仮面の慟哭と凶宴   作:咲野 皐月

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 皆さま、おはこんばんにちは。咲野 皐月です。

 二週間の間休みを挟みまして……本日も、最新話投稿を出来ました事、本当に嬉しく思います。


 それでは、今宵も恙無く開演です。


Crudelis res, sed interdum pulchra est.


↓ ↓ ↓ ↓ ↓


現実は残酷ですが、時に美しいのです。



#11 Crudelis res, sed interdum pulchra est.

「……やっば、今日に限って遅くなるとは!」

 

 

 後悔先に立たず、とはまさにこの事。

 

 

 今し方仕事が終わって帰り道に居るのだが、その日に限って追加の案件が発生したうえ……それどころか、美優の訪問日だと言う事をすっかり失念してしまっていた。

 

 後者に関しては事情を懇切丁寧に説明すれば、まだお咎め無しも有り得るかもしれないが……仕事の方に関して言うなら、遅れたら遅れた分だけ自分自身が大変な思いをするのだ。それもあっての今の状況なのだが、美優もまさか僕がまだ帰宅してないとは夢にも思わないだろう。

 

 

「美優、待ちくたびれてないよな……。先にポストの中にある合鍵を使って、家の中に入っててとは言ったけれども」

 

 

 僕はそんな事を考えながら、信号待ちをしている車の列に合流する事になった。……と言うのも、美優が今回指定して来た訪問日は、何と獅音たちが仙台でライブを行なう……その当日だったからだ。祥子の方には事前に連絡を入れているので、そこまで気にはならないと思うが、美優に関しては話が別だ。

 

 

 確か美優は聖和女子大学の医学部に通っている、と言っていたが……まさか、今日がその大学の休講日だったなんて、僕も彼女からの連絡を受けるまで気付かなかった。それを考えられていたなら、前日に多少なりとも準備は出来たのだが。

 

 

『颯樹様、本日は私の通う大学が休講日ですので、身支度を整えた後に其方へお伺いしますわ。お仕事に講義に……日頃からお忙しいのは承知してますが、たまには休息も必要です。と、言う訳で。抜き打ちで生活調査をさせて頂きますので、覚悟して下さいませ?』

 

 

 ……こんなメッセージを見なければ、どれだけ気が楽だっただろうか、とお昼休みにスマホを開いた当時の僕をぶん殴りたいくらいだった。

 

 そんな事を頭に浮かべながらも、自宅まで続く道路を暫く走り続け……数十分後に到着する事が出来た。家の前を通過した時にチラリと明かりが点っていたので……僕は内心で諦めの気持ちになりながらも、車を駐車場に停めた後に施錠して自宅のドアを開けた。

 

 

「……ただいま」

「お帰りなさいませ、颯樹様♪」

 

 

 そこに立っていたのは……僕と同じ黒眼で、黒髪を腰まで伸ばしてポニーテールにしていて、整った顔立ちでスタイルの良い少女──藤宮(ふじみや) 美優(みゆ)、その人だった。心做しか僕には美優の立ち姿が、幾多の武器を背負った阿修羅宜しく見えてしまったのだが……それはまた別の話だ。

 

 

「すまない、遅くなった」

「構いませんわ。颯樹様の事情はある程度理解してます、ですので……私の方で準備が出来ましたの♪」

「は、はぁ……」

 

 

 僕の知らぬ間に彼女に気を遣わせたみたいだ。

 

 ……ほんと、千歌と言い、美優と言い。どうして僕の幼馴染はこう言う状況理解能力に長けているのか……甚だ疑問だったりする。

 

 

「それと、颯樹様。お帰りになられる前に、軽く清掃作業をさせて頂きましたわ。目に見えて酷い汚れなどはございませんでしたし、客人を何度も招いていたと言う事で、保存状態もかなり良好でした。お義母様の指示がキチンと行き届いてる証拠ですわね」

