灰は龍炎に惹かれて   作:ジルバ

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申し訳ねぇ!何も申し開けねぇ!


長ーいシナリオ整理がありまして……

それ故前回の最後らへんと今回の異聞のタイトルと内容若干が変わってしまいました。
今回の異聞の主人公のキャラクター性についても少し考えというかフロム脳を深めた次第

理由としては……アーミヤって……ええよな…って


それでは……どうぞ!


異聞:その瞳の内に見出すは──

 

ロドス・アイランド

テラに蔓延る不治の凶病たる源石病の治療を目指す医療組織にして、感染者を取り巻く問題の解決の為に戦い続ける明日へと突き進む方舟の乗り手達

 

 

チェルノボーグにて眠りについていたある人物が覚醒した時、彼等の運命は動き出した。

 

 

そして──

 

 

 

 

『……そうか。ロドスがそこにも来たか』

「あぁ、女の三人組がここを嗅ぎ回っている……その口ぶりだとそっちにもいたのか?」

「スカルシュレッダー達の作戦区域……というよりは龍門全体で動いているらしくてな…それで……」

「───そのスカルシュレッダーがあの兎の小娘に殺されたらしいな。お陰様でウチの連中がお通夜状態でやりにくくて敵わん」

 

「…………」

「…それともう一つ伝えておきたいことがある……件の女共だが、同胞…薪の王に逃がされた」

「……そうか」

「反応が薄いな?裏切りが起きたんだぞ……おい、アンタまさか……」

 

「──全員が同じ思惑だとは思ってはいなかった。想定通りだ。この先数十、数百と離反者が増えようと、私の歩みは止まらない……他に報告すべきことは?」

 

「……以上だ」

「そうか。では──健闘を祈る」

 

「……」

──想定通りだ──

とても我々を“後進に続いてくれた勇者”と敬服していた男と同一人物が発した言葉とは思えなかった

 

ピピー!

 

『こちらスノーデビル小隊隊長のフロストノヴァ……応答せよ、フィアレス。出番だ。戻ってこい──奴らがメフィストと接敵したらしい』

思うところはあれど……、俺は己の為すべきことを成すのみだ。

それが彼女達の為でもあるのだから

 

「──こちらスノーデビル小隊のフィアレス……了解だ、姐さん」

 

 

 

 

 

 

ロドスと薪の王──再び二つの運命がこの廃都市にて交わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドクター、疲れてませんか?無理はしないでくださいね」

この廃都市にこの二人も足を踏み入れていた

 

ドクター(アナタ)とアーミヤは龍門と協力関係となったロドスの指導者として、レユニオンとの戦いを制した。

 

アナタの先を見据えた正確無比な指揮、龍門の近衛局とロドスの優秀なオペレーターの尽力によって、レユニオンの幹部が一人──スカルシュレッダーは討たれた。

 

──一人の民間人の犠牲と引き換えに

 

彼女の死はアーミヤの魂に癒えぬ傷を遺した。この先……死ぬまで彼女は悔い続けるだろう

 

 

……さて、そんなアナタとアーミヤはこの廃都市に来たのはここに調査に向かい、音信不通となり消息を途絶えた三人のオペレータの捜索、そして生存者の救助の為だ。

 

龍門の近衛局のチェンとホシグマ達も同行していたが、非感染者には感染の危険があるとしてアーミヤが彼女たちにお引き取り願ったのは記憶に新しい

 

……しかし、最初こそアーミヤに概ね同意であったがアナタは早計だったかもしれないと感じていた

 

ここまで来るまでに接敵したレユニオンの構成員たちが異様な練度なのだ。

スカルシュレッダーの率いていた兵長クラスや上級の兵士ならまだしも、接敵してきた末端の構成員は何れも先の戦いでスカルシュレッダーが率いていたレユニオン兵とは比較にもならぬほどのレベルだった

 

アーミヤの強力なアーツのおかげで何とか切り抜けてはきたが、アーミヤに掛かる負担を考えれば極力戦闘は避けて、隠密を心掛けたほうが得策だ

 

「位置情報はこの辺りの筈ですが……っ!ドクターこっちへ!」

 

アーミヤの表情が鬼気迫ったものに変わる。

彼女の小さな手がこちらに伸び、瞬く間に引き寄せられた。

 

ビュン…!!

