今回は大将戦のラストをお届けします。
そして、次回……ヴァンガードPart最終回です。
どうぞ最後までお楽しみください。
「……スタンド&ドロー、EC3。颯樹くん、本当はこんな時に聞く事じゃないけど、ひとつ聞いても良い?」
(手札5→6→5/ドロップ11→12)
(エネルギー6→9/ソウル1→2)
「……どうぞ」
「対バンライブの後から、全く私たちの前に姿を見せてなかった事……あれは、颯樹くんの計画通りなの?」
Ave Mujicaとの対バンライブの前に、初華ちゃんと一緒に私たちの所属している事務所に彼が訪れていたのは、私もよく覚えている。そしてそこで今後の事についても、本人は確りと言及をしていた。
……だからこそ、対バンライブが終わった後の、颯樹くんの行動が納得できるけど、何処か不思議に思えた。わかっていたはずなのに、どうしても不安が拭いきれなくて。
「……さあね。でも、僕自身はこの選択をした事を後悔なんてしてないよ。それが彩たちの今後にどう関わったところで、僕にとっては実りの無い事。また日陰者に戻るだけだから」
「何でそんな事を言うの、私たち……ずっと一緒に」
「良い機会だ、教えてあげるよ」
「……そ、そんな……」
「彩としては否定したいでしょ。でもね、現実はそんな簡単な話じゃない。そもそも、ガールズバンドの中に男が居る、と言う事自体が先ず論外なんだよ。黙って目立たない様に生きていたら良いのに、物珍しさだったり新しい空気を取り入れたいなんて理由で、本人の意思とは関係無しに放り込まれて、そして物事の整理も付けられないままに荒波に揉まれていく……ハッキリ言って、狂気でしか無い」
颯樹くんから放たれる言葉が、鋭利な刃物となって私たちに突き刺さって行く。私たちにそんな思いなんて一つも無かったはずなのに、彼の言葉を聞くだけで罪悪感すら覚えてしまう。
……彼は、私たちに言わなかっただけで、一人で大きな葛藤を抱えていたんだ。表向きは確りと前を向いて、私たちを叱咤激励して導く立場に居たけど……その裏では、何処か後ろめたい気持ちを隠していた。
私たちだって、もし意見が食い違った時はかなり言い合いになるし、その時に軽くひと騒動起こってしまった時もある。でも、それはあくまで一時的な物で、お互いの事を深く理解し合えたからこそ、今もこうして目標に向かって頑張れている。
……でも、私たちは良いとして……彼は?
颯樹くんの本心と、私たちはもっと真剣に向き合えていたんじゃないのかな。お互いに一緒に居る中で、少しずつ。
「そんな事無い! だって、颯樹くんが居たから私は」
「僕が居たから、なんて。よくそんな言葉が出て来るね。あの時無神経に外で踊っていたから、誘拐されて危うく襲われかけたって事をまさかもう忘れたの?」
……っ!
「アヤさん?! それ、ワタシたちも知りませんよ?!」
「彩さん、何でそれを今まで黙ってたんですか!」
「……彩ちゃんがそれを今まで黙っていたのは、あくまでも推測だけれど……私たちの為かしらね。いいえ、本人はそんな事微塵も考えてすら居ないでしょうね。……自分の不始末が原因で、アイドルになれる可能性すら危険に晒していた、なんて事は」
千聖ちゃんから出た言葉に、私は思わず言葉が詰まってしまった。
「……その様子だと、忘れてたみたいだね。僕があの時彩を見かけてその異変に気づかなきゃ、あのまま取り返しのつかない事になっていた」
「だから私は、寸前まで諦めかけてたアイドルに……颯樹くんのおかげで、ようやくなる事が出来た! だから、助けて貰ったこの身を全て捧げる勢いで、トップアイドルになる夢も、こうして芽生えてる恋だって……全部叶えるって!」
「彩はさ、自分で自分の首を絞めてる事に気づいてるの。トップアイドルになって、そのうえで恋愛もしたいなんて……何処まで身の程を知らないんだよお前は」
その言葉が聞こえた瞬間、客席の方からは驚きに満ちた反応が飛び出した。今までその片鱗は何処かで見えてたかもしれない、でもそれは嘘であって欲しかった……けど、自分たちに夢を与えていたアイドルが、たった一人の男の子に、恋をしていた、なんて。
……信じられるはずが無い。
だって、そうだよね。今目の前に居るアイドルは、一度穢されかけた女の子。そしてそんな私と向かい合っているのは、こんな繋がりさえ無ければ、何処の馬の骨とも知れない一人の男の子なんだから。
「……っ、強欲で良いよ。何と言われたって構わない」
「ほう?」
「行くよっ!」
「来い」
「……彩ちゃん、いつの間に……」
「とても、キレイです……」
「う、美しい……それしか言葉が出ないッス……」
私がそんな名乗りと共に
……これが、私の新たな可能性。
新しい私で……今、目の前に立つ彼に挑む!
