シーニャ宅で女子会をしていたドラルク(ドラ美)、マリア、ターチャン、ヒナイチ。
話の流れから『編み物』女子会をすることになり…

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心も編み込んだ贈り物を貴方へ

「ハーイ!それじゃ女子会始めていくわよ〜!」

そう高らかに宣言したシーニャの言葉に、各々飲み物片手に「イェーイ」等と応える面々。

ここは退治人シーニャの自宅である。

ドラルクを“ドラ美”にしての、退治人女子会(ヒナイチ込)を定期的に開催している。仕事の有無によって集まれるメンバーはまちまちだが、主要メンバーはシーニャ、マリア、ターチャン、コユキなどである。

乾杯後は普段通りの宅飲みをしながら近況を報告していっていく。すると参加していたヒナイチが「最近編み物に興味があって挑戦しようかと思っているのだ」ときり出した。

「ほら、以前ターチャンさん・マリアさんと共にパジャマパーティーたちに参加させられた女子会があっただろう?あの時知り合った子たちとその後ちょっと“女子力”というものについて話をしていたのだ。私自身、学生時代は鍛錬に費やしてきたし飛び級で卒業してしまった。女の子同士でのそういった話題をなかなかすることがなくてな。彼女らとの話でアンチエイジングやらメイクの仕方やら色々出た中で『編み物』にハマっていた時期があったと聞いたのだ」

同じく付き合わされたターチャン、マリアはそんな事もあったなと思い出した。あの時の、あまりの“ガールズ”加減の相手に最初戸惑ったものだ。

「しかしなぁ、材料やら道具やら本も買ったもののいざ始めると編み始めがなかなか上手くいかないのだ」

そう愚痴を零すヒナイチにドラ美(ドラルク)が「今度見てあげよう」と声をかけた。

「確かに“編み物って女子っぽい”わよねぇ。ならこの女子会でも各々毛糸玉やら持ち寄って作って、誰かしらにクリスマスプレゼントとしてあげましょうよ!」

“ドラ美”の発言を聞いたシーニャはナイスアイデアとばかりに言い出した。

「えー?」と不満を漏らす人もいたものの、

「たまにはワタシらの“女子力”を見せつけるいい機会じゃない?まあ別に強制じゃないし、編まない人は編まないで様子を見ながらこうやってお酒呑んだりお喋りしたりしましょ?」

とシーニャが推し進めた。

「編み物、なぁ…」なんてマリアとかは呟いていたが、とりあえず近いうちに集まれるメンバーで始めてみることになった。

「十分な気力と時間が取れる人ならともかく、休日でも急な退治に駆り出されたりと多忙な身で、且つ素人だとセーターとかは大変だからやめておいたほうがいい。そうだね、小物かシンプルなマフラーにするのはいかがかな?」

「あー、たしかその子もセーター作ろうとして挫折したとか言ってたな。途中で飽きちゃうとかも言ってたから、そうなる前に完成させられるものがいいな」

経験豊富なドラ美それにヒナイチも同意する。吸対も退治人も緊急連絡で呼び出されてしまうことが多い為仕方あるまい。

「そうねぇ、あとセーターだと柄にセンスが出るから、それも難しい要因よねえ。せっかくプレゼントしたのに気に入らないと着てもらえなかっすると悲しいもの」

経験があるのか不明だが、シーニャがしみじみと頷くとターチャンは鼻を鳴らす。

「フン、もらっタモノにケチつけるヤツ、心狭いアル。よほどのじゃナイ限り着てやるのは礼儀アル。とはイエ、たしかに途中で飽きて放り出す事態ハありえルネ。簡単に出来上がるモノにするイイヨ」

そうして『編み物で女子力魅せよう』女子会は始まった。

「集中しちゃうと黙ってしまいがちだけど、皆でお喋りしながら作業すると意外と進められる事もあるから適当に話しながら進めましょ!皆は誰へのプレゼントにするのかしら?」

そうシーニャが切り出すと、ピクリとヒナイチが反応した。

「おぉ、なんだかガールズっぽいトークだな!そうだな、私は兄に贈ろうかと思ってる。普段は色々しょーもない嫌がらせやらされるが、一応吸対本部長として働いているようだしな」

モコモコした毛糸で濃紺色と白のツートンカラーで編むようだ。

「私はお父さんに。マフラーだと退治の途中に解けたらいけませんからネックウォーマーみたいなのが作れたらなと」

そう大人しめな声をあげたのはコユキ。

こちらは普通の毛糸で、ワインレッド1色で編んでいく。編み棒経験者なのか編み方を変えて模様を付けていく。

それを見たターチャンはフムと編み生地に目を留める。

「ふむ、いい色アルな。マスターに似合いそうネ。ワタシも一部変えてみようカナ。」

「そういうターチャンのは深緑色かしら?誰にあげるの?」

目敏くターチャンの手元に目を留めたシーニャが尋ねてみた。

「と、とりあえず自分用アル。ウチの親、この間自分で新品買てた。ダから自分で巻くツモリネ」

「自分用、な〜?それにしては色がちょっと暗くないか?」

ニヤニヤしながら眺めてくるマリアに「な、何ネ!」と一瞥しつつターチャンは手を止めずに編み棒を動かしていく。

マリアはハナから作る気はないらしく、その場にある煎餅やら菓子をボリボリ食べながら皆との会話を楽しんでいるようだ。

「ドラちゃんは、誰に編んであげるの?」

「私は勿論、世界一可愛い使い魔のジョンにだよ。普通にマフラーじゃ芸が無いからね。ニット帽子とマフラーが繋がってるタイプと、あと小さいお手手用の手袋かな〜。それでもこのドラドラちゃんにかかればあっという間に完成しちゃうからその後は皆さんの監督でもしましょうか」

