舞い狂う仮面の人形と孤独の獅子の咆哮   作:なかムー

4 / 22
 皆さま、お待たせしました。

 今回も本編をお送りします…が、あまりやらない試みとして、『迷子になるか、仮面を着けるか』との2本同時投稿します。

 それでは、本編をどうぞ。


#4

 Ave Mujicaのライブ…もとい演奏メンバー全員と千歌が素顔を観客全員に晒された翌日。彼女達が通う学校では朝から大騒ぎであった。それもそのはず、『まさか仮面バンドのメンバーが、仮面で隠された素顔を晒したら同じ学校の生徒でした』となったら誰もが注目を浴びるのも無理は無い。

 

 「なるほど。朝からそんな事があったのか…」

 「嗚呼。羽丘と花咲川ではそうなってた」

 

 その日の放課後、颯樹と京介と祥子はAve Mujicaが所属している事務所で後始末に近い作業をしていた。尤も、これは事務所の人間…颯樹より立場が上の人物が上手く根回ししてくれたためかそんなに時間は掛からなかったので、2人は今は各々の作業を取り組みながら情報共有をしていた。

 

 情報共有の際は電話とかで連絡を取り合えば済む話だが、迂闊な報告連絡は情報漏洩に繋がる危険性を考慮した京介が『後で直接話す』と予め一報入れて漸くこのタイミングで颯樹は今朝学校で何があったか初めて知る事になったのだ。

 

 ちなみに余談だが、リーダーの祥子は学校が終わると事務所に直行して台本の書き直し作業、颯樹はsumimiの仕事がひと段落ついた所で京介と一緒に羽丘の生徒会関連の(といっても校外で尚且つ部外者も知る事の出来る内容であるが)仕事を行なっていたのだ。

 

 他の裏方作業を行なうメンバーである千歌は大学の講義、海鈴はディプラプションのライブが近々控えているのでサポートに出向、獅音は学校で日直の仕事があるため遅れてくるそうだ。

 

 あとの初華、睦、にゃむも各々の学校で用事があるため少しばかし遅れると連絡は既に行き届いていたので問題は無かった。

 

 「そういえば何故花咲川は知ってたんだ?」

 「海鈴が直接俺に連絡してきたから」

 

 『そうだったのか……』と思わず口に出しそうになった颯樹だが、敢えて何も言わずにため息をついた。ちなみに余談だが、颯樹も花咲川の事は初華から直接聞かされたためある程度の事は把握しているのであった。

 

 「そうだ京介。一つお願いがあるんだが」

 「何だ?」

 

 先程から言おうと思っていた事があるようで颯樹は京介に話を持ち掛けてきた。京介も仕事をしながら颯樹の言葉に耳を傾けた。

 

 「……睦の付き添いをお前に頼みたい」

 

 颯樹から持ち掛けられた話…どうやら睦の仕事のサポートであった。当然話を受けた京介は不思議に思った。

 

 「俺が?どうしてだ?」

 「僕はまなの仕事のソロが入り始めたから其方に顔を出さなきゃならなくてね。獅音はまだこういうのに慣れていない上に祥子に付きっきり、千歌はメンバーの指導やにゃむの見張りもあるから頼めるのがお前しかいないんだ」

 

 現時点でのメンバーの各々の諸事情と経験の差という事から必然と京介に白羽の矢が立ったのだ。

 

 「消去法ってわけか」

 「人聞きが悪いな。睦は昨日の一件でまだメンタルケアが万全じゃない。誰かサポートに入ってくれないとダメなのは分かりきってる。それに…月ノ森の生徒なら、この中で一番詳しいのは睦を除けばお前くらいだから適任なんだよ」

 

 京介は皮肉気味にそう呟くと颯樹は正当な理由を後から付け足して諭してきた。確かににゃむによって仮面を剥ぎ取られた睦の反応は終始良くないものであるので、メンタルも完全にやられたといっても過言ではないのだ。

 

 「そうか……なら、俺が付き添ってあげるとしようかねぇ」

 

 颯樹から述べられた理由をある程度熟知した京介は渋々その提案に乗る事にしたのだ。しかしまだ乗り気ではないからか、頭を掻いていた。

 

 「ありがとう。それと追加報酬があるんだが……」

 

 まだ乗り気ではない京介に対して颯樹は『おまじない』感覚でスマホを操作した。

 