「そ、それは……どうも」

 

 

 部屋の散らかり具合に関しては、その都度治す様にと母からはキツく言われていた。それもあったし……何より、こっちに戻って来た時はもう一人だったので、否が応でもキレイにしたくなると言う所だ。自分が普段生活する空間が乱雑になっていると、あまり気分が良い物とは言えないのは、誰でも同じだろうが。

 

 

「では、着替えを済ませて下さい。お夕飯にしましょう」

「ありがとう、美優。……良い匂いだ」

「ふふっ、それは良かったです♪ 私が腕によりを掛けてご用意致しましたので、ご期待に添えると思いますわ♪」

「そうだね」

 

 

 そう言って僕は美優の歓迎を受け、玄関を通って階段を昇って自室へと向かった。そうして着替えを済ませた後に……彼女の待つリビングを訪れた。今晩は美優が用意したみたいで、後で夕飯の材料費を負担しようと心の中に決める事になった。

 

 そして更衣をして、美優と一緒に夕食を済ませた後……食後の紅茶を飲んでいる頃に、今回美優がここに来た件に関する本題へ入る事にした。

 

 

「……それで、颯樹様。お話願えますか?」

「Ave Mujicaの現状から、話す事になるけど大丈夫?」

「構いませんわ、覚悟は出来ております」

「それじゃ、話すよ」

 

 

 僕は今抱えている問題の現状を、順序立てて美優に説明し始めた。彼女に今回担当して貰う睦の事に関しては、その周囲を取り巻く環境や状況等を事細かく追記する形ではあったのだが。

 

 それを聞いている美優はと言うと、傍らにある鞄から取り出したメモ帳に記し始めた。話の話題のキリが良い所で質問をし、その回答をもビッシリ纏めていく光景は……さすが、藤宮総合病院院長の一人娘、と言った所だろうか。

 

 

 そして……暫くして。

 

 

「……なるほど、お話は理解出来ましたわ。……ここまで長く耐えて来られたのですね。颯樹様やメンバーの皆様方の心労が、実際に体験していない私でさえも、どこか想像できてしまう様でした」

「……すまない、いっぺんに喋り過ぎた」

「お気になさらず。将来医療の道に進むのであれば、多かれ少なかれ経験する場面……この程度で音を上げていては話になりませんわ」

「そっか。それと、ここから先を話すには……少しある人物の許可を得ないといけない」

 

 

 頭に軽く疑問符を浮かべる美優を他所に、僕はその人物の連絡先に電話をかけた。今の時間帯なら、ライブを終えて帰宅している頃だと思うが……っと、出た。

 

 

「もしもし、祥子(さきこ)か? 帰宅途中に電話をしてすまない、ちょっと急用があるんだ」

『ええ、構いませんわ。何の御用ですの?』

「実は僕の自宅に客人が来ててね」

 

 

 そう続けた後に事の次第を話した。

 

 

 同じ事務所に在籍しているまなは兎も角として、美優の場合は完全なる部外者……立場上で言うなら、他の観客(ゲスト)と同等の扱いを彼女にはしなければいけないのだ。だが、先にも言った通り、美優には睦の事について話さないと行けないので、それをするなら、もう少し深く切り込んだ話題も出さないとならない。

 

 秘密主義の存在意義を問われかねない所だが、こうなってしまったら止むを得ないだろう。スピーカーモードにして、美優にスマホを渡した。

 

 

「……祥子から。話がしたいって」

「お電話変わりました、私、藤宮(ふじみや) 美優(みゆ)と申します。豊川(とがわ) 祥子さんとお話したい事があるのですが、よろしいでしょうか?」

『はい、構いませんわ』

 

 

 祥子からの承諾を貰い、美優は話し始めた。

 

 

