ルフレ猟師の罠にかかった話です。
クロム、ガイア、ヴェイク、フレデリク等がでてきますが、ルフレが一人でてんやわんやしている回です。
なんでも許せる人向けになっております。

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ルフレが猟師の罠に嵌って、てんやわんやしている話です。
クロム達が出てきますが、軍師が一人で騒がしいです。
なんでも許せる人向けになっております。



軍師の不用心

 クロム自警団の軍師ルフレは森の中をゆったりとした足取りで進んでいた。新しい作戦の為の策がまとまらず、気晴らしをしようと陣近くの森に踏み込んでいたのだった。

 特に目的も無く周りの木々の木漏れ日を眺めながら歩いていると、ルフレの視界に木下に生えた花が目についた。それは以前読んだ図鑑に、非常に珍しくまた気分を落ち着かせる薬としても使用できる、と書いてあったのを思い出しルフレは花を摘み取ろうと駆け出した。

「あれってもしかして!持って帰って調べよう…あ‼」

直ぐに近くの木の葉の下に獣用の罠が張ってあることに気がついたが、一足遅かった。罠はルフレの体を縛り地面から引き上げる。

 一瞬で網に捕らわれになったルフレは罠に嵌まったことに悔しさを思いながら、魔法で縄を切ろうと考え、書を取り出そうとするが無理な姿勢で探していたため魔導書は滑り落ちてしまった。他の魔導書では山火事になりかねず、動けば動くほど縄が締まるのでルフレは動くことができなくなった。

「あー、気づいている仕掛けに引っかかるなんて軍師として恥ずかしいことこの上ない…。しかもウィンド落としちゃったし、トロンじゃ…山火事になるよね。魔導書あるから大丈夫と思って剣は置いてきていまったし…。この状況の打開策は…?」

 誰も聞くものもいない独り言をしばらく言い続けていたが、遠くから人の話し声が聞こえた気がして静かに耳をすませる。それは確かに人の声でこちらに近づいている様だった。これは助かったとルフレは助けを求め大声を出そうとしたが、声の主がわかり思わず声を飲み込んでしまう。

 声の主はヴェイクとガイアで何か食糧を探しているようだった。

ガイアならこの状態を菓子の報酬を渡せば黙っていてくれるだろうが、ヴェイクは違う。絶対に大笑いして皆に言って周るに違いない。ルフレは一刻も早く助けて欲しかったが、この後待っているだろう惨事を恐れて声を上げられなかった。

 ガイアだけに助けを求める方法を考える最中、冷えた汗を感じ思わずくしゃみをしてしまった。その声は2人に聞こえたようで、誰かいるのかとルフレの方向に近づく。

ルフレは咄嗟に叫んだ。

「来ないで!あ、いや来て欲しいけどヴェイクは来ないで!」

「その声はルフレか?どうして俺だけダメなんだ?何かあんのか」

ルフレの静止を他所にヴェイクはガイアを置いて駆けつける。

そこにいたのは網に絡まり宙に捕らわれている軍師だった。

思いがけない光景に2人はしばらく何も言わなかったが、沈黙を破ったのはヴェイクだった。腹を抱えて笑いながら

「これはこれは!百戦錬磨、稀代の軍師様がなんて姿になっているんた?ただの獣用罠に吊られるなんてなぁ。前に安易な罠にかからないと言っていたのは誰だ?しかもお得意の魔導書も落としてやがる」

笑いすぎて呼吸がままならないヴェイクを睨みながらルフレは

「…だから君には来てほしくなかったんだよ。それに“軍師様”だなんて君の口から始めて聞いたよ。はぁ…。…笑い終わったなら降ろしてくれると助かるのだけど?」

満足に動けない中、ヴェイクはルフレが想定していた最悪の言葉を口にした。

「こんな面白いことがあるか?ガイア早く仲間呼んでくるぞ!みんなに見せよう」

そう言うなりヴェイクは来た道を足速に戻っていった。

ルフレは懇願するようにガイアを見つめたが、ガイアは

「残念だが、ルフレ。お前が今すぐ報酬をくれれば助かるが…無理だろうな。だからみんなが来るまでに抜け出すしかないぞ」

悪いなと小さく手を振りながらヴェイクの後を追った。

 行かないで、助けてと叫んでも2人の姿は見えなくなり、ルフレは再び1人になった。しばらくガイアの言う通りなんとか自力で抜け出そうとするが、獣でも引き裂けない縄を人間が素手で抜けられるものではない。そもそも体力がさほど無いルフレには道具があっても到底できない芸当だったかもしれない。

