予定通り今回は、中堅戦をお届けします。内容としてはいつものファイト描写が多めの回となりますので……今回と次回の2話構成でお送り致します。ただ、場合に因ってはその後の話も使うかもしれませんので、どこまで話が広がるか、はあとのお楽しみと言う形になります事をご了承下さい。
それでは、本編スタートです。
最後までごゆっくりとお楽しみくださいませ。
「ファルステイター」
「大望の翼 ソエル」
「私から行きます。ドロー、手札を1枚破棄して《イノ・プログレッテ》にライド。先ずは《エネルギージェネレーター》をセット。そして手札より破棄された《ヴァンデイル・レーゲンボルク》のスキル発動。このカードがライドコストで手札から捨てられた時、ライドデッキから『ペルソナライド』を持つカードを1枚公開し、SB1をコストに支払い……ゲーム外より《ペルソナシールド》を手札に加えますわ」
(手札5→6→5→6/ドロップ0→1→2)
(ソウル0→1→0)
「(ペルソナシールド……。そう言えば、前回戦った時には聞かなかったわね。もしかして、新しく追加された新要素の事かしら)」
「続けて《イノ・プログレッテ》のスキル発動。ライドデッキからインバルディオを含むカードを1枚相手に提示する事で、ゲーム外より《
(オーダー0→1)
SYSTEM CODE:X-ceed……。
これも前回には無かった要素だけど……そもそも、先ずあのデッキの全貌を知らない。それにインバルディオのカードが公開された時に目に入ったけれど、あのユニットは宿命者なのね。
麻弥ちゃんの使うレヴィドラスと同じ名称を持ちながら、セットオーダーを序盤からセットして戦うテーマ……最初は相手の出方を見るのが定石かしら。
「私のターンよ。スタンド&ドロー、手札を1枚破棄して《風巻の斥候 ベンテスタ》にライド。私も《エネルギージェネレーター》をセットして、後攻なのでEC3。続けてソエルのスキルで1枚ドロー」
(手札5→6→5→6/ドロップ0→1)
(エネルギー0→3/ソウル0→1)
……ここは仲間を呼んで戦力を増強したいけど、相手の真意が見えない以上、深追いは禁物ね。
「バトル、ベンテスタでヴァンガードに攻撃」
「ノーガードですわ」
「ドライブチェック《しゔぁるみゃー》。ゲット・クリティカルトリガー。ベンテスタのパワー+10000、クリティカル+1」
(手札6→7)
「お見事ですわ。ダメージチェック、1点目《発破怪獣 ボバルマイン》。2点目《
(ダメージ0→2→1/ドロップ2→3)
……っ、ここで来るの?
まだ私のターンが進行している最中なのに?
「私のダメージゾーンにカードが置かれた時、ドロップから1枚を自己改修ゲージとして置き、このターン中のみですが、ヴァンガードのパワーを+5000します……今置かれたのは2枚。因って、2枚を自己改修ゲージとしてセット。そのうち1枚がトリガーユニットでは無かったので、ヴァンガードのパワー+5000」
(自己改修ゲージ0→2/ドロップ3→1)
「ヴァンガードのパワーが上がった?!」
「教えて差し上げます。《SYSTEM CODE:X-ceed》とは、戦って傷を負う事で学習し、自らを強化する……言うなれば、敵を凌駕する為のシステムなのですわ」
ダメージを受ける事で反応し、自己改修ゲージを増やしながら敵の攻撃に備えていく……そして、その貯められた自己改修ゲージは、後に相手の護りさえも軽々と超えられる程に強くなる。
……なるほど、そう言う意味があるのね。
凌駕の宿命者と言うのは、単に守りを厳重に固めて相手の疲弊を狙うのでは無く……その蓄積されたデータを元に相手の防衛線を超え、如何なる障壁すらも瞬時に壊す。まさに機械らしい戦い方……指示された事しかしない、意志も無ければ感情も無いと言う事かしら。
「ターンエンド」
「……何やら失礼な事を考えていた様ですわね。ですが、私にはその程度など遠く及ばなくってよ? 私のターン。スタンド&ドロー、EC3。手札を1枚破棄して《ドラス・エヴォリア》にライド。ライドした時の効果は発動せず、このままメインフェイズに移ります」
(手札5→6→5/ドロップ1→2)
(エネルギー0→3/ソウル0→1)
「エースユニット《ヴェイルメール・エクスオルディア》をコール。ここで【ユニークスキル】発動。このユニットが登場した時、コストにEB3を支払い、山札の上から3枚を見て、1枚を手札に加えますわ」
(手札5→4/エネルギー3→0)
【山札の上から3枚】
《柩機の竜 バルビゾンデ》
《レイディアル・アラーネア》
《エルバード・エクストライカー》