ニョホホと笑うドラルクことドラ美にキランと目を輝かせたシーニャが近付いてきた。

「あらぁ、流石ドラちゃんね。じゃあジョン君の分が終わったら、アタシのを手伝ってくれないかしら?実はせっかくだからウチの子たちに新しくマフラー作るつもりなのだけど、何せ数が多くて一人じゃ大変なのよ~。シンプルなモノでいいからお願いできる〜?」

グイグイと迫ってくる圧に若干スナりつつ、何度も首を振って了承の意を伝えた。

「OK、分かった分かりました。お手伝い致しますから離れてもらっても構いませんかな。まずは愛し子の物を終わらせねば」

そんなことをお喋りしながら、皆ドンドン編み進んでいく。

流石に1度では終わらなかった為、2度目を開くとヒナイチが招いたらしくなんとサンズが飛び入り参加してきた。

「ニャハハ、この公務員と駄弁っていたらガールズっぽい事をしているようなのでお邪魔させて頂きましたですよー!ワタシも混ぜやがれですー!」

「おー、サンズさん、いらっしゃい!まぁゆっくりしていきなよ、菓子とかもあるからさ」

マリアは豪快に笑いながら手を振って陽気に迎え入れた。

「また派手な色彩のマフラーを編んでるのね。どなたに贈るのかしら?」

「ワタシが贈りたい相手はずばりロナルドしゃんです!!あの御方ほど赤が似合うヒトはいないと思うのですよ!」

シーニャの問いにふんす!!と息巻いて応えるサンズは、わりと進んでいる、鮮やかな赤を基調としたカラフルなマフラーを持ってきていた。

「サンズ君は、相変わらずロナルド君の担当になりたくて必死なんだよね~」

「そうですよ、だからちったぁ協力するのですドラルク。憧れのロナルドしゃんの担当になるために今もまだ研鑽を積んでいるのです。今回だってこのマフラーで彼に喜んでもらってフクマよりも気遣いも出来る良い編集だと思ってもらうのです!」

そんな野望を熱く語りつつも、ロナルドの服装で特徴的な十字架を端にあしらっていった。

途中で糸が絡んでしまったり小さなトラブルはあったものの、皆どうやら無事に完成したらしい。

 

その数日後、クリスマスイブの夜。

コユキは父親とパーティーをするという事で不在だが、シーニャとマリア、ターチャンは3人で呑む事にしていた。

シーニャがちょっと良いレストランに予約を入れたとかで先導して、3人はそこへ歩いて向かっていた。

「今日も寒いわねー。防寒対策バッチリしてきてよかったわ」

「そうアルな〜。身体冷すイケないね」

そうやって喋りながら歩くターチャンを隣でじっとみていたマリアはおもむろに口を開く。

「ターチャン、この前出来上がってたマフラー、今日は持ってきてないのか?」

この日ターチャンが首につけているのは普段着けている既製品のマフラーだった。服の色合い的に見ても深緑でもおかしくはなさそうだったのだが。

「アレは…」

答えようとしたその時だった。

「うにゃっ!?マリアさんたち!こんばんわです」

道路脇から出てきたのはスーツ姿のサンズだった。

「こんばんわ、サンズさん。こんな所でどうしたの?」

「ドラルクからクソゲーレビュー原稿を貰ってきたのです。ついでにロナルドしゃんにプレゼント渡したかったのですが、あいにく直前で退治の連絡が入ったようでお留守で…。駅まで歩けばもしかしたら一目お会いできるかなぁと…」

そう顔を赤らめモジモジするサンズにシーニャたちは微笑ましく思いった。まだ時間はあるし付き合おうかと考えたときだった。反対側の路地から聞き覚えのある声が飛び込んできた。

「ショット、とりあえずその上着脱いどけ、もう意味をなしてないぞ」

「あぁ、わりぃロナルド。全くこのクソ寒い時に…」

女子は顔を見合わせるとそちらへちょっと向かってみると、ロナルド、ショット、サテツの3人組が姿を見せた。

「あらら、また服を溶かされちゃったの?」

「あれ、皆どうした今から食事か?。そうなんだよ、幸い今日は上半身だけで済んだけど…ぶぇっくしょい、あーやっぱりさみぃ。また服も買い直さなきゃ」

ショットは上半身だけ裸の状態。全裸やビキニ姿よりはマシだが寒そうにしている。

ターチャンはハァとため息をつくと持っていた手持ちバックから“深緑色のマフラー”を取り出すと、ショットの首に乱暴に巻き付けた。

「バカは風邪ひかない言うけど迷信かも知れないね。くれてやるからさっさと服を着てこいイソギンチャク。マリア、シーニャ、さっさと行くね。予約に遅れる」

そう言うとターチャンは足早にその場を離れようと歩き出していく。

「あれ!?サンズさん、こんばんわ。どうしたんですかこんな所で」

「ハッ!!ロロロロナルドしゃん!こんばんにゃっ!あああのコレ…クリスマスプレゼントです…!!ももももしよろしければ使ってください!」

そう言って真っ赤になりながらもサンズもプレゼント入り紙袋をロナルドに差し出す。

「えっ、俺にですか?あ、ありがとうございます」

無事に受け取ってもらえると、「メリークリスマスですー!!」と言い残して風のように走り去っていった。

 

「じゃあ私達も行くわね~メリークリスマス!」

「あ、ああ、メリークリスマス!!」


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