それでも、と空中で体を揺らしていたが、動けば動くほど体力を使い尽くし、ルフレはついに動くことができなくなった。

 ルフレが万策尽きて力無く揺られているとヴェイクが本当に自警団の仲間を連れてきた。クロムを始めとして多くの仲間達がルフレの状態を見つめる。その後はヴェイクほどではないが笑い声が溢れる者、必死に笑いを堪える者、呆れる者、ただ静かに見つめる者、皆が様々な顔でルフレを眺めていた。

「…助けて…ください」

力尽きて考えることを放棄したルフレは力無く助けを求めた。今は羞恥心よりも早く楽になりたい気持ちが優っていた。

 クロムは少し呆れながらルフレに尋ねる。

「ルフレ、何をやっているんだ?らしく無いぞ。それとも新しい気晴らしの方法か」

ルフレはすっかり気力を失いか細く言葉を返す。

「これが気晴らしなわけないだろう…。クロムの後ろに生えている花取ろうとして狩猟用の罠にかかりました。助けてください。あ、その花踏まないでね」

沈黙を守っていたフレデリクは落ちている魔導書を確認し、表情を変えずルフレに問いかけた。

「ルフレさん、剣はどうしました。陣を出る際は必ず帯剣するように常々忠告しておりましたが」

「近くを散歩するだけと思って持ってきていませんでした…。何かあっても魔法を使えばいいと…考えていました。次からは必ず持っていきます。…そろそろ降ろしてもらっても?」

リミエルは眼鏡を抑えいつもながらの冷静さで言い放つ。

「ソンシンの言葉で“猿も木から落ちる”とありますが、これは木に登っているので反対の状態ですね。興味深い」

各々珍しいルフレの状態を思い思い述べていたが、当の本人は血流と恥ずかしさで限界に達していた。

「みんなわかったから助けて!もう限界なんだよ!体中痛くなってきたし…寒いし…」

 

 見かねたクロムがファルシオンを抜く。

「わかった、わかった。今縄切ってやるから。動くなよ」

「ありがとう…あ、できれば誰か下で支えてくれるとありがたいのだけ…ってわっ!!」

縄はファルシオンの切っ先で切られ、ルフレは言葉の途中で地面に激突し、仰向けに倒れた。落下してから腕で顔を覆いながら唸っているルフレがなかなか起き上がらないので、打ちどころが悪かったのかと皆は心配になり声をかけ腕越しに顔を覗き込もうとしたが、力ない声が聞こえて来た。

「軍師としても人としても恥ずかしくて、見せる顔が無いよ…。軍師が罠にかかるなんて…。今は誰も僕を見ないで…。お願いだから一人にして…」

 始めは面白がったいた仲間たちも段々と意気消沈しているルフレが哀れに思い、気を付けて帰るように伝え各々静かに自陣に帰っていった。

 クロムは帰り際にルフレを振り返ってみると、力無く立ち上がり装備品を拾い集める姿が見えた。そして採取に向かう後ろ姿確認できた。

(そういうところは抜け目ないな…)

クロムは関心と呆れながら自陣への帰路に着いた。

 

 この一件以降ルフレはいかなる時も剣を手元に置いていたと言う

ちなみにルフレが尊厳をかけて採取された花はハーブティーとなり後日皆に振舞われ心を癒した。

 

 




ルフレが罠に嵌って困る姿を描きたかったです。ルフレ以外のキャラをもっとしゃべらせるようになりたいです。
ここまで読んでくださりありがとうございます。

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