本日は前回の続きで最新話をお送りします。内容はアニメ1話の終盤から始まります。
それでは、どうぞ。
「オブリビオニス。我、忘却を恐れる勿れ。 さぁ、そろそろお客様がいらっしゃいますわ」
オブリビオニスはステージに立ってカーテシーをすると、観客席からは歓声が響き渡った。
ステージには椅子が6つ並べられていて、そこにはオブリビオニスとソリトゥス以外が座っていた。そんなオブリビオニスは椅子に座っているドロリスの元まで歩いて行った。
「誰が来るの?」
「ドロリス。前を向いて」
ドロリスがオブリビオニスの方を向きながら尋ねるも、彼女に顔が正面になるよう直された。
「お友達…」
「モーティス。髪が乱れているわ」
モーティスがオブリビオニスの代わりにドロリスの問いに答えるも、オブリビオニスは彼女の髪を触りながら指摘した。
「新しい持ち主になる方々です」
「ティモリス。襟元は真っ直ぐ」
そのモーティスの答えに補足するようにティモリスが呟くも、オブリビオニスに襟元を正しく直された。
「今日こそあたしを見つけてもらうんだー♪」
「アモーリス。貴女に必要なのは、完璧な身だしなみと完璧な笑顔。お客様には一番の貴女を見せなければなりません」
「はぁーい」
アモーリスは特に直す所は無かったが、代わりにオブリビオニスの軽い助言が施された。それに対してアモーリスは、軽い返事で済ませた。
「ソリトゥス、貴方の補佐は大いに助かります。だから今宵もよろしくお願いします」
「仰せのままに」
そして最後にソリトゥスの肩に手を置きながら、彼にそう問いかけた。ソリトゥスも軽くお辞儀をして応じるのであった。
全員の確認が終わると、オブリビオニスは2回手を叩いた。すると一瞬だけ会場全体が暗くなると、また照明が点いた。そして彼女の語りからAve Mujicaの
「大変長らくお待たせしました。ようこそ、Ave Mujicaの
その言葉と共に会場全体から軽い拍手が響き渡った。
「聡明なティモリス。慈愛のアモーリス。心優しきドロリス。従順なモーティス。忠義を尽くすソリトゥス。そして私は、気高きオブリビオニス」
自身を含め、6人の人形達の特徴を説明するオブリビオニスである。
「よくご覧になって。この完璧な笑顔を「完璧ぃ?」」
だが、オブリビオニスのその一言に
「アハハハハッ!こぉんな貼りついた笑顔なんて、だぁれも、欲しくなぁーい!」
アモーリスは突然立ち上がると同時に嘲笑いをした。そして笑い終えると、顔を強調しながら自身の着けている仮面を否定するように主張してきた。
「心から笑わないとぉ♪」
オブリビオニスとソリトゥス、ドロリスはアモーリスの主張を聞くと軽く驚く。しかしアモーリスはそんな事をお構い無しにステージの中央先端までスキップする要領で歩いた。
中央先端まで着くと、アモーリスは自身の着けている仮面に手を付けた。
そして……
「こぉんな、ふう…にっ!」
アモーリスは自身の仮面を大胆に外し素顔を晒した。そしてその後は自身の素顔を観客全員にまるでショーの成功を見せつけるように魅せたのだ。そして不要となった仮面はオブリビオニスの足元に投げ捨てた。
「ウッフフフフ!」
「なんて事を……!」
「聞こえなーい♪」
アモーリスの蛮行にオブリビオニスは憤るも、当の本人はそんな彼女の怒りを無視するように今度はモーティスの元までスキップで近づいた。
「ねぇ、モーティス。ホントの顔は、どんな顔?」
アモーリスにそう問われたモーティスは俯くも、アモーリスは喋る気は無いと折り込み済みのようで、有無を言わずモーティスの仮面を剥ぎ取って彼女の素顔を晒した。
「アハハハ、引き攣った顔ー!」
モーティスの素顔を見たアモーリスは小馬鹿にするように笑いながら仮面を投げ捨てるとその足取りで今度はティモリスの元に足を運んだ。その一方でモーティスは、素顔を見られたくないのか顔を抑えて俯いた。
「どういうおつもりで?」
「アンタの顔はー?」