「アクアのスキル発動。山札の上から5枚を見て、その中からグレード2以上のユニットカードを1枚選んで、そのカードを手札に加える。……チェック」
【山札の上から5枚】
《エンファティックライム アルメル》
《珠玉の一曲 エドウィージュ》
《Astesice カナミ》
《神秘の双子姉妹 ロミア&ルミア》
《High Five!》
「私はアルメルを手札に加えて、残りをデッキに戻してシャッフル。その後メインフェイズに入って、ドロップからノーマルオーダー《High Five!》を使用! 先ずはこのカードをバインドして1枚ドロー。その後手札から1枚公開し、それがヴァンガードのグレード以下のユニットだったら、リアガードとしてコールできるけど、違うなら破棄するよ」
(手札5→6→7)(バインド0→1)
(ドロップ12→11)
「さて、丸山さんは誰を出して来るのか」
「颯樹さんの事ですから、彩さんがどんな攻め方をして来たとしても、予想通りではあるかもですけど……」
「私はアルメルを公開するよ」
「アルメルのグレードは2……コール対象か」
「アルメルをコールして、そのユニットに『このユニットが場から離れた時、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+5000。』を与える! 続けてアルメルのスキル発動。SC1し、アルメルのパワーを+5000。更にCB1を払う事で、デッキから1枚ドローして、クリスレインのパワーを+5000!」
(手札7→6→7)(ソウル2→3)
【ソウルチャージされたカード】
《High Five!》
「アルメルのスキルは、それだけじゃない! 私がこのターン中にノーマルオーダーを使用しているなら、EB3をコストに支払う事で、ドロップから守護者を持たないグレード1のユニットカードを1枚選んで、そのユニットをコールできる……私はロシェルを選んで、アルメルの後ろに
(ドロップ11→10)(エネルギー9→6)
「彩ちゃん、やってしまいなさい!」
「彩さんなら勝てます!」
「ユイカ、フランセットをコール。この時にユイカのスキルが発動。このユニットと同じ縦列に他のリアガードがコールされた時、自身のパワーを+5000!」
(手札7→5)
「CB1をコストに支払って、私の場にあるユニットの種類数に応じて次の効果が発動する……この時、4枚以上存在していて、それら全てが別名なら、1つでは無く2つ使用でき、5枚以上存在していて、それら全てが別名であるなら、1つ選ぶ代わりに全て使用する事ができる!」
「彩の場には5種類のユニットカードがある……これで全て発動圏内か」
「その通りだよっ。デッキから1枚ドローして、EC3。クリスレインのパワー+15000、クリティカル+1。そしてユイカを選んで、『あなたのターン終了時、このユニットを手札に戻してよい。』を与える!」
(手札5→6)(エネルギー6→9)
「アヤさんすごいです!」
「これなら、颯樹さんにも通用します!」
「……さて、どうかしら?」
「《青髪の異才 リシウス》をコール。その登場時にスキルが発動して、自身のユニットを1体選んで、そのユニットのパワーを+10000する事が出来る……私が選ぶのは、クリスレイン・カデンツァ!」
(手札6→5)
「クリスレインにパワーを集中させて、これからの攻撃を防ぎにくくする魂胆か」
「……賢明な判断ですわ。颯樹様の今お使いになられているデッキは、火力方面に関しては問題ありませんが、守備はあまり上手とは言い難いのが玉に瑕。ですが、あの御方の事ですし……それすらも織り込み済みかもしれませんわね」
「行くよっ、バトル! ロシェルのブースト、アルメルでヴァンガードに攻撃!」
「リカーランスとガンマレイズでインターセプト」
(ドロップ8→10)
……な、なんでリカーランスが!?