 「なんだ?もしかして見合った対価をくれるってわけ……!」

 

 颯樹がスマホを操作してすぐに京介のスマホから着信が来た。京介はすぐさまスマホを開いて内容を確認すると何故か目を見開いた。

 

 「これでやる気が倍増するだろ?」

 「イエス、ユアマジェスティ」

 

 颯樹にそう言われると京介は思わずサムズアップをするのであった。

 

 「しかしこの話は…」

 「安心しろ、祥子にはもう既に話はつけてあるから」

 「その通りでしてよ」

 

 京介が懸念していた事だが、そこは既に手を打っていたようで心配は無かったようだ。

 

 「それと、今日の会議で話す予定ではありますが、2人には予めお伝えします」

 「「?」」

 「全員の素顔を晒す事にしました」

 「「!」」

 

 祥子から告げられた事に対して颯樹と京介は驚くしかなかった。それもそうだ。メンバーの大半は昨日の一件で素顔を晒す事になったのだが、立て続けにしかも今度はまだ素顔を晒していない男性陣の素顔晒しを敢行するのだから無理も無い。

 

 「お2人はもうご存知の事かと思いますが、昨日の祐天寺さんの凶行の後、全員の素顔が見たいという声が後を絶たないのですわ」

 

 祥子の言い分には2人も納得せざるを得なかった。あの後でSNSを確認したのだが、『ヴァニタス様の素顔はきっと端正な顔つきなんだろうなぁ…』や『ソリトゥス様の素顔が見たい!』、『アングイス様の素顔を、はよ!』といった声が上がっているのだ。

 

 本来ならもうこれ以上素顔を晒すのはやめて残っている部分で押し通そうと画策したのだが、SNSで拡散された事実が予想以上に出回ってしまったためにやむなくそう決断したのだ。

 

 しかし当人達に知らせたのは今初めてであり、こればかりは本人達の承諾を得ないと話が始まらないのだ。

 

 「この事は獅音には?」

 「もう既に了承は得ています」

 「そうか……多分京介や獅音は大丈夫だろうが、僕の方が素顔を晒す事が出来ない可能性がある」

 

 一度確認を取った颯樹であるが、自身の素顔を観客(ゲスト)の前で晒す事が出来ないと祥子と京介に告げるのであった。

 

 「……もしかして過去の一件か?」

 

 しかし京介には思い当たる節はあったようで、それを颯樹に指摘した。すると颯樹と祥子は目を見開いて京介の方を見るのであった。

 

 「確かあの一件、当時の新聞やニュースでも取り上げられた程だからな。それに子供の方は名前は公表されてないが、『盛谷』という名前は出てる上に、その姓はそこらでは見かけないから、素顔晒した後に特定でもされたら、事件と結びつく可能性も否定出来ないし公になるのも時間の問題レベルだ」

 「やけに詳しいな。お前、当時はまだ10歳くらいだろ?」

 「去年色々な所から密かに調べた」

 「そういえばお前はこういうのは徹底的に調べるタイプだったな。なら周りには…」

 「言ってないし言わないから安心しな。多分アンタか千聖さんにしか話さない」

 「そう言ってくれると助かる…」

 

 京介からその一言が出た事により颯樹は安堵のため息をついた。その後は他のメンバーも事務所に集まって、全員合流を果たした。のだが…

 

 「ねぇ、なんで〜⁉︎ 『にゃむ』が全然話題になってないんだけどぉ!」

 

 事務所に着くや否や、にゃむはスマホを開いてSNSを見ていたが、自身の予想していた事とは程遠かったようで不満を露わにしていた。

 

 「そりゃお前、あれだけ匂わせ動画上げてたら誰も食いついてこないだろ」

 

 京介は事前(きのう)に渡されていたスケジュール表を確認しながらにゃむの匂わせ動画について呆れながら指摘していた。

 

 「むぅ〜。てかういこやむーこならともかくとして、うみこは一般人のくせに話題になってるのなんかムカつく〜」

 「私も綺麗な顔してますから」

 「自分で綺麗って言うな」

 

 京介に一蹴されたにゃむは頬を膨らませると、全く話に入ってない海鈴にまで八つ当たり感覚で羨ましがるのであった。しかし海鈴は一蹴すると同時に自画自賛し始めたので京介に指摘されるのであった。