自身の元にやってきたアモーリスを問いただすも、それを無視した彼女は問答無用でティモリスの仮面を剥いで素顔を晒した。ティモリスは終始アモーリスを睨むのを止まなかった。
「綺麗な顔ー、つまんなーい」
反応が期待していたものよりもイマイチだったのか、アモーリスはそのままティモリスの仮面を投げ捨てた。
「(やってくれましたわね…!)」
「(さきちゃん…)」
「(祥子ちゃん…)」
アモーリスの蛮行にオブリビオニスは悪態をつくも、ドロリスとソリトゥスは心配そうに見るしか出来なかった。
「(この流れは止められない…一旦下がって…)「オブリビオニスー?」」
これ以上ステージでの演奏が難しいと判断したオブリビオニスは一旦降りようとするも、アモーリスに止められた。
「前を向いてー?」
オブリビオニスの前に立ち塞がったアモーリスは前を向くよう促した。というより誘導に近かった。
「ほら、髪が乱れてる。襟元は確かー、真っ直ぐ、だよねー?」
「(この…!)」
するとアモーリスは今度はオブリビオニスの仮面を剥ぎ取る…と思いきや、先程彼女がモーティスやティモリスに指摘した事の意趣返しであった。
「アンタに必要なのは、完璧な身だしなみと…完璧な、笑顔♪お客様には1番のアンタを見せないと…ねぇ?」
襟元を正した(フリ)を終えると同時に今度は先程自身に指摘された事をそっくりそのまま返すと同時にオブリビオニスの背中を軽く押した。
アモーリスの蛮行にオブリビオニスは彼女を睨むも、観客席にいる全員が彼女に注目がしていた。完全に退路を断たれたオブリビオニスは観念して自ら仮面を外して素顔を晒した。しかしその表情は迷いは無かったが。
「いい顔ー♪ アンタはどうする?」
オブリビオニスの反応に満足したアモーリスだが、今度はドロリスに問いただした。ドロリスとオブリビオニスは一瞬驚くも、オブリビオニスはアイコンタクトで『止めなさい』と訴えるも、ドロリスは意を決したのか、椅子から立ち上がって自身の仮面に手を掛けて外して素顔を晒した。
「アハハハハ、堂々としてるー!」
「どういうつもりですか?」
ドロリスの反応に笑っているアモーリスであるが、今度はソリトゥスが彼女に近づいて問いただしてきた。顔の大半は仮面で隠れているため素顔は(当然だが)ハッキリとしていないが、怒りに満ちているのが窺える。
「そんな怒らなーい。ソリトゥスー。アンタのホントの顔を見してよー?」
しかしアモーリスはソリトゥスの問いに答える気は皆無な上に、今度は茶化しながら遠回しの素顔を見せるよう要求すると同時に彼の仮面に手を延ばした。
「…イヤ、アンタはいいや」
「なんのつもりですか?」
しかし突然手のひらを返すように正体を明かすのを止めて彼の仮面から手を離した。すると今度はソリトゥスの問いに答えるように彼の耳元に顔を近づけた。
「だってアンタは【
「…!」
自身の名前の皮肉になるように、素顔を晒すのを途中で止めたようだ。そんな時アモーリスの態度を侮辱と捉えたソリトゥスは怒りを隠せなかった。
「……アモーリス。それ以上の蛮行は見過ごすわけには行きません」
…と、このタイミングで、黒を基調とした赤のラインの入った学生服に酷似している衣装に身を包んだ、ピンヒールを履いた仮面を着けた女性が舞台袖からステージに現れた。
その女性…
「オディウミスー?今日のアンタの出番は無いでしょー?」
「黙りなさい。元を正せば貴女の所為で私までステージに立たなくてはならなくなったのですよ?」
「聞こえない、聞こえなーい」
「(この女…!)」
アモーリスに指摘されるも、オディウミスは彼女を一蹴すると同時に彼女を咎めたが、当の本人は当然聞く耳持たずでオディウミスは憤りを感じるしかなかった。
「せっかくだからアンタも素顔を晒しちゃいなよ?」
「止めなさい!何故私がそんな事を…」
今度はオディウミスに狙いをつけたのか、アモーリスは彼女の仮面に手を着けた。しかしそれに抵抗するようにオディウミスはアモーリスの手を払った。
しかし……