あのユニットは確か
「お生憎様。リカーランスはヴァンガードが幻影なら、永続効果で『インターセプト』を得たうえで、このユニットのシールド値を+10000する。……当然、この攻撃は凌がせて貰うよ」
……だったら!
「ユイカのブースト、フランセットで攻撃! フランセットのスキルで自身のパワー+5000!」
「ノーガード。ダメージトリガー・チェック《ドラゴンダンサー モニカ》。ゲット・ドロートリガー。アルファルドのパワー+10000、デッキから1枚ドロー」
(手札9→10)(ダメージ2→3)
こ、ここでドロートリガー?!
ただでさえ豊富な手札が、さらに増えちゃったよ!?
……でも、ここで止まっていられない!
「このバトル終了時、フランセットのスキルでアルメルを手札に戻す。そしてユイカのスキル発動。SB1をコストに支払って、フランセットを手札に戻す。続けてアルメルに与えた《High Five!》のスキル発動! さっき対象として選択したアルメルが手札に戻された時、ユニット1体のパワー+5000……クリスレインのパワー+5000!」
(手札5→6→7)
(ソウル3→2/ドロップ10→11)
「チッ、考えたな彩さんも」
「……なかなか面白いですわ。まるで自分の手足の様に使いこなしていますわね」
「リシウスのブースト、クリスレイン・カデンツァでヴァンガードに攻撃! ここでロシェルのスキル発動! EB3を払った後に自身をソウルに入れる事で、デッキから1枚ドロー。その後ユイカをスタンド!」
(手札7→8)(エネルギー9→6)
(ソウル2→3)(パワー51000/★★)
「《ワイバーンガード バリィ》で完全ガード」
(手札10→8)(ドロップ10→12)
ここを防がれるのは想定内……でも、ここから!
「ツインドライブ。1枚目《あふれる精彩 ウィズメイ》。2枚目《Astesice カナミ》。ゲット・ヒールトリガー! ダメージ1回復して、クリスレインのパワー+10000!」
(手札8→10)(ダメージ5→4)
(ドロップ11→12)
「行きなさい……彩ちゃん!」
「私の想い……姿を、形を変え、彩り溢れる未来へ!」
「グレード3以上の相手のヴァンガードに攻撃したバトルの終了時……SB1をコストに支払って発動し、リシウスを手札に戻して、手札から新たに《ラヴィング・ピンク フランセット》をコール! そのユニットに、クリスレインのパワーとクリティカルを与える!」
(手札10→11→10)
(ソウル3→2/ドロップ12→13)
「まだ……これだけじゃない!」
「……来るか」
私と一緒に歌おう……ウルティニアス。
「このカードは、私が【ディヴァインスキル】を使っているなら、CB1をコストに支払う事で、ドロップからコールできる!」
(ドロップ13→12)
「……ッ、幻真獣……!」
「ウルティニアスでヴァンガードに攻撃! ここでウルティニアスのスキル発動! このユニットと同名のカードの効果で自身がコールされているなら、攻撃した時にパワー+10000! 更にこのターン中に【ディヴァインスキル】を使っているなら、追加でパワー+5000!」
(パワー25000/★)
パワーは他よりちょっと低いけど……でも、こう言う小さなガード値を渋ると後々大変な事になるのは知ってる。だから、この攻撃は何としてでも通す!
「……モニカでガード」
(手札8→7)(ドロップ12→13)
「この攻撃は……どう!? ユイカのブースト、フランセットでヴァンガードに攻撃! ここでフランセットのスキル、自身のパワー+5000!」
(パワー66000/★★)
「ノーガード。ダメージトリガー・チェック《爆砲竜 ブラキオフォース》《リカーランス・ドラゴン》。何方もトリガー無し」
(ダメージ3→5)
「バトル終了時、フランセットのスキルでウルティニアスを手札に戻す。そしてユイカのスキル、SB1をコストに支払って、フランセットを手札に戻す。ターン終了時、カデンツァがユイカに付与したスキルで、ユイカを手札に戻す。ターンエンド」
(手札10→11→12→13)
(ソウル2→1/ドロップ12→13)
手札は13枚とほぼ回復しきってるし、ダメージも4と押し戻した。しかも颯樹くんのダメージは5で……彼の退路はもう絶たれたも同然。
……勝てる、このまま行けば!