その次の瞬間にアナタの首筋を風が撫でる

 

「ほう、命拾いしたな」

アナタはいつの間にか背後を取られていたようだ。次第に首筋から生暖かい液体が滴り背へと這い落ちていくのを感じる……

アーミヤがいなければあのレユニオン兵の持つ長大な極東のカタナらしき武器でそっ首を跳ね飛ばされていたことだろう

 

「やはりガワが邪魔だ……、速さが足りぬ」

レユニオン兵の全身が青白く輝き光の粒子となって白い仮面と装束が跡形もなく消え、

 

 

アーミヤが動く。

咄嗟にアーツの障壁を展開、直後凄まじい衝撃が障壁越しに彼女の腕に走る。

 

「くぅっ…!」

「これも防ぐか。やるな、小娘…ッ!」

レユニオン兵士の姿はどこにもなく、長刀越しに黒い髑髏が彼女の目の前にいた

よく見ればその髑髏は仮面であり、首の下の装備も仮面と同色の漆黒の鎧具足に変わっていた。

 

 

「ドクター!下がっていてください!」

アーミヤが障壁で妖刀を押し返し、即座に障壁を弾丸に変え、剣士の胴に打ち込む

 

しかし、怯むことなく刀剣士は幾度も上段から剣を叩きつけ続け、甲高い金属音が鳴り響く。

 

「ッく…うぅ…!」

障壁が悲鳴を上げ、刃がアーツを食い破ってゆく

 

「アーミヤ…!」

髑髏の剣がアーミヤの頭蓋を叩っ切るのは時間の問題。されどアーツの障壁をを解いたところで反撃することも躱すにも時間が足りない。第三者が助けが無ければアーミヤは……死ぬ

 

しかしその第三者に非力なアナタはなれない。

 

アーミヤが死ぬ。記憶を失い、彼女の知るドクターでなくなっていたとしても、そんな自分を慕ってくれた娘が

 

最悪の未来を予感してしまった、その時

 

「ハァーッ!!」

「ぬぁにッ!?グオァァー!!?」

 

救いの手は現れた。

 

乱入者の放った斧槍による文字通りの横槍が狂戦士の脇腹を抉り貫き、廃墟の壁面に打ち付ける

 

剣士の手から得物が零れカランカランという空しい音色を鳴らす。

 

……絶命したようだ

 

斧槍を引き抜き、重力に従って落下したレユニオン兵をじっと睨んでいた赤と黒を基調としたジャケットとヘッドホンが目を引く小さなヴァルボが此方へと視線を移す。

 

アナタ達を救った恩人の名は──

 

「フロストリーフさん!」

「来るなって言っても…アーミヤには無理だよね。それで死んだらどうする気だったの?」

フロストリーフと呼ばれた少女と見紛う程小柄なヴァルボは呆れたような、

「すみません……ですが、助けられる命は全力で助ける……そう決めたんです。それが私の──」

 

 

ダシャァァン…!

凄まじい破砕音に反射的にその場から飛び退きドクターを庇う二人

 

 

「ゴアァ…!?」

頭上から落下してきた何者かにレユニオン兵が押しつぶされていた。

 

新手かと思い、アーミヤは手をその人物に向け──息を呑んだ

 

彼の者は騎士だった。しかし、彼女の知る“騎士”とはあまりにもかけ離れていた

 

焼け爛れ歪み、真っ黒に焦げた鋼の鎧

 

そしてその無残な甲冑を隠すように弱々しく棚引く焼けて大半を欠損したサーコート

 

彼の者の寂寥と悲壮の滲んだ、惨めな姿

 

英雄譚にて物語られる戦士や騎士競技で栄光をほしいままにする競技騎士とは対極に位置するものだった

 

しかしそんな姿を晒しても尚、その騎士は両の足を以て力強く立ち、剣を取るその姿には見る者を圧倒させる程の確固たる意思が宿っていた

 

──一体どんな生き方をすれば人はこうなってしまうのだろう?何が彼をこうさせたのだろう…?

 

己の未来を垣間見たような気がした

 

「き、貴様か……謀叛人──」

ザシュッ!