会場全体が騒ぎ出したのだ。何かと思ったオディウミスは辺りを見渡した。驚きを隠せていないオブリビオニスやソリトゥス、ドロリス達と嘲笑うかのような仕草をするアモーリス、そして床には……
此処で漸くオディウミスは、アモーリスの手を払い除けた拍子に仮面が外れて素顔が観客全員に晒されていた事に……。
「あの子って
「なんでAve Mujicaにいるのっ⁉︎」
千歌の素性を知っている観客は驚きを隠さなかった。それもそのはず、千歌の母親である
「……少々予定が狂いましたが、此方に
しかし此処で機転を利かせるようにオブリビオニスはオディウミスの紹介をした。
「ご紹介に預かりました、オディウミスです。以後、お見知り置きを」
そんなオブリビオニスの紹介に応じるように、オディウミスは丁寧にお辞儀をした。すると観客からは歓声が上がるのであった。
…と、そこに……
『ご来場の皆様、本日はAve Mujicaのライブにお越しいただきありがとうございます。本ライブは都合により閉演とさせていただきます。またのご来場、お待ちしております』
突然のライブ終了のアナウンスが流れると共に幕が下がった。どうやら
観客達は…
『えー…』
演奏を期待していたのか、途中で閉演した事に不満であったり……
『でもAve Mujicaメンバーの一部の素顔が知れただけで収穫物!』
新たな発見としてポジティブに捉えたり、と賛否両論であった。
こうして…彼女の秘密は月の元に暴かれ、人形達は人間の姿と取り戻す。それは幸福か、破滅か。運命の歯車は、止まらない────。
「お前はッ! 何て事をしてくれたんだ、こんな大事な時にッッッッッッ!」
楽屋に戻るや否や、まず開口一番と言わんばかりに颯樹さんの怒声が楽屋中に響き渡ったのだ。
それもそうだ。にゃむさんがとんでもない爆弾を投下したお陰で今回のライブは
にゃむさんならともかくとして(それでもダメだけど)…一部のメンバーの仮面を剥ぎ取りや祥子ちゃんや初華さんも素顔を晒さなければならなくなったのだ。
その中でも飛び火を受けたのは千歌さんで、彼女の場合は払い除けた拍子に仮面が外れるというアクシデントで素顔を晒してしまったのだ。
一番の被害を受けたのは千歌さんだけど、他にも睦さんも仮面を無理矢理剥ぎ取られた事により、今なお楽屋の椅子に座りながら俯いていた。その間、初華さんが睦さんを宥めていた。
「しかし弱りましたね。なんせもうSNSでは私達の事で話題がいっぱいですよ」
一方で、にゃむさんに素顔を晒されたのにも関わらず、睦さんとは違ってスマホを弄っている海鈴さんはSNSを調べていた。
しかしもう話題になっていたのか……。僕の方でも調べてみようとスマホを手に取った時、それを遮る様にドアがノックされたため、それは颯樹さんが対応する事になったのだ。
「邪魔する」
ドアをノックしてきたのは京介先輩のようで、どうやら今回起きた騒動に対して追及してきたみたいだ。
「京介。すまない、今取り込み中で」
「こっちもだ。さっき愛音に見つかって、そしたら……」
颯樹さんは京介先輩の言いたい事を理解しているようだけど、流石に僕たちの方もどうするか不明点が多いから……先輩には悪いけど、ここは大人しく引き下がって貰うとしよ…
「颯樹さんと獅音くんはここに……はっ!」
……って、そよさんっ⁉︎何故この人がここにっ⁉︎というより京介先輩が先にノックしたのにそれを差し置いて普通楽屋に飛び込んできます⁉︎しかしそよさんが『何故ここに』って思ったけど、楽屋の外には
しかしそんな事はさておき、血相を変えたそよさんが真っ先に向かったのは…祥子ちゃんであった。
「何ですか、そよさん」
「祥ちゃん……これは一体、何のつもり?」
「なんのつもり、と仰られましても。私たちは先程までライブをしていたのですわ。それは貴女もご存知ではありませんか?」
「……減らず口、をっ!」
祥子ちゃんの対応に気に入らなかったのか、そよさんは祥子ちゃんの胸倉を掴んでその場に持ち上げた…って、待って!