「豊川さん。私もAve Mujicaの一件、一枚噛んでもよろしいでしょうか?」

『……訳をお話できないでしょうか? その話次第では肯定できかねますわ』

「今回の一件と同じ轍を踏まないためです。でないと、若葉さんの精神は完全に崩壊してしまいます。最悪、廃人になる可能性も有り得ますのよ」

『……分かりましたわ』

 

 

 少し間の置いた返事の後、美優が本題を切り出した。

 

 

「では、前置きもそこそこに。若葉さんが今回患っている多重人格……正確には解離性同一性障害(かいりせいどういつしょうがい)、と言います。その進行度は、極めて危険な状態と言っても良いでしょう」

『……っ!?』

「あまりにも荒唐無稽なお話で、お聞きになるのも苦痛かと思われますが……話を最後まで聞いて下さいませ。颯樹様から伺った経緯を鑑みるに、その方は幼少の頃からその兆候があったのかもしれないのです」

 

 

『つまり、睦は私と関わり始めた頃には……もう』

 

 

「……あくまでも、推測の域を出ないお話です。ですが、今回のこの症状と颯樹様からお聞きしたお話と……共通する部分が幾つかございます。本人の感情表現が乏しく、他者に大きな誤解を与えてしまう事に関しても……自分の意志を上手く相手と共有できず、自他共に深い傷を負わせてしまう件など。それは、一重に周囲の劣悪な環境やその変化が齎した……彼女にとっての障害なのです」

 

 

 美優から齎された残酷な事実が、通話口の向こうに居る祥子の表情を陰らせるのがわかった。睦からの祥子に対する呼び方で、ある程度その関係性などはわかっていたのだが……その苦しさは聞いている僕でさえよく思わないのだから、祥子の立場に立ってみれば、容易に想像できるだろう。

 

 

『……むつみ……。わたくしは……わたくしは……っ、いったい……どの様に、貴女に悔いなければ……!』

 

 

 そんな慟哭を外だと言うのに零す祥子を他所に、美優は言葉と言う鋭利な刃物で突き刺しにかかる。

 

 

「最早……過ぎた過去を嘆き、悔いている時間はございませんのよ。もう若葉さんは……この障害と一生を賭けて付き合っていくしか方法がありませんわ。根治する術は元より、完全にそれを治し切る方法はほぼ存在しないのです」

『そ、そんな……』

『祥子ちゃん……』

 

 

 ……辛いだろうね、祥子と獅音にとっては。

 

 でも、こうしてしまったのは、僕たちの不徳が致す所。そうなるまで放っておいた責任を、何処かで清算しないといけない。もし睦に万が一拒絶される事があったとしても、僕たちはその事実と向き合っていかないといけないのだ。

 

 

「受け入れ難い真実である事はお察ししますし、その心情も理解できます。ですが、その事実と正面から向き合わなければならないのも……また現実なのですわ」

「……ありがとう、美優。ここまでで良い」

「はい、颯樹様。豊川さん、雨宮さん。ここで一つだけ、私からアドバイスを致しますわ」

 

 

 そう言った後に……美優は一呼吸置いて、話し始めた。

 

 

「障害を、悪と思わないでください。否定せず、受け入れる事が必要なのですわ。多重人格保持者は、自らが捨てられる事を極端に嫌います。それどころか……仮にもし、その中に居る人格が攻撃的な性格だった場合、何かの拍子に弾けでもしたら、自傷行為も厭わない……最悪、彼女は若くしてこの世を去るでしょう」

 

 

『……っ!』

『祥子ちゃん、確り! 落ち着いて、深呼吸……!』

 

 

「対処するには、周りの理解が必要です。一人でも多くの理解者を増やして、患者本人が穏やかに過ごせる環境が少しずつでもできたなら……少しずつ快方に向かうかもしれません」

『……分かりましたわ。ならば、私も出来る限り睦のサポートを』

「……いいえ、豊川さん。そのお気持ちに切り替わられる前に、重要な事をお話しておかねばなりません」

 

 

 そう続けた後、美優は言葉を紡いだ。

 