 

 「なら京介さんが言ってみてください。『海鈴は綺麗な顔をしている』と」

 「そういうのは誰かに催促するものでも無いからな?」

 

 しかし海鈴は自身の顔を京介の顔に近づけながら催促に近い行為を行なうのであった。

 

 「雑談はその辺にして、本題に入りましてよ?千歌さん」

 「はい。では昨日豊川さんと考案したスケジュールを全員に共有します」

 

 話の本筋を無理矢理戻すために祥子は一度咳払いをして注目を集めた。その後は千歌にその後を促すと、彼女は持っているタブレット端末を操作して昨日の打ち合わせに参加していないメンバーのスマホにスケジュール表を送信した。

 

 「ツアー最終日に新曲の初披露がありますね…」

 「すっごい!ツアー中にテレビに雑誌に大忙しじゃん。やっぱ仮面外して正解だったな〜」

 

 送信されたスケジュールの内容を確認したメンバーからは各々の反応をした。しかしにゃむだけはニヤリと笑いながら自身の行なった事に間違いがなかったと堂々と胸を張るも、祥子はまだ根に持っているのか少しだけ眉間に皺が寄るも、獅音に落ち着くよう諭された。

 

 「……どちらにせよ、この状況は長くは続きませんわ」

 「てかさ、むーこだけ仕事多くない?」

 

 祥子の言い分を無視しながらスケジュールを眺めていたにゃむは睦の仕事の量の多さについて指摘するのであった。

 

 「そこは先方からの指定ですわ」

 「それに初華さんはsumimiの活動もあるので、若葉さんにそのカバーをお願いしているのです」

 「千歌さん。そこについては少し訂正があります」

 「なんでしょう?」

 「睦の仕事に関しましては、京介様をサポートに回して貰う事にしました。颯樹さんと京介様にはもう話はついております」

 

 どうやらこの事までは千歌の耳には知らされていなかったようで、祥子が直々に訂正するのであった。

 

 「……分かりました。では京介さん、若葉さんは貴方に任せます」

 「了解」

 

 千歌はタブレットを操作してすぐさまスケジュールを修正した。

 

 「てかむーこ、うらやま〜。まぁ、森みなみの娘ってだけででかいから仕方ないか〜」

 

 皮肉げにそう呟くにゃむであったが、その直後に睦スマホから着信音が会議室に鳴り響いた。睦が誰からの連絡か確認すると、スマホの画面には『みなみちゃん』と表示されていた。

 

 「うそっ‼︎みなみって森みなみ⁉︎」

 

 にゃむはそう驚くも、それを無視するような睦は電話に出た。そして暫くすると電話が終わって今度はメンバー全員にウチに来るよう伝えられたのだ。睦曰く『そこまで話してなかった。聞こうとしたけどその前に電話を切られた』ので、全員は怪訝そうにしながら睦の家に向かう事となった。

 

 その際、人数が9人という事もあってか、車を2台に分けて睦の自宅に向かう事となった。ちなみに割り振りは、颯樹が運転する車に睦、初華、にゃむが、千歌が運転する車は京介、獅音、海鈴、祥子が乗る事となった。

 

 しかし各々が睦の自宅に向かう準備をしている際、千歌は密かに京介を接触して颯樹達に一度許可を貰って2人きりになれる場所…使われていない会議室まで移動していた。

 

 「それで千歌さん。態々俺と2人きりに話したい事ってあるのか?もしかして告白?残念、俺は恋人がいるからアンタの気持ちに応えられない」

 「違います。そんな心底下らない話ではないです。それと貴方、恋人3人いるでしょ?」

 

 京介の茶々に千歌は一蹴するも同時に指摘もするのであった。しかし千歌はそんな事で京介を呼んだわけはなく、今一度大事な話をするため咳払いをした。

 

 「……京介さん。(かなえ) 優花(ゆうか)と言う人に気を付けてください」

 

 千歌から発せられたその一言で京介はピタリと止まった。先程とは違う声のトーンで千歌の本気が窺えたのだ。

 