「そよさん、やめてください!」
僕は咄嗟に祥子ちゃんの胸倉を掴んでいるそよさんの腕を掴んて握りしめだ。祥子ちゃんに思う事はあるけど、流石にそれはやってはいけない。だからこれは止めなければ……
「獅音くんはどう言うつもりなの! 立希ちゃんに追い出された腹いせに、祥ちゃんの所に居るなんて!」
「そ、それは……」
そよさんに痛い所を突かれてそよさんの腕を掴んでいる力が緩くなって手を降ろしてしまった。
「そこまでです長崎さん、それ以上はお止めなさい」
「でも千歌さん!」
「聞こえなかったのですか?それ以上は止めて下さいと。でなければ実力行使も厭わないですよ?」
「……くっ!」
「大丈夫、祥子ちゃん?」
「お陰様で。ありがとうございますわ」
二度目の千歌さんの警告で、そよさんは漸く祥子ちゃんを解放した。そんな祥子ちゃんだけど、床に叩きつけられそうだったので、僕がクッション代わりになって叩きつけられる衝撃を最小限に抑えた。
「そんなに調子を乱すとは。私や颯樹がこの場に存在して居る事が……大層不満ですか?」
「貴女には関係ありません。私は……颯樹さんが何故ここに居るのか、それを問いたいだけです。別に貴女が祥ちゃんの所に居ても居なくても至極どうでも良いので」
「気の短い女性は愛想を尽かされますよ」
「……っ、さっきから下手に出ていれば余計な口を」
しかしそんな安堵も束の間。『一難去ってまた一難』、というべきか…今度は千歌さんもそよさんの口論を起こしつつあった。
「二人とも、ステイ」
「「…!」」
そんな矢先、颯樹さんが助け船を出すように二人の間に割って入ってきた。
「千歌、此処から先は僕が説明する」
「しかし颯樹!」
「この状態だと一生話が進まないだろ?だから僕がそよに説明して彼女を納得させる。それでいいか?」
「……分かりました」
颯樹さんの口から何故そのような事になったのか経緯を話す事で一先ず落ち着いた。確かにそうじゃないと颯樹さんの指摘通り話が一向に進まないままになるから。それに今後の事で打ち合わせを緊急で行なわないといけないし。
「そよ、それで大丈夫か?」
「分かりました。でも納得するかは話の内容次第にもよりますが」
そよさんは全ては納得していないけど、話だけは聞いてくれるそうだ。まあそれは無理も無いようで、颯樹さんもある程度納得してる素振りだ。
「言われなくても。それじゃ、話すよ。まずは────」
そして、颯樹さんの口からAve Mujicaに入った経緯を語るのであった。
まずは最新話の読了とお気に入り登録をしてくれた皆様、ありがとうございます。こんな拙作にお付き合いいただいた事に感謝感激です。
次回は今回の続きで、颯樹がパスパレを
予定では2週間後を予定しております。
それでは、また次回。
【獅音が立希に追い出された理由】
実はこの話は、とある匿名の質問サイトで指摘されたので其方を急遽お送りします。
率直に言うと、立希が追い出した理由は『彼女が獅音に嫉妬したから』です。
まず立希の立場としては『学校は違うけど、燈とは【CRYCHIC】の元メンバーでバンド経験のある同性の友達』であるのです。それに対して獅音は、『学校が同じだけで、【CRYCHIC】やバンドの事は一切知らないし関係の無い異性の友達』という立場です。まあザックリ言っちゃうと、獅音と立希は立場が全くの逆の存在なのです。
そこに立希に追い出される極め付けとなったのは、アニメ『It's MyGO!!!!!』の10話の一件です。燈が単身でライブ(という名の詩の朗読会)で真っ先にメンバーとして誘ったのが獅音なのです。獅音も『どうせ失敗するだろう』と内心タカを括ってたので二つ返事で了承しました。
そして獅音の予想とは裏腹に楽奈のお陰で
しかし何故この場面で立希が獅音と追い出した要因になったのかと言うと…まず立希は楽奈に誘われてステージに立ったのに対して、獅音は燈に誘われてサポートを頼まれたからです。しかも順番も当然最初になるので、立希は4人目…しかも中途半端に加入になります。その際、燈が『獅音くんを誘ってよかった』と口に漏らした事がキッカケで立希が獅音に嫉妬したのです。
この時の立希は『何故一緒にいた私じゃなく、何も知らない
そしてその数日後に獅音は祥子に【Ave Mujica】の勧誘を受けて、彼女を支えるためにメンバー入りを果たしました。もしこれがどう変わっていたかは…『迷子になるか、仮面を着けるか』のMyGO!!!!!編で明らかになると思われます。
多分この話は、獅音か立希の口から語らない詳細は明らかにならないけど、そこはアニメの展開次第になります。まだ3話しか放送されてないけど、今後が楽しみですね。