 

「解離性同一性障害を持つ患者に対して、極度に強いストレスを与える事はくれぐれもしないで頂けると助かります。対処するためには、不安を取り除き、強い感情を安定させる事が必要なのですわ」

『……』

「私が窓口になり、主治医に繋げてみます。そして医師と患者との間で信頼関係を結び……患者の安全を保つ事が必要なのです」

 

 

 通話口の向こうからの声が、再び途切れて気分の悪い沈黙が暫く訪れた。……そして、少しした後に美優から声がかかった。

 

 

「今このような事をいっぺんに仰られても、理解には時間がかかるはず。ですがどうか、今言った事はくれぐれも厳守して頂きたく存じ上げますわ。……私からは以上です」

 

 

 そう言った後、再び沈黙が訪れる。

 

 美優からスマホを受け取った後、モードを切り替えて祥子と話を続けた。

 

 

「祥子、わかっているとは思うが」

『……わかりましたわ。私の方でも、何か出来るか考えてみたいと思います。それでは』

「わかった。道中気をつけて」

『……ご心配、痛み入りますわ。おやすみなさい』

 

 

 そんな言葉の後に、電話は終わった。あんな話をした後だからか、僕と美優の間にはかなり重たい空気が流れていた。……今更だが、彼女に損な役回りをさせてしまったな。さっきはああ言っていたが、美優は世間で言うとまだ医者の卵……そんな存在に背負わせる所業では無いのは、火を見るより明らかだ。

 

 

 ……なんだ、こんな時に。

 

 

「もしもし。今機嫌が悪い、後にしろ」

『夜分遅くにすまない、颯樹さん。緊急事態だ。あの女に強襲をかけられた』

 

 

 ……は?

 

 あの女? 僕が知らないところで、思わぬ夜襲をかけられたって事でいいのか? 口振りからするに相当な事だと理解出来たのだが。時間はAve Mujicaの仙台ライブが終わって、少ししか時間が経って無いはずだが(仙台から東京までは、新幹線だと約1時間半かかります)……。

 

 

 だが、京介からの通話となれば好都合だ。

 

 ちょうど近くに医療従事者も居る事だし、これを逃す手は無いだろう。

 

 

「わかった。近くに睦は居るな?」

『ああ』

「なら、多少時間がかかっても構わない。今から僕の自宅まで来れるか?」

『了解した』

 

 

 そんなやり取りを終えた後に美優に事の次第を伝えて、来客を出迎える態勢に入った。電話の向こうの京介の切羽詰まった口調から察するに……何やら良くない事があった様だ。夜襲をかけて来る程の相手なら、彼の琴線に触れる仕打ちを一つや二つは思いついているはずだ。

 

 

 ……そう思っている最中に、家のインターホンが二度鳴らされた。僕は玄関に降りて来客の対応をし、美優は何があっても良い様に控えて貰った。

 

 そしてそこには、如何にも疲れきった顔色の睦と……額に汗を浮かべた京介が立っていた。

 

 

「すまない、颯樹さん。急に夜遅くに伺う事になって」

「状況が状況だから仕方ない。それで、緊急で連絡してきたという事は……彼方から接触してきたんだな?」

「そうだ。詳しい状況を説明するとだな……。いや、まずは睦の治療を頼む」

「わかった。……美優、リビングにあるテレビ台の下に救急箱がある。それを持って来てくれ」

「分かりましたわ!」

 

 

 そうして僕は京介と睦を自宅の中に招き入れ、手始めに睦の状態を確認する事にした。彼曰くフォローが間に合わなかった、そのうえで……もう少し力が強ければ、唇が軽く切れて出血の恐れがあったとの事。それを聞いた僕は美優が即座に用意してくれた消毒液の浸っている綿をピンセットで摘み、睦の被害を受けたと言う箇所に当てる事となった。

 

 

 ……全く、何だって僕が諸用で席を外してる時に。

 

 それに引っ叩かれたって余程の事をやらかさない限り、起こり得ないはずだけど?