「私は《エルバード・エクストライカー》を手札に加え、残りを山札に戻してシャッフル。《ネビュラインヴォーク・ドラゴン》をコール。バトルに行きますわ、エヴォリアでベンテスタに攻撃」
(手札4→5→4)
手札に後続の補充をしながら3面攻撃……だったら。
「《しゔぁるみゃー》でガードよ」
(手札7→6/ドロップ1→2)
「ドライブチェック《
(手札4→5)
「ノーガードよ。ダメージチェック《インパーヴィアス・ドラゴン》。ノートリガー」
(ダメージ0→1)
「ネビュラインヴォークで攻撃」
「通さないわ、アラウヌスでガード!」
(手札6→5/ドロップ2→3)
「ターンエンド」
何とかあの子の初撃は防げたわ。トリガーを1枚引かれているとは言え、ダメージを1点だけで抑えられたのは僥倖ね。
……そう言えば、さっき彼女がエースユニットの効果で手札に加えたのは、
何か狙いがあるの?
その考えと意図、ここから試させて貰うわ。少し大人気無い事をするかもしれないけれど……悪く思わないで頂戴。
「私のターン。スタンド&ドロー、EC3。手札を1枚破棄して《躍進の騎士 アゼンシオル》にライド。スキルでソウルからベンテスタをコールして、SC1。続けて《奇跡の幻真獣 リフィストール》をコール。そのスキルでCB1をコストに払って、山札の上から7枚を見て、その中からレザエルを含むグレード3以上を1枚まで選んで、手札に加えるわ」
(手札5→6→5→4/ドロップ3→4)
(エネルギー3→6/ソウル1→2→1→2)
【山札の上から7枚】
《通貫の騎士 キャドワラ》
《ペインキラー・エンジェル》
《パラディウムジール・ドラゴン》
《奇跡の運命王 レザエル・ヴィータ》
《天音の楽士 アルパック》
《奇跡の運命者 レザエル》
《奇跡の幻真獣 リフィストール》
「私はその中から《奇跡の運命王 レザエル・ヴィータ》を手札に加えるわ。残りを山札に戻してシャッフル。《通貫の騎士 キャドワラ》《ペインキラー・エンジェル》をコール。行くわよ、アゼンシオルで攻撃」
(手札4→5→3)
「エンバイロでガードです」
(手札5→4/ドロップ2→3)
「ドライブチェック《天音の楽士 アルパック》。ゲット・フロントトリガー。前列全てのパワー+10000。ベンテスタのブースト、リフィストールでヴァンガードに攻撃」
(手札3→4)
「ノーガードですわ。ダメージチェック《ヴィアードル・ヘイデイ》。トリガーはありませんが、ここで《SYSTEM CODE:X-ceed》のスキルが発動します。ドロップから1枚を自己改修ゲージに置いて、このターン中のみヴァンガードのパワー+5000」
(ダメージ1→2/ドロップ3→2)
(自己改修ゲージ2→3)(10000→15000)
……ある程度ここは想定済み。次よ!
「ペインキラーのブースト、キャドワラで攻撃」
「想定通りなのは、此方とて同じでしてよ。ノーガード。ダメージチェック《柩機の姫 ナビレム》。ゲット・ヒールトリガー。ダメージ1回復して、エヴォリアのパワー+10000。そしてダメージゾーンに置かれたので《SYSTEM CODE:X-ceed》のスキルが再び発動。ドロップから1枚を自己改修ゲージに置きますわ」
(ダメージ2→3→2/ドロップ2→3→2)
(自己改修ゲージ3→4)
「バトル終了時、ペインキラーとキャドワラの効果が同時に発動するわ。先ずはキャドワラから。SB1と、自身の退却をコストに支払って……山札の上から3枚を見て、グレード2以上を手札に加える」
(ドロップ4→5→6/ソウル2→1)
【山札の上から3枚】
《パラディウムジール・ドラゴン》
《迅弓の騎士 ニルベリス》
《天音の楽士 アルパック》
「私は《迅弓の騎士 ニルベリス》を手札に加える。続けてペインキラーのスキル発動。SB1と、自身の退却をコストに支払って、デッキから1枚ドローしてターンエンド」
(手札4→5→6/ドロップ6→7→8)
(ソウル1→0)
ダメージは1点与えただけ……でも、これで
「……私のターン。スタンド&ドロー、EC3。この程度で私を追い詰めた、なんて思っていますの?」
(手札4→5→4/ドロップ2→3)
(エネルギー0→3/ソウル1→2)
「……な、何よ」
私の考えている事が筒抜けだったのか、美優ちゃんは先程と違って少し俯きがちに言葉を紡いだ。……な、なに……この子。さっきまでと雰囲気が変わった? 何処か体調を崩したのか、それとも……。
その考えは、その直後に見せられた表情に寄って打ち砕かれる事になった。
「そうだとしたら、滑稽ですわ……ふふっ♪」
……な、何……この子っ!