尚も動く狂戦士の体躯に騎士はさらに深く剣を刺し進め、ようやくレユニオン兵は生命活動を止めた

 

「言った筈だ、この者達は致命傷を受けた程度では止まりはしないと」

死んだ…あるいは致命傷で少なくとも動くことは叶わない筈のレユニオン兵の手には妖刀が再び握られており、彼がいなければフロストリーフ……あるいはアーミヤの両人を道連れにされていたかもしれない

 

 

「すまない、また助けられてしまったな……」

「……あ、ありがとうございます!……ってフロストリーフさん、この方は…?」

「レユニオンに追われていた私達を助けてくれたんだ。名前は……」

 

「──生憎だが私を表す情報の一切は無い。とうの昔に失くしたのでね」

「……この一点張りでな。怪しい奴だが、少なくともレユニオンではないことは確かだ」

「ジェシカさんとメテオリーテさんも無事だったんですね!?良かった……」

 

アナタは違和感を覚えていた。

識っている、この声を。

 

鎧越しでくぐもっているが……いや──くぐもったこの声をどこかで…?

 

「ドクター……ドクター?大丈夫ですか…?」

“……あぁ、大丈夫だ”

自分を呼ぶ声に我に返り、彼女に応える。

 

「この方がフロストリーフさん達を匿ってくれていたそうです!」

“そうだったのか……ありがとう。おかげで助かった”

 

「礼は不要だ……自力で救えた筈の命を見過ごすのは…もう、嫌なんでね」

そう言う無名を貫く騎士の声色は複雑な感情を孕んでいた

 

しかし、徐にあぁ、と何かを思い出したようで

 

 

「……礼をしたいなら一つ聞かせてくれないか──アーミヤ」

「えっ…どうして…私の名前を…!?」

 

「……私はキミのことを短いながらも見物させてもらっていた……少なくともチェルノボーグと龍門でな」

「ッ…!」

 

「キミは一度レユニオンの暴君に完膚なきまでに打ちのめされ、逃げ延びた……少なくない犠牲を払って」

 

「……キミに非は無い。人命を背負う重責など、キミのような少女に背負わせた世界と人間が悪いのだから」

 

「だが、キミは覚悟した。その身に余る重責を背負うことを。そして再びヤツらと対峙し、幹部の一人との血戦を制した……一人の少女の命を犠牲に」

 

「キミは知らぬことを知らぬ儒者であったことを自覚した。君が抱くその懐かしく、青臭い……それでいて眩い覚悟を今までも、これからも対峙してゆかねばならぬ敵もまたとうの昔に済ませているということを理解した」

 

彼が語りを進めるにつれ、アナタはアーミヤの背が小さく、震えるのを見た。

 

ただ、それでも。彼女は黙って騎士の語り(現実)を受け止めていた。

 

思い出しているのだろう。

 

──ドクター……アーミヤのことは任せたぞ

彼らのことを

 

──…ごめんなさい……

彼女のことを

 

「──アーミヤ」

まるで裁決を下す裁判官のように無感情に無名の騎士は小さきコータスの名を呼ぶ

 

「……犠牲となった同胞、そして道を阻まんとする敵の屍を道と成し、何の為に戦う?」

 

眼の背けようのない残酷な現実を経た彼女は──

 

 

「……貴方の言う通りです。私は愚かでした……無力な、浅慮な私の所為で大切な人の命が失われてしまった……この後悔は私の心に傷痕として永遠に残るでしょう」

 

「──ですが、だからこそ私はもう立ち止まれません」

 

その時ちらとアナタのことをアーミヤが見る

 

彼女の眼に迷いや恐れは

 

「私には守りたい大切な人たちがいます。だから私はこれからも後悔や罪を重ねることになったとしても彼らを傷つけるレユニオン──世界と戦い続けると決めました」

「…ほう、孤軍で仲間を庇いながら世界を相手にするとは……とんだ蛮勇だな」

 

「私は独りではありません」

「────」

 

 

「私達ロドス・アイランドには同じ志を持ち、共に歩もうとする人達がいます。彼らは庇護対象では決してありません。共に優しい世界を目指す同士です。彼らと一緒に私は──」

 

「……ク、クク……クハハハハハッ!」

これ以上耐えきれまいとでも言うように騎士は人目を憚ることなく哄笑を上げる。

 

しかし、ソレは決して嘲りのものではなかった

 

「あぁ……良き眼だ。よもや私も(・)斯様な眼をした娘と出会えるとは…!灰よ!燃え殻たる私も見出したぞ、可能性の光を…ッ」

歓喜に打ち震える騎士の外見に変化が表れ始める

 

ゴォォッ!!

