の蛙」にしてしまったのか、本当に井の中からスポーンしてしまったプレイヤー達が井戸から這い上がる様を見たら笑うしかない。

周囲の悲鳴と相まって、まるでゾンビパニックものを見ている気分だ。時々俺の方を向いて叫んでる人がいるような気がするが・・・・・・

 

「にしても、ここまでプレイヤーが多いと違和感が凄いな、なんか来てはいけない所にいる気がする。」

 

別に人混みが苦手ってわけではないのだが、俺のプレイするゲームの性質上、たとえそれがオンラインゲーであろうと自分以外誰もいないなんてことは良くある話で、大衆に紛れてゲームをするなんて経験は滅多に訪れないのだ。

 

「何をしようか・・・・・・取り敢えず現状把握だな」

 

ステータス画面を開く。

 

────────

PN:サンラク

LV:1

JOB:傭兵

WEP:二刀流

9,000マーニ

HP(体力):30

MP(魔力):10

STM (スタミナ):25

STR(筋力):10

DEX(器用):15

AGI(敏捷):14

TEC(技量):15

VIT(耐久力):1(2)

LUC(幸運):30

スキル

・スピンスラッシュ

・ナックルラッシュ

 

装備

左右:傭兵の双刃

頭:凝視の鳥面(VIT+2)

胴:無し

腰:無し

足:無し

アクセサリー:無し

 

ステータスポイントボーナス

MP ×0.8

STM ×1.4

AGI ×1.4

VIT ×0.7

LUC ×1.5

────────

 

貫禄の紙装甲、そして割りかし高めの幸運。変態を地で征くほぼ半裸装備に二刀流。

 

「もう迷いはない、後悔は過去(キャラメイク)に置いてきた・・・・・・!!」

 

正直さっきから視線が痛いが必要経費だ。目線の主がNPCかプレイヤーかの違いってだけなので割り切ることにする。

 

・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

(くそ・・・・・・薄々考えてはいたが品揃えが悪い)

 

大量の新規プレイヤーを捌く関係上、露店形式になった武器屋を覗きながら思う。野晒しにされた武器の大半は初期設定の際に見たものであり、ごく一部上位互換と言えるものがあるが、それも値段の割には他の武器に毛が生えた程度であり魅力を感じない。

 

「防具は・・・・・・一度戦って見てから決めるか」

 

あらかた武器屋を巡り終わった後、そう思い立った俺は、いよいよ最初のエリアである「跳梁跋扈の森」へ向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

サンラクが跳梁跋扈の森に続く門を潜ったのと時を同じくして、森の中で新たな開拓者がその物語を始めようとしていた。

 

「うわ、流石のクオリティだな。ビルをまるごとサーバーにしているだけはある」

 

ここ数日、TVやネットで散々特集が行われていた通り、何棟もの高層ビルを丸々サーバーに使用しているという神ゲーの放つオーラに当てられ、この男、アンダードッグは息を呑む。リアルでは愛犬が死んだ事で一週間寝込むほどの犬好きであり、その傷心を癒そうとして彼は、非現実でありながら現実さながらの犬を求めてこのシャンフロをプレイするのであった。

 

懐柔士(テイマー)は次の街、セカンディルに行けば成れるんだったかな。一応ゲームは得意な方だし、まずは一人で向かってみよう」

 

そう呟く彼の出身は「獣の子」であり、確定で森の中からスタートした彼の周囲には誰もいない・・・・・・はずだった。

 

「ねぇお兄さん、ゲームに自信があるんだって?もし良ければ僕と戦ってくれないかな?」

 

彼の呟きを聞いていたのだろう。いつの間にか彼の目の前には、和装をして剣道で見るような構えで両手剣を持った少女が立っていた。

 

「えっと・・・・・・京極(きょうごく)さんかな?悪いけど、対人戦は趣味じゃなくてね。またの機会にしてくれないかな」

 

そう言ってこの場を後にしようとするアンダードッグだったが、髑髏マークに「京極」と頭の上に表示させたプレイヤーは、彼の発言に一瞬困惑するものの、剣を構え直してこう宣言する。

 

「残念、戦ってはくれないんだね。じゃあ・・・・・・・・・・・・斬るね」

 

「えっ」

 

刹那、距離を詰めた京極をアンダードッグは捉えられず、京極の剣が光を帯びて彼の首を飛ばす。

 

「言い忘れてた事が一つあるんだけど・・・・・・」

 

最早彼の意識は次なる肉体に移ってしまっている事を察しつつ、彼女は続け様に宣言する。

 

「僕の名前は京極(きょうごく)じゃない。「京極(きょう・あるてぃめっと)」だ。」

 

慣れた手つきで存在しない筈の血糊を拭う彼女は、次なる獲物を探して森を彷徨う。

その様は、血に飢えた獅子。いや、血に飢えた志士であったとある者は語るだろう。

 

 

 

 

 

◆◆

 

第一のエリア、「跳梁跋扈の森」に入ってからはや三十分、ある程度操作に慣れ、今俺は何をしているかって言うと・・・・・・

 

「逃げんじゃねぇぇぇえええ!!」

 

「グギャギャグバァッ!!!」

 

アイテムドロップを掻っ攫いやがったゴブリンに肉薄し、骨の合間に捩じ込むように右の刃を

差し込む。急所に当たったのかクリティカルの演出と共に一撃で絶命したゴブリンがポリゴンとなって弾け飛ぶ。

 

「ドロップは・・・・・・良かった、盗まれたものまでちゃんとある」

 

正直に言うとそこまで大事なものではなかったし、こうして追いかけっこをしている合間にその二倍ぐらいの量なら手に入れられそうなものなのだが、それでも盗んだやつを徹底的に懲らしめたくなるのは人の性だ。

 

ゴブリンが落とした粗雑な手斧と、盗まれたアルミラージの肉×3を拾い、インベントリに入れ、次なる獲物を探そ「ブゥヌブゥッ!!!」

 

「・・・危ねっ!!」

 

正面から襲いかかってくる影を回避し、すぐさま剣を構えて振り向く。

 

「・・・・・・おおっと、これは喰らったら死ねるな」

 

影の飛んでいった先では木がへし折れ、音を立てて倒れる。その根本には影の正体、二足歩行の兎が血塗れの包丁を構えていた。その眼差しから向けられる殺意は、俺の魂を揺さぶり、そして奮い立たせる。

 

・・・・・・・・・あぁ、この感覚はクソゲーも神ゲーも隔てずやって来るものだな。

新しい世界に飛び込んで、さぁこれからどう攻略しようかと考える高揚感はリアルじゃ滅多に得られないものだ。

 

「さぁ!エンジョイを忘れずにやっていこうか!!」

 

俺は未だ道なきこの世界に向けて、湧き上がる興奮を刃に乗せて構え・・・・・・そして走り出す。




ステータスポイントボーナスのせいでステータスの成長がかなーり面倒になってます。
数値間違えていたらすみません。
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