 

 

「ちょっと消毒液が染みるけど、我慢してね」

「……はい……っ!」

「颯樹さん、本当にすまない。何と詫びたら良いか」

「気にしないで。それより、今は今後の事を心配する」

「……そうだな。それで、そっちの人は?」

 

 

 今し方初対面となった京介に美優の紹介を済ませ、治療を終えた睦を彼女に引き渡した。そして僕は京介とテーブルを挟んで向かい合う形になり、彼から現在に至るまでの状況を聞く事になった。

 

 

「……なるほど。それで?」

「……と、言うと?」

「お前の事だ、千歌から何か言われたんだろ?」

「そこまでお見通しだったか。やれやれ、本当にアンタに隠し事は通用しないな」

「話せ」

 

 

 京介から話される事に、僕は少しずつ耳を傾けて行く。

 

 

 事前に聞いて知ってる話こそあるが、彼から共有される事項の中には僕自身初見の話もある。これはパスパレのマネージャーをしてる時に痛感した事だが、ファンの中には一部だが過激派も存在するらしい。

 

 今回京介たちに牙を剥いたのは、恐らくその過激派に因る物なのだろう。その様な行ないをするのであれば、それ相応の報いを受けて貰わねば無作法と言う物だ。

 

 

「……なるほど。苦労させてすまないな」

「構わない」

「それと、一つ聞いてもいいか?」

「なんだ?」

 

 

 聞いている話の中で気になる事があったので、僕は京介に確認を取ってから話し始めた。

 

 

「千聖以外に知ってるのは、あと数人の筈だが……そっちの方については、何か知っているか?」

「……俺の知ってる範囲だと、花音さんと美咲の二人だ。だがこの事は千歌さんには伝えてない」

「ほう、それは何故だ?」

「言ったら言ったでネチネチ文句を言われそうだからな。だから他言無用って釘を刺した」

 

 

 ……やりかねん、千歌なら確実に。

 

 

「……わかった。それで、あの女はどうする気だ?」

「あの(アマ)にはきっちり落とし前をつけさせる。当然慈悲は無いがな」

「それなら良い」

「それが聞けて安心した。既に幾つか案もある」

 

 

 そうして京介から話を聞こうとしたが、リビングに突如として来客が入って来た。そこには診察を終えたばかりの美優が、一人で此方に来ていた。

 

 

「颯樹様、無事に若葉さんの診察は終わりましたわ」

「ありがとう、美優。助かった」

「本当にすまない、もう少し早くアンタと接点を持っておくべきだった」

「構いません。颯樹様のご友人とあらば……私も微力ながらお手伝い致しますわ。ですが、その御方にこの様な事をお伝えするのは大変心苦しいのですが……」

 

 

 僕と京介は互いに頷き合い、美優にその途切れた続きを話す様に促した。彼女には辛い重責を担わせてしまうが、この事態を一刻も早く解決に向かう為には……もう手段を選り好みしている暇は無い。

 

 

「……承りましたわ。では、簡潔に」

 

 

 京介と颯樹の頼みを聞いた美優は結論を言うため、一度咳払いをして話す姿勢を整えた。

 

 

残された時間は、もうありませんわ。

何かのひと押しさえあれば、

中に居るもう一つの人格が出てきます。

 

 

「……やはりか」

 

 

 薄々こうなるんじゃないのか、と予想はしていたが……いざこうして事実を口にされると、どうも気分が良くない。もう変えようが無い現実なのだと言われればそこまでだが、やはり美優には少し重たい責任を背負わせてしまったと後悔してしまう。

 

 

 ……だが、回りくどい言い方をされるよりは、こうして現実を突きつけてくれた方が遥かにマシだ。それに……美優のおかげで気持ちを切り替えられるきっかけにもなった。

 