 「……何故だ?」

 「実はここに来る前、彼女から接触を受けました。若葉さんに目をつけています」

 「……それは穏やかじゃないな。何かその後はされたのか?」

 「今回は宣戦布告でしたが、次からは何をして来るか分かりません。もし何かの拍子に彼女の地雷を踏めば、私たちと親しい者たちの生命が危険に晒されます」

 「……わかった。いざとなれば」

 「はい。如何様にして対処するかは貴方にお任せします。生死は問いませんので」

 「(あんたがそう言うってことは、それなりの事をソイツはしたのか……)No problem.引き受けた」

 

 千歌の優花の危険度がどれほどなものか理解した京介は、彼女の言葉を真摯に受け止めると同時に優花なる人物に対して警戒する事を誓うのであった。

 

 その後は全員に軽い詫びを入れると、各々が先程割り振ったメンバーで車に乗って睦の家に向かうのであった。

 

***

 

 「お邪魔しま〜す!」

 『お邪魔します』

 「どうぞ〜」

 

 睦さんの家に着くと、一行が出迎えくれたのは睦と同じ髪色のヘアバンドを着けた女性であった。この女性が睦さんの母親で女優の(もり) みなみ本人であるのはすぐに理解できた。

 

 「本日はお招き頂き感謝致しますわ」

 「祥ちゃん久しぶりね〜。元気にしてた?」

 「はい」

 

 みなみさんに出迎えられると真っ先に祥子ちゃんが感謝の言葉を述べると、彼女は気さくそうに返した。そんな場面を見たにゃむさんは驚きを隠さなかった。

 

 「みなみさんとさきこってお知り合いなんですか?」

 「睦ちゃんが幼稚舎の頃から一緒なのよ〜」

 「へぇ……2人って幼馴染ってこと?」

 

 この時にゃむさんや一部のメンバーは祥子ちゃんと睦さんの関係を初めて知る事となった。普段そう言った話を2人から聞かされていないから驚きを隠せずにいられなかった。

 

 「颯樹くんも京介くんも久しぶり〜!京介くんに至っては半年ぶりかな〜?」

 「「お元気で何よりです」」

 「えっ、さっきーにきょーこもみなみさんと知り合い?」

 

 えっ、この2人もみなみさんと知り合いなの?

 

 「僕は仕事柄、会う事が時々あるからね」

 「俺は半年前にドラマの撮影で代役を頼まれた際に、撮影現場で偶然知り合った」

 

 なるほど…そんな経緯があったんですね。しかも京介先輩に至っては一般人だから接点が無いと思ってたけど、まさかの偶然とは……世の中何があるか分からないですね……。

 

 その後はみなみさんの案内でリビングに着くと、キッチンには数人はいる出張料理人らしき人たちが料理をしていて、リビングのテーブルにはご馳走が並べられていた。

 

 ご馳走を前ににゃむさんは目を輝かせていたが、睦さんがみなみそんを呼ぶ際、『みなみちゃん』と呼んでいたのを反応して色々と話しているけど…にゃむさん、貴女までちゃん付けで呼ぶのはちょっと……。失礼ですよ?

 

 「あとっあのあたし色々挑戦してみたくて〜。みなみちゃんの紹介で番組とか…」

 

 それは流石に図々しいですよ。いくらバンドメンバーの母親とはいえ、ある程度の礼儀ってものがあるでしょ?『親しき者に礼儀あり』と言うし……。

 

 「フフッ、今度知り合いのプロデューサーに話しておくね」

 

 えっ、いいの?そんなアッサリしちゃって……少しは考えるなりしましょうよ……。

 

 「ありがとうございます〜」

 「祐天寺さん。図々しいですわよ」

 

 うん。祥子ちゃんの言う通りだ。颯樹さんたちも呆れてため息ついてる……。

 

 「あっ、そうだ京介くん〜。今度代役お願い出来ない?主演俳優が牡蠣に当たって食中毒で倒れちゃったから代わりの俳優探してたの〜」

 「いやー、受験に備えて色々準備してるので…」

 

 先輩、それ絶対嘘ですよね?僕知ってますよ、先輩の成績は良くて定期考査も常にトップクラスって話。誰もが話していますよ?多分先輩なら推薦なんて取れるだろうから……。それに対して颯樹さんと千歌さんと祥子ちゃんも先輩の学力を把握してるから呆れているし……。

 

 しかしその話は今一度保留という事で落ち着いたが、その後はモニタールーム…なのか、そこでみなみさんが出演したドラマの視聴会をする事になったけど、にゃむさんはおろかみなみさんまで号泣するのであった。