見ていて心底イライラしてくるわね……!
「まだまだ勝負は始まったばかり、だと言うのに……既に勝ちを確信するとは。少し気が早くはありませんか?」
「冗談は寝て言いなさい! 貴女のその顔を見ていると、心底イライラするのよっ!」
「まあ、アイドルらしからぬ、とても汚いお言葉ですわ。颯樹様の幼馴染と言うからには、それなりの高潔な心をお持ちの方かと存じておりましたが、とんだ期待はずれ」
「うるさいわね、余計なお世話よ!」
初めて会ったばかりだと言うのに……美優ちゃんは
……この子は正々堂々と戦うつもりなんて無い。
ハナから私の精神を壊す事が目的。私の心が壊れれば、最早試合どころではない……怒りを誘って我を忘れさせ、それを恰も被害者ヅラして乗り切る事で、何もせずに勝利が転がって来る。
「行きますわよ」
「こ、これが……インバルディオ」
「ここで《ドラス・エヴォリア》のスキル発動。山札の上から1枚を自己改修ゲージに置き、その後自己改修ゲージから1枚を手札に加える事が可能となりますの。……山札から1枚を自己改修ゲージに置き、さて。どう動きましょうか……」
(自己改修ゲージ4→5)
……なに、この子。
インバルディオにライドした瞬間から、更に不気味さを増した様な気がするのだけれど……。
「決めましたわ。私は回収を選ばず、このままメインフェイズに移ります。ここでインバルディオのスキル発動。CB1をコストに支払って、先ずはドロップから1枚を自己改修ゲージに置きます。その後に山札の上から5枚を見て、グレード3以下のユニットを1体コールしますわ」
(ドロップ3→2/自己改修ゲージ5→6)
[山札の上から5枚]
《ヘドウェイルーター・ドラゴン》
《飛空変形 ヴィンスター》
《柩機の竜 バルビゾンデ》
《ヴァイオレート・ドラゴン》
《ネビュラインヴォーク・ドラゴン》
「……では。《ヘドウェイルーター・ドラゴン》をインバルディオの後ろにコールして、残りをデッキに戻してシャッフル。更に私の自己改修ゲージ2枚につき、前列全てのパワー+5000」
「現時点で藤宮さんの自己改修ゲージは6枚あるので……前列のユニット全てがパワー+15000されています。インバルディオ単体でも攻撃しただけで28000、これを防ぐのは少し骨が折れますよ……」
「千聖ちゃん……」
「……何よその効果、巫山戯た効果もいい加減に」
「あら、私に文句を浴びせる暇があるなら、貴女はその6枚ある豊富な手札で、私のこのターンの攻撃を凌ぐ手立てを考えては如何でして?」
確かに美優ちゃんの言い分は正しいし、今私がやるべき事を諭している事は理解できる。……でも、何なのかしら……この無性にムカついて仕方が無い感覚は……っ!
「ここでヘドウェイルーターのスキル発動。リアガードとして登場した時、EB3をコストに支払い、山札の上から5枚を見て、その中にあるヴァンガードのグレード以下のユニットを1体コールします。……チェック」
(エネルギー3→0)
[山札の上から5枚]
《レイディアル・アラーネア》
《凌駕の宿命者 インバルディオ》
《飛空変形 ヴィンスター》
《エルバード・エクストライカー》
《ヴァンデイル・レーゲンボルク》
「……来ましたわね。アラーネアをエクスオルディアの上に重ねてコールし、残りをデッキに戻してシャッフル。エクスオルディア、アナタはここまでです。後は任せてくださいませ」
(ドロップ2→3)
「あ、貴女……自分の仲間をなんだと!」
「駒。それ以外に何か説明が要りますの?」
……こ、駒……ですって……!?