 そう考えれば、美優には感謝こそしても責められる様な謂れなど無いだろう。

 

 

「颯樹様の予測は当たっていました。とても嫌な方向で」

「……それが聞けただけでも有難い。感謝する」

「ありがとう、美優。やるべき事が定まった気がするよ」

「勿体無いお言葉……っ! お役に立てて光栄ですわ♪」

 

 

 そう美優にお礼を言った後、京介と睦を帰宅させようとしたのだが……時間がもう午後10時と遅めな時間だったのと、京介たちが翌日の学校がお休みと言う事を聞いたので、僕は急遽2階にある空室となっている部屋を貸し出し、二人に泊まって行く様に勧める事になった。

 

 

 ……まあ、美優に関して言うのならば、空いている部屋が2階に無かったので、少々気は進まなかったが……僕の自室に寝泊まりさせる事にした。その際、彼女からお誘いが掛けられる事となるのだが……それはまた別の話。




 今回はこれにて終幕です。如何でしたでしょうか?

 次回はまた今回と同じく、二週間後の投稿を予定しておりますが……執筆状況次第ではありますが、投稿日が前後する場合がございますので、その際はXよりご報告させて頂きます。


 それでは、またのご来場をお待ちしております。


おやすみなさい。

どうか、良い夢を。






 おまけ程度にはなりますが、最後に。

 前回の#10より初登場しました……オリジナルキャラクターが居ますので、その人物のプロフィールを掲載したいと思います。お相手方の作品内でもご覧になるかと思われますが、事前に相談の後承諾を得ておりますので、ご理解頂けると幸いです。


藤宮 美優(ふじみや みゆ)
【性別】女性【年齢】19【学年】大学1年生
【性格】礼儀正しく丁寧だが狡猾
【在籍校】国立聖和女子大学【学部】医学部
【設定】
 国立聖和女子大学の医学部に在籍する、大学一年生。容姿端麗で成績も上から数えた方が早く、高校の時までは月ノ森に通っていたが……進路の事を見据えて、大学は聖和女子大に進学した。

 人付き合いに関して言えば、可もなく不可もなくと言った具合なのだが……自分の障害となる者には、無慈悲なまでの狡猾さを見せる。その難儀な性格が災いしたのか、縁談とは無縁。

 しかし……颯樹に対してだけは別であり、隙あらば隣を奪おうと画策していたりする。


 実家は大病院を経営しており、父が医者で母が看護師を務めている。兄弟姉妹は居らず一人っ子で、同じ一人っ子の颯樹とは仲がとても良い。

 颯樹とは両親(特に母親)同士で付き合いがあり、その縁で彼の事を知る。互いに一人っ子な事が功を奏したのか……双方の親曰く『同年代の友達で、あんなに楽しそうな二人は初めて見た』との事。


【身長】156cm【体重】(本人の意向により非公開)
【容姿】
 艶やかな黒い髪を肩口まで伸ばし、普段はそのまま降ろしているが……運動をする時などは、それをひとつに纏めてポニーテールにしている。出る所は出て締まる所は締まるなど、雑誌等に掲載されるモデルたちと比べても遜色無い程。眼の色は颯樹と同じ黒。

 普段は女性らしいコーデでキメていて、化粧の類を経験した事が無いのだとか。

【イメージCV】ゆかな

【台詞サンプル】
(わたくし)は藤宮 美優。よろしくお願い致します』
『本当にお可愛い事。まさか、こうも簡単に私の撒いた罠に足を踏み入れるとは……思わず心配してしまいました……ふふっ♪』
『豊川さん、貴女……ご自分が何を仰られているのか、お分かりですか? その考えは何れ周りだけで無く、貴女でさえも滅ぼしかねませんのよ』
『颯樹様には……もうこれ以上、如何なる事があっても傷ついて欲しく無いのです。あの時の二の舞には……私が、この生命に変えてでも! 絶対にさせませんわ!』
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