「スタンド&ドロー」
(手札7→8)(エネルギー0→3)
「ペルソナライドボーナスにより、前列のユニット全てのパワー+10000、1枚ドロー。《赫月光》を使用。山札の上から5枚を見て、その中から1枚公開。公開したカードがヴァンガードのグレード以下のユニットカードならコールし、赫月カードなら手札に加える。……チェック」
(手札8→7→8→7)
(ソウル3→4/ドロップ13→14)
【山札の上から5枚】
《ドラゴンモンク ゴジョー》
《再起の竜神王 ドラグヴェーダ》
《槍の化身 ター》
《ワイバーンガード バリィ》
《ガンマレイズ・ドラゴン》
「ゴジョーを公開。残りをデッキに戻して、シャッフル。その後このカードをアルファルドの後ろにコール。ゴジョーのスキル発動。1枚ドローし、1枚捨てる。同じ縦列に《ガンマレイズ・ドラゴン》と《ドラグリッター エピサイル》をコール」
(手札7→8→7→5)(ドロップ14→15)
立て直して来た……でも、これくらいなら!
「アルファルド“幻影”のスキル発動。SB2をコストとして支払う事で、自分のダメージ1枚につき、自身のパワー+3000。ダメージは5枚……よって、パワー+15000! そして相手のリアガードを1体退却させるが、その対象は存在しない……」
(ソウル4→2/ドロップ15→17)
ホッ……退却させられないなら、そこまで怖く
「気を抜いちゃダメ!」
「千聖ちゃん!?」
「あの言い方は、他にもあるわ!」
ふぇっ!?
「退却できなければ、相手は自身の手札を1枚選んで……それを破棄しなければならない!」
……う、嘘!?
私の驚きと観客全員が衝撃を受けたのは、恐らくほぼ同時だった。何がなんでも相手に傷を負わせて、その傷口から大きな穴を穿つ様に一瞬の躊躇いも無く……電光の速さで相手を殲滅し、その首を討ち取る。
……ここまで、荒々しいなんて……!
「……手札を、1枚破棄」
(手札13→12)(ドロップ13→14)
「この時、ドロップのリカーランスのスキル発動。相手が手札を捨てた時にもこの効果は起動し、EB3をコストに支払って、ドロップから自身をコール。その時、自分のダメージ1枚につき、自身のパワー+3000。よってパワー+15000。その後ドロップから1枚をソウルに入れる」
(エネルギー3→0)
(ソウル2→3/ドロップ17→16→15)
もう簡単には受けられない……このターン、何としてでも守り抜いて、次のターンに繋いでみせる!
「行くぞ、彩!」
「……止めてみせる、私の全力で!」
「一撃目。エピサイルのブースト、ガンマレイズでヴァンガードに攻撃!」
パワーはペルソナライドボーナスと、ガンマレイズ自身の効果も含めると38000……なら!
「ベレトア、ウルティニアス、カナミでガード!」
(手札12→9)(ドロップ14→17)
「二撃目。ゴジョーのブースト、アルファルド“幻影”でヴァンガードに攻撃! ガンマレイズのスキル。CB1をコストに支払って、1枚ドローして自身をスタンド。エピサイルのスキル。同じ縦列のリアガードがスタンドした時、自身をスタンド! そして……!」
(手札5→6)
「アルファルド“幻影”が、相手のグレード3以上のヴァンガードに攻撃した時、手札、ドロップ、またはソウルの何れかにある赫月カードを1枚以上バインドする事で、自身のクリティカルを+1する。……僕がこの効果でバインドするのは、4枚!」
(ドロップ15→11)(バインド0→4)
赫月カードを、4枚バインド……?
一体、何が起きるんだろう……。
「この効果で赫月カードを4枚バインドしたなら、自身のパワー+10000、クリティカル+1、ドライブ+1。更に相手はこの攻撃に対して
そ、そんな……っ!?