「私にとっては、颯樹様こそ至上の存在。例え独り善がりと言われようと構いません……あの方に尽くす事こそ、私の最上の喜びなのです。しかし、貴女方はどうでしょう。颯樹様の手を煩わせたばかりか、それを恥じる事もせず大胆にも幼馴染だ恋人だと大声で叫びながら練り歩き……挙句、一度絶望を味わいながらも性懲りも無く再戦を申し込むとは、何と愚かでしょう」
「……私たちの事を知りもしないで、よくも饒舌に他人の悪口を言えたものね……その図太さだけは褒めてあげるわ……」
「ふふっ、私にとってその言葉は褒め言葉です。しかし、貴女にそう言われると……何だか無性に癪に障りますの。何故こうなるのでしょうね?」
……っ、貴女が好き放題私の事を愚弄するからに、決まっているでしょうこの女狐!
「《飛空変形 ヴィンスター》《エルバード・エクストライカー》をコール。ヴィンスターとアラーネアの位置を交換。そしてエクストライカーのスキル発動。SB1をコストに支払い、このユニットは『ブースト』を獲得し、自身のパワーを+2000します。……さて、お待たせしました……バトルと参りましょう」
(手札4→2/ドロップ3→4)
(ソウル2→1)
……来なさい!
「ヘドウェイルーターのブースト、インバルディオでヴァンガードに攻撃。ここでヘドウェイルーターのスキル発動。私の自己改修ゲージが5枚以上あるなら、SB1をコストに支払う事でパワー+5000しますわ。合計のパワーは41000です……さあ、どうします?」
(ソウル1→0/ドロップ4→5)
「ノーガード」
「あら、意外と潔いのですね。では。ツインドライブ。1枚目《エンディアリング・オーダー メイティーナ》。ゲット・フロントトリガー。前列のパワー+10000。2枚目《柩機の竜 バルビゾンデ》。ゲット・クリティカルトリガー。ネビュラインヴォークのパワー+10000、インバルディオのクリティカル+1」
(手札2→4)
ぜ、前列全てのパワーを上げた後……その上からクリティカルトリガーですって!?
「な、何そのトリガーの暴力……」
「そんなのを真っ正面から受けたら、チサトさんは一溜りもありません!」
「……っ、ダメージチェックよ。1点目《ギガンテック・マッシャー》。2点目《パラディウムジール・ドラゴン》。トリガーは無いわ」
(ダメージ1→3)
「次ですわ。アラーネアのブースト、ヴィンスターでヴァンガードに攻撃。ヴィンスターのスキル発動。このターン中にリアガードの攻撃でドライブチェックをしていないなら、CB1をコストに支払って、ドライブ-1した後にドライブチェックを行いますのよ」
(パワー53000/★)
「ど、ドライブチェックを!?」
「そんな、チサトさんの今の手札の枚数を知りながら……更なる追い打ちなんて、卑怯です!」
「こ、これは……キツイですね……!」
「……ノー、ガードよ!」
「チ、チサトさん!」
「どうして!?」
「ドライブチェック《柩機の竜 バルビゾンデ》。ゲット・クリティカルトリガー。ネビュラインヴォークのパワー+10000、ヴィンスターのクリティカル+1」
(手札4→5)
……くっ、この娘……なんて、強さなのッ!?
「ダメージチェック。1点目《奇跡の運命王 レザエル・ヴィータ》。2点目《救護の翼 ソエル》。……トリガー無し」
(ダメージ3→5)
「バトル終了時、ヴィンスターはバインド。エクストライカーのブースト、ネビュラインヴォークでヴァンガードに攻撃。パワーの合計は……70000でしてよ」
(バインド0→1)
(パワー70000/★)
美優ちゃんの宣言を聞いた瞬間、会場全体に驚きを含んだどよめきが広がった。三度のトリガーとインバルディオの起動効果を絡めた状態なら、そこまで行ってもおかしくない……でも、私はここに至るまで1枚もトリガーを引いて無くて、この攻撃を許せば……負ける。
……こんなところで、切らされるなんて!