鎧の節々から炎が零れ、膨れ上がり、ついには躯体を鎧う。

 

二重の意味で空気が変わり、フロストリーフが斧槍を構えようと腕を上げるが遅かった。

 

彼が手をかざし、放たれた焔がアーミヤの小さな身体を包んでいた

 

“アーミヤ…!?”

 

「アーミヤ!?…お前ェッ!」

彼女らしからぬ激昂を隠すことなく、フロストリーフは跳躍し、怒りのままに斧槍を騎士へと振り下ろす

しかし、その憤怒の一撃はいとも容易く、剣で受け止められるに終わる

 

「何の真似だ!?やはりお前はレユニオンの間者だったかッ!」

「急いては事を仕損じるぞ、フロストリーフ。よく見ろ」

「何を訳の分からないことを…!」

 

「──大丈夫ですよ、ドクター、フロストリーフさん。私は……大丈夫です」

その声に咄嗟に振り向き、驚愕するフロストリーフ

つい先ほどまで火達磨になっていた筈のアーミヤが、ほんの一瞬意識を恩人だった筈の騎士へと向けている間に何が綺麗さっぱり彼女を喰らっていた炎は消えていたのだ。

 

しかし、アナタだけはその目で目撃していた。彼の炎が何処へ消えたのかを

 

「避ける素振りを見せたが、止めたな。何故避けなかった」

「…貴方からは敵意や悪感情を感じませんでしたから……」

 

「……あの炎からは昏い後悔や眩い勇壮な感情が流れ込んできました。一人の人間が同時に持つ筈の無い感情が混ざり合って……」

アーミヤは悲しげな表情で右手の人差し指に嵌められた蒼い指輪の紋様ををなぞる

 

「ソレは……そうさな…そう、キーアイテムだ。いずれ、キミたちが対峙する…本来ならばその必要も、機会もなかったイレギュラーに抗する為の…な」

 

 

「──深淵歩き(アビスウォーカー)」

「…ッ!?」

アーミヤの口からひとりでに零れたそのワードに騎士が初めて動揺を見せる

 

「……クハハ!そうか、そうだったな!私にもあったな、私だけに授けられた己を冠する栄号が…!良かろう!もはやこの世界でその称号は意味を持たない上に、広義でのその二つ名の主もいない以上私はそう名乗らせてもらおうではないか!」

 

「貴方は一体……っ!」

フロストリーフの得物を通して感じていた騎士の抵抗の手応えが消え失せ、斧槍が斬る筈の標的を見失い、空を切る

 

 

 

 

──疾く龍門に戻るがいい。さなくば龍門が滅びるぞ

 

さる一体のキノコ人に授けられし、己を表す記号を思い出した不死はそこには、もはや、影も形も無かった

 




今回の薪の王
その一
右1アーロンの妖刀
左1エスパダ・ロベラ
頭狂戦士の仮面
胴リンド
腕ガーディアンガントレット
足灼けたロイエス


その二
右1ロングソード
左1龍紋の盾
頭火継ぎ
胴火継ぎ
腕火継ぎ
足火継ぎ

燃え残ったモノ、その片割れ



火は陰り、消えゆくもの──それと同時に闇も膨れ上がり、蔓延する。

杞憂で終わればそれで良いが……下手すればこの世界は抱える道理の無い負の遺産を抱えていくことになる

……あの男の願いに干渉する気は無かったが、私だからこそ気づけたその兆候は紛れもなくロードランで芽生えた悪縁の由来の代物


……この世界は彼女達の物だ。絶対に……この燃え殻の全てを賭してでも、貴様の好きにはさせんぞ──深淵の蛇よ





次回…「Ignition」
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