 

 自分の演技を見て「我ながら泣ける」って、どれだけ自画自賛してるんですか……。海鈴さんは真顔で拍手しながら「最高です」って言ってるけど、なんか棒読みな気もするけど……でもみなみさんはそんなの気にせず喜んでる。

 

 しかもその話の流れでみなみさんから直に自宅のスタジオでバンドの練習に使ってくれって言われちゃったのだ。そんな単純に決めてもいいのだろうか……?まあスタジオを見渡し限りバンドの練習が出来るくらいのスペースは確保出来てるからその辺りは問題無いだろうけど……。

 

 「ご提案ありがとうございます。その件は明日にでも事務所の方に相談を持ちかけてみます」

 

 まあ練習場所も見つけないといけないからとりあえず颯樹さんが明日事務所に確認を取ってから

 

 「ありがとう〜!それじゃあ皆んなご馳走はまだたくさんあるから食べていってね!」

 

 その後はまだ食べかけだったご馳走を堪能して1時間程経ってから僕たちは颯樹さんと千歌さんの運転する車に乗って帰る事となった。

 

 確か次のライブまでにテレビでの生放送のインタビュー……何事も無く終わればいいのだけれど……。しかしこの生放送、世間にまた衝撃を与える事になるのは、僕たちはまだ知らなかった────。

 

***

 

【とある女優の会話記録】

 

 若葉家訪問から数時間後、京介は自宅の部屋でロッキングチェアに座りながら読書をしていた。

 

 ページも半分近くまで読み終えており、そろそろ話が折り返し地点に到達しようとしたその時、突然京介のスマホから着信が鳴り響いた。本を読む手を止めて一旦栞を挟んで閉じると、ディスプレイ画面で誰からの着信を確認した。すると心当たりがあったのか、すぐさま電話に出るのであった。

 

 「はい」

 

 『こんばんは、京介くん』

 

 「アンタか……そろそろ連絡が来ると思っていた頃ですよ」

 

 『そんな事言わないでちょうだい。それで、昨日頼んだ報告を聞きたいのだけれど?』

 

 昨日…Ave Mujicaのメンバーの大半が素顔を晒された数時間後に京介宛てに、電話の相手から頼み事を引き受けるのであった。京介はひとまず一息ついて報告する事にした。

 

 「すんません、どうしようも無いヤツのせいで口が滑りました」

 

 『……わかったわ。颯樹の精神状態は?』

 

 「今んとこ大丈夫っす。ただ、ネットの書き込みが思いの外早い……素顔を晒せと急かしてます」

 

 頼まれた事の報告と、その後何が起きた出来事を分かりやすい掻い摘んで電話の相手に報告をするのであった。

 

 『ダメ。絶対に阻止して。何があっても阻止するのッ!』

 

 「……それは、あんたの為か?」

 

 『……とにかく。千歌ちゃんから聞いてるとは思うけれど、絶対にそれだけは止めさせて。あのオトコだけで良いの、あのオトコさえ葬り去られてくれたら……』

 

 「(あのオトコ、ね……)……わかりました、善処してみます」

 

 電話の相手の慌てている様子に京介は心当たりが多少あったので、ため息をついて電話の相手の頼み事に耳を引き受ける事となった。

 

 『ありがとう』

 

 「なんだかアッサリしてますね……ならこれはお駄賃感覚として無償で一つ頼まれ事をお願いしたいのですが……」

 

 『いいわよ。今の私は機嫌は良い方だから引き受けてあげるわ。それで私は何をすればいいのかしら?』

 

 強かな態度の電話の相手に京介は呆れるも、彼の脳裏にはつい数時間前に千歌に言われた事が浮かんだので、ギブ&テイク感覚で電話の相手に頼みを入れた。するとアッサリと引き受けたがそれと同時にその頼み事がなんなのか尋ねた。

 

 「……"(かなえ) 優花(ゆうか)"という人物について何か心当たりはありますか?」

 

 『鼎…そういえばその名前で思い出したわ。私が高校1年の時に同じクラスになったわね……その子がどうしたのかしら?』

 

 電話に相手にそう言われた京介は数時間前に聞いた事を一語一句報告した。

 

 『……そう、事情は分かったわ。でもそれがなんだと言うの?私には関係無いわ』

 