「《パラディウムジール・ドラゴン》で完全ガードよ!」
(手札6→5→4/ドロップ8→9→10)
「ターンエンド。……そうですわよね、この攻撃で終わってしまっては余興にもなりません。完全ガードを1枚くらいは所持していますわよね」
「……それは、私をバカにしているの」
「とんでもない。私はただ、事実を言った迄ですわ。そしてその期待通りに貴女は完全ガードを持っていた、最後の最後……負けるかもしれないと言う、そのタイミングで」
……本当のところはと言うと、ヴィンスターの攻撃の際に使いたかったのだけれど……今の手札では残りの攻撃を防げるかは正直賭けだった。それに、トリガーが出ないと踏んでノーガードを選んだけれど、やっぱり何事も簡単に思い通りと言う訳には行かないわね。
「ですが、私にここまで押されるなんて……本当に貴女は私の目論見通りに踊ってくださいますのね。若手女優と言うのも、
「……っ!」
「そうですわ、ちょうど貴女に頼みたい事があったのです」
……何を言い出すつもり?
そう思って身構えていると、彼女からとんでもない言葉が飛び出して来た。
「……それは、どう言う意味かしら」
「言葉通りの意味でしてよ。私にとって、貴女方と言う存在は邪魔者でしか無い……そんな方々には、速やかに私の描く舞台から退場して頂きたいのですわ」
どこまでも自分勝手ね、この娘は……!
「しかし、私が一方的に強制をさせるのは、私としても望む所ではありませんし……何より、それは貴女が一番嫌いでしょう?」
「だとしたら、どうするのかしら」
「貴女の真意を問いたいのですわ、白鷺 千聖さん。これでも貴女の事は高く評価しているんです……アイドルと女優、二足の草鞋を履きながらも、何方も疎かにする事無く、順風満帆に生活が出来ている」
……私の事は既に調査済み、って訳ね。
良いわ、どうせ私は世間の目が多く集まるから……彩ちゃんたちよりは知られている事も多いし、街中を歩く時だって変装をしなければロクに歩けない。でも、私はそんな毎日を苦と思った事は無いし、寧ろ充実してすら居る。
そんな私の事を、知った風な口振りで言葉巧みに騙し抜こうなんて……ハッキリ言って、最悪ね。人の心なんて始めから持ち合わせて居ないのかしら。
「……何やら失礼な事を考えていたみたいですわね。それならば御心配には及びませんわ。私がこう言う事をするのは、大抵が私に対して敵意を向けられた時……そう決めていますもの」
「そう、それは良かったわ」
「さて……ここまで余談で時間を稼いだ所で、改めてもう一度お聞き致しますわ。私の為に、パスパレを潰して頂けますか?」
……あぁ、もう分かり合えないのね。
聞いて来る言葉がさっきと全く同じだし、私の事を知っているのなら、私が首を簡単に振るとは思わなかったのかしら。……だったら、思いっきり突きつけてやるわ……貴女の気持ちが揺らぐ様な一言で、はっきりと!
「巫山戯るのも大概にしなさい、私は貴女の口車になど」
「そう言えば……貴女には、高校の時に出来た大切な親友が居たんでしたわね?」
!?
「何故……貴女が、その事を……」
「颯樹様も大層その方がお気に入りのご様子……さすが、幼馴染ですわね。趣味嗜好が共に同じであれば、互いに争わず平和に過ごせますもの……それも道理と言ったところ」
「……花音に、何をする気!」
「おや、私は親友としか申し上げておりませんけれど……なるほど、その方は花音、と言うのですね?」
……は、ハメられた!?
わ、私が……あんな女の、言葉にまんまと!?
「ふふっ、わかりました。では、こうしましょう。私と取引を致しませんこと?」
……取引……?
「事と次第によっては、今すぐ貴女をこの場で晒しあげても良いのよ? 私が今冷静に対応している、今が最後のチャンスよ」
「まあまあ、そう身構えないで下さいませ。貴女が私の要求を呑んでくれるのであれば、その花音さんには手出しは一切しませんし、貴女の邪魔は致しません。ですが、もしこの誘いをお断りするのであれば……ふふっ♪」
……こ、この女……どこまで卑劣なの……!
「さあ、どうしますの?」
「……」
「良いお返事が聞けると良いのですが♪」
……良いわ、私から引導を渡してあげる。
「スタンド&ドロー、EC3。手札を1枚破棄」
(手札4→5→4/ドロップ10→11)
(ソウル0→1)(エネルギー6→9)