「ガード制限!?」
「そんなのめちゃくちゃです!」
「そんな攻撃をマトモに喰らったら彩ちゃんが!」
「……少なくとも、タダでは済まないわね……。赫月カードを4枚バインドしているのだから、それに伴って降りかかる威力は何十倍にも膨れ上がっているはずだもの」
「れ、冷静に分析してる場合ですかッ!」
「(ど、どうしよう……守護者が使えないから、手札にあるエリーをガードに出せない……!)」
「マズイですよ、このパターン……」
「このアルファルド“幻影”の攻撃だけは、何としてでも死守したい所だけれど……」
「そんな事言ってる間に、さっくんのアルファルドがクリスレインを貫いちゃうよ!」
「見て下さい、アルファルドの武器に光が!」
「(ど、どうしよう……どうしようどうしよう!?)」
「(……よし、決めた。ここは、イチかバチか!)」
「ミサ、エドウィージュ!」
(手札9→7)(ドロップ17→19)
「ガード値はそれ等を合わせても43000。その防御でこの攻撃を凌げると思ったら」
「……まだあるよ。とっておきの1枚が」
「お、オーバートリガーを……ガードに出した!?」
「彩ちゃん、貴女血迷ったの?! なんでオーバートリガーをガードに出したの!」
私が勝つ道は、これしか無い!
アルファルド“幻影”のドライブは3回。そしてそのドライブチェックで全てトリガーが出て、そのパワー上昇をアルファルドに与えると合計値は86000。……これなら、3枚ともトリガーが出ても通らない!
「勝負だよ、颯樹くんッ!」
「行くぞ……チェック・ザ・ドライブ!」
アルファルド“幻影”のパワーは56000で、そのクリティカルは今の時点で3。私の展開したシールド値は合計80000で、クリスレインのパワーと合算すると93000。颯樹くんのドライブチェックの結果次第では、私の負けが決まる。
……勝つんだ。
日菜ちゃんに関してはお互い様だけど、イヴちゃんに関してはあと少しの所で敗れ去った……だったら、私が、その無念を晴らすまで!
「ドライブ1《ドラゴンダンサー モニカ》。ゲット・ドロートリガー。ガンマレイズのパワー+10000、1枚ドロー」
(手札6→7→8)
……えっ、ガンマレイズにパワーを!?
ここで攻めきれないと踏んで、リアガードにパワーを託したのかな?
「ドライブ2《ドラグリッター エピサイル》」
(手札8→9)
「2枚目はトリガー無し、ですが……」
「ここでもしオーバートリガーが出たら、話が一気に変わりますわ」
「彩さんの想いが勝つか、颯樹さんの拳が勝つか」
「ドライブ3」
颯樹くんの言葉に、会場全体の熱量が一気に静まったのを感じた。それは本当に今までよりも長く感じて、状況が状況な事もあって息苦しい感覚になっていた。
……お願い……
「《槍の化身 ター》。ゲット・クリティカルトリガー。ガンマレイズのパワー+10000、クリティカル+1。ゴジョーのブースト、リカーランスで攻撃」
(手札9→10)
(パワー48000/★)
「ノーガード。ダメージチェック《あふれる精彩 ウィズメイ》。トリガー無し」
(ダメージ4→5)
「アヤさんのダメージが5に!」
「次の攻撃だけは、何としてでも……!」
「トドメだ……エピサイルのブースト、ガンマレイズでヴァンガードに攻撃!」
(パワー53000/★★)
「《マーメイドアイドル エリー》で、完全ガード!」
(手札9→7/ドロップ17→19)
「……バトル終了時、エピサイルのスキル発動。自身をソウルに置いて1枚ドロー。これでターンエンド」
(手札10→11)(ソウル3→4)
何とか凌ぎきれた……。
でも、私も颯樹くんもお互いにもう後が無い。ダメージは揃って5になってるし、次のターンを譲ってしまえば、今度こそ確実に仕留められる。
……応えて、クリスレイン。
「私のターン。スタンド&ドロー」
(手札7→8)(エネルギー6→9)
「ペルソナライド、クリスレイン・カデンツァ!」
(手札8→7→8)(ソウル1→2)
「来ました、クリスレイン!」
「これで彩ちゃんの勝利が見えて来た!」
「最後の最後に掴んだ奇跡……死んでも離しちゃダメよ、彩ちゃん!」
「ノーマルオーダー《High Five!》を使用。このカードをバインドして、デッキから1枚ドロー。そしてアルメルをコールし、新たに能力を付与する。続けてアルメルのスキル発動。SC1をした後に自身のパワー+5000。更にCB1をコストに支払って1枚ドロー、クリスレインのパワー+5000!」
(手札8→9→8→9)(バインド1→2)
(ソウル2→3/ドロップ19→18)
「続けてアルメルのスキル発動。このターン中にノーマルオーダーを使ってるなら、EB3をコストに支払って、ドロップからロシェルをコール! ユイカとフランセットもコール! スキルで自身のパワー+5000!」
(手札9→7)(エネルギー9→6)
(ドロップ18→17)
もうこのターンで全部出し切る……ここで、勝つ!