 「……もしAve Mujica…特に千歌さんの始末が終わったとしたら、次に仕掛けるのはパスパレ…と言ったらどうします?」

 

 『どういう事かしら?』

 

 「少なくとも、彼の近くにいるアンタらは格好の的になる。もしそうなれば被害も大きな損害を与える事になるだろう。だから今の数倍警戒に当たった方がいい……と言ったのですよ」

 

 『……分かったわ。その頼み、引き受けるわ。何かあったら連絡するから引き続き私が頼んだ事をお願いね』

 

 「了解致しました」

 

 『ウフフフ……それじゃあ今日はこれで終わりにするわ。おやすみなさい、京介くん』

 

 「おやすみ……千聖さん」

 

 京介は漸く電話の相手…千聖の名前を呼ぶと、本人に暫く笑った後に電話を切った。時間を確認すると、時刻は日付が変わる手前だったのでベッドに寝転がると布団の中に入り込んで電気を消すのであった。

 

 『Morfonica(本来の居場所)を守るため奮闘する』『千聖の頼み事を引き受ける』『睦のサポートに尽力する』。その3つを同時にしなければならない状況下であるが、京介はそんなに迷う事なくそれらを全て遂行すると心に誓うといつのまにか眠りにつくのであった────。




 まずは読んでくださった方、お気に入り登録をしてくれた方、こんな拙作を応援いただきありがとうございます!こんな拙作読んでくれるだけでもありがたいです。

 次回の投稿は他にも執筆している作品…ポケモンとD4DJですが、ストーリーもキリのいいところで区切ったり、ポケポケで新弾が出た都合上、色々アイデアが思いついたので今月は其方を1作品1本執筆する事と、アニメ本編がこれから進むにつれて、本編の履修を念入りにしてから再開しようと思います。予定では3月7日に最新話を投稿しますので、皆さま楽しみにお待ちくださいますようよろしくお願いします。

 それでは、また次回!


【既存バンドと獅音の関係性】
 前回、獅音の相関図としてMyGO!!!!!とAve Mujicaの関係性を触れてきましたが、まだ他のバンドとの関係性がまだなので今回は其方をお送りします。

 ただ、本作はMyGO!!!!!とAve Mujicaメインなので他バンドの描写が少ない都合上、今回は獅音視点になります。つまり、獅音が会った事のあるメンバーの評価になります。ちなみに本作とアニメ出たメンバーとの掛け合わせてになりますので、評価は登場キャラ限定になりますのでご了承ください。

【Poppin'Party】
 ・全員顔見知り。RiNGでよくすれ違う(特に香澄と沙綾はバイトしているためかお互いよく覚えてる)。

【Afterglow】
 ・此方もPoppin'Partyと同じく全員顔見知り。しかし此方はメンバー全員が同じ学校のため、そちらの方がすれ違う頻度が多い。

【Pastel*Palettes】
 ・武道館での対バンライブをキッカケに因縁尚且つ相容れない関係となる。しかし会う前から名前くらいは知ってる。(本作とAve Mujica限定)

【Roselia】
 ・メジャーデビューしているのは耳にした程度であるが知ったら。しかしメンバーで会った事があるのはリサだけ。女装された時に敬遠しがちになる。 ※詳しくは『迷子になるか、仮面を着けるか』の『幕間③ 人形達のDress up(ファッションショー)』をご覧ください。

【ハロー、ハッピーワールド!】
 ・全員面識無し。

【Morfonica】
 ・存在自体は京介と祥子から耳にタコが出来るほどよく聞いてる。しかし直接会った事のあるメンバーは透子と瑠唯だけ。

【RAISE A SUILEN】
 ・名前くらいなら知ってる。しかしメンバーで会った事があるのはレイヤとロックだけ。特に後者は学校の先輩であるため時々すれ違う。

 ……以上になるけど、ヤベ…ハロハピだけ面識ねぇ……。まあ、原作でもメンバー全員登場してきてないので(苦笑)



 ※このお話の投稿日である2月14日は……本作品のメインヒロイン尚且つAve Mujicaのリーダー兼メインヒロインのオブリビオニス/豊川(とがわ) 祥子(さきこ)ちゃんの誕生日です。本作では都合上、生誕記念回の投稿は叶いませんでしたがこの場を借りて、改めてお祝いをさせてください! おめでとう、祥子!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。