「クリスレインのスキル発動! 私のユニットは5種類、よって4つの効果を使用。デッキから1枚ドローして、EC3。フランセットのパワー+15000、クリスレインのクリティカル+1。そしてユイカを選んで、『あなたのターン終了時、このユニットを手札に戻してよい。』を与える!」
(手札7→8)(エネルギー6→9)
「ここでフランセットのスキル。このユニットが、カード名にクリスレインを含むグレード3以上のユニットの起動効果で選ばれた時、ヴァンガードのパワーを+10000! そしてダメ押しの《シニカルコンポーザー ラウム》をコール!」
(手札8→7)
「な、なんて引きの強さなんですのっ!?」
「彩さんの颯樹さんへの想いは、並大抵の物じゃない……さっきも話に出てたが、あの人は再起不能になりかけた所を、颯樹さんに救われてる。その時からずっとその炎は消える事無く燃え続けている……アンタが颯樹さんを盲信している様にな」
「彩さん……すごい……」
「ロシェルのブースト、アルメルで攻撃!」
「ガンマレイズ、リカーランスでインターセプト!」
(ドロップ11→13)
「フランセットでヴァンガードに攻撃! 自身のスキルでパワー+5000!」
(パワー40000/★)
「モニカ、ター、ゲンジョウでガードだ!」
(手札11→8)(ドロップ13→16)
……ここで、決める!
「ラウムのブースト、クリスレイン・カデンツァでヴァンガードに攻撃! ここでロシェルのスキル。EB3を支払って自身をソウルに入れて1枚ドロー。その後にフランセットをスタンド。そしてラウムのスキル発動。このユニットがクリスレインを含むグレード3以上をブーストした時、自身のパワー+5000。更にEB3を支払う事で……相手は守護者以外でガードする時は、手札からそれぞれ異なるグレードのカードを3枚以上使わなければガード出来ない!」
(手札7→8)(エネルギー9→6→3)
(ソウル3→4)
「《ワイバーンガード バリィ》、完全ガード!」
(手札8→6)(ドロップ16→18)
……大丈夫、私ならできる……。
勝利の可能性は見えてる、あとは……引くだけ。
「ツインドライブ。1枚目《万化の運命者 クリスレイン・カデンツァ》。2枚目《Astesice ミサ》。……ゲット・クリティカルトリガー!」
(手札8→10)
「こ、ここでか……!」
「フランセットのパワー+10000、クリティカル+1! ユイカのブースト、フランセットで……アルファルド“幻影”に攻撃!」
(パワー68000/★★)
クリスレインの後ろから飛び出したフランセットは、ゆっくりと目を閉じると歌い始めた。それに併せる形でクリスレインも歌い、二つの歌姫の歌声は、重なり合う事で一つの旋律となっていた。
「……な、なんだ……これは……」
「颯樹くんの苦しみ、私に全部背負えるなんて不釣り合いな事は言わない。でも、寄り添う事はできるよ。私が同じ立場だったら、きっと同じ事を考えたと思うから」
「そうか。なら、どうする?」
「トップアイドルになる夢も、颯樹くんと添い遂げたい想いも全部叶える! ……颯樹くんも知っての通り、私って欲張りだもんっ♪」
……ちょっと恥ずかしいけど、これが私の全部。
観客全員からはまたどよめきが聞こえたし、控えからは頭を抱えた様な声が聞こえたけど……私の想いは、誰にも譲れない!
「……ノーガード、ダメージトリガー・チェック《穿雷竜 アルファルド“幻影”》。トリガー無し」
(ダメージ5→6)
『き、決まったぁぁぁぁぁ! ゲームカウントは3対1、それに伴って……勝者!』